200平成18  630 金曜日

意見書の扱いめぐり空転
友利議長 「反省すべき」と遺憾の意
市議会最終本会議

 宮古島市議会(友利恵一議長)の六月定例会は二十九日、最終本会議を行ったが、意見書案の扱いをめぐって与党と「そうぞう」、野党との間で対立し、長時間にわたって空転。そうぞうと一部与党議員が提案し、二十八日の議会運営委員会(議運)で見送りとなっていた二つの意見書案について再度、二十九日の議運に提案しようとしたことに、野党が反発した。結局、公明を含む野党が退席、審議拒否したまま、執行部提案の二十七議案が、与党とそうぞう、真栄城徳彦氏で採決、可決され、閉会した。混乱の事態に、友利議長は「双方の意見がかみ合わず、空転を招いてしまった。反省すべきことは、反省しなければならない」と遺憾の意を示した。「宮古病院の脳外科医の確保について」の意見書案は野党退席のまま、可決された。
 今議会では当初、二十八日の議会運営委員会で、「宮古病院の脳外科医の確保について」の意見書案を、喫緊の課題として最終本会議に提案することで一致していた。二十九日になり与党が、いわゆる「新型交付税」の導入に反対する「地方交付税制度の堅持と総額確保を求める意見書案」を提案する意向を示したため、野党もこれに同意し、同日午後の議運を経て意見書案が提案される見込みだった。
 しかし二十九日午後に開かれた議運で豊見山恵栄委員長が、今議会では見送ることで合意していた「宮古病院の早期新築移転」「伊良部架橋への歩道設置」の両意見書案も再び提案するとの意志を示したため、野党側がこれに反発。空転する事態となった。
 これに加え野党側は、そうぞうが両意見書について緊急動議とする動きを見せたため事態がこう着。結局、午後五時三十分すぎ、野党が審議拒否する中、与党とそうぞう、真栄城氏のみの出席で当局提案の議案が採決された。
 野党議員団の池間雅昭会長は「議運の合意事項をほごにした。混乱の責任は与党にある。議運で決めたことを守れないようでは、議運の役割は果たされなくなる」と強く批判。これに対し、そうぞうの会長で、議運委員長でもある豊見山氏は「新型交付税は、議運で全会一致で通ったもの。その後、野党側が取り下げてくれと言ってきた。再度、議運を開き拒否された」と反論した。
 当局提案で可決されたのは、当初予算の歳出歳入総額にそれぞれ四億九千七百四十三万五千円を追加し、歳入歳出総額を三百二十三億五千百四十三万五千円とする二〇〇六年度一般会計補正予算案など二十七議案。このうち、通称・国民保護法に関連して、市の対応などを定める「市国民保護協議会条例」と「市国民保護対策本部および緊急対策事態対策本部条例」は上里樹、亀浜玲子、与那嶺誓雄、友利光徳の四氏が反対した。
 今議会の焦点の一つとなっていた「重度心身障害者(児)医療費助成に関する条例」から、入院時食料費を削除する改正案など十議案は継続審議となった。                               (砂川拓也、山下誠)

