200平成18  7 火曜日

新たな創作活動に意欲/第3回エッセー表彰式・祝賀会
宮古ペンクラブ 宮古毎日新聞社

 宮古ペンクラブ、宮古毎日新聞社共催の第三回エッセー賞の表彰式ならびに受賞祝賀会が二日夕、市内のホテルで開催された。受賞者やその家族、文芸関係者ら多数が集い、十三人の受賞を祝った。一般の部で最優秀賞に輝いた平良加代子さんは「受賞をこれからの励みにしていきたい」と喜びを見せた。宮古ペンクラブの松原清吉会長(宮古毎日新聞社編集局顧問)は「日々の暮らしが言葉によって成り立っていることを考えれば表現活動はとても大事なこと。受賞した皆さん、これで終わりとすることなくこれからも表現してほしい」と話した。受賞者は今回の表彰式を機に、宮古における文芸の発展に向けてさらなる意気込みを新たにしていた。
 表彰式は午後六時から開かれた。はじめに宮古ペンクラブの松原会長があいさつし「地元や郷友の応募が多い中、高校生の応募が非常に多く心強く感じた。地域の文化活動に寄与したい思いで始めたエッセー賞が次第に盛況している感じを受ける。皆さんが考え、蓄えている知識をこれからも表現し続けてほしい」と、受賞者を激励した。
 この後、受賞者一人ひとりに賞詞と副賞が授与。受賞者を代表してあいさつした平良さんは「以前から読んだり書いたりすることが好きでした。この受賞をこれからの励みにしていきたいと思う」と喜びを語った。
 中・高校生の部で最優秀賞に輝いた古波蔵倫さん(伊良部中二年)は「エッセーが受賞したと聞き、驚きと同時にうれしさがこみ上げてきた。これからも自分の身近な事から興味・感心を持ち、それを自分の意見として文章にできるように練習していきたい」と笑みをこぼした。
 賞詞授与後に審査委員の仲地清成さんが講評を行い、「取り上げられているテーマは多岐にわたるが、いずれも深い郷土愛や真剣な生き方に裏打ちされた作品で個性豊かに巧みに表現されている」と入賞者の作品全体を高く評価。課題としては「主張が効果的な表現を伴っていないのもあった。表現の方法も必要。何らかの感動を伴い、もう一度読んでみたいと思わせる表現上の工夫や、強く訴えるものを持って表現してほしい」と述べた。
 表彰式後には受賞祝賀会も開かれ、宮古における文芸の発展を祈願。歌や演奏など余興も行われ、十三人の受賞を盛大に祝った。
(具志堅千恵子)
 第三回エッセー賞の入賞者と作品は次の通り。(敬称略)
 【一般の部】▽最優秀賞=平良加代子(伊良部字国仲)「島づくりと人づくり」▽優秀賞=小川尚子(平良字東仲宗根)「旅立ち、そしてコーランの国へ」、国仲洋子(西原町字翁長)「宮古島からのメッセージ」▽佳作=中野隆作(城辺字友利)「ふるさとのアダンの増殖を」、平良テル子(浦添市前田)「ふるさとを想う」
 【中・高校生の部】▽最優秀賞=古波蔵倫(伊良部中二年)「当たり前のことが」、真壁孝江(宮古高校一年)「今を生きる」▽優秀賞=伊志嶺龍麻(佐良浜中二年)「心を贈る」、謝敷富子(宮古高校二年)「私の身近なコミュニケーション」▽佳作=平良夏希(伊良部中二年)「花を植えることで」、仲宗根ひかる(同三年)「一歩一歩」、安良城翠(宮古高校一年)「ファミリー」、下地塁唯(同二年)「生きる勇気」

 写真説明(上)・第3回エッセー賞で受賞した皆さん=2日、ホテル共和
 写真説明(下)・13人の受賞を祝おうと大勢の関係者が詰め掛けた=2日、ホテル共和
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健康調査・対策委を設置/多良間村期限切れワクチン接種
チェック体制強化を協議

