200平成18  9 土曜日

生後1年で体重60`に/砂川教授が多良間村に雄ヤギ寄贈
新品種導入で島興しに期待

 【那覇支局】国が多良間村の活性化を目的に進めている一島一物語の「たらまピンダ島興し事業」で、琉球大学教授で農学博士の砂川勝徳さん=城辺出身=が一日、同村の下地昌明村長に雄のヤギ一頭を贈呈した。今回贈呈された雄ヤギはアフリカ在来種で大型のヌビアン種と日本のザーネン種との交配種で、この雄ヤギと多良間村の雌ヤギを交配させ生まれたヤギはこれまでよりも成長が早く体重も増加し、肉質も向上するとして期待されている。
 砂川さんによると現在、多良間村には、明治時代にイギリスから移入され日本のヤギと交配して生まれた日本ザーネン種と小型の沖縄在来種などが飼育されている。
 多良間村で飼育されているヤギは成長しても、四〇`以下の体重だが今回、贈呈された雄ヤギ(ヌビアン種と日本ザーネン種の交配種)との交配で生まれるヤギは一年間で約六〇`にまで成長する。
 成長速度が早く、大型化することから出荷までの期間も短く、さらに肉の量も増えることから、生産農家も短期間の飼育で収入が得られるようになることが期待されている。
 今回贈呈されたヤギは三歳の雄で、体重は九四`(日本ザーネン種五〇・五`)、体長は一〇二・二a(同七四・九a)、体高は九五・八a(同六九・一a)と日本ザーネン種に比べても大型な体形となっている。
 砂川さんは「多良間でヤギ農家を視察した際に飼育されているヤギが小型で三年間の長期飼育をしないと出荷できる体重に達しないことなどが分かった。そこで、成長の早い大型のヤギへ改良すれば約一年間で出荷できる収畜性の高いヤギになるし、私たちが大型のヤギを作出する技術を持っていたのでこの技術を『たらまピンダ島興し事業』成功のために役立ててほしいと思い贈呈した」と述べた。
 贈呈式で、下地村長は「多良間ピンダの出荷を県内はもちろん、県外も視野に入れながら頭数を増やし体格を大きくして、よりおいしいヤギ肉やチーズ、ミルクなど幅広い製品を生産、出荷していきたい」と意気込みを示した。
 また、県宮古支庁の兼城克夫支庁長も「多良間村ではピンダのブランド化を目指しており、今後はヤギの品質問題や増産態勢に地元側が一体となって取り組んでほしい」と期待を寄せた。
 今後、十二月にも中城村で飼育されているヤギ二十二頭が多良間村に移入される予定となっている。
 今回、贈呈された雄ヤギとの交配で生まれたヤギの肉質についても、砂川さんが調査する予定となっている。
 現在、琉大農学部では今回贈呈した雄ヤギと日本ザーネン種との交配で六月に生まれた子ヤギがおり、同時期に生まれたほかの子ヤギに比べても成長が早く、大型化が期待されている。
 そのほか、那覇市内の居酒屋「回」(小禄店)では「たらまピンダ」をメニューに載せて提供しているほか、十月からはかりゆしアーバンリゾート那覇で「たらまピンダ」料理を提供する予定となっている。

 写真説明・日本ザーネン種とヌビアン種の交配で生まれた雄ヤギが下地村長(右)に贈呈された。左は贈呈した農学博士の砂川氏=1日、琉球大学

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宮古で障害者職業訓練/県立浦添職業能力開発校
NPOが初めて委託実施/2人が挑戦、就労促進に期待

 県立浦添職業能力開発校の障害者の就労を目的とした委託訓練が宮古地区で初めて実施され、一日、委託先のNPO法人マーズ(下地克子理事長)で入校式が行われた。訓練生は、精神障害者の根間健さん(49)と友利清光さん(45)の二人。十一月末までの三カ月間、同法人の福祉作業所「くこりもや」で農作業や食品製造などを習得する。来年度からの同事業継続に向けた試金石にも当たるため、二人の就労を実現させ宮古地区全体の障害者就労促進に弾みを付けようと期待されている。

 障害者対象の実践能力習得は、委託先企業の現場作業を通して、就労に必要な知識・技能の習得を図ることが狙い。雇用対策法に基づき、県を通して訓練生の障害者には訓練手当、委託事業所には委託費が支払われる。職業安定所長が訓練の必要性を指示した障害者が訓練生として認められ、訓練中は、県の障害者コーディネーターが相談、支援などの調整役を担う。訓練後の就労については職業安定所が職業相談などのバックアップを行う体制だ。
 入校式で下地理事長は「障害者の皆さんが障害や病気を克服し社会復帰できるよう手助けしたい」とあいさつ。「今回の取り組みを通して、精神障害だけでなくすべての障害者の皆さんの就労機会に門戸が広がるよう努めたい」と話した。
 訓練生の根間さんは「社会の一員として自分の将来に向けて頑張りたい。マンゴーやキビを作っている両親を支え、親が年老いた後は自分が農業を継げるよう力を付けたい」、友利さんは「入退院を繰り返していた時期は働きたくても難しい部分があった。今は年齢的なハードルはあるが、療養も安定しており働きたいという気持ちが強い」とそれぞれ就労への意欲を語った。
 県立浦添職業能力開発校の米山博市主幹は「障害から逃げることはできないので仲良く付き合いながら、これから習得する技能と知識を生かして仕事に頑張ってもらいたい」と激励した。

 写真説明・障害者の就労を目的とした委託訓練の入校式が行われた=1日、NPO法人マーズ福祉作業所「くこりもや」
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「台風14号忘れるな」/防災週間ちなみ回想写真展
宮古島市