 写真説明・意見書案をめぐって反発した野党議員らが議場を後にした=29日午後3時30分すぎ、宮古島市議会

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〔解 説〕

野党 全会一致の原則強調/市議会空転

 宮古島市議会六月定例会の最終本会議は、執行部提出議案ではなく、議員が提案する意見書案をめぐって空転するという異例の事態を招いた。
 当初、議会運営委員会(豊見山恵栄委員長)は、緊急性が高く、全会一致による可決ができるとの理由から、「県立宮古病院の脳外科医師確保に関する意見書」のみを最終本会議に提出することで二十八日、一致を見た。そうぞうと一部与党議員で提案した「宮古病院の早期新築移転」「伊良部架橋の歩道設置」を要望する意見書は見送られていた。
 意見書は通常、その効力を最大限のものとするため全会一致が原則。これは宮古島市議会の申し合わせ事項となっている。この時点で見送られた二つの意見書案について野党は、伊良部架橋の歩道設置は「国は予算を削減しており、事業への影響が懸念される」、宮古病院の早期移転新築は「ワーキングチームで議論が進められている最中」と、いずれも「実効性のある適当な時期に要請すべき。反対ではない」とし、双方の協議で提出する意見書を一つに絞った。
 二十九日、与党が要望した「新型交付税」に反対する意見書を提案する手続きとして議運が開かれた。この場でそうぞう会長の豊見山氏が、見送られたはずの二意見書案を再び持ち出したことから、野党に火がついた。さらにそうぞうは、緊急動議という手段で二意見書案を採決に持ち込もうとしたため、野党の反発に拍車がかかった。
 会見した野党議員団の池間会長は「互いに議運で決めた事項を守れないのは信義にもとる。裏切り行為だ」などとして、退席の正当性を主張した。「全会一致の原則」を強調するとともに、「混乱の原因を招いた」として、豊見山委員長と与那嶺誓雄副委員長の辞任を要求した。
 一方、動議までを視野に入れ、意見書案を提案しようとした理由について、与党議員会の会長で意見書案に名を連ねた仲間明典氏は「宮古にとって大事な課題に賛成しないのは理解できないし、悲しい」、そうぞうの池間豊氏は「意見書の動議を出すか出さないかの憶測をもとに、本会議をボイコットしている」と、真っ向から対立している。
 議会における動議は議員の権利ではあるが、議会運営をスムーズにするための議運の決定がないがしろにされるのであれば、議運の役割が失われかねない。                                   (砂川拓也)
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「必要に応じ導入検討」/バイオエタノール「特区」で県
県議会代表質問

 【那覇支局】県議会(仲里利信議長)六月定例会は二十九日、代表質問の初日が行われ、岸本恵光氏(自民)が宮古島市などで実証実験が進められているバイオエタノールについて、県全域を対象に「バイオエタノール特区」の導入について県の見解を求めた。特区導入について上原良幸企画部長は「現在、宮古島市などで実証事業が進められ、二階経済産業大臣も宮古島市視察を行うなど、今後実用化に向けた取り組みになると思う。しかし、普及に向けては製造コスト、事業主体、ガソリンスタンドの設備改造に係る費用負担などの課題があり、バイオエタノール特区の導入はこれらの課題が明確になった段階で必要に応じて検討したい」との見解を示した。
 県立宮古病院などにおける離島の医師確保について、琉球大学が離島医師養成プログラムを本格的にスタートさせていることについて、岸本氏は県の対応を求めた。
 これに対し、稲嶺恵一知事は「県としては琉球大学のプログラム実施に当たって、宮古病院などで実習生を受け入れるなど連携を推進している。また、県としては、琉大医師会、市町村会、町村会などとの連携を深めつつ、医師の養成、確保など地域医療提供体制の強化を図り、中長期的な視点に立った医師確保システム確立に努めていきたい」と、離島医療の充実に向けた医師確保について積極的に取り組む姿勢を示した。
 新型交付税導入に伴う影響について、上原企画部長は「算定方法を簡素化するため竹中総務大臣が提案したもので、人口、面積を基本に算定し、三年間で五兆円規模に拡大するとしている。メリットは算定方法の簡素化など、デメリットとしては都市部など人口の多い団体に多く交付され、人口の少ない団体の交付税が減り、団体間の格差が広がることなどがある。県が行った試算では増加は都市部などの自治体で、減少は離島町村や合併市町村となり、特に離島町村に重大な影響を与えることになる。県としては地方交付税の簡素化に当たっては離島、過疎など地域の実態や影響等を勘案して行うよう要請している」と述べた。
 この日の代表質問は、そのほかに新垣哲司氏(自民)、新川秀清氏(護憲ネット)、新里米吉氏(同)が登壇し、米軍基地、雇用、大雨による土砂災害などへの対応について県の見解を求めた。
 代表質問はきょう三十日が最終日となり、与野党三氏が登壇する。
                                        (垣花尚)

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 昨年4月と比べ5%上昇/県外移住者の需要増が影響
06年賃料動向

