200平成18  6 水曜日

公共事業投資額は241億円/05年度宮古
前年度比38億円減・観光収入を下回る

 宮古地区における二〇〇五年度公共事業投資額(概算)は、前年度に比べ三十七億九千六百二十五万二千円減少の二百四十一億三千百三十万四千円で、ピークの一九九六年度(四百六十八億九百二十九万一千円)の約半分にまで落ち込んでいることが県宮古支庁のまとめで分かった。目立った公共工事がなかったことが要因とみられる。右肩上がりで増加を続ける観光収入は同年度、二百五十億三千五百二十八万六千円で、公共事業投資額が観光収入に逆転される結果となった。
 公共事業投資額は宮古地区における国、県、市町村、関係機関の当初予算を合算したもので工事費ほか委託費、用地費、補償費も含まれる。
 事業別に投資額と構成比を見ると、最も多いのは農業基盤整備事業の六十九億七千七百九十六万七千円(構成比二八・九%)。次いで港湾整備事業関係の四十七億四千八百六十三万一千円(同一九・七%)、道路整備事業関係の三十七億九千九百三十一万八千円(同一五・七%)、都市下水路公園整備街路事業関係の二十八億五千二十三万五千円(同一一・八%)と続いている。
 前年度との増減率で見ると、主な項目で減少率が大きかったのは住宅整備事業関係で前年度比五〇・二%減の五億二千三百五十万七千円。空港整備事業関連で前年度比五〇%減の三千三百六十六万六千円。農業基盤整備事業関係も減少率では三六・三%減と高かった。
 一方で増加率が高かったのは、農業に関する施設整備事業関係の一九・二%増、道路整備事業関係の一六・三%増、港湾整備事業関係の一一・七%増などとなっている。
 宮古地区における公共工事投資額は一九九六年度までは地下ダム関連工事などで上昇の一途をたどり、同年度は四百六十八億九百二十万円でピークを迎えた。
 しかし九七、九八年度は二年連続で減少。九九、二〇〇〇年度でいったんは増加したものの、〇一年度以降は〇二年度に微増となったほかは減少傾向で、〇四年度に初めて三百億円を切る二百七十九億二千七百五十五万六千円となり、〇五年度はそれをさらに下回った。
 県建設業協会宮古支部の親泊秀人事務局長は「道路整備が進み、港湾関係もほぼ済んでいる。〇五年度は大きな事業がなかったので予想はしていた」とコメント。「〇六年度は養護学校の改築工事や伊良部架橋が入ってくる。また、電線類地中化工事も入ってくれば本年度は盛り返してくるのではないか」と先行きを語った。また、調査に入っている地下ダムの第二期工事の動向にも期待を込めた。                              (砂川拓也)

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宮古ブランドに黄信号/マンゴー不作続く

 二〇〇五年度の宮古産マンゴーの収穫量が百二十二dと前年度に比べて百八十八d減少していることが六日、県や宮古農政・農業改良普及センターの調べで分かった。〇六年度産予想も百七十五d(五月現在)で、平年の三百dを大きく下回る厳しい生産状況となっている。着果不良による不作の原因には気象条件や不均等な栽培技術などが挙げられるが、明確な要因は把握できていないのが現状。今や全国各地から注文が相次ぐ宮古島のブランド商品だけに、県など関係機関が原因究明を急いでいる。
 マンゴーの生産実績は六日午後、県宮古支庁の兼城克夫支庁長が開いた定例記者懇談会の中で示された。〇五年度産は栽培面積四十七f、収穫量が百二十二d、〇六年産の見込み生産量は栽培面積四十七fで、収穫量は百七十五dになることが報告された。
 県宮古支庁などによると、宮古産マンゴーの収穫量は二〇〇〇年度から五年間にわたり三百d台を維持してきたが、〇五年度は前年比五〇%以下の収穫量に。着果不良によるものだが、これは県全体の傾向だという。
 宮古産の〇六年度産見込み収穫量から見えるマンゴーの生産状況を宮古農政・農業改良普及センターの本村隆信所長が説明。着果不良の要因については▽気象条件との関係▽日照時間▽開花時期▽ビニール張りの時期のずれ▽樹木の強剪定による開花不良▽肥料過多▽隔年結果―を挙げた。
 気象条件の影響は「花芽分化に必要な二〇度以下の低温になったのは十二月中旬以降だったため花芽分化が遅れた」などと分析。一月中旬からの断続的な気温の寒暖も開花時の受粉不良に影響を与えたとしている。日照時間については「十一月ごろから一日に四―五時間と例年より低めで推移し十二月には一日当たり平均が二・四時間、一月が二・一時間、二月が二時間、三月が一・四時間と極端に少なかった」として、気象条件の変化が着果不良につながったことを説明した。
 そのほか、開花の時期によって着果率が違うことや樹木の剪定方法なども着果不良の原因としているが、これといった明確な原因は特定できていないという。兼城支庁長や本村所長は「気象条件だけでは片付けられない問題だ。県内各地区と情報交換をしながらマンゴーの安定生産を促進していきたい」と話した。

