200平成18  1011 水曜日

平良地区キビ組合が発足/新価格制度に対応
各地区でも立ち上げへ/組合長に下地勝俊氏


キビ新価格制度に対応するために平良地区で生産組合が発足した=10日、JAおきなわ宮古地区事業本部大ホール

 二〇〇七年産から適用されるサトウキビの新価格制度に対応する平良地区さとうきび生産組合が十日午後、発足した。同組合は今後、サトウキビ栽培の技術向上に努めるほか、生産計画を策定する。さらに平良地区のサトウキビ農家すべてに加入を呼び掛け、新価格制度による国交付金の受け入れ体制を整える。組合長には下地勝俊氏を選任した。同制度に係る組合発足は宮古地区においては初めて。今後、各地区で発足する。組合規約には「サトウキビ共済に加入するもの」と記されているが、強制ではない。


下地勝俊氏

 国の新しいサトウキビ政策に伴い導入される新価格制度は、現行の最低生産者価格を廃止し、変動する市場価格を取り入れることが柱。農家の手取り額は工場との取引価格と国から支払われる経営安定対策による交付金支給に分けられる。国の交付金を受けるために対象要件があり、今回立ち上げた組合はその要件を満たすための措置。生産組合に加入することで特例措置(三年)が適用されるため、キビ農家は加入するだけで国の交付金を受け取ることができる。国の試算で、農家手取り額は現行とほぼ変わらない額になる見込み。
 平良地区の組合発足総会は午後四時からJAおきなわ宮古地区事業本部大ホールで開かれた。各地域の代表が集まり▽生産組合の設立理由▽生産組合規約▽〇六年度事業計画並びに収支予算▽組合費および賦課金の徴収方法▽役員選任−について審議し、全会一致で承認した。
 設立理由は対象要件を満たすため「設立は急務である」とした。そのほか農家の話し合いを基本とした生産組織の担い手育成を行い、さらに安定したサトウキビ生産を図ることも挙げた。
 規約の事業には▽担い手育成▽生産計画▽生産振興▽栽培改善▽生産者の相互理解と連携▽農作業受委託に関すること−などを記した。
 事業計画では▽キビ生産計画の策定▽組織の強化▽キビ栽培技術の改善に関する研修会の開催▽担い手育成計画の策定−など。予算は組合費となる百十万円や賦課金の五百五十五万四千円などを収入とする。組合費は千円とし、組合員は工場にキビを搬入した農家の約八割に設定した。支出は会議費や役員手当、人件費などで六百六十五万四千円としている。
 役員選任で組合長に選任された下地さんは、「不安もあるが、皆さんとともに取り組みたい。各農家の栽培面積把握など課題は山積しているが、組合発展のために精いっぱい頑張りたい」と話した。
(山下誠)
◆◆ことば◆◆
 キビ新価格制度 市場原理を導入し工場が農家のキビを市場の価格で買い取る制度。現行の制度と同様に、国の支援があるため農家の手取り額は現行とほぼ同じ。ただし助成の基準があり、個人の対象は栽培面積一f以上が一定要件。共同では四・五fを有することが条件となる。〇七年度から三年間は小規模農家の救済策として、地域の生産者組織に加入した農家も助成対象とする経過措置がある。
top.gif (811 バイト)

陸自配備に「断固反対」/伊志嶺市長
北朝鮮の核実験にも抗議


陸自の宮古配備に警戒感を示す伊志嶺市長=10日、宮古島市役所平良庁舎

 宮古島市の伊志嶺亮市長は十日、陸上自衛隊の部隊を宮古へ配備する動きに関するさまざまな報道について、「計画について直接の話はない。現在ある航空自衛隊のほかに、これ以上の配備は市長として断固反対する。市民にも訴えていきたい」と警戒感を表明した。同日のマスコミティータイムで述べた。伊志嶺市長はまた、九日に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が地下核実験を実施した問題を受け、「非核都市宣言をしている宮古島市として断固抗議したい」と述べた。
 伊志嶺市長は、二〇〇四月十一月の「下地島空港の軍事利用に反対する郡民総決起大会」を振り返り、「郡民大会を行ったときも、全圏域からの住民が集まり、自衛隊や米軍の使用に反対している」と話し、新たな部隊配備への反対は住民の総意との見解。「国境に近い島に住んでいる市民に不利益になる。安全が脅かされる状況が生まれる。新しい配備はやめてもらいたい」と、拒否の姿勢を示した。
 下地島空港については「圏域発展、国際交流の場としたい。残地利用のオファーもある状況で軍事利用をすべきではない」と、平和利用の姿勢を改めて強調。「県からもいろいろな情報を集めたい」と語り、市として情報収集をしながら、宮古の軍事化への警戒姿勢を続ける方針だ。
top.gif (811 バイト)

高野漁港/漁船のエンジン盗難
釣り具や燃料も、漁民ら怒り


エンジンを盗まれた漁船=9日、高野漁港

 宮古島市平良の高野漁港で、漁船のエンジンが盗まれていることが九日までに分かった。同漁港ではこれまでに釣り具やガソリンなどの盗難が相次いでおり、漁業関係者らは「漁の道具を盗むのは許せない」と怒りをあらわにした。宮古島警察署は漁港のパトロールを強化する方針。

