200平成18  6 火曜日

取締役を13人から8人に/空港ターミナル株主総会

 宮古空港ターミナル(下地米蔵社長)の第二十九期定時株主総会が五日、市内平良のホテルで開かれ、取締役全員の任期満了に伴う取締役選任で、取締役を従来の十三人から五人減らし八人とすることを全会一致で承認した。下地社長は「急速に動く社会情勢に対応するための迅速な経営判断を可能にする」と説明した。休会して行われた取締役会で下地社長を再任、専務に元県宮古支庁副参事の上里隆盛氏が選任された。
 取締役の減員について下地社長は「島外にも取締役が多くいて、取締役会を開催する際の日程調整にも手間取っている状況。社会の情勢に迅速な対応をするためにも必要な措置で時代の流れ。加えて世代交代を進めなければならず、そのことも大きな目的」と説明した。
 減員によって退任した取締役は笹森孝一氏(エアーニッポン空港オペレーション統括部長)、中尾英筰氏(とみや商会社長)、友利晃氏(沖縄空輸会長)、野津武彦氏(野津商事社長)、比嘉朝松氏(琉球銀行専務)の五氏。与那覇秀夫専務は任期満了で代わりに上里氏が就任した。
 当期の営業報告書によると、営業実績は営業収入で前期比一二・八%増の六億九千六十九万九千四百五十一円、営業費用が一五・四%増の六億四千九十一万七千四百二十八円で営業利益は四千九百七十八万二千二十三円となった。営業収入はテナント飲食店の撤退や物販テナントの一部返還などにより家賃収入が減ったが、直営店の売上が前期比で五割以上の大幅な伸びとなった。営業費用は直営店舗の増加に伴う費用の増加。経常利益は前期比一四・七%減の三千二十四万六千五百八十三円。繰越損失期間が昨年度で終了したことから法人税が大きく課税されたが、税引き後の当期純利益は前期比二八・二%増の二千八百七十一万八千六百七十四円となった。
 選任された取締役は次の通り。(敬称略)
 ▽下地米蔵(大米建設社長)=再任▽上里隆盛=新任▽伊佐正幸(沖縄公庫宮古支店長)=再任▽出原和正(日本トランスオーシャン航空常務)=再任▽下地義治(共和産業社長)=再任▽下地信輔(丸筑自動車商会社長)=再任▽神里恵亮(シンリー社長)=再任▽下地学(宮古島市助役)=再任         
                                       (恩川順治)
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介護保険 予防サービス開始/サービス量減少で戸惑いも

 改正介護保険法に伴う介護予防サービスが今月から始まった。宮古島市の対象者約九百人のうち、六月からの受給者は約四十人。介護度区分の軽度化により、従来よりサービス量が減少する人が多い。戸惑う本人や家族に対し、新制度の説明や自立へのアドバイス、給付以外の支援体制の確立のほか、各層への周知が急がれている。
 介護保険制度は、今年四月から「予防重視型」に転換された。改正前の区分「要介護1」が「要支援2」と「要介護1」に細分化され、「要支援1」「同2」の人が新予防給付の対象者となる。宮古島市の対象者数は九百人と見込まれており、それぞれの認定更新時から新たな予防メニューが提供される。口腔機能向上や栄養改善など、各自の健康状態に沿ったメニューが計画され、介護給付に比べると本人の金額的負担も軽減される。
 宮古島市では、五月末までに介護認定期限の満期を迎え、更新後の区分が「要支援1」「同2」のいずれかに該当する人たちへの予防給付が六月から始まった。この層が新予防給付「第一期生」となる。介護保険制度の理念における最終目標は、保険給付の世話にならない「自立」への区分変更だ。
 市地域包括支援センターによると、区分の軽度化を機に本人および家族が「自立」を申し出た前向きな例もある一方、渋々納得する人もいるという。同センターの下地勝子さんは「区分の軽度化は健康状態が改善されているということであり、喜ばしいこと。自立に向けた意欲を促すとともに、今後の経過を丁寧に見守ってフォローしたい」と話した。
 あるケアマネジャーは「自立に向けた取り組みに加えて介護保険以外の高齢者施策や人的資源によるサポートを充実させ、すべての年代層に対する新制度の周知を急ぐ必要がある」と指摘した。
 「要介護1」から「要支援2」になった西里マツ子さん(79)は、変更前から週二回のデイサービスしかサービスを利用していなかったため、受給メニューの内容は現行維持のケース。「生活は特に変わらないが『要支援』になったのはレベルが上がったようでうれしい。自分の体は自分で守らないと。『自立』を目指したい」と意欲を語った。
 同センターでは、これから各地区で実施される今年度の住民検診で「特定高齢者」(放っておくと要支援・要介護になる可能性の高い人)を割り出し、地域支援事業の一環として運動機能向上などの介護予防事業を年内にも展開する計画だ。

