200平成18  610 土曜日

予防接種DPT/期限切れワクチン接種
多良間村で乳・幼児2人に
村、医薬品卸業など関係者が住民説明会

 【多良間】多良間村に住む乳幼児二人に、有効期限の切れた破傷風などの予防接種DPTワクチンが誤って接種されていたことが九日までに分かった。これまでのところ、乳幼児の健康被害などは出ていないという。納品した医薬品卸業の琉薬は期限の確認ミスを認めており、同日、同村を訪れて謝罪。同日夜には、村中央公民館で、村、宮古福祉保健所、琉薬、医薬品メーカーの化学及血清療法研究所(化血研)の四者合同で住民説明会を開き、接種された乳幼児の保護者を対象にワクチンに関する情報提示や副作用、今後の体制などについて説明。理解と協力を求めたが、保護者らからは「このような単純なミスは未然に防げたはず」と非難の声が上がった。

 ジフテリア、百日ぜき、破傷風のワクチン三種を混合したDPTワクチンは、五月三十日に多良間村主体で実施した予防接種で使用された。接種を受けたのは生後七カ月から六歳の乳幼児、幼児ら二十人。
 卸業である琉薬が五月二十九日に出荷したワクチン十七本のうち、十六本は〇七年四月二十七日までの期限、うち一本が〇六年四月二十六日で期限の切れたワクチンだった。ワクチンの有効期限は二年間。琉薬は再チェックで今月五日に同事実を把握。村に連絡して使用する際の注意を促したが、すでに五月三十日に予防接種は実施された後だった。
 ジフテリアなどの基礎免疫をつくるDPTワクチンは、生後三カ月から生後九十カ月の間に三回接種するのが理想といわれている。同ワクチンを製造したのは熊本に本社を置く化学及血清療法研究所。
 一本のワクチンには一t入っており、一人当たりの接種量は〇・五tであることから、一本のワクチンは二人分の容量となる。五月三十日に行われた予防接種には二十人の乳幼児が接種を受けていることから、出荷した十七本のうち一部のワクチンは残っている可能性もある。しかし、期限が一カ月以上も切れていたワクチンは実際に使用されており、状況的にみても二十人のうち二人に投与されていることとなる。
 この事態を受け、同村の下地昌明村長は「ヒューマンミスと聞き、ゆゆしきことで非常にがっかりしている」と驚きを隠さない。「説明会だけで終わる問題でもない。製薬会社、村役場、接種を受けた子とその保護者の三者でもって、今後の対応を進めていきたい」と話す一方、琉薬側の謝罪姿勢に対しては理解を示した。
 琉薬本社(浦添市)は「人的ミスで迷惑を掛けた。現在、管理部、物流部、営業の責任者で安全委員会を七日に立ち上げて対応を進めている。チェックミスで関係者に迷惑を掛けて大変申し訳ない。誠心誠意、謝罪していきたい」としている。
 (具志堅千恵子)

◇住民説明会までの経緯
2006年5月29日
 
琉薬が期限の切れた一本を含む17本のワクチンを出荷
同月30日
 
期限切れのワクチンを使用した予防接種が実施
6月5日
 琉薬の再チェックにより期限切れワクチンの出荷事実把握
同日午後
 琉薬が村に連絡後、村が保健所に事実報告
同月6日
 琉薬の担当者、琉薬宮古営業所長、化血研の担当者が村を訪れ、実態調査を状況説明
同月9日
 琉薬の神谷朝雄専務ら4人が村役場を訪れ、助役や保健所の担当者らと対応を協議
同日午後7時30分
 4者合同による住民説明会top.gif (811 バイト)
 

