県立宮古病院の新築移転問題で、平良地区の荷川取自治会内で用地提供に関する誘致の動きが活発化している。関係者によると、荷川取地区内の広大な字有地を提供する案が浮上。すでに同自治会の理事会でも協議されており、病院誘致による地域活性化を望む声が強いという。さらに、字有地を無償で提供する案もあり、今後の展開次第では宮古病院の新築移転計画が一気に加速する可能性も出てきた。

　関係者の話を総合すると、すでに伊志嶺亮宮古島市長や宮古選出の県議、宮古島市議会の地元議員らも荷川取の字有地を視察しているという。宮古病院の関係者も同行するなど具体的な動きもある。
　ただ、県病院事業局県立病院課には、用地提供に関する直接的な話は持ち込まれていない。担当者は「用地提供については宮古島市の伊志嶺市長から協力してもよいという話は聞いているが、自治会が用地を提供するというような具体的な話はない」と話した。無償提供案については財政面を考えた場合のメリットを強調。その上で、病院用地としての位置的な関係をはじめ▽交通の便▽療養環境を考慮した航空機の騒音対策▽拠点病院であるため、空港からあまり離れていないこと−など病院設置に関する条件面を示した。
　荷川取自治会の関係者は病院誘致の動きがあることを認めた上で「病院があることで地域活性化が期待できる。ただ、仮に誘致するとしても地域住民の合意が必要」などとし、あくまで住民の合意形成を重要視した活動であることを強調した。
　県の財政難も足かせとなって進まない宮古病院の新築移転計画だが、荷川取自治会の誘致活動次第では県の動きが加速することが予想される。
　宮古病院の本館は築三十三年が経過し、老朽化の度合いが著しい。天井のコンクリート破片ははがれ落ち、雨漏りも頻繁に発生するなど早急な対策が求められている。  （山下誠）

迫力ある歌声で高校生たちを魅了したザ・ソウルマティックスのゴスペルライブコンサート＝１９日、マティダ市民劇場

　宮古地区芸術鑑賞会ゴスペルライブコンサート（主催・宮古地区五校合同芸術鑑賞委員会）が十九日、マティダ市民劇場で行われた。九人の男女が、高校生を前にしてゴスペルのスタンダード曲やアレンジ曲を熱唱。「励まし」や「勇気」などが込められた魂のメッセージを大迫力の歌声に乗せて会場いっぱいに響かせた。
　歌ったのは、ゴスペルを百曲以上もレパートリーに持つ「ザ・ソウルマティックス」。会場には、午前は宮古高校、午後には宮古農林高校、伊良部高校の生徒たちが訪れ、宮古ではめったに見られないコンサートに聴き入った。
　「僕たちの歌を聴いて、夢や希望に向かって頑張ってくれればうれしい」。メンバーの一人がこう呼び掛け、時には激しく、時にはしっとりした歌声を体全体を使って歌い上げた。
　前半部分では、ゴスペルのスタンダード曲「アメージンググレース」などを、後半は、このコンサートのために練習してきたという「涙そうそう」をゴスペル風にアレンジして楽しませた。
　白と黒で統一された衣装とシンプルな舞台演出も加わって、会場はゴスペル一色に。曲が終了するごとに会場からは「ウォー」という歓声と大きな拍手が飛び交った。
　同鑑賞会は前日も行われ、翔南高校と宮古工業高校の生徒が鑑賞した。
◆◆ことば◆◆
　ゴスペル　北アメリカでアフリカ系アメリカ人が奴隷として働いたころに生まれた音楽。苦しい労働条件や家族から離された悲しみ、自由への希望を歌に込め魂の限りに歌い上げる。歌詞は「今どんなに苦しくてもきっと大丈夫」「心配しないで」など、前向きなメッセージと勇気にあふれている。

