200平成18  616 金曜日

酒かすからバイオエネルギー/市が実証モデル事業開始へ
瓶洗浄蒸気と有機肥料化に利用

 宮古島市は今年度、国の「バイオマスの環づくり交付金」を活用して、酒造工場で泡盛製造の際に排出される酒かすを発酵させ、エネルギー(ガス)化するモデル事業をスタートさせる。ガス化によって瓶洗浄用の蒸気を発生させ、また発酵後は有機肥料や飼料としても利用する計画だ。
 今年度は市議会六月定例会に提案した補正予算に事業費二億五千七百二十七万七千円を計上しており、次年度を含めた総事業費は四億八千四百十一万五千円を見込んでいる。市では「バイオマス・エコアイランドに向けた第一歩」と意気込んでいる。
 本事業は京都議定書に基づいて政府が二〇〇二年に閣議決定した「バイオマスニッポン総合戦略」を受けたもので、これまで市では国や県、琉球大学によるバイオマスエネルギーの実証実験が行われている。また、りゅうせきや沖縄製糖によるE3燃料の実証実験も行われている。
 市では今年度中に「宮古島市バイオマスタウン構想」を策定することにしており、次年度からは構想を基にした「バイオマスタウンの構築」に着手する方針。本年度着手する酒かすのメタン発酵処理によるエネルギー活用システムは、バイオマスタウン構築の先進的かつ象徴的取り組みとなる。
 現在、市内の大手酒造会社では製造過程で排出される酒かすの処理に苦慮しており、農家に依頼して、肥料代用としてそのまま畑に流し込んでいるのが現状だという。今回の事業導入は、酒造会社の要望に対して、市が事業メニューとして「バイオマス環づくり交付金」を選定し、国に働き掛けて事業化したもので、国側も積極姿勢で、前倒しで事業を進め今年度内の本格稼働の可能性もある。                                (恩川順治)

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「自分の島、なぜ汚す」/不法投棄現場を確認

 県と関係機関合同の二〇〇六年度の第一回産業廃棄物不法投棄等県下一斉パトロールが十五日、宮古島市平良で行われた。宮古福祉保健所や宮古島警察署、宮古島市など五機関から約三十人が参加。大野山林や荷川取など四カ所の不法投棄現場の現状を確認した。不法投棄は農道の茂みなど人目が付きにくい所に多く見られた。参加者らは「なぜこんな場所に捨てるのか理解できない」と住民のモラルの低さに強い憤りを示していた。
 同パトロールは県を中心に市や警察など関係機関が協力して一九九八年度から行われている。産業廃棄物の不法投棄防止や不適正処理の防止を図ることが目的。
 出発式が宮古福祉保健所で行われ、上原真理子所長は「県内での不法投棄の三分の一が宮古で占めており、より一層の取り組みが必要。関係機関が連携を取り適正処理を推進しましょう」とあいさつした。
 出発式後、一行は大野山林の不法投棄現場に移動。テレビや冷蔵庫、家庭からのごみなど一般廃棄物が多く見られた。また、五月末に発見された荷川取の不法投棄現場では、歩道から二、三bほど低くなった場所に建築廃材や家庭ごみが大量に投げ込まれ、異臭も放っていた。
 不法投棄現場を目の当たりにした上原所長は「とても情けない思いをした。自分たちの島をなぜ汚すのか理解できない」と話した。
 ある参加者は「不法投棄は五年以下の懲役または、一千万円以下の罰金に処される。犯罪ということを認識してほしい」と強い口調で語った。

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 池村(伊良部2年)が走り高2位/高校陸上南九州予選
インターハイ出場権得る