 写真説明・06年度産も不作が見込まれているマンゴー=6日、市内のマンゴー園

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 99歳現役の牛飼い/川満さんに振興功労賞

 九十九歳ながら現役バリバリで和牛畜産業に従事している川満光三さんに宮古地区和牛改良組合から「肉用牛振興功労賞」が贈られた。同賞は長年にわたり組織活動、牛の増頭改良の推進に従事している組合員に贈られるもの。五月に行われた競り市場では、川満さんが育てた牛が五十五万二千円の高値が付けられた。「高値が付くとうれしい。長年やってきたかいがあったなぁと感じる」と目を細める。
 川満さんが牛と出会ったのは十代のころ。はじめは農業用の家畜として飼っていたが、日本が終戦を迎え、政府の補助事業として牛を三頭受け入れたのをきっかけに本格的に肉用牛の畜産業を始めた。青年時代から牛の種付けなどを経験していたこともあり、初めての肉用牛も自分の力で増産していった。
 もちろん現在も毎日の牛の世話は欠かさない。朝、一杯の牛乳を飲んでから一日が始まり、草刈りから種付け、競りに出すのも自らの足で行う。またサトウキビ栽培も行っており、キビ植えやキビ刈りにも精を出す。ぴんと伸びた背筋としっかりとした足並みは、全く年齢を感じさせない。
 「動物は好き。手をかけた分だけ応えてくれる」と八十年以上、共に生活してきた牛への愛情は大きい。

 写真説明・99歳にして現役で肉牛の畜産業に励む川満光三さん

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翔南高初優勝/県高校商業実務競技大会

 宮古勢二十九年ぶりの快挙、翔南高として初の優勝―。第四十四回県高等学校商業実務競技大会(主催・県商業教育研究会)がこのほど、県立具志川商業高校で行われ、県立翔南高校(新崎直昌校長)の珠算部(根間美咲部長)が団体優勝し、個人の部で池間紗也加さん(三年)が優勝した。団体優勝は宮古勢として二十九年ぶり、翔南高として初。種目別競技の見取暗算と読上暗算では砂川勝彦君(同)が優勝を飾った。池間さん、砂川君を含め個人の部で上位入賞した三人は、全国大会および九州大会派遣が決定。八月に新潟県で開催される第五十三回全国高等学校珠算競技大会に県代表で出場する。
 全国大会および九州大会に派遣されるメンバーは池間さん、砂川君、砂川茉莉さん(二年)の三人。個人総合競技の部で、乗算・除算・見取算・応用計算の四種目総合で三人の合計得点が千三百五十点を収めて優勝を果たした。同校珠算部は、昨年の九州大会でも各種目で上位三位に入賞するなど高いレベルを有するだけに、各種目での優勝総なめが期待されている。
 また、同県大会で行われた英文ワープロの部でも、同校英文ワープロ部(平良朋代部長)が団体三位に入賞、七月に佐賀県で開催される九州大会に出場する。派遣メンバーは、部長の平良さん(三年)、新里真理野さん(同)、松原恵利さん(同)の三人で、上位入賞を目指し従来以上に技術を高めている。
 珠算部の根間部長は「毎日難しい問題を解き、みんなで教え合って勉強した。十六連覇が懸かっていた那覇商業高を阻止できてとてもうれしい」と笑顔。池間さんは「去年は九州大会で見取暗算の部で優勝した。今年も優勝を目指して頑張りたい」と意気込みを語った。
 英文ワープロ部の平良部長は「九州大会に初めて出場できるので、練習を重ねて頑張っていきたい。目標は(団体十九位だった)去年の三年生を上回る結果を残すこと」と意欲を見せた。
 珠算部、英文ワープロ部の活躍を受け新崎校長は「商業の子供たちが目標にしてきた大会で、力を発揮できたことをうれしく思う。自分の持っている力を素直に出せれば結果は必ずついてくる」と精鋭らを激励した。

