200平成18  627 火曜日

与野党問わず「行革と逆行」/管理職人事で不満噴出
市議会一般質問

 開会中の宮古島市議会(友利恵一議長)六月定例会は二十六日、一般質問二日目を行い、複数の議員が二〇〇六年度の定期人事で管理職を削減できなかった市当局の人事に対し不満をあらわにした。当局は「(管理職を削減する)方針通りにはいかなかった」と一部非を認めたが、一方で課を新設したことや市長の政策であることも併せて強調。この答弁には与野党ともに納得せず「行政改革と逆行している」と市の行政運営を強く批判した。
 現在の市の管理職数は百三十八人。〇五年度末に計十二人の管理職が退職したことを受け、当初は合併で膨れ上がった主幹級職員を横滑りさせる人事で調整を図ったが、最終的には新たに十二人を昇任させる人事に。結果として管理職の削減には至っていない。
 この定期人事に関しては野党だけでなく与党、与党寄りのスタンスを取る「そうぞう」所属の議員も質問するなど与野党を問わず疑問の声が上がった。一般職員に比べて管理職が高給であること、類似の県内他市と比較して管理職が多いことなどが理由だ。
 答弁に立った宮川耕次総務部長は「計画通りにはいかなかった。今後は計画的な人事、行政運営を進めていきたい」としたが、一方で下地学助役は制度面と市長の政策面を強調。障がい福祉課や包括支援センターの新設を制度面に挙げ、図書館建設準備室などを市長の政策面とし、人事の妥当性を訴えた。
 ただ、これらの答弁に対し各氏は反発。最初に質問に立った平良隆氏は「なぜ削減できなかったのか。市民は疑問を持っている」と強調。上地博通氏も「(財政的にも)厳しいと言いながら、管理職も職員も減らさない。真剣さがあるのか疑問だ」と追及した。そうぞうの新里聡氏は「行政改革と逆行している」などと疑問視し、主幹級の横滑り人事を行わなかったことに対して「主幹級の職員は能力がないということか」などと詰め寄った。
 伊志嶺市長は「(財政的には)厳しいが、昇任は職員のやる気や活性化につながるため有効。課の新設や新体制、女性登用など一定の人材育成を図っていくという点で理解を」などと話した。だが、この答弁にも納得しない市議らは「これで財政の立て直しができるのか。一方で財政再建と言いながら一方でこういうことをしている。これではざるに水を入れているようなもの」と強く批判。再答弁で伊志嶺市長は「適所で活用し、管理職を減らしていきたい」と述べた。
 与野党問わず相次いだ人事面における不満。宮古島市の行政運営のあり方は今後も問われそうだ。
 一般質問は二十七、二十八の両日にも行われる。(山下誠)

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わき水環境の保全を/「宮古のわき水の生物」でセミナー

 【那覇支局】地域環境センター(主管・県文化環境部環境政策課、管理運営・NPO法人おきなわ環境クラブ)主催の「第三回地域環境セミナー」が二十六日、県庁で開催された。今回は「宮古のわき水の生物」をテーマに藤田喜久さん(琉球大学非常勤講師)が講話した。藤田さんは「宮古のわき水には多様な生物が生息し、希少種も多い。それらをはぐくむ『わき水環境』の保全は重要で、地域主導型の取り組みが必要」と訴えた。
 セミナーでは、宮古島、伊良部島、来間島、池間島の約五十カ所を調査した結果、これまでに六科十三属二十四種のエビ・カニ類の生息を確認し、そのうち十三種は環境省や県版のレッドデータブックに掲載(絶滅危惧種)され、さらに二種のエビ類は新種であることなどが報告された。
 藤田さんは、「宮古のわき水に生息する生物の多様さには驚くとともに、わき水環境の保全が重要であることを痛感している。各わき水は年々環境が悪化しているように思われ、その環境の重要性を地域住民に理解してもらい、地域住民主導型の保全策を講じていく必要がある」との見解を示した。
 今回のセミナーは▽宮古のわき水環境▽宮古のわき水に生息する生物▽現在宮古で展開している環境教育活動―のテーマに分けて行われた。
 わき水環境では、塩の干満でわき水の水位が上下することから、地下水と海水はつながっていることが紹介された。
 生息生物については、ミヤコサワガニが一生をわき水(淡水)で過ごすことから、かつて宮古島は海に沈んでいたと考えられていた説に対して「沈まなかった場所がある(浮沈説)」とする説も考えられるようなったことが説明された。
 藤田さんは、宮古のわき水環境が直面している問題と保全について▽ごみの投棄▽生活排水や農業用肥料による地下水汚染▽移入種による在来種の絶滅―などを指摘した上で「宮古のわき水環境は決して良好な状態を保っているわけではない。この素晴らしい環境を未来へ残すための取り組みが求められている」と訴えた。(垣花尚)

 写真説明・わき水環境の保全について地域主導型で取り組む必要性などが紹介されたセミナー=26日、県庁

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 市民133人に増額賦課/宮古島市がデータ入力で不備

 二〇〇六年度分市・県民税の課税で、宮古島市が課税に関する一部データの入力を漏らし、二百八十人の税額に変更が生じていたことが二十六日分かった。二百八十人のうち百三十三人分が減額修正となるため、税務課はすでに税金を納めた対象者に還付の手続きを求めていくという。
 データの入力漏れは開会中の宮古島市議会一般質問の中で友利克税務課長が明らかにした。この日質問に立った上地博通氏が「市税で増額賦課されているという苦情があるが、その原因は。それに対してどのように対応したのか」などとする質問に対し答えた。
 その後の取材で友利課長は「確定申告書の一部のデータにおいて、入力漏れが生じてしまった」と市側のミスであることを説明。その上で「業務には細心の注意を払っているが、今回のような結果を招いてしまい納税者の皆さんに深くおわびしたい。今後、チェック体制を強化し、適正、適切な課税に努めたい」などと話した。
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イラブナスビが実付ける/直径は大きいもので1a
県レッドデータブックで絶滅危惧種

