200平成18  7 土曜日

「ホテル施設売却を視野」/マリンターミナル株主総会
新たな再建計画で方針
/家賃問題が決着できず新展開

 宮古島市などが出資する第三セクター・宮古島マリンターミナル(社長・伊志嶺亮宮古島市長)の第十六期株主総会が三十日、市内のホテルで開かれ、三千六百四十万円の赤字を計上した当期決算を承認したほか、家賃収入が当初計画通り得られず経営圧迫の要因となっている宿泊施設(ホテル)について、「売却を視野に入れた再建計画」づくりに着手する方針を決めた。今後、外部の資産評価機関に委託して施設の資本評価作業を進めていく。一方で、ホテルは開業以来、会議や宴会など料飲部門で圏域の中核施設として定着していることや多くの地元企業が出資していることなどを挙げ、売却案を不安視する意見もあった。

 資本金七億七千万円の同社は当期末で三十四億円余の借入残高があり、収入の大部分を占めるホテルからの家賃収入が当初計画通り得られないことなどから累積赤字も十一億円に達し、三億六千万円余の債務超過に陥っている。当期は営業収益二億九千六百万円に対し、営業費用二億五千七百万円、営業外で借入金の利息支払いが四千四百万円などがあり、家賃減額引当金四千八百万円を計上したため、三千六百万円余の赤字となった。
 同社は当初、ホテルからの家賃収入を月額二千万円としていたが、予定額が得られなかったことから一時的に家賃を下げるなど再建計画を実施。二〇〇一年には地元企業三十社による計一億円の第三者割当増資を行い、急場をしのいだ。その後はホテルの宿泊稼働率が好調に推移するも客室単価が上がらず、事態が好転しなかった。家賃支払いの遅延が続く中、同社はホテルに対して家賃支払いの民事調停を申し立てたが今年四月までに調停は不調に終わった。調停で同社は家賃千六百万円を主張したのに対し、ホテル側は千二百万円を主張し折り合わなかった。これまでにホテルからの家賃未収は三億一千六十四万円に達している。これらの状況から同社では、従来の再建計画を見直し、「宿泊施設売却も視野」との方針に転換した。
 株主総会で意見を述べた大口借入先の沖縄公庫は、「方針を承認する」と支持。ホテルを経営する漲水リゾート開発や宮古島商工会議所は懸念を表す意見を述べた。                           (恩川順治) 

 写真説明・ホテル売却を視野に入れた再建計画に着手する=30日、ホテルアトールエメラルド宮古島top.gif (811 バイト)

 

車エビ養殖3千万円赤字/平良市漁協総会
台所事情一転、火の車
累積赤字2億5000万円余に膨らむ

 平良市漁業協同組合(上原正行組合長、正組合員百二十四人)の第三十六回通常総会が三十日、同組合で開かれた。二○○五年度事業報告書など七議案を原案通り承認した。漁業自営事業の車エビ養殖場に砂の入れ替えを実施しなかったことや価格低迷などの要因から、車エビ漁獲高が激減、単年度で三千十八万円の赤字を出した。この赤字が同漁協の財務運営を圧迫し、当期は三千三百二万円の赤字、累積赤字は二億五千三百二十六万円に膨らんだ。○二年度以来、三年ぶりに多額の赤字決算となった同漁協の台所は一転、火の車に転落した。財務改善計画五年目を迎えた中で、早期再建は厳しい状況に立たされた。

 車エビ養殖場は、一定の期間に新たな砂を入れ替えることで、車エビの成育環境が良好になるとされる。しかし、同漁協は厳しい財務運営から、砂の入れ替え費捻出に苦慮。○五年度事業では、漁獲高三十d、販売高一億五千万円を計画。しかし、実績は漁獲高十三d、販売高六千四百四万円と振るわず、達成率は四三%まで落ち込んだ。
 同漁協では、砂の入れ替えを一年先送りの○七年度に計画。○六年度の車エビ養殖がどのような結果を出すのか、見通しは厳しい状況だ。
 冒頭、上原組合長は「漁業自営事業が大幅な赤字を計上することになり、全体的に厳しい決算となった。漁業自営事業については、これから国や県、宮古島市と話し合い、二度と失敗が無いように務めたい」などと述べた。
 来賓で出席した県漁業協同組合連合会の下地敏彦代表理事会長は「車エビが不振というアクシデントとなった。これから組合員の皆さんが車エビをどうするか平良市漁協の再建のためにも考えてほしい」などとあいさつ。
 事業部門のうち、加工事業では、糸モズクが計画で二百五十d、金額で四千六百七十五万円に対し、実績が二百七十八d、金額が九千七十九万円と好調に伸び、一九四%の達成率を上げた。
 定款改正で、現在の名称「平良市漁業協同組合」を新名称「宮古島市漁業協同組合」に改称。沖縄電力が提出した「宮古島市−大神島海底ケーブル敷設工事に伴う岩礁破砕及び漁場汚染防止協定の締結について」は原案通り承認した。
 席上、表彰された方は次の皆さん。(敬称略)
 【パヤオ漁業の部】▽久高勇光(平良)▽根間明勇(上野)▽松原博幸(平良)【潜水器漁業の部】▽上地博昭(上野)▽仲里昌芳(平良)▽茶園忍(同)▽洲鎌吉夫(下地)【モズク養殖漁業の部】▽狩俣モズク生産グループ(与那覇利助代表)▽久松モズク生産グループ(仲宗根康浩代表)【感謝状】▽佐久本美次(平良)▽久貝正夫(同)

