200平成18  10 金曜日

酒酔い運転「免職」/厳罰化で綱紀粛正図る
宮古島市懲戒指針見直し


会見で消防職員の処分内容を発表する伊志嶺亮市長(左から2人目)ら=5日、宮古島市役所平良庁舎

 宮古島市の伊志嶺亮市長は五日、飲酒運転が絡む市職員の懲戒処分について「酒酔い運転は免職処分とする」などと述べ、市の懲戒処分指針を厳罰化する方針を明らかにした。九月に発覚した市消防職員の酒気帯び運転を含む不祥事が厳罰化の引き金となった。飲酒運転が全国的に社会問題化している現状も踏まえ、今月中にも酒酔い運転は「免職」に見直される。

 飲酒運転が絡む懲戒処分について、市は以前から見直しの検討作業を進めてきた。だが、先月十九日までに発覚した消防士長の酒気帯び運転並びに無免許運転という不祥事を受けて見直し作業を加速化させた。
 伊志嶺市長は会見の中で「指針をより厳しく見直す」と述べ、飲酒運転に関する懲戒処分を厳罰化する姿勢を示した。その上で「酒酔い運転は免職処分」とする方針を打ち出し、さらなる職員の綱紀粛正、飲酒運転の撲滅活動に取り組むことを強調した。
 現行の市職員の懲戒処分に関する指針によると交通関係で免職が確定するのは▽酒酔い運転で人を死亡させるか、重篤な傷害を負わせた場合▽酒酔い運転で人に傷害を負わせ、事故後の救護を怠るなどした場合▽酒気帯び運転で人を死亡させるか、重篤な傷害を負わせ、事故後の救護を怠るなどした場合−のみ。酒酔い運転で人に傷害を負わせた場合でも停職にとどめることができるほか、酒気帯び運転で人を死亡させるか傷害を負わせても処分内容は「免職または停職」と記されている。  (山下誠)
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県選抜 初優勝/上里(宮高)、存在感示す
国体少年サッカー


試合を終え、記念撮影で笑顔を見せる上里D=5日、兵庫県立三木総合防災公園陸上競技場

 【兵庫県で砂川拓也】第六十一回国民体育大会「のじぎく兵庫国体」は五日、同県立三木総合防災公園陸上競技場でサッカー少年男子決勝を行い、上里琢文=宮古高校一年=のいる県選抜は0−0で千葉県選抜と引き分け、両県同時ながら、初優勝を飾った。上里琢文はフォワード(FW)で先発出場し、チーム最多の三本のシュートを放つなど、交代となった後半二十二分までの五十七分間、相手ゴールをおびやかす活躍を見せた。
 試合は前半、千葉県選抜が攻勢で進める中、上里は前線に残り、チャンスをうかがった。前半十三分には右四十五度からのフリーキックをけり、こぼれ球をシュート。得点には至らなかったが、攻撃の軸として存在感を示した。
 後半に入ると試合は県選抜ペースに。上里は後半七分にドリブルで抜け出し右足でシュート。惜しくも枠をとらえなかったが、続く二十分には相手DFを引き付けて、渡嘉敷優斗(ヴィクサーレ沖縄FCユース)に絶妙のスルーパスを出し、得点機をつくった。
 