 【多良間】多良間村に住む乳幼児二人に、有効期限の切れたDPTワクチンが誤って接種された問題で、多良間村(下地昌明村長)は二日、同村役場で予防接種健康被害調査および感染症予防対策委員会を設置した。防止策としてワクチンの製品番号のチェック強化と徹底に取り組むことを協議。三日現在のところ、予防接種を受けた乳幼児らでワクチンによる重篤な副反応は報告されていないという。また、委員長には宮古福祉保健所の上原真理子所長が選ばれた。
 席上、下地村長は「皆さんに大変な迷惑をかけた。防止対策を踏まえて、今後、二度とこのようなことが起こらないようにチェック体制を強化していきたい」と話した。
 上原委員長は「どこでも起こりうるヒューマンエラーだが、関係機関の危機管理として、目配りや対応が非常に重要。これからは子どもたちに接種したワクチンのロット番号が一人ひとり分かるようにすることも必要なこと」注意を喚起した。
 委員会では、期限切れのワクチンが発注から使用されるまでの経過を説明。再発防止のため村独自の作業や処理の手順を図式化したものを作成。@入荷簿を作成し、出荷元からワクチンが到着次第、診療所に届ける前にロット番号および有効期限の記録。作業はその際、担当事務職員と看護師または保健師の立ち会いの下で行われるA問診時の確認は診療所の医師・看護師・村保健師または看護師でそれぞれチェック。委託契約内容に関しては、宮古病院と改めて協議するBどの児にどのパイアル(アンプル)が使用されたかが確認できるように、あらかじめ注射器にロット番号のシールを張り付けておく―の実施を確認した。
 接種後、これまで村では対象児に対し個別訪問など健康被害の有無の調査を実施。風邪や熱などの症状はあったものの、予防接種の因果関係と思われる病気などは無く、重篤な副反応は出ていないものと見ている。
 委員は次の通り。(敬称略)
 ▽委員長=上原真理子(宮古福祉保健所長)▽委員=福地聡(宮古病院多良間診療所長)、比嘉冨二(宮古地区医師会医師)、松野朝之(県知事推薦専門医師)、伊良皆光夫(多良間村助役)

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 マグロ解体にくぎ付け/池間で「海の体験学習会」

 宮古島市立池間幼・小・中学校合同の海の体験学習会が二日、百人余りが参加して池間島「カギンミ」で行われた。子どもたちは漁の体験やキハダマグロの解体ショーの見学などを通して、自然の素晴らしさを知るとともに地域の人々との触れ合いを楽しんだ。
 学習会では漁師らが釣ってきたグルクンなど約七十`分の魚が用意され、子どもたちは説明を受けながら、魚の解体に挑戦。「これおつゆにしたらおいしいね」などと話しながら、怖がる表情一つ見せず、テキパキと魚をさばいていた。
 また漁師による約十五`のキハダマグロの解体ショーも行われ、子どもたちは豪快な包丁さばきに目を丸くして見入っていた。さばかれた魚は保護者らがみそ汁や網焼き、空揚げなどにして振る舞った。
 小・中学生は皆で協力しながら刺し網漁にも挑戦。アイゴやカワハギなどを引き揚げ、浜で待っていた園児らは「お魚いっぱいだ!」と大喜びしていた。

 写真説明・大きなキハダマグロの解体を興味津々に見詰める子どもたち=2日、池間島「カギンミ」
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西城小が県制覇/交通安全子供自転車県大会

 第三十回交通安全子供自転車沖縄県大会(主催・県交通安全協会連合会)が二日、県警本部運転免許試験場で行われ、宮古地区代表で出場した西城小学校が団体の部で優勝。個人の部でも中上ひかるさん(六年)が優勝した。宮古地区は昨年の砂川小学校に続き、団体の部二連覇の快挙。西城小は、八月一―二日に東京ビックサイトで開催される全国大会に県代表で出場する。
 大会には六十人十五チームが出場し、団体の部はチーム四人の学科と実技の合計点数で競われる。一人千百点の点数を持ち、ミスなどで減点されていく。学科では交通規則や道路標識の筆記テスト、実技では「ジグザグ進行」や「右折・左折の転回操縦」などが行われた。西城中は、準優勝の波照間小学校(八重山地区)と十五点差という小差の勝利。個人の部で優勝した中上さんは、五点減点のみという好成績を収めた。
 選手たちは二日夕、宮古島に帰島。宮古空港では父母たちが「優勝おめでとう」の横断幕を掲げて拍手で出迎えた。選手たちは、大きな優勝トロフィーと立派な額縁に収められた賞状を手に、満面の笑みで父母や学校関係者らに優勝の報告を行った。
 大会で選手宣誓を務めたキャプテンの伊良部菜央さん(六年)は「緊張したが、みんながミスを少なくしようと努力したから優勝できた。苦手な個所を克服し、全国大会は満点でクリアしたい」と意気込みを語った。
 福原安宏監督は「実力では上位が狙えると思っていたが、優勝できたのは子どもたちの頑張りそのもの。全国大会ではパーフェクト賞を目指し、気持ちの面の指導も行っていきたい」と選手たちをたたえた。
 選手たちは三日午後、宮古島警察署を訪れ、岸本亮署長に優勝と全国大会出場の報告。岸本署長は「よく頑張った」と選手たちを褒め上げた。
 選手は次の皆さん。(敬称略)
 ▽伊良部菜央▽洲鎌幸子▽中上ひかる▽宮国美咲央▽与那覇晴乃(以上、六年)

 写真説明・個人の部で優勝した中上ひかるさん(左から2人目)と団体の部で優勝した西城小のメンバー=2日、宮古空港
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南静園・将来構想検討委発足へ
宮古島市 準備事務局を設置