 宮古諸島固有種のイラブナスビが二十六日までに、宮古島市伊良部の佐良浜地区の海岸で開花し、実を付けているのが観察された。イラブナスビは、今年二月に発刊された改訂版県レッドデータブックでは、これまで絶滅の危機が増大している危急種から絶滅危惧種にランク付けられた。
 過去に伊良部で採取された個体が鑑定され、新種のイラブナスビと命名された。
 海岸の厳しい環境で自生する常緑の小低木。茎にとげがあり、葉は広卵型。花は五弁で紫白色。実は球形で大きいもので直径一aほど。実は来月から熟し橙赤色となる。
 この日、佐良浜で確認されたイラブナスビは一本だけ。絶滅の可能性が高くなった。宮古では佐良浜以外に、城辺の東平安名崎と下地の来間島で自生が確認されているが、現状は不明。

 写真説明・一円玉と比べたイラブナスビの花と実=26日、伊良部の佐良浜地区の海岸(撮影・伊良波彌)

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活動の節目 盛大に祝う/在沖多良間郷友会が創立50年

 【那覇支局】在沖多良間郷友会(福嶺勝公会長)の創立五十周年記念祝賀会と二〇〇六年度定期総会・敬老会が二十五日、那覇市内のホテルで行われ、多良間村出身の郷友や宮古出身の国会議員、県議会議員、行政関係者らも多数駆け付け、郷友会発足五十年の節目を祝うとともにさらなる発展に期待を寄せた。同郷友会では、五十周年記念事業として記念誌の発刊も予定している。
 福嶺会長はあいさつで「一九五六年に発足した当時の会員は九十世帯、四百人だったと聞いている。現在は、五十年の歴史を重ね七百世帯、二千人余の会員となった。これも歴代会長をはじめ皆さんの団結とスマグクル(島心)によるもの。会員にはこれからも郷友会活動への理解と協力をお願いしたい」と述べた。
 式典の来賓祝辞では、下地昌明多良間村長が「在沖多良間郷友会も発足して半世紀を迎えた。その長い歴史の中では山あり谷あり、経済的に恵まれない厳しい時代もあったと思う。それを歴代会長、役員、会のメンバーが一体となって困難を乗り越えて現在の素晴らしい組織になった。先輩たちが築き上げた実績を基礎にしてさらに発展してほしい」とあいさつした。
 また、会場には下地幹郎衆議院議員、宮古地区選出の砂川佳一、奥平一夫両県議会議員、多良間村出身の糸洲朝則県議、県宮古支庁の兼城克夫支庁長らも駆け付け、祝辞を述べ郷友会の発足五十周年を祝うとともにさらなる発展に期待を寄せた。
 そのほか式典では、歴代役員、これまでの郷友会活動に支援、協力した企業、個人などに対する表彰式も行われた。
 式典後に行われた敬老会では、同村出身の二百四十六人の長寿を祝う各種余興が行われ、同村出身の豊見城あずささんによる空手の演武には会場から大きな拍手が起こった。(垣花尚)

 写真説明・郷友、関係者らが集い創立50周年を祝うとともさらなる発展を誓い合った記念式典=25日、サザンプラザ海邦

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疑似体験などで介助法学ぶ/観光環境づくりでセミナー
高齢者や障害者に優しく

 県が実施する二〇〇六年度バリアフリー観光推進事業の接遇セミナー「サービス介助体験セミナー」が二十六日、県宮古支庁で開かれ、サービス介助インストラクターの喜久里美也子さんらが高齢者や障害者に対する観光サービスについてアドバイスした。航空関係者やホテル従業員など観光関係者が参加。疑似体験を行いながら、高齢者や障害者も楽しめる観光環境づくりへ向け介助方法やサービス方法などを学んだ。同セミナーはきょう二十七日も行い、トゥリバー地区で海浜地域におけるバリアフリーと遊び方について実体験する。
 バリアフリー観光推進事業は〇四年度から取り組んでいるもので、すべての人に優しい観光地を形成することが目的。
 セミナーでは喜久里さんのほか、金城理佳さん、神谷明子さんが講師となり接遇方法についてアドバイスした。「ノーマライゼーション」について講話した金城さんは高齢になると感覚機能や運動機能が弱まることを説明し、観光地での介助の必要性を強調。参加者たちは重りやサポーター、ゴーグルなどを身に付け、高齢者を疑似体験し、実際にどういった介助が必要かを学んだ。参加者した亀川幸さん(23)は「思うように体が動かず階段を下りる時には不安を感じた」と感想を話し「いろいろ体験することで今後の活動につなげていきたい」と意欲を見せた。
 また実際に耳や目が不自由な人をインストラクターとして招き、それぞれのニーズや必要な接遇サービスについて認識を深めた。

 写真説明・高齢者疑似体験として重りやゴーグルを身に付け、どういった介助が必要かについて学ぶ参加者たち=26日、県宮古支庁

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