200平成18  823 水曜日

誘殺灯1000基を設置へ/県、アオドウガネ被害対策に本腰
整備予算に1億5500万円

 県はサトウキビの根部を食害しているアオドウガネの成虫を電灯でおびき寄せて駆除する移動式の誘殺灯約千基を宮古地区に設置する。事業費は一億五千五百万円(国庫支出一億二千四百万円、県支出三千百万円)。二〇〇六年度で誘殺灯設備を発注し、〇七年五月ごろまでに宮古島市と多良間村内に設置する。

 宮古地区におけるアオドウガネの幼虫による食害発生ほ場は毎年、広い面積に及び、サトウキビが立ち枯れする被害も出ている。同食害は株不萌芽の原因にもなっている。
 県はこうした課題に対処し、宮古のサトウキビ産業を一層振興するため、国に要請していたところ、今年度で事業化となった。
 移動式誘殺灯は、高さが約一・五bと従来の固定式と比べて低く、容易に持ち運びできるのが特徴。
 固定式の場合は台風で倒れたり、太陽電池や電灯などの部品が吹き飛ばされる被害を受けるが、移動式は台風時の格納が可能になり修繕費が少なくて済むという。加えて、被害の発生密度が高い地域に集中して設置することができ、効率的な利用ができる。
 設置に向けて県は、三十日に関係機関を集めて会議を開き、維持管理体制の整備など、具体的な取り組みを話し合う。 (新城孝夫)

◆ことば◆
 誘殺灯 アオドウガネの成虫を電灯でおびき寄せ、ぶつかって下に落ちた成虫を袋で捕獲する病害虫駆除設備。成虫の活動時期は五月から八月いっぱい。
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漂着物アート展が開幕/市漁協で27日まで
各賞は来場者投票で決定へ

 「第四回漂着物アートコンクール」(主催・海洋調査研究会)が二十二日、平良市漁業協同組合二階で開幕した。ユニークな作品や芸術性の高い作品など三十点余りがずらりと並び、訪れた来場者らは多彩な作品に感心していた。二十七日まで。入場無料。
 同コンクールは宮古の美しい海岸を創出することを基本として、奉仕の精神で海岸清掃を積極的に推進することを目的に開催。今回は、初めて来場者による投票で各賞を決定する。二十六日に大賞、準大賞などが発表される。
 浮き球で作ったカエルと雪だるまはユニークな作品。カエルには「ゴミもちカエル」、雪だるまには「ぼくはとける でも ゴミはとけない」と環境美化の啓発思想をアピール。来場者らは「面白い」と感嘆の声を上げていた。瓶玉や竹で工夫を凝らした花瓶も人気を集めていた。シャコ貝を船体にした船形の電気スタンドに、女性らの視線はくぎ付け。立派な置物としての価値が高いようだ。白いサンゴのかけらで仕上げた電気スタンドは、涼しげなビーチを演出した。

 写真説明・来場者らはユニークな作品に感心していた=22日、平良市漁業協同組合
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一本化、結論持ち越し/知事選で野党人選会議

 【那覇支局】十一月の県知事選に向け、社民党県連、社大党、共産党県委、民主党県連、自由連合沖縄の野党五党と政治団体「そうぞう」とで構成する野党の人選会議(座長・新里米吉社民党県連書記長)が二十一日夜、県議会の護憲ネットワーク会議室で行われた。これまでに絞り込まれた「そうぞう」代表で衆議院議員の下地幹郎氏(45)と元県出納長の山内徳信氏(71)の二人からの候補者一本化協議はこの日も平行線のまま結論は出ず、結局、二十四日に持ち越された。
 今回の会合では、下地氏、山内氏それぞれの支持派が一本化に向けて協議を行ったが、それぞれ譲らず平行線をたどった。
 一本化への糸口の見えない状況の中で「そうぞう」は下地氏の進退を民主党県連代表の喜納昌吉氏に一任することを表明、そのほかの党も二十四日までに示される喜納代表の提案について再度協議することとなった。
 下地、山内の両氏で結論が出せずに、次回二十四日の協議で喜納代表が新たな提案を出すという状況から人選作業は事実上仕切り直しとなり、両氏以外の名前が浮上する可能性が一気に高くなってきた。
 会議を終えた喜納代表は「まずは下地、山内両氏で検討するが、駄目な場合は別の人もあり得る。六者の共闘が実現すれば大きな財産になる。関係者が納得できる提案をしたい」と述べた。
 下地、山内の両氏での協議が長引き、結論が出せなかったことから、今後はこれまでに名前の挙がった参議院議員の糸数慶子氏(58)、宜野湾市長の伊波洋一氏(54)、社大党の喜納昌春氏(59)が候補者として再浮上する可能性が取りざたされている。
 新里座長は今回の方針について「喜納代表の提案を今後、真摯(しんし)に協議したい」と述べ、喜納代表の提案内容を検討していくとの考えを示した。
 与党陣営が同日に選考委で県商工会議所連合会会長の仲井真弘多氏(67)を統一候補とすることを正式に決定し、仲井真氏もほぼ出馬の決意を固めている。
 仲井真氏は、二十五日に与党や経済団体、稲嶺恵一後援会の支持団体で構成する全体会議の席で出馬要請を受諾する見通しとなっている。
 一方で、進展しない野党の人選作業は、これ以上長引くと党間の溝に発展する可能性もあり、二十四日の喜納代表の提案内容とそれに対する協議が注目される。  (垣花尚)