 写真説明・今月から「要支援2」になり予防給付を受ける西里さん(左)=5日、城辺中央介護支援センター
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 集落営農推進など課題/農業改良
普及推進協 関係者らが情報交換

   農業改良普及推進協議会(主催・県宮古支庁、宮古農政・農業改良普及センター)が五日、旧宮古農業改良普及センターで行われ、主催者をはじめ、JAや農業関係組織、宮古島市、多良間村、各集落の代表者らが、情報を交換し合った。冒頭、宮古農政・農業改良普及センターの本村隆信所長が二〇〇六年度の普及活動基本計画について説明。▽集落営農の推進▽安定的な担い手育成▽新規就農者の確保▽宮古ブランド確立の推進▽環境負荷の低減など環境と調和した農業生産―など課題を示した。
 〇五年度の事業報告の中で、同普及センターの登野盛博一さんは、トウガンの立体栽培について報告した。一般的な栽培法(地ばい栽培)と比較して、全体を色付けするため果実を動かす「玉直し」の作業の必要がなく、腰をかがめることもないため、作業の省力化が図られることや、同じ面積でも株数を多くできることなどを説明。実証を行ったほ場の過去二年の収量(七・二―七・四d)に比べ、推定収量を九・九dと見込むなど、地ばい栽培以上の収量・品質が得られると述べた。課題として、▽資材コスト▽施肥量など栽培技術の確立―を挙げた。
 サトウキビの新価格制度についての意見もあり、サトウキビ生産法人連絡協議会長の辺土名豊一さんは、「以前よりも農家の認識は深まりつつあるが、依然として不安は残っている。JAや関係機関には、生産農家に不安を与えず、安心して増産に励める環境づくりをしてほしい」と要望した。
 会議では普及センターをはじめJA宮古地区営農センター、宮古島市、多良間村、製糖工場、宮古家畜保健衛生所、宮古農林高校などからそれぞれ昨年度の活動実績や本年度の活動計画などが説明された。

