200平成18  9 金曜日

「小泉政権批判」 めぐり空転/市議会定例会
議事進行完全ストップ/
野党 「地方議会にそぐわない」

 開会中の宮古島市議会(友利恵一議長)九月定例会は七日、文教社会委員会が不採択とした「医療改悪や庶民大増税をやめ、最低保障年金制度の実現を求める」陳情の少数意見をめぐり空転。同日の議事進行は完全にストップした。空転は少数意見を述べた上里樹氏が小泉政権を批判する内容の発言を行ったことが発端。これに野党側が「地方議会にそぐわない発言」と訴え、議事進行のあり方も含めて全員が退席した。正常化に向けた与野党の協議も不発に終わった。この日は議案説明が予定されていたため、各庁舎から課長級職員らが待機していたが出番はなし。議会の空転は、宮古島市の日常業務にも影響を与えた。正常化に向けては不透明な情勢。

 問題の陳情書で少数意見を述べた上里氏は「小泉改革によって貧富の格差と地方の格差、これが今深刻になっている」と主張。意見の冒頭部分だがこの辺りから野党議員が反発し、友利議長に対し休憩を求めた。これに友利議長は三回にわたり上里氏に「簡潔に」などと声を掛けたが上里氏の発言が続いたため野党議員が猛烈に反発。最終的に議場を退席するという事態に発展した。後を追うように「そうぞう」のメンバーも退席、そのまま議会は空転した。
 退席の理由について野党議員団の池間雅昭会長は「小泉政権の批判から始まっており、地方議会にそぐわない。一政党の理論を地方議会で述べている。議長の議事進行にも不手際がある」などとした。上里氏の発言は不穏当発言に当たることも示唆しながら上里氏に謝罪を求めた。
 一方の与党側は上里氏の少数意見には「問題はない」とのスタンスを固持し、上里氏は「不穏当発言があるのなら、その部分の削除を議長に一任する」と「妥協案」を提示したが、謝罪については拒否した。
 結局、与野党の意見は午後四時までまとまらず延会措置となった。その後も友利議長が野党側におわび文書を提出するなどして与野党の協議は続けられたが、正常化に向けては不透明な情勢。きょう八日の本会議を前に最終調整が行われる。
 今回の空転について友利議長は「発言を制止するような議会運営は良くない」と強調。ただ「空転させた責任はあるため謝罪している。空転は市民に対して申し訳ないと思っている」と述べた。
 この日予定されていた重度心身障害者の入院時食費補助廃止案の審議は行われなかった。 (山下誠)

 写真説明・上里氏の少数意見に反発し退席する野党議員ら=7日、宮古島市議会議場
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下水道 西里幹線工事始まる市役所前道路 来年2月まで

 宮古島市下水道課の公共下水道西里汚水幹線工事が七日、始まった。宮古島市役所平良庁舎前の県道243号線(高野西里線)で、推進機を設置する工事を行っている。同幹線は旧宮古郵便局前の交差点から宮古毎日新聞社前までの四百五十一・一b。工事は二〇〇七年二月二十八日まで。同課は「交通量が多い場所だが市民の皆さんに協力をお願いしたい」と呼び掛けた。
 この工事は宮古島市公共下水道整備計画の一環で、下水道事業の中心的な幹線になる。同線に西里汚水幹線を敷設し、都市の健全な発展および公衆衛生の向上、公共用水域ならびに地下水の水質保全を図るために整備する。
 工事は推進工法と呼ばれる工法で行われる。五十b間隔で推進機を設置し、ドリルを使って掘削。地下約十一bに硬質塩化ビニール管を敷設する。
 工事は二工区に分かれ、第一工区が大和電工・マルサンテックJVで工費は八千四十五万七千三百円、第二工区は仲宗根土建・八城建設JVで工費は一億一千七十七万五千円となっている。

 写真説明・公共下水道西里汚水幹線工事が始まった=7日、宮古島市役所平良庁舎前
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市道路建設課/状況に応じ植栽撤去
歩道を拡幅、安全面重視/ジョガーにも利用しやすく

 宮古島市建設部道路建設課は、状況に応じて市道の植栽を無くし、その分、歩道幅員を広げて歩行者の安全に重点を置いた道路行政を進める。道路構造令の変更に伴うもので、ウオーキングやジョギングする人たちからも喜ばれそうだ。

