200平成18  618 日曜日

地方交付税削減にノー/那覇で危機突破総決起大会
市町村長らが決議採択

 【那覇支局】県自治体代表者会議(議長・稲嶺恵一知事)と県地方分権推進連盟(会長・外間盛善県議会議長)が共催する「地方自治危機突破沖縄県総決起大会」が十七日、那覇市の自治会館で開かれた。市町村の首長、市町村議会議長や議員、市町村行政職員らが多数出席。地方自治体の財政が逼迫する中、地方交付税削減など政府が進める国の財政再建策に対し、「地方の切り捨てだ」などの声が相次いだ。大会では▽財源保障機能・財源調整機能の堅持▽削減ありきの地方交付税見直しを絶対に行わない▽必要な地方交付税の総額を確実に確保する―などを求める決議を全会一致で採択。ガンバロー三唱で気勢を上げた。
 決議は、地方交付税の大幅削減や見直し議論に関して、「歳入の三〇%以上を地方交付税に依存せざるを得ない市町村が半数を占め、離島県である上に広大な米軍基地の存在で厳しい行財政運営を強いられている本県にとって、到底看過できるものではない」と強調。地方交付税のあり方について、▽財源保障機能・財源調整機能を堅持すること▽離島・過疎地域においては財源に乏しく、地理的・自然的条件により行政経費が割高になるなどを踏まえ、地方の意見を十分に反映させること―などを求めたほか、沖縄の補助制度に係る特別措置を引き続き講じることや国と地方の協議の場の法制化なども明記した。
 冒頭のあいさつで稲嶺知事は、国の財政再建を優先する地方交付税削減などの議論を「地方軽視」とし、「小規模自治体では、基本的な住民サービスを維持することも困難になる可能性があり、これ以上の地方交付税削減や見直しは、地域社会の存立さえも揺るがしかねない極めて憂慮すべき状況」と力を込めた。外間議長も同様に危機感をあらわにし、県市長会長の翁長武志那覇市長、県町村会長の宮城篤実嘉手納町長もそれぞれ、地方自治の危機突破へ決意を表明した。
 意見発表では市町村の首長らがそれぞれの立場から意見を述べた。特に人口と面積を基に、地方交付税を算定する「新型交付税」について、批判の声が多かった。県離島振興協議会の仲村三雄座間味村長は「新型交付税が導入されれば、県内市町村で百四十一億円の交付税が減少するという県の試算もある。中でも離島では二五%以上減少し、現在の交付税より半分になるのが五自治体もある」と指摘。「離島の発展が県の発展につながるよう、離島の声を聞いてほしい」と述べた。
 与那国町の外間守吉町長は「地方軽視の議論は間違っている。早晩、地域社会が崩壊するのは火を見るより明らか。このようなことは絶対にあってはならない、すべての離島の問題だ。新型交付税は制度そのものを抜本的に検討し直すべき」と語気を強めた。このほか、合併市町村を代表して、南城市の古謝景春市長、北部地区代表の大城勝泰恩納村議会議長らも意見を述べた。
 衆議院議員の仲村正治、嘉数知賢、西銘恒三郎、安次富修、下地幹郎、照屋寛徳の各氏、参議院議員の西銘順志郎氏も出席。このうち仲村氏が「全国の自治体が、均衡ある発展を続けていけるような交付税方式をぜひとも守っていかなければならない」と述べるなど、県や市町村の訴えに理解を示し、県選出国会議員が協力して取り組んでいく考えを強調した。
(砂川拓也)
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宮工 全国一早い勝利/高校野球沖縄大会が開幕

 第八十八回全国高等学校野球選手権沖縄大会(主催・県高校野球連盟など)が十七日、北谷公園野球場など沖縄本島四会場で開幕した。同野球場で開会式直後の第一試合に登場した宮古工業高校は、北部工業高校を圧倒し、21―0でコールド勝ち。全国で最も早い一勝となった。期待された宮古高校は那覇西高校に6―7で逆転負け。翔南高校も力を発揮し切れず、浦添工業高校に3―10で敗れた。


 写真説明・宮工―北部工、宮工は17安打で21得点する猛攻を見せた=17日、宜野湾市立野球場



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宮工、21得点の猛攻/北部工に5回コールド

宮工
 09417 21
 00000 0
北部工
 ※五回コールド
(宮)砂川貴、下地周、友利―仲間
(北)比嘉、大城―野原
▽三塁打=下里和B(宮)
▽二塁打=仲間A、大浦A(宮)
 【評】自力に勝る宮工が北部工から、17安打で21点を奪う猛攻を見せた。
 初回は互いに無得点だったが、二回、宮工は仲間の二塁打に始まり、相手の失策や四死球も絡んで9得点。その後も次々と加点した。宮工の1番・下里和は4打数で3本の三塁打、5打点と活躍した。
 守っては三投手の継投で、北部工打線に1安打しか許さなかった。
 

