200平成18  6 金曜日

乳がんの早期発見に/最新鋭マンモグラフィー設置
県立宮古病院

 県立宮古病院(安谷屋正明院長)放射線科で六月から乳腺外来がスタートした。早期発見に効果的なマンモグラフィー(乳房専用のX線撮影)を設置し、受診外来を開始した宮古病院では「胸のしこりなどの自覚症状や異常などを感じたら、一人で悩まず技師に相談し、適切な治療を受けましょう」と早めの受診を呼び掛けている。
 女性の二十五―三十人に一人が生涯の間に乳がんにかかるといわれているほど、罹患率が高い乳がん。特に四十代女性に多く目立ち、がん死亡原因の第一位といわれているが、早期発見なら約九〇%が治癒するという。
 マンモグラフィーとは、乳がん発見専用のX線撮影装置。乳がんをはじめ乳房にできる病気をほとんど見つけることができ、しこりとして触れないごく早期の乳がんも発見できるとあり、より精度の高い検査方法として注目され、日本全国に普及し始めている。
 マンモグラフィー診察では、立体的で厚みのある乳房を正しくX線撮影するために、乳房を圧迫板で挟んで撮影する。その際、受診者によって痛みを感じる場合もあるが、圧迫板は一定以上の圧力がかからないように設計されており、撮影は短時間で終わる。
 宮古病院では昨年二月に設置し、同年三月から稼働。同年八月には、県マンモグラフィー検診二次検査医療機関として登録指定を受けた。今年四月には、日本乳癌学会認定医でもあり、県内でも中心的役割として第一線で活躍する上原哲夫副院長が同病院に赴任したのをきっかけに、乳腺外来が開設されたという。
 同病院で受診できるメリットは▽精査を受けに沖縄本島まで行く必要ががなく経済的負担が軽減▽検査後の治療、手術が可能▽女性技師による撮影により、精神的ストレスからの解放―の三点。上原副院長は「これまで一次検診後に異常が認められた患者は沖縄本島の病院での診察を紹介していたが、宮古で乳腺外来を始めることで、地域住民の負担を軽減することができる。認定を受け専門知識を持った女性技師や医師が診療、治療に当たるので、乳房の悩みを持つ人は診察に来てほしい」と強調した。
 放射線技師の浦崎久美子さんは「気持ち良く検査を受けてもらうために、少しでも精神的ストレスを軽減させたい。同じ女性として、早期発見に努めたい」、国仲浩忠技師長は「地域住民の経済的軽減につながるだろう」とそれぞれ述べた。
 診察に訪れていた女性(51)=宮古島市平良=は五年前に乳がんの手術をした。「自分で胸のしこりが気になって、紹介された県立中部病院(うるま市)で手術をした」。手術やその説明と同意を受けるたびに家族は本島へ渡航するため「精神的にも経済的にも負担は大きかった」と振り返る。現在は投薬や定期検査を宮古病院で受診しているとあって「精神的な面でとても安心して治療に専念できる」と話した。
 乳腺外来は毎週月曜・水曜日の午後二時から開始。予約が必要。問い合わせおよび予約は同病院(電話72・3151)まで。(具志堅千恵子)