 第五十九回全国高等学校対校陸上競技選手権南九州地区予選大会が十五日、沖縄市内の県総合運動公園陸上競技場で行われ、伊良部高校二年の池村良が男子走り高跳びで1b93をクリアし二位に入賞した。その結果、八月一日に大阪府で開催される高校総体全国大会(インターハイ)の出場権を得た。池村は「目標の全国大会出場が決まって素直にうれしい。楽しみながら跳べた」と喜んだ。伊良部高校から陸上競技の全国大会出場は開校以来初めて。
 県大会で自己ベストの1b95をマークしていた池村。順調に試技をクリアし1b96に挑んだが惜しくも失敗。同じ記録で三人が並んだが試技の回数などで二位となった。池村は「記録は満足していないが順位が良かった。全国大会では自分の跳躍をして記録を残せるよう頑張りたい」と意気込みを語った。
 指導する兼箇段賢監督は「二週間ほど雨で思うように練習ができず本人も不安を感じていた。緊張感を楽しみながら試合に臨んでいた」と述べた。
 この日は男子四百b予選で新城三智也(宮工三年)が51秒83で五位、女子四百bリレーで宮高(平良翔子、石垣文香、狩俣綾音、新城茉莉子)が53秒35で五位に終わりそれぞれ予選突破は果たせなかった。
 また、女子千五百bに出場した西辺中出身の仲間千華(南部商三年)は4分49秒40の予選10位に終わった。

 写真説明・1メートル93センチをクリアする池村=15日、県総合運動公園陸上競技場

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佐和田功さん(仲原)が最高賞/宮古地区子牛共進会

 二〇〇六年度六月期の宮古地区子牛共進会(主催・宮古和牛改良組合)が十五日、JAおきなわ宮古家畜市場で開かれた。各支部で選考された子牛五十三頭が出品され、審査の結果、佐和田功さん(仲原)の所有する「ちはる」が最高賞に当たる県畜産振興基金公社理事長賞に輝いた。団体賞は城辺支部が獲得した。出品した農家らは各支部の改良技術を学び、それぞれ良質牛の生産に向けて決意を新たにしていた。
 同共進会は優良子牛を選抜保留し、計画交配と併せて農家の改良活動を強化することで、和牛改良を促進し、経済性を高めることが目的。
 宮古家畜保健衛生所や宮古郡農業共済組合、JAおきなわ宮古地区営農センターの職員が出品牛の発育度をチェック。体積を調べたほか、全体のバランスや被毛の質なども厳しく審査し、各類の順位を付けた。
 この結果、最高賞は佐和田さん所有の「ちはる」が受賞したほか、県牛削蹄師協会宮古支部長賞には砂川博一さん(上区)所有の「ふじまつ6」が輝いた。
 開会式で砂川博一組合長は「経済性の高い母牛を保留し、年間競り売り上げ三十億円の目標を早期に達成しよう」とあいさつした。
 結果は次の通り。(敬称略、かぎかっこ内は子牛名)
 【第一類】▽優等賞=佐久川文雄(西東)「きくまろ」▽一等一席=伊山利吉(島尻)「てるみ」▽一等二席=山口幸徳(豊原)「みゆき」▽二等一席=川満稔(嘉手苅)「こころ」▽二等二席=新城健(新城)「やすこ」▽二等三席=仲地昭仁(与那覇)「まりあ」
 【第二類】▽優等賞=砂川博一(上区)「ふじまつ6」▽一等一席=佐久川文雄(西東)「あやこ」▽一等二席=友利盛義(友利)「さくらこ」▽二等一席=渡真利弓子(新里)「おゆみ」▽二等二席=荷川取繁(高千穂)「あかね」▽二等三席=仲宗根玄俊(東添)「あいは」
 【第三類】▽優等賞=佐和田功(仲原)「ちはる」▽一等一席=下地正吉(高田)「ひとみ」▽一等二席=伊波広次郎(長中)「ひめの」▽二等一席=友利肉用牛生産組合(友利)「ゆいか」▽二等二席=保良絹子(来間)「えつこ」▽二等三席=下地玄興(東添)「のんちゃん」
 【第四類】▽優等賞=砂川忠弘(豊原)「あきえ2」▽一等一席=新里景一(吉田)「みらの」▽一等二席=伊良部勝一(久貝)「めぐみ」▽二等一席=砂川博一(上区)「かみまつ5」▽二等二席=喜屋武隆(東添)「なみたか」▽二等三席=川満敏昭(与那覇)「るるど」
 【第五類】▽優等賞=松原清英(吉田)「きなこ」▽一等一席=伊良部都(新里)「みみだい」▽一等二席=川田豊作(豊原)「みずえ」▽二等一席=来間辰夫(入江)「やすこ2」▽二等二席=古謝弘(長南)「かつみ」▽二等三席=阿波根正一(島尻)「ももかつ」
 【第六類】▽優等賞=新里清昌(高田)「けいし」▽一等一席=喜屋武則吉(上区)「しげみ」▽一等二席=新城健(新城)「はるみ」▽二等一席=新里喜美男(新里)「はるか」▽二等二席=前川忠彦(西里)「はなこ」
 【特別賞】▽県畜産振興基金公社理事長賞=佐和田功(仲原)「ちはる」▽県牛削蹄師協会宮古支部長賞=砂川博一(上区)「ふじまつ6」
 【団体賞】▽優勝=城辺支部▽二位=上野支部▽三位=平良支部▽四位=下地支部