日本一早い¥泓に沸く/宮工、次戦へ課題は走塁


 全国で最も早い県予選の開幕試合で、宮工は全国一早い勝利校となった。糸数辰信監督が「生徒たちとも全国で一番の勝利チームになろうと話し、みんな意識していたと思う」と言えば、下地周主将は「今のチームでの初勝利が、日本一早い勝利。うれしいの一言です」。夏、五年ぶりの白星の味をナイン全員でかみしめた。
 「力はこちらが上だろうとは思っていた」(糸数監督)という分析だったが、ふたを開ければ思わぬ大差。しかし、相手のミスに助けられての得点も多く、下地は「自分たちの細かいミスをなくさないといけない」と話す。
 糸数監督の思いも同じだ。「勝つことに慣れていないために、大量得点で浮かれてしまった。相手のミスで自分たちも気が抜けてしまった」。タッチアップなどの状況判断の悪さを指摘し、「二回戦では一つの塁を進めるかどうかが、勝利のカギになる」と気を引き締める。
 ナインの目標は、第一シード・中部商業との対戦だ。順当なら三回戦で激突することになる。「自分たちの野球をするためになにができるのか。この試合を反省し、一週間しっかり練習して次の試合に勝ちたい」と下地。優勝候補との対戦は、すぐ目の前だ。(砂川拓也)

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宮高、逆転負け/那覇西に6―7

宮高
200000400 6
10000204X 7
那覇西
(宮)下地孝、松川―下地翔
(那)金城洋、稲福、金城洋―高良
▽三塁打=砂川良A(宮)、照屋(那)
▽二塁打=小禄(宮)、屋比久、山城、垣花(那)
 【評】前半は宮高・下地孝、那覇西・金城洋が、走者を許しながらも得点させない粘りの投球。六回に那覇西が2点を奪い逆転したが、七回、宮高はすぐさま4点を挙げ再逆転。そのまま逃げ切るかと思われたが、下地孝が踏ん張りきれず、リリーフした松川もつかまるなど一挙4失点で敗れた。宮高は前半の好機に突き放すことができなかったのが痛かった。

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翔南序盤のリード守れず/守備乱れ8回コールド負け

翔南
 21000000 3
 00401302x 10
浦添工
 ※八回コールド
(翔)猪澤―高良
(浦)金城、多賀―勝連
▽三塁打=池宮城(浦)
▽二塁打=奥原(翔)、池宮城A(浦)
 【評】翔南は二回までに3点をリードし、エース猪澤も無難に立ち上がる理想的な展開。しかし三回、課題としていた守りが乱れて浦添工に逆転を許すと、その後も失策やバッテリーエラーなどが絡んで失点し、持ちこたえることができなかった。浦添工は金城、多賀の継投で翔南打線を5安打に抑えた。


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 ミヤコチスジノリ成育環境の悪化指摘
香村琉大名誉教授が「保全」講演会

 県内では藻類の分類学・生態学の第一人者で琉球大学名誉教授の香村眞徳県環境科学センター副会長の「沖縄の淡水紅藻類・宮古島産ミヤコチスジノリとその保全」と題した講演会(主催・NPO法人海の自然史研究所)が十七日、宮古島市総合博物館で開かれた。市民ら約四十人が出席し、熱心に聞き入っていた。
 淡水性紅藻のミヤコチスジノリは、一九九九年五月に、香村氏が旧城辺町で発見。その後ミヤコチスジノリのDNAを分析した結果、シマチスジノリと異なった宮古固有の変種と分かった。
 香村氏は「ミヤコチスジノリが生息する場所に、これまで見られなかった別種の藍藻が繁茂しており、今後ミヤコチスジノリの成育状況や水質の調査などを実施したい」などと述べ、ミヤコチスジノリが環境変化で危機状態に直面していることを示唆した。
 ミヤコチスジノリは、コンクリートで囲まれたため池の底にある石などに付着し、長さ数十aのひも状に成育。降雨量が多いときは、地下水がため池に流れ、ため池がオーバーフローしたりするなど、流れがあり常にきれいな地下水のある環境で育つ。香村氏は「なぜ、底一面を覆うように黒っぽい藍藻が発生したのか、まだ原因は分からない。湧水や地下水に変化が起こったのか」と述べ、今後の調査で明らかにしたい考えを示した。
 ため池の下方にある沿岸域では、海藻が異常に繁茂していることから、陸上から流れた水の影響で繁茂した可能性があると予測。陸上から流出した水の成分を分析する必要性があるとの考えを示した。

 写真説明・香村教授の講演に熱心な表情で聞き入る参加者ら=17日、宮古島市総合博物館

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入院重度身障者食費補助廃止か
身障者団体や市議ら疑問視
県の方針受け宮古島市