持ち味発揮 充実感/県選抜の上里(宮高)
国体少年サッカー/ドリブル輝き放つ 「手応え感じた


県選抜−千葉県選抜・後半16分、スライディングを交わしてドリブル突破する上里D=5日、兵庫県立三木総合防災公園陸上競技場

 【兵庫県で砂川拓也】国体決勝の大舞台で、上里琢文=宮古高校一年=は十分に持ち味を発揮した。ドリブルで相手を抜き去るスピードは、ピッチの中でもひときわ輝きを放った。「落ち着いて自分のプレーを出し切れた。全国のレベルは高いが手応えを感じた」。表情に充実感があふれた。
 県選抜に名を連ねたのは大会四日前。宮古からただ一人、最後の最後で滑り込んだ。「びっくりしたし、うれしかった」と上里。FWでは異例の「背番号5」は、控えどころか四試合すべてに先発出場。2得点、1アシストに加え、二つのPKを獲得するなど、結果を残した。
 決勝の相手はJリーグユースチーム所属の「プロの卵」が名を連ねる千葉県選抜。序盤から厳しいディフェンスで、上里をはじめ県選抜の攻撃を封じた。上里は「千葉もそうだが、すべてのチームのプレッシャーが強かった」と振り返る。
 後半。決定的な場面をつくってシュートを放ち、スライディングをものともしないドリブルから絶妙なスルーパスも見せ、スタンドを沸かせた。「自分の得意なドリブルは通用すると思った」。選手交代で今国体のピッチを後にした上里に、悔いはなかった。
 スタンドに駆け付けた両親の目には、息子の姿が頼もしく映った。母・千代子さんは「楽しそうに伸び伸びやっていた」と笑顔。父・雅章さんは「全国トップレベルに堂々と引けを取らないプレーだった。ここまで大事に育ってくださった監督、コーチ、先生方に感謝したい」と感無量の様子だった。
 休む間もなく上里はまた、宮古高校のチームの一員に戻る。「競り合いなどまだまだな部分もあるが、頑張れば勝負できるとも思った。ここで学んだことをチームのみんなに伝えて、強くなりたい」。その先にある目標はJリーグ2部・札幌で活躍する上里一将だ。国体で得た自信を胸に上里は、「先輩の後に続きたい」と言った。
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はしご車/修理費予算化できず
危険性指摘され使用制限/市消防購入から10年


オーバーホール(分解修理)が必要とされているはしご車=5日、宮古島市消防署

 宮古島市消防本部(伊舎堂勇消防長)が保有するはしご車が、耐用年数を過ぎているためメーカーから危険性を指摘され、使用を制限する状態に陥っていることが五日までに分かった。分解修理(オーバーホール)に必要な約四千万円の予算確保ができず、財政的に早期改善は難しいとし、イベントなどでの使用を避けて火災現場への出動を優先して出動させているという。しかし、使用が制限され、危険性を指摘されるなど安全性が確保されない状態での運用は、「市民の生活安全を第一に守る一機関」として問題となりそうだ。
 同本部では、現在はしご車一台を配備している。一九九六年十二月に購入してから今年で約十年が経過するが、高層住宅の少ない宮古島での火災現場ではこれまで使用されず、定期訓練やイベント時に稼働してきた。
 〇三年末、本土の消防本部で運用するはしご車の操作訓練中に、昇降用リフターがはしご本体のガイドレールから外れる事故が発生。幸い人身事故には至らなかったが、総務省消防庁ではこれまでになかった「消防自動車のオーバーホール標準実施基準」を策定し、各市町村にある消防署にオーバーホールの実施および適正な点検整備を通知した。
 このことを受け、宮古島市消防署は合併前の消防組合や合併後の市へオーバーホール点検のための予算化を要求。しかし、市の財政難から予算確保ができずに見送られている。市は〇七年度、オーバーホールではなく新しいはしご車の購入を検討しているという。
 同署では〇五年十一月の保守点検において、「各劣化、腐食が進行し、いつ不具合が発生してもおかしくない状態」「重大事故が発生してもメーカーとして責任は持てない」と点検結果報告を受け、メーカーから使用の危険性を指摘されている。
 同署は一日夜、平良の住宅密集地で発生した三階建て建物の火災現場ではしご車を投入。しかしはしご車での消火、救助活動は行われず、隊員らが付近の建物からホースを引き上げて放水した。使用されなかったことについて同署は「現場は電線などが多く、二次災害を防ぐためにも危険と判断した」と説明している。
 はしご車は基本的に、耐用年数に当たる「処分制限年数」を約五年に設定。定期的に整備点検を重ねながら購入後七年目、十二年目とオーバーホールを行うことで約二十年ほど、はしご車が維持するという。しかしオーバーホールには、多額の費用がかかり、安易に捻出できずに整備点検のみというのが現状だという。
 同署の仲間源栄署長は「オーバーホールを受けていないから危険、使えないということではない。署としては週に一度の定期点検も行っており、はしご車使用に関して問題はない。財政が厳しい中、基準通りに実施できないこともあるが、市民の生活を守ることを最優先に考え、市に予算計上要求をしていきたい」と説明するが、問題があった場合の補償に関しては宙に浮いている。
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マツ枯れの原因究明へ/池田教授 台風の影響示唆


