200平成18  711 火曜日

新ごみ処理施設の建設受け入れ拒否
川満部落・臨時総会開き投票で決定
宮古島市、新たな候補地選定へ

 宮古島市がリーディングプロジェクトに掲げる新ごみ処理施設建設の候補地の一つとなっていた下地地区川満部落の同部落会(久貝正明会長)は九日、臨時総会を開き、同施設の是非について無記名投票により採決した結果、反対が大幅に賛成を上回った。久貝会長は「住民からは不安の声が多かった。対立が深まりそうな感じだったので、早めに決めた方が(賛成・反対の)互いにとって良いのではという考えに達した」と述べた。同部落の受け入れ反対の決定により市当局は新たな候補地を選定する必要に迫られる。
 市当局は今月二日、住民に対する説明会を開催。今回の臨時総会はこれを受けて住民が議論する場として行われた。
 この中では、ごみ処理施設の先進地視察を行った会員からの状況説明があった後、賛成、反対の双方が意見を述べた。意見交換を重ねるうちに、早く採決して結論を出そうという意見が高まった。このため投票で是非を問うこととなり、反対多数で同部落として新ごみ処理施設は受け入れないことを決定した。
 結果について久貝会長は「現在、川満部落には(一般廃棄物の)最終処分場もあり、川満にごみ関係の施設が集中することに対し不安を感じる人が多かった」と説明した。
 新ごみ処理施設建設をめぐっては今年三月の市議会定例会で、伊志嶺亮市長が「川満部落を候補地として選定し、住民の理解を得られるよう努力したい」などと答弁したことに対し、住民から反発の声が挙がり、同月二十七日に住民説明会が開かれた。伊志嶺市長や市環境施設整備局職員が「あくまでも候補地の一つで、決定ではない」と理解を求めたが、物別れに終わった。
 この後行われた四月二日の部落定期総会でも、市当局から同施設建設に関する計画概要の説明などがあったが、一部住民が退席するなど議論は深まらず、賛否については持ち越されていた。
                                       (砂川拓也)

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キビ支援の意見書を可決/経営安定対策など政府に要請へ
県議会6月定例会

 【那覇支局】開会中の県議会(仲里利信議長)六月定例会は十日、本会議が行われ、宮古地区選出の砂川佳一氏ら十二人の県議から提案された「さとうきび及び甘藷糖の政策支援並びにさとうきび生産振興対策等に関する意見書」を全会一致で可決した。また、「談合の防止及び県内建設業への対応に関する要請決議」も提案され、共産党を除く賛成多数で可決された。
 サトウキに関する意見書では、生産者を取り巻く厳しい環境を指摘した上で、「サトウキビ政策支援の導入では、生産者および甘藷糖企業が意欲を持って生産に取り組み、経営安定が図られるような特段の措置を講じられるよう強く要請する」とし、十一項目を求めている。
 具体的な要求内容としては▽新たな経営安定対策の導入については生産農家が安心して取り組めるような仕組みにする▽経営安定対策費の支払い時期は現行通りの支払いができるようにする―などとなっている。
 同意見書可決に伴う要請は、県議会代表団(五人)が十二日に上京し、十三日には財務大臣、農林水産大臣、沖縄及び北方対策担当大臣に対し要請行動を展開する。
 そのほか、稲嶺恵一知事あての談合要請決議では、「公正取引委員会への課徴金の納付に加え、県が予定している損害賠償金の請求がなされると、県経済に与える影響も強く懸念される」として、最大限の軽減措置が求められた。
 損害賠償金の請求については▽違約金条項が記載された年度からの請求として、法令等の範囲内で最大限の軽減措置を講ずる▽損害賠償金の納付については、一定程度の猶予期間をおいた分納方式とするなど緩和措置を講ずる▽入札制度の改善や透明性の確保に努め、業界への指導・監督を徹底し、談合の土壌を排除して公共工事に対する県民の信頼回復に努める―の三項目を求めている。
 決議に対しては、共産党を除く賛成多数で可決となった。
      (垣花尚)

