200平成18  10 木曜日

予算編成 政策重視へ/宮古島市
「財政課主導型」を撤廃/企画政策部→調整 財政課→精査

 宮古島市(伊志嶺亮市長)は四日までに、二〇〇七年度予算編成方針の骨子をまとめた。これまでの「財政課主導」の予算編成から、総務、企画政策、財政の三部課で編成していく柱を確認。より市長の政策を反映させながら効率的、かつスムーズに予算を編成することが狙い。これまで財政課が行ってきた各課との予算調整作業は企画政策部が担当する見込み。〇六年度は各課の要求額合計が予算額を五十億円も上回った宮古島市。市の幹部は「各課の意識が低い」と指摘し、今回の予算編成が財政面における各部課の意識を高める財政改革の一環であることを強調した。

 予算編成作業は、旧市町村も含めて財政課主導で進められてきた。各課との予算調整も財政課が実施しており、市の幹部によると財政課の「負担が大き過ぎる」というのが実態だ。毎年のように要求額を上積みする「水増し要求」を行う課もあるという。
 このような財政課の負担を軽減することも今回の方針の柱。各課の事業を企画政策部が一括して取りまとめ、初めて財政課と折衝する。同部は各課から上がってくる事業を新市総合計画に照らし、その上で重点施策を中心に優先順位を付けていく方針。より市長の政策を反映する予算編成になる見通し。
 それ以上に効果が期待されるのが、職員の意識改革。市幹部は「今の宮古島市の財政状況を十分に理解していない職員がいる」とし、〇六年度予算編成で見られた予算額とかけ離れた要求額に落胆する。「今回の編成は財政をしっかりと意識させるもの。今の市の厳しさが浸透するし、真剣に受け止める職員が増えてくるはずだ」と期待を込める。
 三百六十億円を超える借金を抱え、毎年の起債額は三十億円を超えないことを目標としている宮古島市。財政の弾力性を示す経常収支比率は〇五年度決算で九九・一%と危機的状況にあり、政策に使える予算はあまりにも少ない。市幹部は「だからこそ選択と集中が大事になる」とし、今回の予算編成の変更が、少ない予算を効率的に使うという行政改革の一環であることも強調した。  (山下誠)
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一部住民、県に審査請求へ/竹原地区土地区画整理事業
「住民負担の公平性」を確認

 竹原地区土地区画整理事業に伴う「竹原地区を考える会」の住民説明会が四日夜、平良の東川根ホールであった。数十人の住民が参加し、同事業で今月中にも指定される仮換地について協議。その結果、同地区区画整理事業による住民負担(土地の提供)などの個別案件に限り県に審査請求を行うことを決めた。今月中には宮古島市を通して請求する方針だ。
 土地を所有者から提供してもらい、道路や公園などを総合的に整備するのが区画整理事業だが、説明会に集まった住民らは負担割合の公平性などについて協議。その結果「市役所は話を聞かない」「住んでいる住民にとって生半可な論議は許すことができない。地域住民の負担をなくし、地域の活性化を図るべきだ」などと声を上げた。
 この件について、考える会の代表は「私たちの意見が取り入れられていない。現段階で審査請求をしなければ、暗黙の了解になるのではという不安がある」とし、仮換地指定の前に審査請求を行う姿勢を示した。「事業全体に反対しているわけではない」とも話した。
 竹原地区土地区画整理事業の区域は東が宮古高校東線、北が県立宮古病院裏側、南が平良中学校北側、西が宮古福祉保健所前通りの内側一帯の二三・五f。事業年度は二〇〇三−一三年度で総事業費は約五十五億円。
 同地区は二〇・九fが一九六六年に都市計画に組み入れられたが、三十六年間にわたって事業着手されなかった。〇二年、内閣府沖縄担当部局が〇三年度予算に新規事業として計上し、旧平良市の都市計画審議会が二・六fを加えた二三・五fを事業区域に決定。〇三年度から調査費が計上されており、当局では新年度の〇六年度中には仮換地指定を行い、着工までこぎ着けたい考えだ。
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塩素イオン濃度/4水源地、依然高止まり
市 「原因分からず、状況見守る」

 平良地区の4水源地(白川田、山川、高野、大野)で塩素イオン濃度が上昇している問題で、イオン濃度が依然高い数値のまま推移していることが、4日までに分かった。宮古島市水道局が実施した最新の調査によると、大野水源では1g当たり142_c、高野が同92_c、山川が同86_c、白川田が同86_cを記録した。同局は「原因は分からない。状況を見守りたい」としている。

 水道水質基準値は同200_c。四水源とも基準値に達してはいないが、上昇が始まる三年前に比べるとそれぞれ2−3倍の数値になっている。
 利用率の高い白川田はわずかに上昇傾向にあり100_cが目前。9月12日には過去最高の同96_cを記録している。
 大野は05年11月に過去最高値の188_cに達してからは減少傾向にあった。06年1−4月は同150_c、同5−8月には同130_cに落ち着いた。しかし、9月12日の調査で、同162_cを記録するなど不安定な状況が続いている。
 一方、高野と山川はわずかであるが減少傾向がみられる。
 また、問題となっている四水源地以外の袖山、西底原、底原、ニャーツ、添道の水源地も1年前と比較してそれぞれ8−12_c上昇するなど、今後の推移に注目が集まる。
 この問題を解決するため宮古島市は、地質学や水質分析・管理の専門家七人で構成する「宮古島市地下水保全対策学術委員会」を立ち上げ原因究明を急いでいる。
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屋内練習場 台風で屋根破損/市民球場
修復の見通し立たず/オリクキャンプに影響?