 これまで整備されている一部の道路は、道路構造令で歩道設置の条件が植栽升を設ける場合は、最低一・五b(植栽升を含む)以上という基準にほぼ当てはめて造られている。
 しかし、現在の道路構造令では、植栽升を含むと最低三・五b(升なしで二b)以上と、以前に比べて幅員が広がった。
 同課では、費用対効果を考えて植栽升を撤去、または設計せずに、歩道幅員を広くとった道路整備を目指すとしている。
 整備後は、植栽の管理もなくなることから、予算の抑制にもつながるという。
 これまでは、植栽の管理が不十分だったため、雑草が歩道まで伸び、ジョギングやウオーキングをする人たちから「やむなく車道側を歩くが、危険だ」といった苦情や、「道路沿いには樹木が密集しているのに、わざわざ植栽升を設けて木を植えるのは予算の無駄」などといった指摘があった。
 同課では、これらを解消するため、まずはB−52号線(植物園から西里・保良線までの通り)の整備を行う。
 具体的には、現在ある植栽を撤去した後、植栽升をコンクリートで埋めて歩道幅を広げる。
 また、次年度から整備する予定の「添道1号線」や住宅地域では、最初から植栽升を無くす。
 同課の下里明光課長は、「道路の植栽は景観を良くするためには効果的だが、周囲の状況を考えると必ずしも必要とは言えない」と指摘。「植栽が歩行者をさえぎってしまい、ドライバーの死角に入り、交通事故を招く場合もある」と話した。
 今後は、より安全な道路整備を進めていくためにも、従来までの枠にとらわれず、状況に応じた設計を進めていく方針だ。

 写真説明・植栽升からの雑草が伸び放題となり、歩道が利用できないB−52号線。道路沿いには緑も密集していることから、植栽を撤去し歩道幅員を広げる計画だ
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18日から各地で敬老会

 二〇〇六年度宮古島市敬老会が、十八日から二十二日まで、旧市町村の地区ごとに行われる。対象者は一九三七(昭和十二)年三月三十一日以前に生まれた満七十歳以上の高齢者。敬老祝い金は伊良部地区で支給方法が異なる。問い合わせは同市介護長寿課在宅福祉係(電話77・4908)まで。
 敬老会の日程は、平良地区が十八日午後二時からマティダ市民劇場、城辺地区は二十二日午後三時から城辺農村環境改善センター、伊良部地区(南区)は十八日午前十時から伊良部公民館、同地区(北区)は同日午後二時から同公民館、下地地区は二十一日午後二時から下地農村環境改善センター、上野地区は同日午後二時三十分から上野農村環境改善センターでそれぞれ開催される。
 敬老祝い金は〇六年四月一日以前から同市に住所を有し、九月十五日現在引き続き居住する人が対象。
 今年度で満七十歳以上満九十九歳以下(明治四十年四月一日−昭和十二年三月三十一日生まれ)へ三千円、満百歳以上(明治四十年三月三十一日以前生まれ)へ一万円を支給する。
 支給方法は平良、城辺、下地、上野の四地区が行政連絡員および老人クラブ会長が敬老者宅にて支給する。
 伊良部地区は仲地・伊良部が九月五日に東地区構造改善センター、国仲が六日に女性若者等活動促進施設、長浜・佐和田が七−八日、長浜多目的共同利用施設、池間添・前里添が十一−十二日、前里添多目的共同利用施設で支給される。時間はすべて午後一時三十分から。
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ビデオで祭祀学ぶ/伊良部字佐良浜
ユークイで女性の役割分析

 「佐良浜の祭祀(さいし)を学ぶ集い」(主催・佐良浜の祭祀を学ぶ会)が七日、前里添多目的施設で開かれた。
 沖縄女性史家の奥濱幸子さんによる「島の祭礼と女性の役割−ユークイに見る女性像−」の講演会や宮古テレビ放送部の新里光宏さんが制作した伊良部島などの祭祀の記録映像を上映。祭祀を開催する意味や大切さを訴えた。
 奥濱さんは講演で佐良浜の伝統的祭礼「ユークイ」に見る女性像を分析しながら講義。「クイチャーをする女性たちの輪の空間に神々が引き寄せられ、見えない力・エネルギー循環の起点をつくり出す」と分析した上で、「結果的にシマに活力を与え、幸福な暮らしを導く。女性が祭礼の中心を担い、男性が労働、経済力の中心を担うという社会的な住み分けがなされている」と論じた。
 映像上映会では新里さんがNHK・CATV自主制作番組コンテストで奨励賞を受賞した「帰郷 ミャークヅツに集う人々」など二作を上映。出席者らは薄れ始めている地域の伝統文化である「祭祀」の意味について再認識していた。

 写真説明・会場に詰め掛けた出席者らは「祭祀」の大切さを再認識していた=7日、前里添多目的施設
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海水浴の女性水死/新城海岸
「離岸流」に巻き込まれ?

