200平成18  9 日曜日

生活保護世帯が増加傾向/平良の高齢者層で顕著
年金で医療・介護費賄えず

 宮古地区の生活保護費受給世帯が増加傾向にある。二〇〇四年度は五百八十二世帯で、五年前の九九年に比べ九十三世帯増。合併前市郡別に見ると、旧町村部の推移がほぼ横ばいなのに対し、旧平良市は毎年増加の傾向。行政担当者は「地方と都市部の相互扶助精神の差では」と指摘。被保護世帯の状況は、少子化で母子世帯の受給層が減少しているのに対し、高齢者は全体の約半数を占めており、さらなる高齢化の進行や不安定な雇用情勢などの影響で今後も受給世帯の増加が予想されている。

 宮古地区の生活保護の動向は、本土復帰時をピークに減少が続き、近年の保護率は年度平均一〇パーミル(‰、一‰は千分の一)台で推移しているが、全国と比較すると依然高い状況となっている。世帯数の増加のほか、〇四年度の人数は九九年度と比べて百十二人増の八百六十三人。保護費支給総額は同比二億百九十七万二千十六円増の八億九千三百八十万八千五百九十八円。平良地区で増加の傾向にある。地方に比べて相互扶助の関係が希薄な都市部での高率が指摘されており、県内全体を見ても、今年三月の保護率速報値で、最高は那覇市の二五・七‰。宮古島市は県内十六地区で六番目に高い一六・二六‰だった。
 受給層は所得機会の少ない高齢者層が社会全体の高齢化に伴い増えており、六十歳以上の受給者は一九八五年に二三・一%、九三年に三五・二%、九八年に四六・三%と増加の一途をたどっている。行政の担当者は「高齢化で医療や介護の費用が増え、年金だけでは維持できないことに加え、長引く不況の影響で就労者層の子どもたちも親の援助に限界があるのでは」と指摘。一方で雇用情勢の低迷で「若年層についても憂慮すべき課題」とし、ケースワーカーらが求職活動や精神的ケアを含めた自立支援に力を入れているという。「生活保護の受給は国民の権利」と強調した上で「若いときから健康意識を高め介護予防などに努めるとともに、産業創出を官民一体となって講じていくことが自立した島づくりにつながるのでは」と話した。
 旧平良市の調査では、受給一年未満の世帯は全体の一五・六%、一年以上五年未満が三三・〇%、五年以上十年未満が一八・六%、十年以上は三二・八%で、受給期間が長期化するほど比率が高くなっている。 (砂川智江)
◆ことば◆
 生活保護 憲法に規定する生存権の理念に基づき、国が生活に困窮する国民に最低限度の生活を保障し、自立を助長する制度。生活、住宅、教育、介護、医療の扶助内容に大別され、困窮の程度に応じて必要な保護が行われる。
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にわか太公望ずらり/池間島/ミジュン釣りで一喜一憂

 宮古島市平良の池間漁港で二日、ミジュン(和名・ミズン)とガチュン(同・メアジ)の混成大群を狙うにわか太公望ら約百人が釣り糸を垂れ、「釣った」「外れた」の一喜一憂に包まれていた。
 仕掛けは、道糸にサビキと呼ばれる針が五個結ばれ、道糸の先は重り。餌は不要。大群に向かって仕掛けを垂らすと、さおを上下に動かし、小さなあたりが来ると、一気に引き揚げる。
 この日の漁港の岸壁では、子どもから大人までのにわか太公望らがずらり。手持ちのさおに、小気味がいい魚の反応が返ってくると、さっと釣り上げた。
 入れ食いが始まると、あちこちで歓喜の声が上がった。買い物袋いっぱい釣り上げた家族もいた。ミジュンとガチュンの全長は一〇a前後。
 池間島に住む四十代の女性三人も大群釣りに挑戦。三人ともガチュンを二匹ずつ仕留めた瞬間「やったー」と喜びを爆発させた。「ミジュンとガチュンは空揚げにすると、おいしいよ」と口をそろえて語った。

 写真説明 上・ミジュンとガチュンの混成大群を狙うにわか太公望ら=2日、平良の池間漁港
 写真説明 左・ミジュン(上)とガチュン
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宮古島市が実施/行革で市民アンケート
「人件費の抑制を」/民間の経営感覚求める声も

 宮古島市(伊志嶺亮市長)が実施した行政改革に関する市民アンケートの結果が、一日までにまとまった。千六百人にアンケート用紙を配布したところ、八百七十七人から回答があり、回収率は五五%。行政改革に対する市民の関心の高さをうかがわせた。行政改革を進めるに当たって取り組むべき課題では「行政組織をスリム化し、人件費を抑制する」や「民間の経営感覚を見習い、経費を節減する」など、市の厳しい財政事情を懸念する声が多数を占めた。市は同アンケートの結果を基に、市総合計画の策定に取り組む方針だ。