 写真説明・協議は平行線をたどり、結論を24日に持ち越した野党の人選会議=21日、県議会護憲ネットワーク会議室
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疑問・改善点など堂々質問/第1回宮古島市子ども議会
環境問題に質疑集中/未来の都市づくり宣言採択

 第一回宮古島市子ども議会(主催・宮古島市教育委員会)が二十二日、市議会本会議場で開かれた。児童・生徒二十七人が、日ごろ思っていることや感じていることなどについて、堂々と質問した。当局側は、厳しい追及にたじたじの場面もあったが、子どもたちの質問に丁寧に答えていた。議会では「私たちが創る未来の都市(まち)づくり宣言」を全会一致で採択し、閉会した。

 この日の子ども議会では、定数二十七の二十七人が出席。議長選出では無記名投票の結果、浜元功太議員(池間中三年)が二十七票を獲得し、議長に就任した。副議長は、浜元議長の推薦で上里麻菜美議員(狩俣中三年)が選ばれた。
 会期日程は二十二日の一日間と議決。質問答弁は併せて七分以内と決め、通告順に一般質問が行われた。
 答弁で伊志嶺亮市長は、「今、上野地区に資源リサイクルセンターを造っている。牛ふんやバガス、剪定枝葉などを堆肥(たいひ)にする施設で、これに家庭から出る生ごみを混ぜる計画。今年十二月から試験的に約千世帯の生ごみを収集し、堆肥を作るモデル事業を行う予定」と述べ、生ごみ堆肥を活用した花いっぱいの宮古島市づくりへ意欲を示した。玉城巴瑠香(下地中三年)議員の質問に答えたもの。
 花城朱里議員(北中三年)は「北中正門前の排水路は、大雨が降るたびにあふれて道路に流れ、生徒の安全な通学に支障を来している。しかも、車両の往来が激しく、危険。環境整備はできないか」と質問した。
 これに対し下地学助役は、「早期に執行中の東環状線の道路整備事業を進め、安心して通学ができるよう早期に拡幅整備する」と環境整備に万全を期す考えを示した。
 平良奈穂議員(福嶺中二年)は、城辺の吉野海岸のトイレの垂れ流し、地下水を利用したシャワーに農薬が入っている恐れなどの問題を取り上げ、当局の解決策をただした。
 下地助役は「吉野海岸のトイレ、シャワー室については使用禁止している。指定駐車場に完備されたトイレ、シャワーを使用するよう指導している」と説明。「地下水を利用したシャワーへの農薬混入の恐れがある問題については、ゴルフ場管理者、市環境保全課、水道局が連携を図り、汚染がないか調査を進めていきたい」と答えた。
 与那覇愛季議員(佐良浜中三年)は、佐良浜中体育館の雨漏れについての対応策を質問。当局側は「屋根の防水処理工事の準備を現在進めている」と理解を求めた。