 六日午後五時五十三分、城辺地区の新城海岸で「海に入ると言っていた女性が所持品を置いたまま見当たらない」と一一九番通報があった。平良海上保安署、消防署、警察署が陸海空から捜索、翌七日午前十一時四十五分に同海岸の北東約五百b、水深十五bの海中に沈んでいる女性を発見。女性は飲食店従業員の佐宗麻里さん(39)=東京都文京区本郷=だった。死因は水死とみられる。今年の水難事故は今回を含め六件発生、四人が死亡と昨年を上回った。
 宮古島署によると佐宗さんは六日午後四時ごろ、シュノーケルなどを持ち「リーフまで泳いでくる」と言い残し、海岸に所持品を残したまま消息が分からなくなっていた。同日は普段より波が荒かったという。
 六日は巡視艇やヘリコプターで捜索したが発見できず、夜間のため捜索を一時中止。翌七日午前九時から約五十人体制で範囲を拡大して捜索を再開していた。
 平良海上保安署では、サンゴ礁の切れ目から沖に流れ出す「リーフカレント」と呼ばれる離岸流の一種に巻き込まれたことが事故の原因とみて詳しく調べている。
 水難事故は昨年、四件発生し三人が死亡。今年はすでに昨年を上回っており、同署では注意を呼び掛けている。

 写真説明・海上保安署、消防署、警察署の署員らが海と空から捜索した=7日、城辺の新城海岸

サンゴ礁の切れ目に注意!/平良海保が呼び掛け 9/6本紙掲載記事より

 「リーフカレント」(サンゴ礁の切れ目からリーフの外へ流れ出す強い流れ)に注意!─。サンゴ礁に囲まれた宮古島を含む県内の海岸で、海水浴客がサンゴ礁の切れ目に発生する急な潮流に巻き込まれ、沖合に流される海難事故が続発しているという。平良海上保安署では「島はサンゴ礁に囲まれている。宮古で事故が発生していないから大丈夫だとは決して思わずに、遊泳時には十分に気を付けてほしい。宮古島ではまだまだ続く海水浴シーズンだけに、遊泳時にはぜひ気を付けたい」と注意を呼び掛けている。
 第十一管区海上保安本部によると、「リーフカレント」と呼ばれるこの現象は、リーフ(サンゴ礁)の切れ目からリーフの外、つまり、沖へと流れ出す強い流れのこと。砂浜や突堤付近で、岸から沖へと強く流れる海水の流れと同じ「離岸流」の一種だ。リーフカレントの場合、海岸を防波堤のように囲み形成されたサンゴ礁付近で起こる。
 同本部が把握しているリーフカレント関連の事案件数は二〇〇一─〇三年の三年間で▽沖縄本島で十七件▽八重山で二件を確認。さらに詳しく原因を究明すると、実際にはもっと件数が上がるとみられている。
 サンゴ礁の内側は、遠浅で波も穏やかなため、遊泳やシュノーケリングに適しているが、満潮から引き潮に変わる際、もしくは波やうねりによりリーフ際で白波が砕け、リーフ内に海水が打ち込んでいる状況のとき、潮位差の影響で海水がサンゴ礁の切れ目から外側へ一気に出ようとするため、リーフカレントが発生しやすくなる。
 潮流の秒速は約一・五―二b。大人でも潮流に逆らって泳ぐことが難しいほどの流れだ。潮流にのまれ沖合に流されたケースでは、二〇〇四年十一月に、石垣島の吉原海岸でシュノーケリングをしていた男性(25)が死亡するなど、事故が相次いでいる。宮古管内での報告は、過去五年間に一度もないというが、同署は「宮古島はサンゴ礁に囲まれた海域なので、起こり得る事態として注意が必要だ」と話す。
 流れに巻き込まれた場合@落ち着いて、流れに逆らわないA岸と平行に泳ぐB約十─二十bで潮流から抜け出せるので、その後は岸に向かって泳ぐ─の三点を守ることで脱出できる。
 平良海上保安署では「リーフに囲まれている海域で起こる現象。泳ぐ前に、海域や海の状況を知ることも大事であり、遊泳の際も十分に気を付けてほしい」と呼び掛ける。
 また、同署ではリーフカレント事故防止のためのビデオ、DVDの無料貸し出しも行っている。問い合わせは同署(電話72・0118)まで。

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