 写真説明・九州大会および全国大会に出場する珠算部の(前列左から)池間さん、根間さん、砂川茉莉さん、(後列左から)砂川勝彦君、英文ワープロ部の松原さん、新里さん、平良さん=6日、翔南高校
 
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県内最大16億円の減額/県の新型交付税導入試算
宮古島市

 【那覇支局】県はこのほど、国が来年度からの導入を検討している「新型交付税」について、導入された際の試算をまとめた。それによると、県内四十一市町村に対する影響は三十五団体が減額となり、最も減額金額が大きいのは宮古島市の十六億三千百八十二万二千円となっている。また、影響額の割合では、多良間村が一八%減で県内六番目。宮古島市は一五%減で十三番目となっている。宮古島市財政課では「合併すれば合併前までの交付金が維持されると聞いていたがどうなっているか分からない」と、新型交付税の導入を不安視している。
 「新型交付税」は、従来の交付税に代わり算定基準を簡単にして、人口と面積を基本に配分するもので、総務省は〇七年度から導入し、現行の交付税と併存する形で三年間で現在の三分の一に当たる五兆円程度とすることで今月中にまとめる「骨太の方針」に盛り込むことを目指している。
 今回の試算では、二〇〇五年度の普通交付税額を基礎とし、人口および面積は二〇〇〇年の国勢調査の数値で算出した。新型交付税は人口と面積のみを基準として配分されるとし、人口と面積の割合は八対二と九対一のケースで実施した。
 八対二の想定では、総額で七十四億円の減少で、うち増加は六団体で八億円、減少は三十五団体で八十二億円となっている。減少団体のうち最も金額が高かったのは宮古島市の十六億円となっている。
 試算の結果を見ると、離島地域や北部町村への影響が大きく、その理由としては「新型交付税」導入に伴い、離島市町村への加算である「遠隔地補正」の廃止や小規模団体への割り増し措置である「段階補正」の見直しが行われる恐れがあり、それも試算の中に盛り込んだことが影響しているようだ。
 来年度からの導入が実現した場合について、宮古島市財政課では「合併すれば合併前の交付税額は維持されるという認識でいる。もし、十六億円も交付税が減額されれば自主財源ではカバーしきれないし、税源移譲もまだ具体的な金額なども分からない状況。結局、歳出を抑えるしかないが今の段階でもそれに苦慮しているのが現状」と述べた。
 そのほか、多良間村は、一億三千六百三十三万四千円の減額で影響額の割合は一八%となり、率では県全体で六番目となっている。 
 人口と面積を九対一で試算した場合は、総額で四十二億円の減少、そのうち増加は十団体で三十三億円。減少は三十一団体で七十五億円となる。これを個別で見ると、増加は那覇市の十五億円が最大、減少では二十三団体が二ケタ減で、八対二試算と同様に離島および北部地域に影響が大きく、金額も宮古島市の十六億円減が最も大きい数値となっている。
 合併した宮古島市、単独自立を目指した多良間村にしても、この「新型交付税」が導入されれば、現状でも厳しい財政状況がさらに厳しくなりそうだ。(垣花尚)

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県内外の131校参加/高校生対象に進学相談会

 高校生を対象とした進学相談会と進学に関する講演会「進学情報フェスタ」(主催・県高校生進学フェスタ実行委員会)が五日、宮古島市内のホテルで開催された。会場には大勢の高校生が詰め掛け、志望する各学校の担当者と真剣な面持ちで面談していた。
 同相談会には、県内外の大学や専門学校など七十八校の担当者が出席し、個別に設けられた席で相談に応じた。資料提供だけの参加校も合わせると、計百三十一校が参加。進学に関する奨学金・教育ローンの説明や、親子で考える進学相談、推薦入試、一般入試傾向と対策などの講演会も行われた。
 訪れた高校生たちは積極的に担当者と面談。資料を見ながら疑問に思った点や学校の魅力を聞くなどして、選択肢の幅を広げた。
 参加した具志堅淳美さん(伊良部高三年)は「子供が好きなので保育士になりたいという目標がある。夢をかなえるためにどの学校に行こうか考えているので、この相談会で資料を集めたり、担当者の話を聞いて比較し、進学する学校を決めたい」と話した。
 主催者側は「沖縄本島に比べ、宮古の高校生は進学に対する意識が高い」と評価。「早い段階で目標を設定し、夢に向かって進学校を決めるのでしっかりしている。ぜひ、進学相談会を有効活用し、進路決定のチャンスにしてほしい」と述べた。

 写真説明・会場には多くの高校生が訪れ、進学に対する関心の高さがうかがえた=5日、ホテルアトールエメラルド宮古島
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