 写真説明・活発な一般質問が行われた子ども議会=22日、市議会本会議場
 
未来の都市づくり宣言

 私たちは、お互いを大切にし、心が通える豊かで平和な宮古島市を築き、これからの宮古島市の発展を願い、すべての人が未来の夢と希望をもてる都市(まち)づくりに貢献するために、次のことを採択し、ここ「宮古島市子ども議会」より発信します。
◎私たちができること
 一、私たちは、元気で明るいあいさつを交わし、お互いが思いやりや感謝の気持ちを忘れず、人と人とのつながりを大切にしながら、みんなが安心して暮らせる平和な未来の都市(まち)をつくっていけるよう努力します。
 一、私たちは家族や地域とのつながりを大切にし、お互いが理解し合いながら団結し、地域行事へ積極的に参加しながら地域の文化継承に努めます。
 一、私たちは、地域の豊かな自然や生きものを大切にし、まず、自分たちができる節約やリサイクル運動に心がけ、ボランティア精神で環境美化と自然保護に積極的に取組みます。
◎市民の皆さんへ
 育てよう「心のみやこ」−7つの習慣−を合い言葉に、未来の子どもたちが安心して暮らせる豊かで平和な宮古島市が築けるようみんなで支え合って子どもたちを見守って下さい。
◎終わりに
 昨年度の十月に五市町村が合併し、宮古島市が誕生しました。新市になって人口も約五万五千人となった今、市民が心を一つにすることで、平和で明るい未来の都市(まち)が築けると思います。みんなで協力し合っていきましょう。
 平成十八年八月二十二日 宮古島市子ども議会

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「城辺にようこそ」/新潟・板倉から交流団

 宮古島市城辺地区と縁のある新潟県上越市板倉区の児童交流団(団長・関口真由美豊原小学校長)の児童十二人が二十一日午後、宮古入りし、城辺農村環境改善センターでホームステイを引き受けた十二人とその家族との歓迎会で交流を深めた。双方の児童たちは、初対面で「よろしくお願いします」と固い握手を交わした。きょう二十三日午前十時から、西城小学校体育館で交流会を開く。
 今から百年余前に、旧板倉町出身の中村十作が宮古に来島。宮古の人々が人頭税に苦しむ姿を見て、旧城辺町出身の平良真牛らと人頭税廃止運動へ立ち上がった。一八九三年、中村らは、帝国議会に請願書を要請。一九○三年、約二百六十年続いていた人頭税は廃止された。
 旧板倉町と旧城辺町とは、人頭税廃止にかかわった先人の偉業をたたえ、双方の子どもたちの交流事業を展開した。交流は今年で十三回目。旧板倉町は上越市と合併して今年で二年目。旧城辺町は宮古島市と合併して今年十月で一年目を迎える。
 宮古島市の伊志嶺亮市長と同市教育委員会の久貝勝盛教育長が、中村十作と城辺とのかかわりなどを説明し、歓迎の意を表した。関口校長は子どもたちのホームステイ受け入れに感謝した。

 写真説明・板倉区から訪れた児童たち(左)とームステイ受け入れの児童とその家族が自己紹介などをした=21日、城辺農村環境改善センター

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来年4月に幼稚部開設/宮古養護学校
離島初、3−5歳までの定員5人

 県立宮古養護学校(玉元江美子校長)は二〇〇七年四月から幼稚部を開設する。離島での設置は県内で初めて。現在進められている校舎改築の中で来月にも居室の建築が始まり、来年三月までに完成予定。対象は三歳から五歳までの幼児で定員は五人。県も障害種を超えた学校づくりに積極的で、宮古における特別支援教育センター校として役割充実に弾みがつきそうだ。関係者は「親の選択肢が広がり、精神的負担も軽減されるのでは」と話した。
 幼稚部の設置に向けては、地域ニーズの実態が不明瞭としてこれまで議論が進まなかったが、昨年に保護者らが連名で設置を要請。玉元校長が県に働き掛けるなどして、六月に県の管理規則が改正され、同校校舎改築を契機に設置されることになった。〇五年度は、障害のある五歳未満の幼児十九人のうち、重度障害児は八人。地域の保育所や幼稚園で対応できず、在宅育児を余儀なくされる状況にあるという。
 幼稚部設置の背景には、肢体訓練の場や医療、療育機関といった地域の受け皿の未整備が挙げられる。長期療養児の親の会「たんぽぽの会」前会長で、要請に携わった友利ナナさんは「訓練などのたびに沖縄本島へ出掛けるのは生活面や旅費の負担が重いため、離島に幼稚部ができる意義は大きい。見学や情報交換の場としても活用されることを願う」と話した。
 玉元校長は「重度障害の幼児に教育の機会ができることを喜ばしく思う。地域の保育所、幼稚園での統合保育も大切であり、保護者の皆さんには選択肢の一つとして見てほしい。重度障害の子たちの身辺自立を専門的に支援したい」と話し、将来的には、午後の学童も整備したい考えを示した。
 幼稚部受け入れに向けては、募集や学校説明会などが行われた後、来年二月五、六日に願書受け付け、三月七、八日に実態調査、三月十四日に合格発表の日程となっている。
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