200平成18  824 木曜日

検討委、年内に設置/小中学校統廃合
市教委 複式学級解消など狙い/学校現場は戸惑い、反発

 宮古島市教育委員会(久貝勝盛教育長)が、宮古地区小中学校の統廃合についての検討委員会を年内に立ち上げる方針を固めた。児童生徒の教育環境の向上を最大目標に、学校の統合による複式学級解消を大きな狙いとする。久貝教育長は「子どもたちの教育を考える上で避けては通れないこと。教育効果を上げるため(検討委を)年内には立ち上げたい」と強調。一方、小規模校の現場からは「地域の中心に学校があり、地域活性化につながっている」、「財政面ではなく教育効果の視点ならば、統廃合はおかしい」と、反発や戸惑いの声が上がっている。

 統廃合検討委の設置に向けて、市教委は統廃合実施校の資料収集を進めているという。長浜幸男教育部長は「小中学校における教育上の問題点、教育の在り方を多角的に考えようということ。地域の声も大切だが保護者の声を聞き、それを反映させていく必要がある」と話した。検討委を構成するメンバーは市教委をはじめ、父母、教諭ら各関係機関・団体の代表が務める見通しだ。
 市教委によると、現在複式学級を実施している学校は小学校が池間、宮島、狩俣、宮原、福嶺、来間の六校。中学校は池間、来間、大神の三校となっている。小学校の場合は二つの学年の児童数が十六人に満たないとき(一、二年生は上限八人)に複式学級となり、中学校の場合の上限は八人だ。市教委学校教育課の島袋正彦課長は「ボーダーラインぎりぎりの状態がしばらく続く」と話し、さらに複式学級が増える可能性も指摘。「複式は子どもにとっても、教員にとっても、負担が大きい」などとデメリットを強調する。
 統廃合計画は検討委設置後に具体化してくるものとみられるが、地域、父母の声を最大限に反映したいとする市教委は、「市の財政上の問題ではなく、児童生徒の教育環境の在り方を多角的に検討していくことが大切。子どもたちにとって、どの方法が良いのかをしっかりと検討していきたい」などとしている。
 この市教委の方針に対し、学校現場からは戸惑いや反発の声が上がっている。各地で長い歴史を持つ学校の廃校は地域住民にとって重大事。ある学校の校長は「子どもの競争心という指摘はあるが、互いに思いやれる子どもが育っており、心の問題などない」と小規模校の良さをあげる。その上で、「学校が核となって地域コミュニティーが形成されており、地域住民が子どもを育てている。行政側はきちんと長期的な展望を持って説明すべき」と話す。
 別の学校の校長は「教育効果を言うのなら、現在は小規模の学級作りが進められており、私たちの学校は理想的。市の財政的な問題でないのなら、統廃合する必要はない」と語気を強め、「学校があり、いろいろな行事があるから地域も活性化している。学校がなくなることは考えられない。大事なのは地域住民の考え方であり、行政はそれを理解、納得させるだけのものを持って方向性を見いだすべき」と語った。 (山下誠、砂川拓也)
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緑の島へ心一つに/美ぎ島宮古グリーンネット
フクギなど350本植樹/板倉の児童たちも参加

 美ぎ島宮古(かぎすまみゃーく)グリーンネット(会長・伊志嶺亮宮古島市長)の第五回活動が二十三日、城辺吉田のほ場整備地区で行われた。城辺でホームステイしている新潟県上越市板倉区の児童や受け入れ家庭の児童、会員ら合わせて約六十人が参加。緑豊かな島づくりを目指し心一つにテリハボク百九本、フクギ二百四十本を植えた。