 写真説明・意見書を読み上げる砂川佳一氏=10日、県議会

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 市有地無償提供も/下地代議士との面談で市長
宮古病院新築移転

 懸案とされる県立宮古病院の新築移転問題で伊志嶺亮市長は十日、宮古出身の衆院議員・下地幹郎氏と面談し「土地は市が提供しても良い」と述べ、市有地提供の意志を表明した。提供方法については本紙取材に対し「無償」を強調、県の事業に市の財産を提供することにも抵抗がない姿勢を示した。県立宮古病院の早期着工に向けた市有地の提供については市議会の一部与党や「そうぞう」も理解を示している。
 伊志嶺市長と下地氏の面談は同日午後一時十五分から市役所で行われた。面談の席には市議会の一部与党をはじめ「そうぞう」のメンバー計九人と、前県議の坂井民二氏も同席した。
 下地氏は先月二十日に県立宮古病院を視察。現状については「建物全体が劣化している。コンクリートも腐食しており、ここはあまりにもひどい環境だ」と強い危機感を表明している。
 この視察結果を踏まえて伊志嶺市長に市としての積極行動を要望。沖縄振興策の期限が二〇一二年で切れることを懸念し「沖縄振興策が終われば、高率補助がなくなる。そうなると県としても大型の公共事業はやりにくくなる。県の対応を待つのではなく、こちらが急いで動くべきだ」とし行政、議会ともに県や国に積極要請するよう求めた。
 これに伊志嶺市長は「県と話しているが、県はお金の問題を言う。それなら土地は市がどこという場所を決めて提供しても良い」などと述べた。さらに「この宮古病院は絶対になくてはならない病院。そういう方向で用地は責任を持つから早くやってくれと言っていきたい」とも話した。
 面談後、報道陣の質問に応じた下地氏は「宮古病院は今やることにメリットがある」とし、沖縄振興策の期限が切れて財政面でデメリットを被るのは県になることを強調した。
 また、医療の安定、安心が観光振興面で好影響を及ぼすことにも言及。「医療の安心がないところは観光も発展してこない」と述べた。伊志嶺市長が建設用地として、市有地を提供する意志を表明したことについては「選択は良いと思う」とした。

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火災当時の窮状訴え/原告8人に出張尋問
西原産廃訴訟・那覇地裁平良支部

 二〇〇一年十一月の宮古島市西原の産業廃棄物最終処分場火災で健康被害などを受けたとして、大浦地区の住民九十二人が処理業者と監督責任を持つ県を相手取り、約六千万円の損害賠償を求めている訴訟の原告への出張尋問が十日午後、那覇地方裁判所平良支部で開かれた。この日は原告八人が法廷内で火災当時の窮状を訴え。処理業者と県の責任についても裁判官に理解を求めた。次回は十月二十五日に那覇地裁で最終弁論、結審がある。
 原告への尋問は午前十時から午後五時ごろまで非公開で続いた。同五時すぎに市内のレストランで記者会見が開かれ、原告代理人の梶山正三弁護士や尋問に立った原告一人ひとりが法廷内での証言内容や感想を報告した。
 梶山弁護士は「きょうの尋問では火災直後の生々しい状況を報告したため、裁判所も印象を強く持ったと思う」と強調。被告については「原告の被害を否定しようとしているが被害の本質は変わらない。生の声を法廷内で述べることができて良かった」とした。最終弁論に向けては、「県に責任をきちんと認めさせることが大きなところだ」などと強調した。
 尋問に立った原告も感想などを報告。下地キヨさんは「自分の思いを伝えることができとてもうれしく思っている。あのような火災が二度と起きないよう行政の方々がしっかりと指導してほしい」とした。下地トヨさんは「(火災の影響で)苦しみ、マスクをして農作業した記憶は一生忘れることができない」などと話し、そんな思いを法廷内で訴えたことに満足している様子だった。根間貞勝さんは「(被告代理人)は私たちの記憶のあやふやなところを突いて『勘違いしているのではないか』と聞いていた」などと尋問の様子を報告した。
 記者会見後は他の原告や関係者に対する報告会が開かれ、活発な意見交換が行われていた。