 【那覇支局】おきぎん経済研究所(北原秋一社長)は二十九日、「二〇〇六年県内の賃料動向ネットワーク調査」の結果を発表した。それによると、宮古島市の今年四月現在の賃料水準は「2LDK」「3LDK」の上昇率が対前年同月比で五%上昇と県内で最も伸び率が高く、来年四月の見通しについても両方とも五%の上昇を見込むなど県内でも最も上昇率が高くなっていることが分かった。
 こうした宮古島市の状況について、同研究所では「これまで石垣市で県外から移住する需要の増加に伴い、現在の賃料は那覇地域と遜色ないレベルとなっている。これと同様の動きが宮古島市においても徐々に見られ、今後の動向に注目している」と説明した。
 宮古島市の今年四月の貸家賃料については、2LDKが新築物件の県平均賃料五万六千八百円に対して七・六%低く、新築以外の物件(県平均五万二千八百円)も七・二%低くなっている。
 しかし、県外出身者からのニーズの高まりから対前年比で五%増と県内では最も高い伸び率となり、来年四月の予想でも県内で最も高い五%増を見込んでいる。
 3LDKについても、県内の新築物件の賃料水準が六万三千六百円に対して宮古島市は六・七%低く、新築以外の物件(県平均五万九千三百円)も八%低い数値となっている。
 2LDKと同様に県外移住者などのニーズの高まりで、対前年同月比では那覇西部と並んで五%の伸びで、伸び率は県内で最も高く、来年四月の見通しも県内で最も高い五%の上昇を見込んでいる。
 また、宮古島市の2LDK、3LDKの稼働率は2LDKが九〇・七%、3LDKが九二・〇%とそれぞれ九割以上の高い数値となっている。
 一方で、宮古島市の今年四月におけるワンルームタイプの賃料は、前年同月比とほとんど同じで、来年の見通しは〇・三%の減少を見込んでいる。さらに稼働率も七七・八%で県内で最も低い数値となった。
 これについて同研究所では「宮古では、ワンルームよりも広い2LDKなどが比較的安い賃料であることから、多少多めに家賃を払って広い部屋を借りる傾向があり、ワンルームの需要がさほど強くないことが影響している」と説明した。
 今回の動向調査における特徴の一つとして同研究所は「石垣市に県外からの移住する需要の増加が見られ、賃料も那覇地域に近づいている。そのような動きが宮古島市にも徐々に見られている。今後、宮古島市における県外出身者の移住に伴うニーズと動向が注目される」としている。
 同調査は、県内の賃貸不動産管理会社「二十五事業所」にヒアリング調査を今年四月に実施。地域ごとに標準的な物件を部屋のタイプ別にサンプリングし、賃料水準やその動向、稼働率などをまとめた。
(垣花尚)
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瑞慶覧君(福嶺小6年)タイム3分14秒
小学男子1000bで県1位/陸上競技交流沖縄大会

 第二十二回全国小学生陸上競技交流沖縄大会に、宮古地区代表として出場した瑞慶覧伸哉君(福嶺小六年)が五・六年男子千bで3分14秒のタイムで優勝に輝いた。二十九日、瑞慶覧君は同校で「初めての優勝。すごくうれしい。次は宮古記録を狙いたい」と喜びを語った。
 大会は今月二十四日、沖縄市の県総合運動公園陸上競技場で開催された。瑞慶覧君はスタート直後から二番手に付け、レース展開を優位に進めると、残り四百bで一気にスパート。一位の選手を抜き去るとぐんぐん差をつけ、最終的には五十bほど離してゴールした。地区大会の記録を10秒縮める快走だった。
 普段はミニバスケットボール部に所属する瑞慶覧君。大会のために父と猛練習を積んだという。「3分15秒を目標に練習していた。大会では緊張せずに走れた」と笑顔を見せ、「児童オリピックでの優勝と宮古記録を目指したい」と抱負を語った。
 同校の新里二男校長は「素晴らしい素質を持っている。これからも練習を重ねて宮古や沖縄の記録を更新してもらいたい」と期待した。
 五・六年男子千bの競技は全国大会で実施されないため、全国大会の出場はないという。

