200平成18  715 土曜日

 海ブドウ被害750万円/台風4号で生態に変化
被害さらに拡大の恐れ

 高野海ぶどう生産組合(楚南聡会長)が宮古島市平良の高野漁港の一角で、海水を使って養殖している海ブドウ(正式名・クビレヅタ)の養殖槽が、台風4号による雨で真水に一変し、海ブドウの生態が急に変化。海ブドウの幹から茎が伸びたため商品価値が無くなった。十四日現在の海ブドウ被害(速報)は、総重量で二・五d、金額にして七百五十万円に上った。今後も雨が予想されていることから、被害は拡大しそうだ。楚南会長は「海ブドウは順調に成長していたが…」と言葉少なに語り、がっくりと肩を落とした。
 生産組合は、十二日から台風4号の接近に備え、防風対策を強化していた。
 宮古島地方気象台によると、十二日午後八時の降り始めから、十四日午後三時までの平良の降雨量は一五八_。
 この雨の影響で、海ブドウの養殖槽は真水に変化。海ブドウの幹からいくつも茎が伸び分かれ、商品として値打ちは無くなった。
 楚南会長は「台風被害は初めてなので、組合員の一人ひとりのショックは大きい。母藻から商品化するまでは時間がかかる。行政の支援があれば」と疲れた表情で語った。
 生産組合は、正丸屋(宇座球次代表)、ゆうむつ(前泊裕一代表)、寿シーグレープ(楚南みゆき代表)、長崎シーファーム(長崎輝義代表)、丸裕(根間寛裕代表)、うみんちゅ(仲間勝也代表)の六生産業者で構成。昨年六月から、本格的な養殖海ブドウに着手している。女性のパート採用など雇用拡大に力を入れ、養殖海ブドウの増産態勢に入っていた。(伊良波彌)

 写真説明・海ブドウは幹から茎が伸びたため商品価値が無くなった=14日、平良の高野海ぶどう生産組合
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台風4号被害総額は8500万円/サトウキビで大きな被害

 県宮古支庁(兼城克夫支庁長)は十四日、宮古島地方を約十九時間暴風域に巻き込んだ台風4号の被害状況(速報)をまとめた。被害総額は八千四百八十九万一千円。特にサトウキビの被害が大きく倒状や葉の裂傷などで被害額は七千四百七万五千円に上った。野菜や果樹も被害があった。人的被害はなかった。
 宮古島地方は十三日午前七時ごろ、台風4号の暴風域に入った。暴風警報の解除は十四日午前二時二十三分で宮古島地方は約十九時間にわたって暴風雨にさらされた。最大瞬間風速は十三日午前八時十九分に平良字下里で観測された東の風三五・九b。
 この台風の影響による降り始めからの各地の雨量は▽平良一三六・五_▽城辺一〇五_▽伊良部九二_▽多良間五二_―となっている。
 台風による農作物被害はサトウキビが七千四百七万五千円、野菜が二百九十五万八千円、果樹が六百三十八万八千円。サトウキビは全体的に倒状し、葉の裂傷、一部では折損も見られた。海岸に近いほ場では今後の雨量によって塩害が懸念されるとしている。
 野菜類はスイカやオクラの被害が目立った。路地栽培のパパイアについては七〇%程度の落葉があったが、折損系の被害はなかったとみられる。
 果樹の代表格・マンゴーは七―八割が収穫済みだが、一部で落果や損傷が確認されている。
 台風4号の災害速報第二報について県宮古支庁は「第二報は新たに判明した被害を十八日以降に出す予定」としている。

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 平良―伊良部 船便欠航、食品品薄/台風4号の吹き返しが影響
教諭出勤できず、学校休校

 台風4号の吹き返し風による影響で海上がしけのため、平良―伊良部を結ぶ高速旅客船とフェリーの全便が十四日、欠航した。十三日から二日間の欠航で、伊良部のスーパーやコンビニエンスストアなどではパック入りの牛乳や乳酸飲料の一部が品切れとなった。住民らは「伊良部大橋が架かると、品切れもないのに」と、伊良部大橋の早期完成に期待を寄せていた。
 この日は、宮古本島から伊良部へ通勤する教諭らは、船便の欠航で足止めされた。このため、小学校二校、中学校二校、高校一校の計五校が休校した。天候が回復次第、船便は平常運航を再開する。
 台風一過の十四日、伊良部のスーパーなどでは大勢の買い物客らでにぎわった。特にパック入りの飲み物類は飛ぶように売れた。
 宮古本島からの物流が中断のため、パック入りの牛乳などは補給ができなくなった。各店とも野菜や果実、肉類などの生鮮食料品は十分に対応できたという。