 写真説明・証人尋問の内容や感想を報告する原告ら=10日、レストランクール
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四季折々の花で出迎え/17団体が花壇に花咲かせる
宮古空港美化委員会が発足

 日本一美しい空港を目指せ―。宮古空港に入居する事業所などでつくる宮古空港美化委員会(会長・久貝元男宮古空港管理事務所長)がこのほど、空港管理事務所の呼び掛けで発足した。十日、委員会の参加団体が集い発足をPR。空港駐車場を囲む二十四の花壇で、十七の参加団体が美化活動に当たる。
 同委員会は、空港の美化を図ることで宮古島のイメージアップに寄与するのが目的。久貝会長は「年間約百十万人にもなる利用客を、空港をきれいにして迎えたい。これまで花壇がほったらかしの状態だったが、(参加団体の)皆さんの協力を得て、夏に向けてイメージアップにつなげていきたい」と述べた。
 このうち日本トランスオーシャン航空(JTA)の真栄田久宮古支社長は「空港には多くのお客様がいらっしゃる。四季折々の花を植えて、温かく迎えたい」と意気込みを示した。
 宮古ルナ・ビルメンテナンスは海浜で集めた流木も使って花壇を作った。砂川恵俊代表は「いろいろ工夫を凝らしながら、良い花壇にしていきたい」と話していた。
 参加団体は次の通り。
 ▽CAB▽宮古ルナ・ビルメンテナンス▽大和電工▽おみやげ山野美▽レストランのむら▽宮古空港ターミナル▽エアー宮古▽沖縄ゼネラルサービス▽JTAサザンスカイサービス▽日本トランスオーシャン航空▽りゅうせきネットワーク▽宮古空港管理事務所▽宮古観光協会▽パラダイスプラン▽宮古ビル管理▽大栄空輸▽宮古島市消防署空港出張所

 写真説明・構内の美化活動に意欲を見せる宮古空港美化委員会の参加者ら=10日、宮古空港
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伝統芸能を伸び伸び披露/へき地教育交流学習スタート
平良中と小浜中

 宮古島市立平良中学校(平良正校長)は十日、へき地教育交流学習のため同校を訪れた竹富町立小浜中学
校(金城昇校長)の生徒の歓迎式を行った。小浜中の生徒たちは三日間の日程で来島し、平良中の生徒と一緒
に授業を受けたり、観光なども行う。歓迎会では小浜中の生徒たちが一人ひとり自己紹介をした後、伝統芸能など
を披露した。
 交流学習は、へき地児童・生徒が規模の大きい学校に出向き、相手校の児童・生徒との交流活動により相互理
解を深め、社会性の向上を図ることが狙い。小浜中は、小浜島にある全校生徒数十一人の小規模校。
 小浜中の生徒たちが入場すると、平良中の生徒代表で浜川和音さん(三年)が「私たちも小浜島のことをいろいろ
知りたいので、お互いに学び合えたらうれしい」とあいさつ。野球部員らが応援の踊りで歓迎すると、小浜島の生徒や
教諭らは笑顔で拍手を送っていた。
 小浜中の生徒たちは小浜島の伝統芸能である「口説」を三線と踊りで披露。平良中の生徒たちは初めて見る小
浜島の踊りを興味深げに見入っていた。
 小浜中の湯浅大地君(三年)は「体育館に入ったとき、たくさん生徒がいて驚いた。大人数の中で授業を受けるこ
とが楽しみ」と笑顔で話した。
 平良中の宮里愛里さん(一年)は「小浜島のことを知らないのでいろいろ教えてもらいたい。みんなとても面白そうだ
ったので仲良くなりたい」と交流を楽しみにしていた。
 小浜中の照屋誠教頭は「集団生活の中で生活・学習することは自分の持っている力を見いだせる良い機会。人
間関係の難しさなどを知り、社会性を身に付けてほしい」と話した。
 同交流学習は、みずほ教育福祉財団(杉田力之理事長)による二〇〇六年度へき地教育交流学習研究助成
金の支援により実施されている。

 写真説明・小浜島の伝統芸能である「口説」を披露する小浜中の生徒たち=10日、平良中学校

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