 写真説明(上)・「自覚症状などを感じたら早期受診を」と呼び掛ける(左から)上原副院長、浦崎技師、外科の末田南医師=8日、宮古病院

 写真説明(下)・乳がん発見専用のX線撮影装置、マンモグラフィー

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姉妹校・復興高級中と交流へ/台湾でホームステイ

 台湾台北市の台北市立復興高級中学校と姉妹校締結し交流を行っている県立宮古高校の生徒と引率教諭、PTA役員ら合わせて二十二人が八日、ホームステイ交流のため台北へ出発した。生徒らは五泊六日の日程で、台北市のホストファミリー宅に宿泊しながら、台湾特有の文化を学ぶ。宮古空港で行われた出発式で友利文香さん(三年)は「日本で経験できないことをたくさん経験し、笑顔で帰ってきたい」と話した。
 両校は一九九九年十二月に姉妹校締結。年ごとに互いに行き来し、ホームステイだけでなく、スポーツや芸能文化でも交流を深めている。昨年は宮古高校で姉妹校締結五周年の祝賀会が盛大に行われた。
 出発式で仲間博之校長は「ホームステイ交流は国際理解教育の一環で、英語圏に限らずアジアに目を向けることも大事。生徒たちは九日に行われる(復興高級中学校の)卒業式にも参加し、式典の違いも体験する。それと授業にも参加、休日には台湾の文化や歴史を学ぶために史跡なども訪ねる予定。短い期間だが、一回りも二回りも成長できるような交流にしてほしい」と話した。
 同行する友利恵徳PTA会長は「ぜひ台湾の文化や歴史を学んでほしい」と激励した。今回は交流委員で市内で歯科医を開業する方肇靖さんも同行する。
 ホームステイに参加する生徒は宮國友理子さん、下地彩さん、上地あかりさん(以上一年)、瑞慶覧公子さん、砂川夕莉絵さん、砂川優里香さん、洲鎌成子さん、平良智代さん、砂川知美さん(以上二年)、小林洋介君、下地一輝君、根間仁美さん、比嘉加奈子さん、友利文香さん、宮城唯さん(以上三年)の十五人。

 写真説明・台北市でのホームステイに出発する宮古高校の生徒ら=8日、宮古空港


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 葬祭場建設など要望/市長に早期実現求める

 宮古島商工会議所(中尾英筰会頭)は八日、宮古島市役所に伊志嶺亮市長を訪ね、懸案の新ごみ処理施設や葬祭場、宮古病院の新築移転などの実現に向け、宮古島市として早急に取り組むよう要望した。伊志嶺市長は「宮古圏域の課題であり、要望の実現に向けてしっかりと取り組んでいきたい」と話した。併せて機構改革の中で担当課を平良庁舎に移す考えがあることを説明した。
 要望の席には中尾会頭をはじめ、砂川恵助副会頭も同席。中尾会頭が要望書を読み上げた。要望書の内容は▽宮古島清掃センターの早期建設▽宮古島葬祭場の早期建設▽平良港湾整備計画の策定▽雇用機会の拡大促進▽県営広域公園の整備▽宮古病院の機能充実▽西里通りの整備事業▽マクラム通りの街路拡幅―の八項目。
 清掃センターについては「地域住民との合意形成に向けて」強いリーダーシップを発揮するよう要望。葬祭場では自然環境に配慮した総合的な施設建設を求めた。
 港湾整備計画の策定は大型クルーズ船の来航など観光需要が伸びていることなどから、計画策定の必要性を訴えた。
 宮古病院の機能充実については「単なる医療機関ではなく、地域の医療機関と連携した二次的医療を中心とする長期滞在型の医療・療養施設としての併設」などを要望している。
 中尾会頭は「宮古島市として新年度に入っているが、市長、そして職員の活躍を市民は期待している」と強調。その上で合併特例債の有効活用を促していた。
 伊志嶺市長は「要望内容は圏域の重要課題で、新市建設計画にも盛り込まれている。要望に応えるために、しっかりと取り組んでいきたい」と各種要望事項に全力で取り組む姿勢を示した。

 写真説明・清掃センターや葬祭場などの早期建設を要望した商工会議所の中尾会頭(中央)と砂川副会頭(右)=8日、宮古島市役所平良庁舎
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新会長・組合長に下地さん
青色申告会と納税貯蓄組合が総会