宮古島のゴーヤー使用/「ゴーヤとたまごのスープ」発売
味の素

 味の素(本社・東京、山口範雄社長)は、宮古島産のゴーヤーを使用した「ゴーヤとたまごのスープ」を発売している。同社の北村雅宣加工食品部長、宮古島でゴーヤーの契約栽培を行っている宮古島サンSUNファームの太田健介代表らが九日午後、宮古島市役所に伊志嶺亮市長を訪ね、現況を報告し、今後の協力を求めた。
 市が出資する第三セクター・コーラルベジタブル社が、契約栽培されたゴーヤーを冷凍加工し、「ゴーヤとたまごのスープ」の原料として味の素に納入する流れ。北村部長によると、売れ行きは好調で「ゴーヤーが食卓の定番アイテムとして浸透してきている」と説明した。今期は二月からこれまでに二十五dの宮古産ゴーヤーを利用しており、最終的には三十dまで届く見込みだという。

 写真説明 上・伊志嶺市長に現況を説明する太田代表(左から2人目)と北村部長(同3人目)=9日、宮古島市役所

 写真説明 右・宮古島産ゴーヤーを使用したフリーズドライのスープとゴーヤチャンプルー用の調味料
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 「モデル的取り組み重要」/エタノール事業
国、宮古の協力求める/
E3普及向け意見交換

 県バイオエタノール実証事業・関係府省連絡会議が九日、県宮古支庁で行われ、サトウキビの製糖過程で発生する廃糖蜜からエタノールを精製し、ガソリンに混合した燃料(E3)を普及させることで環境負荷の低減を図るバイオエタノールの実証事業について、国の担当者と、宮古島市や民間の地元関係者らが意見交換を行った。ガソリンスタンドにE3用の給油機設置するよう求める給油所経営者の声に対し、経済産業省資源エネルギー庁の安藤晴彦新エネルギー対策課長は「必要な予算措置を講じたい。来年度の予算要求の中に盛り込みたい」と説明。また、「日本の中でE3をしっかり使ってもらえるモデルになるような地域的取り組みが重要」と強調した。

 「沖縄産糖蜜からの燃料用エタノール生産プロセス開発およびE3等実証試験」は、環境省地球温暖化対策技術開発事業としてりゅうせきが委託を受けて進めている。沖縄製糖敷地内設置されたプラントで、サトウキビの製糖過程で発生する廃糖蜜からエタノール(バイオエタノール)を精製し、りゅうせき宮古油槽所内の施設でガソリンに三%混合し(E3)、県宮古支庁や宮古島市の公用車で実証実験が行われている。
 会議では、出席した環境省、農林水産省、経済産業省それぞれの担当者がこれまでの経緯や事業の意義などを説明するとともに、地元関係機関の協力を求めた。
 安藤氏は「インフラ整備については、ある程度国が負担するというのは大前提」と述べ、予算面に加え、制度面でも整備が必要との認識を示した。りゅうせきの担当者は「レギュラーガソリンよりもユーザーメリットのある価格にしていく必要がある。免税や減税などを検討していただきたい」と要望した。
 地元から出席したJAの担当者は、「農家の不利益になるような政策転換はないか。価格制度は維持されるのか。農家が安心してキビを栽培できる環境が大事だ」と不安視した。これに対し、農水省の藤本潔環境政策課長は「バイオエタノールに関しては、製糖工場から出る糖蜜を分けてもらう話であり、農家に直接エタノールになる作物を作っていただくわけではない。所得政策、価格政策は今までと変わらない」と理解を求め、安藤氏は「今の農家の仕事に迷惑を掛けない形でステップアップしたい」と述べた。

 写真説明・E3燃料の普及に向け関係者が意見交換を行った連絡会議=9日、県宮古支庁
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消火、人命救助で5人表彰/市消防本部
「冷静判断、市民の模範」