 写真説明・5・6年男子1000bで優勝した瑞慶覧君=29日、福嶺小学校
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収納体制の不備などただす/補正予算案など可決し閉会
多良間村議会

 【多良間】多良間村議会(西平幹議長)六月定例会は二十九日、同村議場で一般質問が行われ、六氏が登壇し、村政全般を村当局にただした。また、二〇〇六年度一般会計補正予算案など十五議案を原案通り可決。同日をもって閉会した。
 一般質問には佐久本昇、森山実夫、西筋米吉、本村健次、石原朝英、豊見城玄淳の六氏が登壇した。
 佐久本氏は各課の未収金および負担金、立替金の収納状況について、未収金の多さを問題として村にただした。これに対し波平敏一民生課長は「二〇〇五年度末で累積赤字は約八百四十五万円となっている。水道事業の広域化に向けてこのような状況では宮古島市に申し訳ない。収納体制を整えていく」と答弁した。
 西筋氏は特別養護老人ホームの建設計画について質問。対して下地昌明村長は「現在ある施設(高齢者生活福祉センター)に空き部屋があるので、新規の施設ではなく、センターを増築するなどした効率利用を考えている」と答えた。また、西筋氏は、当局が共同調理場の発注の際に入札参加資格のない業者が参加したことを指摘。伊良皆光夫助役は「指名資格のない業者を指名させたことについては、地元優先でということだったが、資格のないものを参加させたことは反省すべきことである」と謝罪した。
 可決された議案は▽重度心身障害者(児)の医療費助成に関する条例の一部改正▽村ふるさと活性化定住促進条例の一部改正▽村学校給食共同調理場設置条例の一部改正▽固定資産評価員の選任について―など計十五議案。このうち固定資産評価員に知念信雄氏を選任することに同意した。

 写真説明・15議案などを原案通り可決。一般質問では6氏が登壇し村当局の村政をただした=29日、多良間村議場

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販売額は16億7000万円/肉用牛競り06年上半期実績
JA宮古まとめ

 JAおきなわ宮古地区営農センターはこのほど、宮古本島、多良間島における肉用牛競りの二〇〇六年上半期(一―六月)の実績をまとめた。販売額は十六億六千八百七十五万一千三百五十円で、前期に比べ一億八百七十七万一千六百円増の過去最高となる販売額を記録した。国内枝肉価格の高騰に加え米国産牛肉輸入禁止による下級牛価格の底上げが、素牛の競り価格にも好影響を及ぼした。下半期も同様の売り上げなら生産者や関係機関が目標とする年間販売額三十億円を突破の見通しだが、課題は山積しているのが現状だという。営農センターは@米国産牛肉の輸入解禁A生産農家の高齢化B優良母牛の保留、更新への取り組み―などを懸念材料に挙げている。
 営農センターのまとめによると、今期の肉用牛は初競りから高値で推移。宮古本島だけを見ると、一頭平均価格は毎月四十万円以上で売れている。六カ月間の平均価格は四十五万五千円にも上る。これに伴って販売額も引き上げられ、毎月二億円以上の大商い状態が続いた。平均のキロ単価は千六百八十二円だった。
 多良間島の競りも前期に比べると上向きに。月ごとの一頭当たり平均価格は三十万円台後半で宮古本島に比べると安値だが、平均価格、キロ単価ともに前期を上回った。
 高値販売を続ける肉用牛競りだが、営農センターでは将来を見据えた備えの大切さを強調している。同センター畜産部の砂川辰夫部長は「米国産牛肉の輸入が解禁されても良い牛の価格は落ちない。ただ、二等級の牛は元の価格に戻るのではないか」と予測する。さらには宮古地区において繁殖牛が微減を続けている現状を危惧。一部の生産農家は現状の高値に乗じて安易に母牛を手放す傾向にあるという。砂川部長は「繁殖は八産、少なくとも十産以上した牛については早めに淘汰し、母牛の更新を進めなければならない。今のうちから、その準備を始めてほしい」と話し、年間販売額三十億円の達成に向けては「増産増頭運動を展開していきたい。宮古島市をはじめ関係機関と連携し、畜産振興を図りたい」と決意を話した。

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