大勢の林業関係者ら参加し話に熱心に耳を傾けた=5日、県宮古支庁

 松くい虫以外とみられる宮古島でのマツ枯れ原因究明に向けた講演会が五日、県宮古支庁で開かれた。講師の池田武文京都府立大学大学院教授は、原因として台風の影響などを示唆した。
 県は今年三月三十日に、宮古島における松くい虫被害の終息を宣言した。しかし、二〇〇三年九月の台風14号以降、松くい虫以外の事象が原因とみられるマツの立ち枯れが多発。今回、県企画部森林資源研究センターと県宮古支庁農林水産課が原因究明と対策に取り組むことになり、手始めの講演会となった。調査研究は約二年間かけて行い、三−四年後から対策に乗り出す。
 森林資源研究センターの平良喜一所長は「沖縄で一属一種のリュウキュウマツを守っていかなければならない」と対策の意義を強調した。


池田武文教授

 講師の池田教授は、日本三景の一つ「天橋立」(京都府宮津湾)の松並木のマツ枯れ対策に取り組んでいる研究者。同所のマツが〇四年に襲来した台風23号から一年後に九十本も枯死したことから、宮古のマツも同様な状況が考えられることを示唆した。天橋立で枯死したマツの約半数は調査の結果、台風23号による根の傷みが原因と分かった。
 同教授はほかに、考えられるマツ枯れの原因として▽松林の植生の変化▽極度の水不足−などを指摘した。
 対策については「一本一本の木の状態を観察して、適切に対応する作業が大切」と話した。
 同会には行政や宮古森林組合の職員らが参加。午後からは現地検討会に臨んだ。
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恩河医師を歓迎/宮古南静園
医師定員6人そろう


内科医長として今月1日付で就任した恩河医師を、入所者全員で歓迎した=5日、宮古南静園

 国立療養所宮古南静園(比嘉賀雄園長、入所者百三人)に内科医長として就任した恩河尚清医師(57)の歓迎式が五日、同園公会堂で行われた。同園の医師定員は六人だが、三年六カ月の間、これまで五人の医師で当直などを担当し治療などに当たってきたという。入所者や関係者は恩河医師の就任を歓迎し喜んだ。
 恩河医師は、今年三月に県立宮古病院を退職し、今月一日付で南静園の内科医長として就任した。
 自治会を代表して宮里光雄会長は「全国的に離島へき地において医師確保が困難な中、定員六人を迎えての勤務態勢が整い非常に喜ばしい。平均年齢七十九・六歳と園内高齢化が進む中、太いパイプを持つ恩河医師の就任でさらなる医療充実に期待できる」とあいさつ。
 恩河医師は「南静園は病室もきれいで、福祉や介護が非常に充実。二十四時間体制でいろいろな対応の取れる状況はかつて見たことがない。宮古病院と専門性をそれぞれ役割分担し、医療の充実や提供システムの構築などを考えていきたい」と意気込んだ。
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沖縄支社長賞に池田理玖さん/郵政公社アイデア貯金箱


日本郵政公社沖縄支社長賞を受賞した池田さんの作品「たのシーサーちょきんばこ」

 日本郵政公社主催の第三十二回「私のアイデア貯金箱」沖縄地方審査会が五日、那覇中央郵便局で行われ、宮古地区から出品された宮古島市立南小学校一年の池田理玖さんの作品が「日本郵政公社沖縄支社長賞」を受賞した。池田さんの作品はきょう六日から那覇中央郵便局二階ギャラリーに展示される。
 審査会では県内から出品された二百点(宮古から十二点出品)の貯金箱を審査。その中で池田さんの作品は、小学一・二年生の部で二点だけ選ばれる沖縄支社長賞を受賞した。
 池田さんの「たのシーサーちょきんばこ」の主な材料は貝殻。工夫した点については「貝殻でシーサーの勇ましさが出るようにした」部分を挙げている。
 池田さんの作品は十二日まで那覇中央郵便局に展示される。時間は午前九時から午後六時まで。
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