200平成18  621 水曜日

バイオエタノール実証実験の充実、加速へ
二階経産大臣が支援約束/きょう宮古入り、施設を視察

 【那覇支局】二階俊博経済産業大臣は二十日来県し、那覇市内のホテルで行われた「沖縄・新エネルギーシンポジウム」の基調講演で、宮古島におけるバイオエタノールの実証実験を充実、加速させて成功に導かせたいとの考えを示し「バイオエタノールについては内閣府、環境省、農林水産省、国土交通省が重要なかかわりを持ってくる。一緒になってバイオエタノールの問題を考えていきたい」と述べ、国として積極的に支援していく方針を説明した。二階大臣はきょう二十一日に宮古島入りし、関連施設の視察や伊志嶺亮宮古島市長との面談などを行う予定となっている。
 この日は、二階大臣と稲嶺恵一知事との懇談会も行われ、稲嶺知事から県としての要望書が二階大臣に手渡された。要望書では国が進めている燃料用バイオエタノールを利用した実証実験については、導入に向けた取り組みを求め、導入に当たっては地域の振興に資するよう求めている。
 懇談会後、二階大臣と稲嶺知事は共同会見を開き、バイオエタノールの生産、利用、活用について促進させるために国と県が連携を密にして、地元の協力を得ながら今後のプロジェクト成功に向けて取り組んでいくことを説明した。
 稲嶺知事は「新エネルギーとしてのバイオエタノールの実用化に向けた取り組みを加速化させる意向を聞いて感謝している。国として全面的に協力するという言葉をもらった」と述べた。また、二階大臣も「バイオエタノールは国のためにも極めて重要な新エネルギーで、お互いに努力しよう」とする小泉純一郎総理の言葉を報告した。
 このほか、二階大臣は宮古における今後の取り組み案として「宮古島で実験をする場合は、宮古島のガソリンスタンドには特別な配慮をし、国が新しいバイオエタノールのタンクを整備することを考えても良いと思っている。宮古島で生産現場をこの目で確かめて今後のプロジェクトの成功に結びつけたい」と述べるとともに、県内に「新エネパーク」を設置する考えも示した。
 一方で、今回の方針は米軍基地再編に伴う振興策ではないかとの質問について「環境、農業の面からもバイオエタノールは沖縄の将来のために注目すべきテーマであり、この開発が私たちの国の新しいエネルギーの活路を開くことができれば良いのであり、米軍再編とは関係ない」と述べ、米軍再編問題とはリンクしないことを強調した。
(垣花尚)

 バイオエタノール サトウキビなど植物に含まれる糖を発酵・蒸留させて作るアルコールの一種。温室効果ガスの排出量はゼロとみなされ、石油代替燃料として注目されている。石油代替エネルギーとして米国やサトウキビの大産地のブラジルなどで普及しており、現在宮古島で環境省が各種実験を実施している。

 写真説明・宮古島におけるバイオエタノール実証実験を加速させ、国として積極的に支援していくことを発表した二階経済産業大臣(左)。右は稲嶺知事=20日、那覇市のホテル日航那覇グランドキャッスル
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きょう夏至、暑さ厳しく/宮古島地方梅雨明け

 沖縄気象台は二十日午前、梅雨前線の北上により「沖縄地方は、梅雨明けしたとみられる」と発表した。今年の梅雨明けは平年と比べ三日早く、昨年より七日早い。
 梅雨入りした五月十四日から今月十九日までの宮古島の降水量は五三三_で、平年値(二六三・六_)の二〇二%と二倍の降水量となった。伊良部(四六四_)、城辺(四六二_)、多良間(四五八_)と各地でも平年を上回る雨量となった。
 梅雨明けした二十日、宮古島の天気は晴れ。日中は雲も多く見られたが、最高気温は三一・一度と真夏日を観測。週間予報では高気圧に覆われ、晴れの日が続く見込み。本格的な夏の到来を感じさせる。
 各地のビーチなどでは、好天の下、海水浴を楽しむ親子連れなどでにぎわいを見せていた。
 また、きょう二十一日は二十四節気の一つ「夏至」。一年中で最も昼の時間が長くなる日で、この日から暑さも厳しさを増してくる。