 写真説明・組合員らは賛成挙手で全7議案を承認した=30日、平良市漁業協同組合
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 観光客40万人達成に決意/宮古観光協会総会
会長に藤村明憲氏再任

 宮古観光協会(藤村明憲会長)の二〇〇六年度(第四十二回)総会が三十日、市内のホテルで開かれ、任期満了に伴う役員改選で藤村会長が再任された。副会長には市原英明さんが再任、池間隆守さんが新任。役員の任期は二年。審議の末、〇六年度収支予算書案、事業計画案、〇五年度収支決算報告・貸借対照表・財産目録、事業報告を、いずれも全会一致で承認した。また、宮古島市誕生記念観光ロゴステッカーの販売代金から十四万六千四百円が美ぎ島募金推進協議会(吉井良介会長)に贈呈された。
 〇五年度収支決算では予算額二千八百六十一万五千四百十九円に対し、決算額二千八百八十七万七千八百五十七円で、二十六万二千四百三十八円の黒字を計上した。
 冒頭のあいさつで藤村会長は「ここ数年、観光客四十万人を目指し、昨年はわずかに届かなかったので、今年こそ何としても達成したい。課題として、特産品や土産品開発にもっと力を入れて進めなければならない」と述べ、会員らの一層の協力を呼び掛けた。
 役員は次の通り。(敬称略)
 【会長】▽藤村明憲(宮古テレビ社長)【副会長】▽市原英明(宮古島東急リゾート総支配人)▽池間隆守(ホテルアトールエメラルド宮古島総支配人)【理事】▽伊志嶺亮(宮古島市長)▽下地昌明(多良間村長)▽中尾英筰(宮古島商工会議所会頭)▽古賀哲馬(南西楽園宮古島リゾート総支配人)▽真栄田久(日本トランスオーシャン航空宮古支社長)▽山本道也(全日本空輸宮古支店長)▽野村安潤(のむら社長)▽平良勝之(ホテルニュー丸勝社長)▽砂川靖夫(ホテル共和支配人)▽神里恵亮(宮古第一ホテル社長)▽豊見山健児(宮古協栄バス社長)▽砂川能樹(八千代バス専務)▽仲宗根誠(ミヤコセントラルホテル社長)▽新垣盛雄(宮古フェリー副社長)▽砂川佳一(多良川会長)▽石井誠(エメラルドコーストゴルフリンクス総支配人)▽津波古昌信(オーシャンリンクス宮古島副支配人)▽島尻義彦(沖縄ツーリスト宮古支店長)▽松川勝弘(県建設業協会宮古支部長)▽我那覇宗広(宮古観光協会青年部長)【監事】▽野津武彦(野津開発社長)▽伊計衛(沖縄銀行宮古支店長)【顧問】▽上地安増(富士製菓製パン会長)

 写真説明 上・役員改選や06年度収支予算書案などを承認した総会=30日、ホテル共和
 写真説明 下・美ぎ島募金推進協議会の吉井会長(左)にステッカーの売上金を手渡す藤村会長=30日、ホテル共和
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高速回線使い遠隔教育もNTTDo
議員にサイバー大学$燒セ

