200平成18  825 金曜日

国民保護計画でフォーラム/県が主催
住民に理解と協力求める

 県は武力攻撃やテロなどの有事に備える国民保護計画に理解と協力を求めるため二十四日、宮古島市中央公民館でフォーラムを開いた。内閣官房の水野敦志副長官補付参事官補佐と県の新里栄治防災危機管理課長が仕組みの概要を説明。独立総合研究所の青山繁晴社長兼主席研究員が「『住民の安全保障』をみずから担う、その希望について」と題して講演した。同会には約九十人の市民が参加し、話に耳を傾けていた。
 県は国民保護計画を今年三月に策定、同三十一日の閣議決定を経て、今回地区説明会となった。県に次いで、市町村も今年度中に同計画を策定するスケジュールになっている。
 県の保護計画は宮古地区離島の避難拠点を宮古島にすることを明示。避難方法は「島内」「島外」「県外」の三項目で示した。
 島内避難の移動は徒歩を原則とし、老齢人口の多い島では自家用車も含めた必要な措置を講じる。避難場所は、学校や公民館などを想定している。
 島外避難については、宮古の離島であっても、事態によって沖縄本島への直接避難も指示する。
 県外避難は、大規模な上陸侵攻や反復した航空機攻撃など本格的な侵攻事態が発生した場合を想定している。
 保護計画は、有事における運送業者や放送事業者、医療機関など指定地方公共機関の協力も求めている。
 特別講演した青山首席研究員は「沖縄戦は住民を巻き込んだため、悲劇が起きた。先の大戦の反省を踏まえた今度の保護計画はお上の方からでなく、下の方から積み上げる取り組みであり画期的なこと。住民自らが自らの安全を守るという考えを持つことは大切」と強調した。

 写真説明・フォーラムには大勢の住民が参加した=24日、宮古島市中央公民館top.gif (811 バイト)
 

正しい救助法 万一に備え訓練/水難事故防止推進協
ボランティア対象に初/技術高め、二次災害防止

 今月三日に発足した宮古島市水難事故防止推進協議会(会長・伊志嶺亮市長)の主催する初の水難防止訓練が二十四日、新城海岸で行われ、ボランティアらが、市消防の消防士から万一の際の救助法について指導を受けた。市消防署上野出張所の川満秀海所長は「おぼれている人を救助に行って、自分もおぼれてしまう二次災害が怖い。正しい救助法を知り、技術を高めてほしい」と強調。海水浴客に対しては「全県的にシュノーケリング中の事故は増えている」と注意を促した。同協議会では要望に応じて訓練を実施したい考えだ。

 訓練には十二人のボランティアが参加。上野出張所の消防士が指導に当たった。第二救急係長の上原昭宏さん、水難隊長の玉那覇博之さんらが、救助の一連の流れを示した後、参加者が二人一組で実践した。
 上原さんは「おぼれている人は救助者につかみかかろうとするが、助けに行って一緒におぼれてしまうことは避けなければならない」「泳ぎ方は自由だが、おぼれている人からは絶対に目を離さない」などと強調。相手と一定の距離を保つこと、後ろに回り込んでの気道確保の仕方、抱え方などを説明した。ペットボトルや空気を詰めたビニール袋、クーラーボックスなど浮力のあるものは救助に利用できることも付け加えた。
 同海岸ではパーラー「わーら観光」の従業員らがボランティアで安全管理に当たっており、今年に入ってすでにシュノーケリングの事故に遭った二人を救助したという。代表者の新城和人さんは「救助のプロに方法を習っておけば安心。こういう講習があると助かる」と話した。清水知行さん(29)=平良=は、「助ける相手に引きずり込まれないようにするなどの点は、訓練を受けているのと受けていないのとでは全然違う。勉強になった」と感想を語った。
 川満所長は「例えば上野出張所から新城海岸までだと通報を受けてから到着までに十五分から二十分はかかる。その間に迅速に救助し、必要に応じて心肺蘇生などの処置を取ってもらうことが、命を救うことになる」と協力を求めた。
 また、指導した上原さんは「救助者が自分の力を過信しすぎて二次災害が生じることのないよう、泳力・体力を鍛え、資・機材の取り扱い法も確認してほしい」と話していた。

 写真説明・万一に備えて市の消防士から救助法の訓練を受ける参加者ら=24日、新城海岸
top.gif (811 バイト)