 写真説明・梅雨明けし、青空が広がった宮古島地方=20日、城辺・吉野海岸

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 代表理事会長に下地氏/旧城辺町助役 県漁連総会で承認

 【那覇支局】沖縄県漁業協同組合連合会(西銘仁正代表理事会長)の二〇〇六年度通常総会が二十日、那覇市の県水産会館で行われ、新しい代表理事会長に旧城辺町助役の下地敏彦氏(60)=宮古島市平良出身=が就任した。
 同総会では、任期満了に伴う役員(理事九人、監事三人)の選任案が提案され、下地氏を含む推薦会議で決定した役員候補について、無記名投票が行われ一票差(十九対十八)で承認された。
 その後、新理事による協議の結果、代表理事会長に下地氏が全会一致で決定した。
 代表理事会長就任について下地氏は「県漁連は、再建整備計画の途中で、約三億二千万円の負債を抱えている。財政を早急に健全化するために漁連の事業を活性化させるとともに各漁協、連合会の職員と一致団結して取り組みたい。また、宮古の三漁協も厳しい状況であり、利益を生む仕組みづくりについて組合長、理事たちと話し合いながら支援していきたい」と述べた。
 下地氏は、県庁職員時代に農林水産次長、宮古支庁長などを歴任し、二〇〇二年に退職。同年七月の旧平良市の市長選に出馬したが敗れた。
 その後、城辺町助役を経て、昨年十一月に行われた宮古島市の市長選挙にも出馬し、わずか四百十三票差で現在の宮古島市長である伊志嶺亮氏に敗れている。
 下地 敏彦(しもじ・としひこ)1945(昭和20)年12月10日生まれ。平良字下里出身。68年琉球大学理工学部生物学科卒。同年農林局水産部漁政課漁政係に採用され、農林水産部次長、県宮古支庁長などを経て02年に退職。同年10月に旧城辺町助役に就任し、05年8月に助役を退職。

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戦争とは、平和とは/体験者招き「集会」開く 各小中学校

空襲の被害を地図に/宮島小
兼島さん、島尻地区の戦禍語る
 宮古島市立宮島小学校(伊計喜和子校長)は二十日、島尻地区の兼島ヒデさん(78)を招いての平和集会を行った。兼島さんは自らの記憶を頼りに同地区の戦災状況を地図に起こし、「九十七軒あった家のうち、六十三、四軒は焼けてしまった」と、被害の大きさを説明した。また、「マラリアで百何十人も死んだ。食べ物は全然なかったが、親は子どもにだけは食べさせたいと自分が我慢して死に、みなしごは多かった」と、時折声を詰まらせながら悲惨な戦争体験を切々と語った。
 「最初は戦争を簡単に考えていた」と兼島さん。しかし一九四四年、島尻地区には二度の空襲があり、焼夷弾で全域が焼かれたという。幸い空襲による犠牲者はなかったが、戦火が激しくなるにつれ、衛生状態の悪い防空壕での生活を余儀なくされマラリアで多くが犠牲になった。「詳しいことは涙が出るから話せないけれど」と目に涙をためながら、「死んだら兵隊に頼んで運ばせた。畑や田んぼにはたくさんの死体があった」と生々しく証言した。
 児童からは「マラリアにかかったら、みんな死んでしまうの?」との質問が。兼島さんは「そうではないけれど、食べるものもないから栄養失調になって死んでしまう。家があって暖かいところで寝かせられればよかったかもしれないけれど、みんな防空壕だったからね」と、十分な世話ができなかった当時の状況を嘆いた。川田雄野君(四年)は「あの時代に生まれなくてよかった。これからずっと、平和でいてほしい」と感想。辺土名照人君(五年)は「マラリアという病気がとても恐ろしいものだと思った」と話していた。
 伊計校長は「友達を大事にし、みんなに思いやりをかけることが、平和な世の中をつくっていくことにつながる」と児童らに呼び掛けた。