 市民アンケートは、広く市民の声を市総合計画に反映させようと実施した。当初、市は三百−五百人の回答を予想していたが、結果として八百人を超える市民が回答。行政改革についての議論が進められているということもあり、多くの市民が行政の改革に関心を示していることが浮き彫りとなった。
 性別では男性が三百九十三人、女性が四百七十六人。地区別に見ると、平良の回答が最も多く六百二十三人で全体の七一%を占めた。次いで伊良部の九十七人で比率は一一・一%。
 アンケートは項目ごとに選択制を採用。新市建設計画や街づくりについてなど、計十項目で市民の声を集めた。
 この中で「行政改革を進めるに当たって、特にどのようなことに取り組むべきだと思うか」(複数回答可)の質問に対しては、行政組織のスリム化と人件費の抑制を求める声が三百人と最多。民間の経営感覚を取り入れるよう主張する市民が二百二十二人で続いた。このほか「市の助成金、補助金の制度を見直す」と回答した市民が百九十一人、「行政がやるべき業務の範囲を見直す」とした市民は百七十人だった。公共施設の運営を「民間や市民団体に委託する」と答えた人は百二十二人。
 アンケートの集計を進めている市企画政策部内では「これほど多くの回答があるとは予想していなかった」と市民の関心の高さを強調した。今回のアンケート十項目の詳細な内容や、同時に集めた自由意見については集計を終えた段階で公表する方針だ。
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病院の採取申請不許可に/水源流域内開発に慎重
市地下水審議会が方針

 宮古島市地下水審議会(会長・中尾英筰宮古島商工会議所会頭)は一日、同市役所平良庁舎で会議を開いた。市内の総合病院での事業用水を利用目的とする地下水採取許可申請(那覇市内の会社から提出)について審議した結果、「(採取する井戸が)白川田水源流域であり、どのような影響があるか分からない。水源流域内の開発は認めない」として不許可とする方針を決めた。今週中にも伊志嶺亮市長に答申する。
 地下水採取の申請は二つで、百bほど掘る新設井戸と既設井戸の利用を求めるもの。ともに毎分二百gをくみ上げ、近くにある総合病院で飲料用水などに利用する予定という。
 既設井戸は一九八八年に竣工されているが、無許可で掘られている。病院がこれまで無許可で取水していた疑いもあり、審議会は宮古島地下水保護管理条例に抵触するとして、取水を止めるよう申し入れる方針だ。
 この問題について同市水道局でも協議され「申請の井戸は無許可であり、現状では認めることはできない」と回答を審議会に提出している。

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友の会を結成/宮古島市総合博物館
会長に仲宗根浩二さん

 宮古島市総合博物館友の会の結成総会が二日午後、同館で開かれた。友の会の会則や二〇〇六年度の事業計画や予算を決めたほか、役員選出で仲宗根浩二さんを初代会長に決めた。友の会は博物館の事業に積極的に参加しながら会員相互の教養を高め、地域文化の向上に寄与していく。
 友の会結成は、昨年十月の宮古五市町村の合併に伴うもの。それまで平良市総合博物館として友の会は存在していたが合併に伴い解散。今回、宮古島市総合博物館として新たに結成した。友の会としての事業は▽講演会および研修会の開催▽機関紙、友の会だよりの発行▽関連団体との交流および情報交換−など。


仲宗根浩二さん

 結成総会で、下地和宏館長は「博物館は市民に支えられて存在する。地域から離れていては存続できない」と強調。「今回の友の会結成で、より市民とともに歩む博物館になれると思う」と友の会結成を喜んだ。
 友の会結成準備委員会の委員長を務め、この日の総会で会長に選出された仲宗根さんは「皆さんとともに、新しい博物館を育てていきたい」と決意を話した。
 〇六年度事業計画には友の会だよりの創刊号と二号、三号の発刊を明記した。また、宮古島各地の石碑を訪ねる計画も盛り込んだ。予算は収入支出ともに四万一千三百三十七円。
 友の会の役員は次の通り。(敬称略)
 【会長】仲宗根浩二【副会長】下地敏夫▽下地和宏【事務局長・会計】喜納泰興【運営委員】安谷屋昭▽真喜屋恒代▽奥浜健▽根間信子▽岡本恵昭▽親泊宗二▽小禄恵良▽下地正子▽武富暁代▽譜久村吉子▽佐渡山安公【監査】与儀隆【顧問】佐渡山正吉

 写真説明・宮古島市総合博物館友の会が結成された=2日、市総合博物館

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受講者が観光地巡り/県民カレッジ
バスガイドが施設紹介

 二〇〇六年度おきなわ県民カレッジ−宮古地区広域学習サービス講座−の第八回講座が二日行われた。「観光ガイド実践講座県民カレッジ美ぎ島宮古めぐり」と題し、受講者らが施設見学や観光地巡りを行った。
 同講座では、八千代バスのバスガイド、与那覇冴子さんが講師を務め、観光バスの車内で島内の観光地などの説明をしながら受講者らを案内。仲宗根豊見親の墓跡や人頭税石などの史跡を訪ねたり、パラダイスプランの雪塩製塩所、地下ダム資料館を見学したほか、池間大橋、来間大橋などで車窓からの景色を楽しんだ。製塩所を初めて訪れたという佐久田ひろみさんは「ギネス認定の塩はどんな所で作られているのだろうと興味があった。思ったより簡素な施設だったのが意外だった」と話していた。
 同講座は次回で全九回の課程を終え、受講者に修了証書が交付される。

 写真説明・製塩所のある狩俣・西の浜を訪れた受講者たち=2日、西の浜

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