 宮古島市議会(友利恵一議長)の議員らを対象としたインターネット大学設置に関する説明会が三十日、同市役所で開かれ、NTTDo地域活性化支援プロジェクトコンサルタントの伊良部光宏さんらが、宮古島市に拠点を置き、高速通信回線を利用した遠隔の大学教育を行うインターネット大学構想について説明した。また、実際にインターネット回線を使った講義ですべての単位を取得できる神奈川県横浜市の八洲学園大学の事例も説明された。
 伊良部さんは、先島の市町村担当者らで構成する「先島サイバー大学設立宮古地区研究会」(現在は解散)に参加し、インターネット大学に関する研究を行った。この日の説明では提言として、ICT(情報通信技術)、外語、観光の三学部を置く同大学の構想を紹介した。
 期待される効果として、▽先島圏域の地場産業、行政や社会が必要とする人材を輩出し、圏域経済の活性化への新規事業創出を促し圏域発展に貢献できる▽在宅で大学教育が受けられるため、大学進学への選択肢を広げ、宮古島市民の教育負担を減らし大学への進学率を高め、教育環境を改善させる▽国外のインターネット大学との連携、交流を機会とした国際交流を推進する−などを挙げた。
 今後の取り組みとして、宮古島市など行政側と民間側の委員らでつくる「先島サイバー大学設立検討調査部会」の設置を提言した。
 先進事例として紹介された八洲学園大学は、同大学内での講義をインターネットを使って生の映像を配信することで、全国で講義を受けられるシステムを確立。直接、大学へ足を運ぶことなく単位を修得、卒業できるという。

 写真説明・サイバー大学の先進事例などが紹介された説明会=30日、宮古島市役所
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宮古島署4部門制す/先島柔道剣道大会
競技通し親睦深める

 二〇〇六年県警察先島地区柔道・剣道大会が三十日、宮古島警察署で開かれた。同署と八重山署の署員計十六人が参加し、日ごろ鍛えた技や体力を競った。熱戦の結果、宮古島署が柔道、剣道ともに団体と個人の計四部門を制した。
 大会は「精強な第一線警察構築」の一環として、柔道・剣道の訓練による犯人の制圧・逮捕技術などさらなる向上、執行力のある若年警察官の育成、両署の親睦を図ることなどが目的。両署で交互に開催している。
 参加者らは気合いの入った表情で技を繰り出した。一本を取ると大きな歓声が会場中に響いていた。
 大会長を務める宮古島署の岸本亮署長は「日ごろの訓練の成果を発揮し先島地区の治安を預かる両警察署の融和団結を図っていただきたい」とあいさつした。
 結果は次の通り。(敬称略)
 【団体の部・柔道】▽優勝=宮古島警察署
 【同・剣道】▽優勝=宮古島警察署
 【個人の部・柔道】▽優勝=友利吉宏(宮古島警察署)▽準優勝=城間理(八重山警察署)
 【同・剣道】▽優勝=與那城弘一(宮古島警察署)▽準優勝=山口敦司(八重山警察署)

 写真説明・支え釣り込み足で一本を取る宮古島署の選手(上)=30日、宮古島警察署
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受講生15人に修了証/宮古織物組合
後継者育成事業閉講

 宮古織物事業協同組合(赤嶺一成理事長)の二〇〇五年度宮古上布後継者育成事業閉講式が三十日、宮古伝統工芸品研究センターで行われた。糸績みなど五部門の受講生、十五人に赤嶺理事長から修了証が手渡された。修了者らは「ここまで続けて来て良かった」などと話し、喜びの表情を浮かべていた。
 同育成事業は各部門の技術を育成し、継承していくことが狙い。昨年七月に開講し、受講生らは糸績み、製織初級・上級、あい染め、砧打ち、絣締めの各部門で技の習得に努めてきた。会場には各部門の修了者らのこれまでの集大成となる作品が展示された。
 赤嶺理事長はあいさつで「時間と集中力、忍耐強さを要する宮古上布をここまでよく学び続けてくれた。後継者として、技術を次世代に継承していってほしい」と期待を込めた。男性で初めて製織初級の修了書を受け取った与儀輝三さんは「先輩や先生方の支えでここまで続けることができた。宮古上布という素晴らしい文化財を守るため、これからも技術の向上に努力していきたい」と力強く抱負を述べた。
 各部門の修了者は次の通り。(敬称略)
 【糸績み】▽大山富美子▽武富暁代▽武富カズ子▽下里勝子▽荷川取ヒロ子▽山里勝江▽川越知子【製織・初級】▽村吉美和子▽与儀輝三▽多良間志穂【同・上級】▽新里恵▽山田和代【あい染め】▽平良享子【砧打ち】▽伊志嶺直樹【絣締め】▽根間亮次

 写真説明・15人の受講生に宮古上布後継者育成事業の修了証が手渡された=30日、宮古伝統工芸品研究センター
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