 二〇〇六年防災週間にちなみ、宮古島市(伊志嶺亮市長)が先月三十日から、城辺庁舎で「台風s号災害写真展」を開催している。二〇〇三年九月に襲来した台風s号で受けた宮古各地の被害状況の写真約六十点が展示されており、訪れる市民らが「思い出すと怖くなる」などと当時の被害を回想している。同庁舎では四日、市総合防災訓練が実施される。
 写真展は城辺庁舎一階ロビーで開催。展示されている写真はトラックが横転しているものや、中学校体育館の屋根が吹き飛ばされているもの、電信柱が倒壊している様子などさまざま。訪れる市民らは足を止めて写真に見入り、被害の大きさを再認識していた。写真展を見た市民らは「こんなに大きな被害があったんだと思い出した。本当にすごい台風だった」「改めて、あのときの被害を思い出した」などと口々に話していた。
 写真展は今月五日まで開催。四日には市主催の総合防災訓練が予定されており、市の消防団や県宮古支庁、宮古島警察署、宮古福祉保健所など関係機関・団体が参加する。

 写真説明・台風14号の被害を回想する市民ら=1日、宮古島市役所城辺庁舎
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部落内の御嶽(ウタキ)を清掃/下地字川満
100人参加し作業に汗

 下地の川満部落会(久貝正明会長)が一日、部落内にある七カ所の御嶽(ウタキ)を含む各拝所で大掛かりな清掃作業を実施した。総勢約百人が参加し、早朝から雑草や雑木の除去作業で汗を流した。
 この清掃活動は年一度の大掛かりな活動。喜佐間御嶽やウプカー御嶽、目利間御嶽など部落内の比較的大きな御嶽をはじめ、大小さまざまな拝所で清掃活動を行った。
 このうち、喜佐間御嶽は御嶽までの通路(百五十−二百b)も無造作に伸びた雑草や雑木で覆い尽くされていた。参加者は早朝七時から集まり作業を開始。草刈り機やかまなどを手に次々と雑草などを刈り取る作業に汗を流していた。
 久貝会長は「この清掃活動は、一年に一度しかできないので部落の住民が大勢参加している。雨が降っても、台風でもやらなければならない。各御嶽を見て回ったが、どこもきれいになっていたので本当によかった」と話し、併せて参加者の労をねぎらった。

 写真説明・御嶽周辺の雑木や雑草を刈り取る作業に汗を流す住民ら=1日、喜佐間御嶽
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精神科ナイトケア開設/県立宮古病院
社会生活での自立目標に

 県立宮古病院(安谷屋正明院長)は一日、精神科ナイトケアを開設した。地域における在宅支援、自立支援を目標にスタート。従来のデイケアの利用時間を午後七時まで延長し、さまざまな活動を通して利用者を支援していく。同日午前には開設式が行われ、安谷屋院長ら病院関係者や利用者が集まり、支援の充実化を図る開設を祝った。
 宮古病院では、国の精神医療改革ビジョンである「入院生活中心から地域生活中心へ」に沿って二〇〇二年から院内改編の準備を進めてきた。訪問介護やデイケアなどで患者を支援してきたが、支援サービスの充実を目指し、これまで午後四時まで実施していたデイケアの利用時間を延長してナイトケアを導入した。
 利用者の生活相談や援助などを担当する精神保健福祉士の宮国義美さんは「この場所を社会参加への通過点として利用し、健康になって地域に戻ってもらう。自主活動や集団生活を通して人とのコミュニケーションを図り、地域の中の普通の生活者として接するよう、本人を尊重したい」と話した。
 精神科病棟の奥濱杖子看護師長は「社会活動に参加していくために、デイナイトケアを一つのステップとして利用してほしい。病院を退院したから終わりではなく社会生活を迎えるまで私たちのサポートは続いている。地域とも連携を取りながら、自立に向けての支援を厚くして社会につなげていきたい」と述べた。
 利用時間は月、水、木、金曜日の週四日間、午前九時から午後七時まで。スポーツや調理、手芸、書道などの活動を通して、対人関係の改善を図るとともに、自立生活および社会的役割の獲得を支援する。
 利用には医師の処方せんが必要となるが、見学は自由。同病院は「社会生活への一歩として、利用してほしい。気軽に見学にも来てほしい」と呼び掛けた。

 写真説明・多くの関係者、利用者が訪れ、ナイトケア開設を祝った=1日、県立宮古病院デイナイトケア室
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野球部監督と意見交換/「行くぞ甲子園応援団」
交流試合、講演会など実施へ

 「夢実現!行くぞ!甲子園 宮古島応援団」(平良勝之会長)の役員と、宮古地区の中学校、高校の野球部監督らが八月三十日、市内のホテルで会合を開き、生徒の島外流出防止などについて意見を交換し合った。
 甲子園出場に向け、▽八重山のチームとの年二度の交流試合▽県内、本土の実力校の招待試合▽県内の甲子園出場経験者を招いての講演会や討論会▽沖縄本島、本土へのチームの派遣−などを実施し、早期の甲子園出場を目指すとの意思を確認した。
 会合では、現場を預かる監督から、高校進学の状況や高校での野球部の入部状況、チームの強化方針などが報告された。参加者らは、生徒の島外流出を防いで地元校で甲子園を目指すことが、活力のある宮古島づくりにつながる、との認識でまとまった。
 平良会長は会合の意義を強調しながら、「自信と勇気とチャレンジ精神で共に頑張っていきたい」と話していた。
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