 開会式で伊志嶺会長は「遠い所からの参加、ありがとう。きょうの植樹を良い思い出にしてください」と板倉の児童らを歓迎した。
 交流団長の関口真由美さん(上越市板倉区の豊原小学校長)は「台風の多い宮古にとって、緑を増やすことは大切。私たちも一生懸命植えたい」とあいさつした。
 植樹した畑地防風林帯は長さ七十二b、幅三b。参加者らは、小さなつるはしを手に、穴を掘り丁寧に植えていた。
 増村友哉君(針小六年)は「初めて見る木を植えるのは新鮮な感じ。大きく育って宮古島を台風から守ってほしい」と話した。
 増村君の受け入れ先の垣花斉志君(城辺小六年)は「宮古島が緑いっぱいの島になるよう願って植えた。家では、友哉君から新潟県の話を聞いたりして楽しい」と期待を込めた。
 ボランティア組織の美ぎ島グリーンネットは二〇〇三年の台風s号の教訓から、災害に強い宮古づくりを目指し〇五年六月に設立。初年度は、四回活動で約六千平方bの防風林帯に五千百六十九本を植えた。会員も徐々に増え、現在は約七百人に達した。
 美ぎ島グリーンネットの活動は林野庁の支援が得られる「山村力誘発モデル事業」の指定を受けており、今回の植樹は同支援を受けた最初の活動となった。

 写真説明・大きく育てと願いを込め植樹する子どもたち=23日、城辺吉田

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解体工事を視察/平一小校舎 進ちょく状況を確認
市議会野党議員団

 市議会野党議員団(池間雅昭会長)は二十三日、改築工事中の宮古島市立平良第一小学校を視察した。宮古島市教育委員会と工事関係者から工事の進ちょく状況について確認。校舎の取り壊しは八月末に終了する予定だが、解体後のがれきなど産業廃棄物の搬出が九月十日まで掛かる見込み。池間会長は「二学期の授業に支障がないようにしてほしい」と工期内の終了を求めた。
 同校の校舎改築工事は二〇〇六年度からの二カ年事業。市の工程表によると現校舎の解体工事は八月三十一日まで。しかし、実施設計をめぐり業者と折り合いが付かず、解体工事の工期内での終了が懸念されていた。
 議員団は「工事は二学期までに終わるのか」「遅れた理由は」と質問。工事関係者は仮校舎の建設などが工期通りに終了するため、授業に支障がないことを強調した。
 また、議員団は産業廃棄物の搬出が児童らの登下校などに影響があるとして重機を増やすことや午後五時以降の搬出を提案し、工期を間に合わせるよう求めた。
 同教育委員会の職員は、遅れの原因となった本体校舎の設計業者について、現在も実施設計に進展がないことを明らかにし「契約不履行になる。それなりの対応をしなければならない」と述べた。議員団からは「毅然とした態度をとるべきだ」との声も上がった。
 〇四年六月にPTAが中心となり、「校舎改築検討委員会」を設置。同委員会では、先進校視察やシンポジウムなどを開催した上で、改築等基本構想を策定。〇五年三月、伊志嶺亮市長に構想を手渡していた。
 同校の校舎は最も古い棟の一階部分が築四十四年を経過。新しい棟でも築二十五年と建物全体で老朽化が進んでいる。

 写真説明・校舎解体を視察する市議会野党議員団=23日、平良第一小学校
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音楽と物語で魅了/上野保育所で読み聞かせ
上原さん親子と兼島さん

 宮古島市内で音楽教室を営む上原留美子さんと娘の愛音ちゃん(東小一年)、兼島美保さんは二十三日、市立上野保育所(砂川隆子所長、七十六人)を訪ね、ピアノ演奏付きの絵本の読み聞かせを行った。園児たちは楽しいお話の世界に目を輝かせて聞き入っていた。
 上原さんと兼島さんは、多くの幼児に音楽に触れる機会をプレゼントしようと、市内の保育施設などをボランティアで訪ねている。この日は、夏休み期間中の愛音ちゃんが絵本「sひきの朝ごはん」を朗読。上原さんと兼島さんが物語に合わせてピアノを演奏し、臨場感を高めた。
 二人は「幼い子どもたちに、すてきな音楽や質の良いお話を贈りたい。上野の子どもたちに喜んでもらえればうれしい」と話した。
 砂川所長は「思い掛けず楽しい時間を頂いて感謝している。子どもたちの情操教育にも力を添えてもらった」と感謝した。
 この日は、読み聞かせのほか、園児らのリクエストに応えて「森のくまさん」や「いぬのおまわりさん」などの童謡も演奏。子どもたちは大きな声で合唱して楽しんだ。