 重度心身障害者の入院時における食費補助の廃止を決めた県の方針を受けて、宮古島市(伊志嶺亮市長)が市議会六月定例会に身障者医療費助成に関する条例改正案を提出している。市も県と同様、食費補助を廃止するという内容の議案だ。可決されれば八月一日から重度身障者が入院する際の食費は全額自己負担となる。市は「福祉の後退ではなく、サービスを必要としている人に提供していきたい」としているが、身障者団体や一部市議は疑問視。「生きていくための予算だ」などと憤りを隠せない。 
 現行の制度では、重度身障者の入院時の食費補助は県と宮古島市が二分の一ずつを負担、二〇〇五年度の拠出金は約二千万円となっている。市によると、宮古地区には食費補助を受けられる有資格者は千二百―千三百人いるとされている。
 この食費補助を県が八月から廃止することを受け、市は今の定例会に条例改正案を提出。議案書には市重度心身障害者医療費助成に関する条例の中にある「『入院時食事療養費』を削る」と明記しており、担当課の市障がい福祉課では、食費が自己負担となっている障害者福祉施設利用者と入院患者の均等を図ることを理由としている。廃止する食費補助分の予算は障害者自立支援法に基づく市の事業に当てる方針だ。
 市の方針に対し、十六日の市議会文教社会委員会では一部市議らが食費補助の継続を求めた。委員長の佐久本洋介氏は「重度身障者は収入が限られている。この予算は普通の予算ではなく生きるための予算だ」と食費補助の継続を訴えている。一方で財政難ゆえの対応であることを指摘する市議らもいた。
 身障者側の反応について宮古地区身体障害者連合会の会長を務める池間太郎さんは「食費の支援はこれまで通り行ってほしい。障害者自立支援法で障害者の負担は大きくなるばかり」と憤る。その上で、「自治体としてどうするのかを考えてほしい。『予算がない』で終わらせるのではなく健常者も含め、みんなで取り組む意識改革が必要だと思う」と話した。
 今回の重度身障者関係の条例改正案を審議している市議会文教社会委員会は十九日に委員会を開き、提出議案の可否も含めて協議する。
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「規格外」の販売戦略がカギ/ユズでの地域おこしで講演
さきしま経営フォーラム

 第十三回さきしま経営フォーラム(主催・県中小企業家同友会宮古支部)が十七日、市内ホテルで開催された。高知県安芸郡馬路村の馬路村農業協同代表理事組合長の東谷望史さんが馬路村で実践したユズの市場開拓から始まった地域づくりについて基調講演し「市場に出荷できないものをどのように売っていくのかが大切」と話し、規格外の商品における販売戦略の構築が地域おこしにつながっていくと強調した。
 フォーラムは午後二時に開会。はじめに県中小企業家同友会宮古支部の伊山国昭支部長が「立派な宮古島市を建設していくために、これからも頑張っていこう」などと会員らに呼び掛けた。
 この後、東谷さんが講演。今や「ゆずの村」と言われる馬路村の地域おこしの経緯を詳しく説明した。馬路村ではユズを使用した「ポンズしょうゆ」やドリンク、「ゆず茶漬け」「ゆず昆布茶」など、各種商品を通販を活用しながら全国各地に販売している。
 ユズによる市場開拓については「農協という組織は市場に出荷する体制は整っているが、市場に出荷できないものへの対応が身に付いていない。出荷できないユズをどう売るのか。このようにやり方を考えないと組合員は不満を持っている」と話し、組合員、農家に配慮した市場の開拓が地域おこしの道筋の一つになることを強調した。
 また、東谷さんは馬路村について「道路が狭いと感じていたが、お客さんにとってはその狭さが思い出になるということが分かった。これが広くてきれいな道路だとお客さんの印象に残らないのではないか」と話し、地方が持つ特色を生かしていくことも大切だと持論を展開していた。
 講演後はフォーラムの参加者がグループ討論を行い、経営について研鑚を積んだ。

 写真説明・東谷さんの基調講演を聞き研鑚を積んだ会員ら=17日、ホテル共和

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島一周100キ ロに挑戦
宮古島市誕生記念ウオークに60人

 宮古島市の誕生を記念した「宮古島一周(百`)健康づくりウオーキング」(主催・市福祉保健部)が十七日、平良庁舎前をスタートした。市民や市役所職員など約六十人が参加し、目的地を目指して楽しくウオーキングした。
 このウオーキングは、「自分の健康は自分で守る」という観点から健康についての意識向上を図り、「健康・福祉のまちづくり」の実現を目指すのが狙い。八月五日まで計八回の日程で百`踏破を目指す。スローガンは「景観を楽しみ・交流を深め・元気いっぱい・笑顔で歩こう宮古島」。
 同日、参加者は血圧をチェックした後、平良庁舎で出発式を行いスタート。思い思いのペースでウオーキングを楽しみながら、サンセットコース、下地保健福祉センター、下地ツノジ児童公園まで十一`の道のりを目指した。
 冒頭、福祉保健部の池村直記部長は「地域の景色を眺めながら、心のリフレッシュを含めて自分の体と相談しながら良い汗を流してほしい」とあいさつ。激励に訪れた下地学助役は「自分の健康は自分で守るという意識を向上させて、しっかり取り組むことは何よりも大事なこと。健康福祉のまちづくりにみんなで積極的に参加し、健康でいましょう」と呼び掛けた。
 次回は二十四日、午後五時に下地ツノジ公園に集合し、同五時半出発。十三`を歩き、上野ドイツ文化村を目指す予定。

 写真説明・思い思いのペースでウオーキングを楽しむ参加者ら=17日、宮古島市平良

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