 宮古島市消防本部(伊舎堂勇消防長)は九日、車両の炎上消火に努めた下里秀光さん、砂川啓幸さんの二人と、海で人命救助を行った平良清さん、平良雅暢さん、砂川大輔さんの三人にそれぞれ表彰状を贈った。同本部の砂川享一次長は「判断が難しい状況で冷静に判断をされたことは感謝に尽きる。市民の模範である」と表彰し感謝の意を表した。
 下里さんと砂川啓幸さんは三日午後、会社(沖縄綜合警備保障)の車でバイパス通りを通行中、路上に止まっている車から煙が出ているところを発見。二人で連携し、消防署へ通報するとともに、日ごろから車載している消火器を用いて消火した。下里さんは「仕事柄、消火器の訓練は行っていたが、本物の現場で消火器を向けたのは初めて。車の爆発の危険も感じたが無事に鎮火し、安心した」と現場の状況を振り返った。
 平良清さんと息子の雅暢さん、砂川大輔さんは四日深夜、平良港第四埠頭で釣りをしていたところ男性が海に転落し、もがきおぼれているところを発見。雅暢さんと砂川さんが海へ飛び込み男性を救助し、清さんは早急に消防署へ通報した。砂川さんは「おぼれている人を発見したときは飛び込む恐怖心は全くなかった。すぐに助けなければと思い、体が動いた」と話した。

 写真説明・表彰を受けた下里秀光さん(前列右)、砂川啓幸さん(同左)、平良清さん(後列右)、平良雅暢さん(同中央)、砂川大輔さん(同左)=9日、宮古島市消防本部 
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「宮古B・P」研究に助成金/有用性「ヒト」での実験が重点
06年度地域新生コンソーシアム研究開発事業
武蔵野免疫研究所

 国の二〇〇六年度地域新生コンソーシアム研究開発事業および地域新生産業創造技術開発費補助事業にこのほど、宮古ビデンス・ピローサ(宮古B・P)の研究開発が採択された。〇六年度は八千六百万円、〇七年度は四千三百万円の助成を受け宮古B・Pの研究・開発が行われる。一九九六年から宮古B・pの研究に取り組んでいる武蔵野免疫研究所の吉田八束代表取締役は、この事業を活用し宮古B・Pの有用性を「ヒト」で実験することに重点を置き研究に取り組む決意を示した。

 事業採択は九日、宮古島市の伊志嶺亮市長、武蔵野免疫研究所の吉田代表取締役らが会見を開き報告した。研究のテーマは「宮古ビデンス・ピローサを用いた特定保健用食品の研究開発」。高血糖症や花粉症に対する宮古B・pの有用性を「ヒト」での試験で確認していく方針を説明し、その上で「医療機関においても信頼される真に健康生活に役立つこれまでにない保健用食品を確立し、新しい産業の育成を企図する」などとしている。
 伊志嶺市長は「事業が国に認められ、研究が継続できることは良い結果と受け止めている。この事業が宮古の大きな産業となり、地域の発展につながることを期待している」と話した。吉田代表取締役は「島おこしのために、一歩でも二歩でも前進していきたい。宮古島市の期待に応えられるよう頑張りたい」と決意を話していた。

 写真説明・国の事業採択を報告した伊志嶺市長(左から2人目)と武蔵野免疫研究所の吉田代表取締役ら=9日、宮古島市役所平良庁舎
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宮古羽衣会が準V/西日本G・G徳島大会
「来年は優勝」と意気込み

 グラウンドゴルフ愛好者らで構成する宮古羽衣会(山崎光見会長)は五月二十七−二十八日に開催された「第十
五回西日本グラウンド・ゴルフ徳島大会」(主催・徳島県グラウンド・ゴルフ協会)に出場し、団体戦で準優勝に輝い
た。同会は九日、結果報告会を行い、山崎会長は「まさか準優勝できるとは思わなかったのでとてもうれしい」と喜
びを話した。
 同大会には西日本から約千二百人の出場者が参加。団体戦は二百チームが参加し、熱戦を展開した。
 宮古羽衣会は同大会に出場するのは初めて。同会からは九人が出場。六人は団体戦に、三人は個人戦に出場
した。
 団体戦に出場した下地盛長さん(70)=平良字下里=は「気軽な気持ちで参加したことが準優勝という結果につな
がった。来年は優勝を目指したい」と目標を語った。また山崎会長は「無駄がない試合運びを見て、大会運営の仕
方も勉強になった。選手たちのマナーも良く見習う点がとても多かった」と話した。

 写真説明・団体戦で準優勝に輝いた宮古羽衣会=9日、平良地区

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