 写真説明・ピアノ演奏付きの読み聞かせをする上原愛音ちゃん(中央)と兼島さん(後方左)、上原留美子さん=23日、宮古島市立上野保育所

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地引き網漁を体験/来間幼・小・中
自然の豊かさを実感

 宮古島市立来間小中学校のPTA(砂川三男会長)は二十三日、来間漁港で漁体験学習を実施した。幼稚園から中学校までの子どもたちが協力して地引き網を引き、大量の魚を捕獲。漁を通して地域の自然の豊かさを実感した。
 この活動は、現在の自然を知り、大切にする心をはぐくむことや、伝統の漁法、歴史など先人の知恵に触れることが目的。
 砂川会長は「網を寄付してくれた校長先生に感謝しながら魚を捕りましょう。残り少ない夏休みを楽しもう」とあいさつした。
 網は満潮時に父母らによって張られた。潮が引いた午後一時ごろに子どもたちが海に入り、網を狭めて魚を網に掛けた。
 ボラやタマンが捕れると子どもたちは大喜び。「やったー」「ほんとに掛かってる」などと歓声を響かせた。
 捕った魚は父母らによって調理され、子どもたちはおいしそうにほお張っていた。

 写真説明・協力して網を引く子どもたち=23日、来間漁港
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読者の声
希望する保育園への入園認められないか


 今年、法人認可保育園へ子どもを入園させたくて入所申請をしました。しかし、そこは定員いっぱいで入れず、担当者からは公立保育所なら入れると言われました。
 親の希望する保育園への入園は認められないのですか。最近では、子どもの数が減って、公立保育所では定員割れが起きていると聞きますが、どのくらい減少したのか教えてください。
 そんな中でも、入所を待つ子どもがいるということですが、それは何人ですか。その理由も教えてください。
 宮古島市は、県内の他市町村と比べ、公立保育所の数が多いといわれます。財政逼迫といわれる中、適正数に改善する計画はありますか。
 また、これは子を持つ親からのお願いですが、働く女性が子育てを負担と感じないような、子育て支援センターや延長保育、一時預かりなどの特別保育を多く取り入れていただきたいと思います。 (平良在、働く母親)

回答
少子化に対応できる改善策見いだします
宮古島市福祉保健部児童家庭課長 平良嘉久


 現在、認可保育所では公立保育所が十二カ所、法人保育所が九カ所あります。法人が四十八人定員オーバーしているのに対し、公立は百三十人定員割れしています。もちろん、親の希望に沿って入所を決めますが、現状をかんがみ、そのような答えになったと思います。詳しい数は図表に示した通りです。入所待機児は十五人おりますが、それは、親の希望する保育所が空かないという理由がほとんどです。
 少子高齢社会が進む中で、これまでのあり方は当然改善されなければならず、いろいろ頭を痛めているところです。また、合併によって大きく変わった旧市町村の子育て支援の実態把握も完全になされておらず、もろもろのことを検討分析して、保育所統廃合の件も含め改善策を見いだしていこうという段階です。
 働く女性から要望の多い子育て支援センターや、延長保育、一時預かりなどの特別保育も、徐々に増やしていく予定です。

このコーナーは、生活の中の疑問符「これおかしいんじゃない」「絶対間違っている」「やはり改善してほしい」など、気になること、苦情を本紙記者が関係各所に意見や改善策を求めるといった、いわば読者の生活苦情処理欄です。気が付いたことがありましたらすぐにお電話下さい。電話は72・9812です。ただし、個人的なものや、一度扱った件などはご遠慮ください。
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