　宮古本島の十月期肉用牛競りが十九日、ＪＡおきなわ宮古家畜市場で開かれ、子牛（生後十二カ月以内）一頭平均価格は四十八万八千七百四十七円で取引が成立。今年五月に記録した四十八万六千円を上回る過去最高価格で競り落とされた。平均キロ単価も千八百九円の高値。成牛を含めた全体の販売額は一億九千四百五十八万二千八百五十円と二億円に迫る売り上げで、市場内は最後まで活気づいていた。肉用牛市場は米国産牛肉の輸入解禁で価格変動が懸念されたが、今のところ大きな変動はみられず、子牛競り市場は県内各地で好成績を維持している。
　今月競りには子牛三百八十三頭（去勢二百二十八頭、雌百五十五頭）が上場され、三百八十二頭の取引が成立した。一頭当たりの平均価格は去勢が五十一万八千七十円の高値で、雌は四十四万五千八百二円。去勢、雌ともに高値で競り落とされているが、去勢の売上高が全体の価格をけん引する結果となった。最高値を付けた牛は去勢で六十八万三千五百五十円。総販売体重は十万三千二百二十一�`で、子牛のみの販売金額は一億八千六百七十万一千五百五十円と高値を付けた。
　成牛を含めた全体の上場頭数は四百十九頭（去勢二百二十八頭、雌百九十一頭）。四百十八頭が競り落とされた。総販売体重は十一万九千二百六十九�`。一頭平均価格は子牛に比べると若干下がるものの、四十六万五千五百九円の高値を付け平均のキロ単価も千六百三十一円と高かった。
　今年の宮古地区の肉用牛競りは一月の初競りから高値をキープ。ＪＡおきなわ宮古地区営農センターなど関係機関が目標とする年間三十億円の達成に向け、売上額は順調に推移している。
　価格変動が懸念された米国産牛肉の日本への輸入解禁だが、消費者の和牛志向もあり大きな変動はない。低ランク枝肉価格の下落はあるが、末端の子牛市場への影響は見られないのが現状だ。
　ただ、宮古地区営農センターなど関係機関は危機感を緩めず、今後も生産農家に対して優良母牛の保留などを呼び掛けながら、安定生産に伴う宮古牛ブランドの確立を目指す方針だ。

座礁した漁船の撤去作業が行われた＝１９日、城辺吉野海岸

　十六日午後から城辺の吉野海岸沖リーフ際に座礁していた糸満港船籍のマグロはえ縄漁船「第八若義丸」の撤去作業が十九日午後、行われた。作業船で漁船をリーフから引き揚げ、きょう午前八−九時ごろに平良港の第一埠頭に接岸する。
　作業は満ち潮に合わせて午後から開始し、座礁した漁船を引き揚げた。前日のうちに船内の油はすべて抜き取っていたこともあり、大きな海洋汚染などは見られなかった。
　この漁船は十六日午後にリーフ際に座礁。児玉久男船長の姿はなく海上保安署などが同日から船内をはじめ周辺海域の捜索に当たった。十八日には海洋汚染を防ぐために船内の油抜き取り作業が行われ、Ａ重油一九〇〇�gとエンジンオイルなど六〇�gを抜いた。この間も児玉船長の捜索活動は続けられてきたが、十九午後七時三十分現在も発見には至っていない。

（前列左から）伊志嶺市長や兼城支庁長らが出席した竣工式＝１９日、島尻地区のパーントゥの里会館

　沖縄電力は十九日午後、宮古島市平良の狩俣−大神海底ケーブル新設工事竣工式を島尻地区のパーントゥの里会館で開いた。同電力離島カンパニーの石嶺伝一郎社長ら関係者多数が出席し、電力の安定供給を盛大に祝った。
　狩俣−大神旧海底ケーブル一号は、一九八○年三月に旧平良市が敷設し、沖縄電力に譲渡された。大神島への二十四時間送電は同年四月一日から実施。それまでの同島は、自家発電機による時限点灯（八−十二時間）だった。旧海底ケーブルは敷設後二十六年が経過し、老朽化が進んでいることから、新たに海底ケーブルを敷設し、同島の電力の安定供給を確保することが目的で実施された。
　現地工事は、今年八月七日に着手、十七日−二十日までに海上ケーブルを敷設。検査を経て今月七日から運用開始した。海底ケーブルの全長は三千九百八十九�b。総事業費約二億四千万円。
　大神島の世帯数は十七戸、人口三十三人。
　竣工式には、石嶺社長、沖縄電力宮古支店の饒波幸男支店長代理、施行業者のジェイ・パワーシステムズの下嶋清志代表取締役社長、沖電工の石原昌弘代表取締役副社長、光南建設の津波克守専務取締役、行政からは県宮古支庁の兼城克夫支庁長、宮古島市の伊志嶺亮市長らが出席。また狩俣自治会の池間等志会長、大神自治会の島尻彦吉会長らが参加した。
　神事の後、直会が開かれ、電力の安定供給を祝った。

兼城支庁長（右）から真栄城社長に義援金が手渡された＝１９日、本社

　兼城克夫県宮古支庁長は十九日、八重山地方を襲った台風13号の被害復旧のための義援金を本社に託した。
　同義援金は宮古支庁、農業研究センター宮古支所、下地島空港管理事務所の職員百二十九人から寄せられた。
　兼城支庁長は「八重山郡民にとって大きな災害。早く復旧して、安定した生活に戻るよう期待している。台風14号の時は八重山から多額の義援金を頂いた。少しですが、みんなのユイマールの気持ちです」と述べた。
　真栄城宏宮古毎日新聞社社長は「ありがとうございます。温かい志は八重山毎日新聞社の義援金窓口に届けます」と述べた。
　台風13号は九月十六に八重山地方に襲来し、農作物や施設などに大きな被害をもたらした。被害額（十月三日現在速報値）は各種施設五億三千九百万円、農林水産関係三十億二千四百万円の合計三十五億六千四百万円に上っている。