 写真説明・各支部の代表牛53頭が厳しい審査を受けた子牛共進会=15日、JAおきなわ宮古家畜市場
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下地島、多良間島に観測機器設置
豪雨・暴風の量的予測研究へ

 台風に伴う豪雨と暴風の量的高精度予測を目指す観測プロジェクトが、下地島と多良間島で始まっている。名古屋大学・地球水循環研究センター助教授の坪木和久理学博士が代表を務める研究組織がこのほど宮古入りし、両地域に降雨観測用ドップラーレーダー(観測機器)を設置。研究では、地域の雨の特性や台風の構造が明らかになる科学的成果が期待されるほか、台風に伴う豪雨災害の軽減への貢献につながるという。
 この研究は、台風に伴う降雨帯の構造とその形成メカニズムを調べ、台風の豪雨と暴風の量的高精度予測を行うことが目的。研究組織は、名古屋大学・地球水循環研究センター、京都大学・防災研究所、沖縄亜熱帯計測技術センターの三団体六人の研究者が携わっている。
 同研究組織は、二〇〇八年三月三十一日までの期間、下地島と多良間島の二台の観測機器を連動させて研究を行う。雨量の多い梅雨の時期に合わせて設置した。坪木博士によると、特に、下地島と多良間島に一台ずつ設置された機器の観測範囲が重なり合う部分で、雲の中の雨風の詳細な分布が分かるという。
 
多良間島(左)と下地島(右)に設置された降雨観測用ドップラーレーダー
(写真は坪木理学博士提供)



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農場借りてスイカ栽培/管理から販売まで農業を実体験
宮平君(宮農3年)

 宮古農林高校生物生産科三年生の宮平浩幸君が、学校の農場を借りて育てたスイカを十五日、即売した。自ら「小作」を申し出て、栽培から販売まで農業経営を実際に体験した生徒は宮平君が初めて。担任の仲里一彦教諭は「宮平君のような生徒が、どんどん出てきてほしい。農業は自分でやることが一番の勉強になる」と、頑張りをたたえた。
 幼いころ祖父の農業を手伝った経験から、農業が大好きになったという宮平君は、「農業をやりたい」という気持ちが高じて学校に農場の「小作」を申し入れ。学校が受け入れ、「小作農業(十五e)」は昨年暮れのカボチャから始まった。カボチャは今年二月に収穫し十二万円を売り上げ。次いでスイカの栽培となった。
 スイカは今年の四月一日に五百本を定植。早朝や放課後に栽培管理に精を出し六月八日、初収穫にこぎ着けた。約四百個・収穫率八割が見込まれるという。果重も大きいもので九・七`、平均六`と上々の出来栄えとなった。
 即売は同農場の入り口で行われ、試食した人たちは「みずみずしくて甘い」と太鼓判。通りがかりのドライバーらが車を止め次々に買い求めていた。
 宮平君は「農業は収穫の時が一番うれしい。将来は農業をやりたい」と目を輝かせていた。
 カボチャとスイカを合わせた販売見込み額は約四十万円で、費用を差し引いたもうけは約三十万円だが、利益は県に納める。
 宮平君は、今回の農業経営学習の成果を、七月の県学校農業クラブ大会で発表する。

 写真説明・笑顔いっぱいにスイカを売る宮平君(右)=15日、宮古農林高校第2農場
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