 漁船「美好丸」を所有する平良博之さんは八日午前十一時三十分ごろ、漁港に訪れた際に被害に気付いた。船尾にボルトでしっかりと固定してあったエンジンが、何者かによって外されなくなっていたという。同日中に宮古島署に被害届を提出した。
 平良さんが盗難前にエンジンを確認したのは今月四日。十五馬力のエンジンは三十万円相当で、週に一、二回趣味である釣りを楽しむために利用していた。「まさかエンジンが盗まれるとは思わなかった。盗難に遭っても被害届を出さない人が多い。誰かが声を出さなければならない。二度と盗まないでほしい」と強い口調で語った。
 漁業関係者によると、同漁港では数年で釣り具やエンジン、ガソリン、アンカーなどが盗難の被害に遭っているという。被害を避けようと自宅まで船を移動させる船主もいる。
 高野船主組合の狩俣末夫組合長は「組合員に注意を呼び掛けていた。また盗まれたことは残念だ」と述べた。
 被害届を受け、宮古島署は窃盗容疑で捜査を開始。パトロールも強化し再犯防止に努める。
top.gif (811 バイト)

ごみ撤去を本格化/池間島 /新たな不法投棄も見つかる


不法投棄のごみから撤去が始まった=10日、平良池間島のユニムイ原

 宮古島市池間島の池間自治会(本村正美会長)は七日、ユニムイ原のごみ撤去作業を本格化させた。一時保管してある大量のごみを優先に撤去する方針だったが、何者かが大量の粗大ごみを不法投棄したことから、その粗大ごみの撤去から進めている。全ごみの適正な処理は二カ月間を予定。
 自治会は、ユニムイ原にある一部コンクリートに囲まれた場所で、ごみを一時保管。処理費用の捻出に苦慮していたが、処理費にめどが付いたことから、地域住民の協力を得て分別作業で撤去することにした。
 ところが、事態は一転。自治会がごみを一時保管している近くで、何者かがプラスチック製の容器や鉄類などの粗大ごみを不法投棄。そのごみを全て撤去するには、二dトラックの二十台以上にも上ると予想されている。
 自治会は十日までに、宮古島市のトラックを利用し、トラック十五台分のごみを撤去した。
 ごみの分別作業は、毎週土、日曜日に実施する計画。地域のお年寄りらが中心となり、ボランティアで早期撤去を目指す。本村会長は「不法投棄されて困っている」と困惑した様子で話し「絶対に不法投棄しないように」と訴えている。
 自治会は昨年、親子ラジオを通して、家庭で不要になった鉄類を指定の数カ所に出すよう呼び掛けた。鉄類はスクラップ業者が回収することになっていた。ところが、一部の家庭から鉄類以外のごみが排出され山積みとなった。残された大量のごみは自治会がユニムイ原へ運び、一時保管。しかし、適正な処理には多額の費用が必要なことから、ごみ撤去は進まなかった。
top.gif (811 バイト)

生の演奏はすごい/南小でオーケストラ公演
京都フィルハーモニー


オーケストラを前に、子どもたちは生の演奏を楽しんだ=10日、宮古島市立南小学校

 二〇〇六年度本物の舞台芸術体験事業の一環として、京都フィルハーモニー室内合奏団(小林明理事長)オーケストラ公演(主催・文化庁、県教育委員会、宮古島市、南小学校)が十日、宮古島市立南小学校(與儀千寿子校長、児童数五百三十八人)体育館で行われた。体育館いっぱいに広がる生の演奏に、児童から割れんばかりの拍手が送られ、本物の音楽を堪能した。
 これは、児童・生徒に優れた舞台芸術を鑑賞し、芸術文化団体などによる実演指導、ワークショップやこれらの団体などとの共演に参加し、本物の舞台芸術に身近に触れる機会を提供することで、芸術を愛する心を育て、豊かな情操を養うことを目的に開催している。
 出演者三十六人の大きなオーケストラを前に子どもたちは身を乗り出すなど興味津々。聞き覚えのある曲を演奏すると「知ってる」「聞いたことある」と声を上げ、曲に合わせて楽しそうに歌を歌った。
 また、演奏体験では、児童二人がバイオリンの演奏に挑戦。バイオリンに初めて触るという子どもたちが出演者の指導の下、「おもちゃのチャチャチャ」のメロディーを奏でて公演を盛り上げた。
 フィナーレは同校マーチングバンドと京都フィルハーモニー室内合奏団との共演で、同校校歌を演奏し大合唱。児童たちは元気いっぱいに歌い、笑顔を見せていた。
 バイオリン演奏に挑戦した砂川春香さん(一年)は「とっても難しかった。腕がとても痛かったけど、面白かった」と感想を話した。
top.gif (811 バイト)

ドイツからようこそ/上野小で「一校一国運動」
キシュカート夫妻を歓迎


上野小の児童たちと記念写真に収まる久美子さんら(前列左)=10日、上野小学校

 第四回世界のウチナーンチュ大会の一校一国運動で宮古島市立上野小学校を訪問するドイツ在住の県出身者、キシュカート外間久美子さん夫妻が九日に来島。十日には同校児童らと交流した。
 一校一国運動は地域の国際化の推進やその人材育成に貢献することが目的。県外の日系人らを学校に招き、さまざまな国の文化や言葉、歴史などを紹介している。
 九日、夫のロルフさんと来島した久美子さんは「多くの人の迎えをうれしく思う。ドイツから写真などをたくさん持って来た。いい交流会にしたい」と歓迎を喜んだ。
 歓迎式で宮國芳美校長は「子どもたちにドイツのことをたくさん教えてください」と話した。
 久美子さんは十日、上野小学校を訪ねて講演を行った。この中でドイツについてたっぷり話し、自国を離れ他国で生活することの魅力を子どもたちに伝えた。また、給食を一緒に食べたり、レクリエーションを楽しんだりしながら交流を深めていた。
 久美子さんは二十六歳で音楽留学でドイツに渡り、現在は音楽学校でピアノを教えているという。毎年、仕事の関係などで沖縄には戻っているが、ウチナーンチュ大会には初めて参加する。
top.gif (811 バイト)