 写真説明・船便が欠航し一部の食品は品切れとなった=14日、伊良部のコンビニエンスストア
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宮古―那覇路線を開設/RAC9月末まで1日1往復

 日本トランスオーシャン航空(JTA)グループの琉球エアーコミューター(RAC、神山正實社長)は十四日、夏休みの繁忙期に合わせて宮古―那覇間を一日一往復する新路線を開設した。九月三十日まで。
 同路線は近年の沖縄観光需要増大を受け、離島観光に欠かせない路線となっていることから、JTAグループはRAC便を増便している。同路線の開設によりRACの運航路数は十三路線となった。使用機材は三十九人乗りのDHC―8ダッシュエイト。宮古発は午前九時三十五分(同十時三十分着)、那覇発が午前八時五十五分(同十時着)となっている。
 出発を前に初便セレモニーが開かれ、搭乗者を代表して宮城県から観光に訪れた阿部あや子さんに花束を贈呈。また、搭乗者全員に記念品が配布された。
 主催者を代表して神山社長は「宮古観光の発展のために貢献したい。安定的な運航に努めたい」とあいさつした。
 初便は宮古発が満席、那覇発が三十人の利用があったという。

 写真説明・関係者が集まり新路線の就航を祝った=14日、宮古空港

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優勝旗を手に凱旋帰島/翔南カッター部が九州制覇
全国大会へ、気合い十分

 第三十三回九州地区水産系高等学校カッター競技大会(主催・九州地区水産高等学校校長会)が十三日、鹿児島県枕崎市で開かれ、翔南高校カッター部が十一年ぶり三度目の優勝を果たした。部員たちは十四日、宮古島に帰島し、関係者らに優勝を報告した。同校は二十六日に愛知県で開催される全国水産・海洋高等学校カッターレース大会に出場する。
 キャプテンの川満吉幸君(三年)は「大会では試合をするたびチームワークが良くなっているのが分かった。全国大会も『気合い』を合言葉に悔いが残らないよう全力を尽くしたい」と抱負を語った。
 顧問の前泊光男教諭は「一戦目を見る限りでは優勝どころか決勝に進むことも難しいと思ったが、一戦一戦課題を克服し、決勝では素晴らしいレースを見せてくれた。全国大会までに部員たちの気持ちを高められるようサポートしたい」と話した。
 同校は九州地区の強豪と互角に渡り合い、6分4秒のタイムで二位の鹿児島水産高校(鹿児島)に二秒差をつけ優勝を飾った。
 競技は艇指揮一人、艇長一人、漕手十二人の計十四人でチームを組み、千bの距離で競われる。
 出場したメンバーは次の通り。(敬称略)
 ▽艇指揮=前里健広(一年)▽艇長=上里貴志(三年)▽漕手=長濱正志、川満吉幸、吉永巧、下地貴之、勝連翔太、柴田優人、川満高樹、真栄平昭仁(以上三年)、来間智成、長間貴久(以上二年)、濱川光、國吉寿、玉川勝(以上一年)

 写真説明・九州地区水産系高等学校カッター競技大会で優勝した翔南高校カッター部員たち=14日、宮古空港
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宮古で移動館開催/美ら海水族館
あす16日から、夏休み企画

 国頭郡本部町の海洋博覧会記念公園内にある沖縄美ら海水族館(内田詮三館長)は十六日、荷川取漁港内ステージ前広場で「夏季特別企画『美ら海・移動水族館in宮古島』」を開催する。
 同移動水族館には、ネムリブカ(メジロザメ科)やミヤコテングハギ(ニザダイ科)など十八種百五十点の魚を活魚車に展示。ヒトデやナマコ、サメのあごの標本や実際に使用されたイルカの人工尾ひれなどは実際に触れることもできる。開館は午前十時から午後三時まで。入場料は無料。
 県宮古支庁で十四日、会見を開いた同水族館の仲松由美子技師は「水族館になかなか来られない人に、沖縄の海をもっと知ってもらいたい」と多くの来場を呼び掛けている。
 同移動水族館を宮古島で設置するのは初めての試み。十七―十九日までの三日間は、各医療施設などで入院者などを対象とした移動水族館を設営する予定。

 写真説明・記者会見をした(左から)県宮古支庁農林水産整備課の本永文彦さん、美ら海水族館の仲松技師、県宮古支庁総務観光振興課の川満勝也さん=14日、県宮古支庁

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