宮古南静園将来構想検討委員会の発足に向けた準備事務局がこのほど、宮古島市企画政策部地域振興課(長濱博文課長)に設置された。早ければ来月中にも委員を人選。入園者の生涯にわたる在園保障と、地域施設としての有効活用に向け、具体的な方向性を検討する。
 検討委員会の発足については、先月初旬に行われた市と同園自治会との話し合いの中で、将来的な南静園の在り方は地域、市民が大きくかかわる問題であるとして、市の主導で進めることを確認したという。
 事務局の今後の体制について長濱課長は「スケジュールはすべてこれから調整していく。これまで、南静園の将来構想問題に携わってきた方々の意見を仰ぎながら組織づくりをしていきたい」と述べた。
 南静園入園者自治会の宮里光雄会長は、事務局設置を「大きな前進」と評価し、将来構想については、「もはや論議や模索の時期は過ぎた。より具体的に内容を詰めていくために、地域へ積極的に働き掛け、南静園が地域にできること、地域が南静園に求めるものを整理していければ」と話した。
 南静園の将来構想問題は、入園者の高齢化が加速する中、入園者、一般市民の双方で利活用する施設としての具現化が急がれており、これまでに、伊志嶺亮市長、宮里会長とも、地域開放型の医療機関、長期保養施設として活用していく方針を示している。全療協としても市民開放型の医療・介護施設としての構想を打ち出しているが、国は法的な制約を理由に難色を示しており、今後の早急な打開策が求められている。
 同園の将来構想については、過去に行政、医療機関など関係機関で構成する「将来構想準備委員会」が設置されていたが、本委員会は組織されず、計画的かつ具体的なビジョンを策定する段階までは至らなかった。

ハンセン病の歴史知って/市長らに「証言集資料編」贈呈
 国立療養所宮古南静園入園者自治会の宮里光雄会長は三日、宮古島市役所平良庁舎に伊志嶺亮市長、久貝勝盛教育長を訪ね、県の助成事業でこのほど発刊した「沖縄県ハンセン病証言集・資料編」四十三冊を贈呈した。市立小・中学校などへも配布されることから、ハンセン病の歴史について正しい理解の広がりに期待した。
 同著は、沖縄におけるハンセン病に関する歴史的な資料を収集し八百四十八ページの本にまとめたもの。入園者らの体験や心情をまとめ、来年三月に刊行予定の「宮古南静園証言集」「沖縄愛楽園証言集」と併せた三部作の第一弾。
 宮里会長は、編集事業に係る市の予算支援に感謝した上で「この資料編は、これから発行する証言集の裏付けになる書物。編集に携わった市民が根気強く歴史を調べ、難産の末に出来上がった本で、教育関係者をはじめ、多くの人に活用してもらいたい」と述べた。
 寄贈を受け伊志嶺市長は「ハンセン病国家賠償訴訟熊本判決の際に沖縄に対する十分な言及がなかったことを振り返っても、今回、資料編が発刊されたことは大変意義深い。これを機に、世の中の差別偏見が薄れていくと良い」、久貝教育長は「資料を通して過去を知るということは、互いの論議を深め、今後に向けて何をどうすればよいか考えることにつながる」と話した。
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上布の技術者へ25人挑戦/後継者育成事業が開講
宮古織物組合

 宮古織物事業協同組合(赤嶺一成理事長)の二〇〇六年度後継者育成事業が三日、同組合でスタートし、開講式が行われた。
 同事業は、国の重要無形文化財に認定されている宮古上布の技術者を育成しようと毎年行われている。一九七五年に製織技術者の育成が始まり、二〇〇〇年には糸績み部門を開設。〇三年には、あい染め、絣締め、きぬた打ちの各部門もスタート。今年は計二十五人が研修する。
 開講式で赤嶺理事長は「一人前になるためには、忍耐力と技の研さんを要する。何が何でもやり通すという気持ちで頑張って」と激励し、研修生が情報交換をするとともに、産地力向上を目指す組織づくりにも積極的な姿勢を見せた。絣締めの講師を務める下地達雄さんは「互いにライバル心と目標を持って強い意志でやり遂げて」と話した。
 また、受講生を代表してあいさつした深谷智恵美さんは「不安もあるが、『ブー(苧麻)と仲良くなれば作業の仕方をブーが教えてくれる』という講師の言葉を信じて頑張りたい」と意欲を語った。
 宮古島市の下地学助役、兼城克夫宮古支庁長(下地洋一総務・観光振興課長代読)も激励のあいさつを述べた。
 研修生は次の通り。(敬称略)
 【糸績み部門】砂川政子▽土岐悦子▽塩川久江▽與那原千惠子▽本村タミ子▽根間八恵子▽友利竹美▽狩俣寛子▽上里シゲ▽島尻美智枝▽砂川志真子▽友利千鶴子▽下地正美▽深谷智恵美▽宮国英美▽與那原久美子
 【製織部門】▼初級=▽松原美恵子▽與那覇咲子▽砂川茉衣子▼上級=▽与儀輝三▽村吉美和子▽多良間志穂
 【あい染め部門】平良享子
 【絣締め部門】根間亮次
 【きぬた打ち部門】伊志嶺直樹

 写真説明・宮古上布の後継者育成事業が開講した=3日、宮古織物事業協同組合

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