バイオ燃料が環境ビジネスに/沖銀経済講演会
富川さん(沖国大教授)可能性を予測

 沖縄銀行(安里昌利頭取)創立五十周年記念事業の一環としての経済講演会が二十四日、宮古島市平良のホテルで開かれた。講師に招かれた沖縄国際大学産業情報学部教授で経済学博士の富川盛武さんが「沖縄経済の行方想定外のインパクト要因と県経済の展望−」と題して講演した。その中で富川さんは成熟した社会ニーズに対応した産業に触れ「沖縄で進められているバイオ燃料による環境ビジネスのポテンシャル(潜在力)は高い」と強調、今後車メーカーがバイオ燃料を使う車開発へ乗り出していく可能性を予測した。会場には、同行の取引会社の代表や利用者多数が出席し、熱心に聞き入っていた。
 富川さんは、二十一世紀沖縄ビジョンのイメージのキーワードとして、世界一を冠した▽健康▽長寿▽安全▽安心▽快適▽▽自然環境▽高い知の集積−を挙げた。知については、大学院大学の研究成果は、沖縄に貢献すべきとの考えを示した。 その上で、富川さんは「このキーワードのニーズについていくのが、自然・文化を引き付けるソフトパワーの発揮である」と重ねて強調した。
 さらに富川さんは「文化、歴史、自然も経済資源。これからの企業は自然・文化に貢献すべき」と述べた。
 講演前に、主催者を代表して同行執行役員で営業統括部長の金城唯士さんがあいさつ。激動の五十年を振り返り「これからも地域とともに歩む、愛される銀行として地域に貢献したい」と述べた。
 同行の本店は一九五六年に創立し、宮古支店は五七年に設立された。

 写真説明 上・関係者ら多数が出席した講演会=24日、ホテルアトールエメラルド宮古島
 写真説明 下・富川盛武さん
top.gif (811 バイト)

「楽しかったね夏休み」 伊良部で授業始まる
2学期制導入で

 二学期制を実施している宮古島市立伊良部小学校、伊良部中学校、佐良浜中学校で二十四日、一学期後半の授業が始まった。このうち、伊良部小学校(国仲富美男校長、児童数百四十六人)では、児童たちが元気いっぱいに登校し、各教室に笑顔が戻った。佐良浜小学校の授業開始は、二十八日に予定。
 伊良部小では、夏休みの宿題を抱えた児童たちが、元気良く登校し、各クラスで約一カ月ぶりに再会した。各教室とも夏休みの思い出話でにぎわった。
 一年一組(担任・木村美幸教諭)では、児童たちが夏休みの作文を披露。友利たくま君は「カマキリをつかまえたのが、楽しかった」、与座みつき君は「(地元の)佐和田の浜で遊んで、楽しかった」と発表した。

 写真説明・元気いっぱいに登校した1年生=24日、伊良部小学校

top.gif (811 バイト)

高齢者サロンが開所/初の男性サロンも誕生
平良地区4カ所

 宮古島市平良地区で新規に開所したサロン四カ所の合同開所式が二十三日、平良老人福祉センターで行われ、新メンバーが集って活動のスタートを祝った。
 開所したのは、西原地区のときわ会(花城愛子代表)とみずほ会(浜川和子代表)、宮原友の会(友利玄勇代表)、平一壮年(平岡秀康代表)の四カ所。平良地区の高齢者サロンは計二十二カ所になった。このうち、平一壮年は初めての男性メンバーのサロンで、今後、男性たちのサロンへの関心の広がりに大きな期待が寄せられた。
 サロンは六十五歳以上の高齢者が対象。各所で月に二回ほど開催し、各種団体との交流会や社会見学などの活動を行っている。問い合わせは、宮古島市社会福祉協議会平良支所(電話72・3193)。
 開所に際し、既存のサロンメンバーを代表して国仲ヒデさん(馬場サロン)は「サロンは、近所同士で気軽に集い、近況報告や各種活動を無理なく楽しむところ。人生はこれからです。安心して気負うことなく続けていこう」と新メンバーらを歓迎した。
 ときわ会の花城代表は「皆さんの知恵を借りて楽しく頑張っていきたい」とあいさつした。
 また、宮古島市福祉保健部介護長寿課の豊見山京子課長は「サロンの数が増えるのは皆さんが良い形で活動している証拠。男性サロンの増加にも期待している」と話した。

 写真説明・開所式で体操を楽しむ平良壮年のメンバーら=23日、平良老人福祉センター
top.gif (811 バイト)

2学期からは新校舎/養護学校
1期工事終了でお披露目会

 県立宮古養護学校(玉元江美子校長)は二十四日、現在進められている校舎増改築の第一期工事終了に当たり「第一期工事のおじさんありがとう&新校舎お披露目会」を開いた。工事関係者らの案内で子どもたちが新教室などを見学。二学期からは新校舎での授業が始まる。
 お披露目会には、第一期工事を手掛けた琉輝建設(小学部棟、プレイルーム棟)、下崎建設(中学部棟)、新幸組(高等部棟)、大成土建(寄宿舎棟)、先嶋建設(特別教室、厨房棟)の各担当者を招待。夏休み中のため約一カ月ぶりの登校となった子どもたちは、待ちに待った新校舎の完成に浮き浮きした表情を見せ、各教室を見学した。新校舎には、日常生活指導を目的に和室やキッチンなどが完備された生活訓練室や保健室などが配置されているほか、車いすの移動に配慮して廊下の幅が広めに取られていたり、教室としても活用できる有効スペースが設けられているなど細部に工夫が施されている。
 玉元校長は「暑い中毎日作業を頑張ってくれた業者の皆さんに感謝しましょう」と子どもたちに呼び掛け。新幸組の砂川満男さんは「子どもたちの喜ぶ顔を見ることができてうれしい」と表情を緩めた。

 写真説明・新しい教室を見学する児童生徒や職員ら=24日、県立宮古養護学校
top.gif (811 バイト)