 宮古青色申告会と宮古青色申告納税貯蓄組合の定期総会が六日、宮古島市中央公民館で開かれ、二〇〇六年度事業計画案・予算案など六議案が審議され、原案通り承認された。任期満了に伴う役員改選では、下地信輔さん(筑登之屋商店)が会長と組合長に選任された。任期は二年。
 下地会長は「青年部を立ち上げたい。個人の商売人の活性化を図り、商店街の復活に向けて努力したい」と意気込みを語った。
 同会の〇六年度予算は前年比二十三万十五円減の四百三十九万九千八百五十九円。事業計画は▽会員増強運動と組織の強化▽指導活動の充実強化▽税制政策活動の推進―など。
 役員は次の皆さん。(敬称略)
 【会長・組合長】下地信輔(筑登之屋商店)【副会長・副組合長】▽堀川政憲(堀川金物店)▽渡久山和子(とくやま洋裁店)【理事】▽上地安増(砂山)▽根間重男(根間文具店)▽天久孝輝(不動産)▽真栄城宏(同)▽粟国忠(粟国商店)▽平良重信(重信民謡教室)▽友利信重(友利メガネ店)▽砂川良三(丸三商会)▽島袋武男(島袋鈑金塗装工場)▽平良滋之(三宝堂)▽野津武彦(不動産)▽山里幸広(みどり写真館)▽楠サチ子(ルックドライショップ)【監事】▽寄川俊男(リビングプラザ寄川)▽池間源三(パナプラザ本店)

 
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たぶろう展で評論家賞/画家の西里恵子さん(城辺)

 東京上野にある東京都美術館で五月三十一日―今月十日まで開かれている美術展「第四十一回たぶろう展」(主催・たぶろう美術協会=神奈川県=)で、画家の西里恵子さん=城辺字福里=が出品した絵が「クリティック賞(評論家賞)」を受賞した。西里さんは「信じられない気持ちでいっぱい。素直にうれしい」と受賞の喜びを話した。
 制作期間は約二カ月。自身の身長よりも大きい100号のキャンバスに描かれた作品のテーマは「繋がっている世界」。宮古島独特の伝統であるウヤーン(祖神の意)祭祀をベースに、西里さんが思い浮かべるイメージをつけ加えて表現し、ダイナミックに世界観広がる作品となっている。
 西里さんは「原則として非公開のウヤーンの世界を、写真で見たことがこの絵を描いたきっかけ」と話す。
 宮古で生活していても知らなかった世界に「この世界(絵)を描きたい」気持ちが駆り立てられ、昼夜問わず気の向くままキャンバスに向かい続けた。「繋がっている世界」は、過去や現在、未来など時空を超えた部分など全部含めた地球を表現したかったいう。
 「絵を描く技術があっても、それを表現したいという心がなければ何もできない。心の健康を保ちながら自分らしく、これからも制作活動に取り組んでいきたい」と笑顔を見せる。
 西里さんのアトリエでは作品の無料見学が可能だが、事前に電話で日程調整が必要。問い合わせアートスペースAQueria(あきゅうりあ)、西里さん(電話77・8810)まで。

 写真説明・賞状を手に笑顔を見せる西里さん=7日、城辺字福里にあるアトリエ

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郷土料理掘り起こしへ/スローフード研究会発足

 農家民宿「津嘉山荘」代表の津嘉山千代さんが会員を募っていた「宮古島スローフード研究会」が八日、発足した。来月から毎月集まり、郷土料理の掘り起こしや新たなメニューの研究を行う。会長は津嘉山さんが務める。
 津嘉山荘で行われた設立式には、趣旨に賛同する三十八人の女性たちが参加。「地元素材を使った健康料理をゆったりと味わう」ことをスローフードの定義として理解し合い、相互の親睦(しんぼく)を深めるとともに今後の活動形態などを確認した。
 津嘉山さんは「沖縄奄美スローフード協会」の会員。「健康な心身は質の良い食事から」との考えに基づき、宮古でも輪を広げようと研究会を立ち上げた。活動は、活用素材を決めて毎月集まり、その素材の有効的な調理法を追求する。津嘉山さんは「予想以上の反響で関心の高さを感じている」と驚きながらも「十人集まれば十通りの料理ができる。昔ながらの料理を継承しながら現代的なメニューにも挑戦したい」と意気込んだ。活動を進める中で、子供たちの食育に役立てたり、オードブル販売や飲食店などへのメニュー提供などの起業化、記録集の発行などを計画しているという。
 この日は、津嘉山さんが化学調味料を一切使わずに料理した「ラフテー」や「トゥナラとピーナツと豆腐の白和え」などを味わいながら、集まったメンバーが自己紹介や意見を交換した。

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