 写真説明・戦争の犠牲者に黙とうする児童ら=20日、宮島小学校

戦争の悲惨さ学ぶ/多良間中
意見発表やビデオ放映
 【多良間村】多良間村立多良間中学校(知念安則校長)は十六日、同校体育館で平和集会を行った。生徒たちは集会を通して戦争についての関心を持ち、戦争の恐ろしさや平和の尊さを学んだ。
 会では、戦場の幼子や戦後の苦難など人間ドキュメントを撮影したビデオ「戦場の童」を放映。生徒たちはビデオを通して戦争の悲惨さを学んだ。
 また、生徒代表の言葉として仲間美稀さん(一年)、知念愛理さん(二年)、手登根唯さん(三年)がそれぞれ発表。慰霊の日に向けて思うことや、長崎記念資料館を見学して感じた平和の尊さについて述べた。
 同日、知念校長による「平和学習」授業も行われ、生徒たちは知識を深めていた。

 写真説明・生徒たちは折りづるを通して平和の尊さについて学んだ=16日、多良間中学校体育館

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市有地での営業禁止/吉野海岸市が立て看板を設置

 シュノーケリングなどで全国的に知られる観光名所・吉野海岸の管理問題で、宮古島市(伊志嶺亮市長)はこのほど、海浜近くの市有地や市道区域内におけるレンタルおよび食料品販売の一切を禁止する立て看板を海浜内に設置した。ただ、二十日現在も一部業者による営業活動は続けられている。宮古島市は今後も注意や指導を徹底していく方針だ。
 立て看板には「市有地および市道区域内において遊泳用具等のレンタルおよび食料品等の販売行為を一切禁止する」と明記している。同海岸を管理する「ふるさと村」の要請などを受けて、市が市有地にかかる海浜で営業活動を行わないよう指導した格好だ。
 同海岸は日々、観光客を含む多くの利用者でにぎわう観光名所。管理している「ふるさと村」はがけ上に設置されている有料の駐車場やシャワーやトイレも管理し、駐車料を支払った利用者は専用のシャトルバスで海浜まで送迎している。
 そのがけ上で複数の業者がレンタル業を行っているが、一部の業者が海浜で営業しているため、ふるさと村が市に対して改善を求めた。市はふるさと村の要請に理解を示して立て看板を設置、担当課は今後も注意や指導を続けていく方針だ。このような改善命令は旧城辺町も出していた。
 同海岸管理問題については、開会中の市議会六月定例会一般質問で複数の議員が質問する旨を通告している。この質問に対する市当局の答弁内容が注目される。

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宮古初、仲村渠さんら4人/パン作り講師認定証を取得
「手作りのおいしさ伝えたい」

 「エンジョイプランナー1・2・3…」(下地勝子プランナー)の手づくりパン教室に通う生徒四人がこのほど、ジャパンホームベーキングスクールの講師認定証を宮古で初めて取得した。取得した生徒と同教室の講師らは十八日、報告会を開き、手作りのパンを食べながら喜びを分かち合った。生徒らは「あきらめずに勉強を続けたかいがあった。これからもずっとパン作りを続けていきたい」と口をそろえた。
 認定証を取得したのは仲村渠文子さん、平良洋子さん、小禄初美さん、来間優子さん。四人がパン教室に通い始めたのは七年前で、月に一回、ジャパンホームベーキングスクール準師範である川満康子講師が那覇から来島。パン講師育成のカリキュラムを実施し、宮古のパン教室から初めての講師資格の取得者が誕生した。
 資格を取得した小禄さんは「試験前は毎日パンを焼くことがつらく感じることもあったが、子どもにおいしいと言ってもらえることが一番の励みとなり続けられた」と振り返った。来間さんは「子どもを集めたパン教室を開くことが夢。手作りのおいしさを伝えていきたい」と声を弾ませていた。下地プランナーは「宮古から資格が取得できる場をつくることが夢だった。夢がかなえられてうれしい」と喜びを話した。

 写真説明・講師認定証を取得した(左から)平良さん、来間さん、仲村渠さん、小禄さん、手前は講師の川満さん、プランナーの下地さん=18日、「エンジョイプランナー1・2・3…」教室

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