屋根が破れ穴が空いた状態となっている屋内練習場
=4日、宮古島市民球場内

 宮古島市民球場の屋内練習場の屋根が、先月十六日に襲来した台風13号によって破損し、修復の見通しが立っていない。例年二月にプロ野球オリックス・バファローズの春季キャンプ、その後はアマチュア野球のキャンプが控えており、その準備を前にしての思わぬ災害。管理する市教育委員会市民スポーツ課では「早急な予算措置をお願いしている」として一日も早く補修工事に取り掛かりたい考えだが、受け入れには赤信号がともっている。

 台風13号は九月十六日、宮古島地方を暴風域に巻き込み、農水産物を中心に約一億六千万円の被害となっていた。同練習場は台風の風を受けて屋根の一部がはがれ、穴が空いた状態となっている。同練習場の台風による被害は二〇〇三年九月に甚大な被害をもたらした台風14号以来。スポーツ課によると、修復には一千万円前後掛かるという。同課は財政課に対し、緊急に予算措置を講ずるよう要望した。
 これを受け財政課は、同台風で一部被害があったという市総合体育館の修復費用なども含めて、見積もりを出している段階。財政課によると市有物件は、全国自治協会の災害共済により、修復費用の約半額は補償を受けられる見通しだ。同課は「金額によっては予備費から出せるかもしれないが、臨時議会で補正をお願いするかは今後の調整になる」と説明した。
 スポーツ課ではオリックスの要望を受けて、今年度予算で同練習場を人工芝化する予算六千五百万円を確保していたが、屋根の破損により人工芝敷設工事の見通しも立っていない。また「屋根が壊れたままの状態で突風が吹けば、中から吹き出す風でガラス窓が割れるなどの恐れもある」と頭を抱えている。
 毎年受け入れに尽力している宮古島オリックス協力会(会長・中尾英筰宮古島商工会議所会頭)は「災害によるものではあるが、間に合わないと困る。早急に予算措置をしてもらわないと」と語り、来週にも伊志嶺亮市長に緊急の修復作業を要請する考えだ。
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解体業の男に有罪判決/地裁支部
懲役2年6月執行猶予4年 上野での産廃投棄

 自動車解体に伴う金属や廃プラスチックなど産業廃棄物を不法投棄したとして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反(不法投棄)の罪に問われていた自動車解体業、川田高裕被告(53)=宮古島市上野=の判決公判が四日、那覇地方裁判所平良支部で開かれ、足立勉裁判官は懲役二年六月、執行猶予四年、罰金百万円(求刑懲役二年六月、罰金百万円)を言い渡した。
 判決によると、川田被告は二〇〇六年五月三日から五日ごろまでの間、同市野原の所有地に自動車解体に伴う廃タイヤや廃プラスチックなど約六十五dを土中に投棄した。
 足立裁判官は「保健所職員の再三の注意に従わず、土の中に廃タイヤなどを投棄した。動機に酌量の余地はない自己中心的な犯行である。環境に与えた悪影響も懸念される」と非難した。「捨てた場所が個人所有地内だったこと。事実を認め、残っている廃タイヤを適正に処理し原状回復を確約している」として執行猶予を付けた。
 執行猶予を求めていた被告側は控訴しない方針。
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手話に近づくきっかけを/白澤和子さん市障がい福祉課・手話通訳士
2日付で宮古島市に初配置


宮古島市で初めての手話通訳士となる白澤さん=4日、市障がい福祉課

 「手話を通して、聴覚障害者の生活自立を応援したい」。宮古島市で初めての「手話通訳士」として、二日付で市福祉保健部障がい福祉課に配置された。
 手話通訳士は厚生労働大臣認定の公的資格。全国の有資格者は約千五百人で、このうち県内では九人が活動している。
 東京生まれで、宮古島に移り住む前は神奈川県逗子市の市役所で働いていた。手話との出会いは、聴覚障害者の義兄ががんを患った際、病院側と本人とのコミュニケーションを手伝ったことが始まりだった。義兄が他界した後、同じ障害を持つ義姉との会話を増やしたいと本格的に勉強を開始。一九九三年に資格を取得した。講習会で知り合った聴覚障害者の「聞こえる皆さんは手話をやめようと思えばいつでもやめられるが、私たちは一生手話から離れられない」との言葉が強く印象に残り、その後の人生を手話を通して聴覚障害者と共に歩んでいる。
 障害者自立支援法施行によるコミュニケーション支援事業の実施に伴い、市役所城辺、平良両庁舎内での通訳、相談や手話通訳派遣などの業務に当たるほか、方言や島言葉のニュアンスが分かる地元の人材拡充を目指している。「手話通訳は聴覚障害者の自立支援。例えば、通訳する人がいれば家族に頼らず病院に行けるし、医療説明に納得することで治療への意欲が格段に高まる」。
 しかし、聴覚障害者に手話を押し付けることはない。「人の出会いや社会との触れ合いの中で、『手話っていいな』『手話ができれば便利だろうな』という具合に、手話に近づくきっかけづくりをしたい」。
 「話す手」には、豊かな温もりがある。
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