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カット分は78人分130万円/消防休日勤務手当

 宮古島市(伊志嶺亮市長)が財政難の事情から、二○○五年度に同市消防本部職員九十七人のうち管理職を除いた七十八人分の休日勤務手当総額百三十万円をカットした問題で、市は消防本部で五日午前、二回目の説明会を開いた。市側は「○五年度は終了しており、支払いはできない」と重ねて強調。一方、消防職員らは「満額支払うべき」と要求。双方の言い分は平行線をたどり泥沼化の様相。円満な解決に向けての糸口は見いだせないまま、次回の説明会へ持ち越した。
 昨年十月に旧五市町村が合併し宮古島市が誕生したことに伴い、旧宮古広域消防組合(全職員七十六人)と旧伊良部町消防本部(全職員二十一人)が統合され同市消防本部の名称で再スタート。
 旧伊良部町は、○五年度の休日勤務手当などの予算を、合併前の九月までの期間で予算化。合併以降の予算を組んでいなかったことから、新市で改めて予算を編成した結果、同手当に支払うべき財源が百三十万円不足した。
 市は、○五年度の予算枠内で支払うべきと判断し、同手当の減額に踏み切った。旧伊良部町消防本部の職員二十人の今年一、二、三月の三カ月分を六○%、旧宮古広域消防本部の職員五十八人の三月分を七○%それぞれカットして支給し、減額された総額は百三十万円。
 この日の説明会には、市の宮川耕次総務部長ら四人、消防職員約五十人が出席した。
 宮川総務部長は減額したことを陳謝した上で「平成十七年度の休日勤務手当は予算の範囲内でしか支払えない。財源が無い」と理解を求め、減額分の支給拒否を示した。
 消防職員らは「消防職員は一般行政職員とは違う。消防職員は生命・財産などを守っており、働いた分の賃金は一〇〇%支払うべき」と強く要求。
 これに対し、市側は「一般会計が赤字になると、国や県は人件費を削減するように指導する。基本給が減らされると、退職後の年金額に影響が出るので、基本給削減は職員の不利となる」と説明し、赤字決算を避けるための協力を求めた。また市側は、自主財源の一つである国から交付される今年度分の地方交付税については増額が厳しいとの考えを示した。
 市が○五年度に消防職員に支払った同手当の総額実績は二千百万円。今年度は千五百五十万円を計上した。
 今年度の予算枠内で、同手当が満額支払われた場合、年度途中から予算が底を突く可能性が高い。市側に、年末・年始の同手当の支給ができるかどうか、今後の対応策が注目される

 写真説明・市側に満額を要求していた消防職員ら=5日、宮古島市消防本部
 
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裁判費用の捻出に汗/産廃処分場火災訴訟
大浦の原告住民がキビ植え

 二〇〇一年十一月に発生した西原産業廃棄物最終処分場火災の際に煙害などにより肉体的、精神的苦痛を受けたとして処理業者と監督責任者の県に損害賠償を求めている大浦の原告住民二十人が、裁判費用捻出のため五日、同集落内の畑十eにサトウキビを植え付けた。同訴訟の口頭弁論は二〇〇三年四月の第一回から、今年五月までに十六回を数え長期化の様相。作物の共同栽培は闘争資金づくりのほか、原告団の結束強化も目的に取り組んでいる。
 畑は原告団長の下地博和さんが五十eを無償提供。キビは昨年九月にも植え付けており、今回は二回目。ほかに落花生やサツマイモも栽培している。落花生は、来月に収穫を予定。キビは来年春に収穫する。
 裁判には弁護士手当や、旅費などの費用を要し、販売代金は同費用に充てる。同裁判は「大浦の裁判を支援する会」(代表・奥平一夫県議会議員)や、在沖郷友会、平良有志会もバックアップするなど、支援の輪が広がっている。
 最終処分場の火災発生から約六カ月の間、大浦一帯には煙がたちこめ、住民らはせきやかゆみ、頭痛などの健康被害を訴えていた。
 植え付けに参加した原告団の一人下地トヨさん(72)は「火災の時は、せきが止まらなくなった。現場の近くに七十eのキビ畑があるが、マスクを着けて収穫したことは一生忘れられない。この問題が一日も早く解決してほしいと願っている」と話した。
 下地団長は「火災現場では、有害物質が検出された。海に流れ込んでいるのも間違いない。今回の裁判では、自然の恵みをどう守っていくかが問われている。宮古島は、飲料水を地下水に頼っており、同火災を今後の教訓にしなければならない」と意義を強調する。

 写真説明・サトウキビを植える原告住民ら=5日、大浦の畑

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「イモ食べて元気に」/お年寄りらにプレゼント

徒らは「僕たちが育てたイモを食べて元気になってください」とあいさつし、お年寄りら一人ひとりに心を込めて手渡した。
 贈られたイモは同校の環境工学科と生物生産学科の「園芸療法」の授業を選択している三年生の生徒たちが栽培したもの。大きく実った三十`分のイモ一つ一つを新聞紙にくるみ、生徒たちがススキで編んだ綱で結びプレゼントした。
 生徒たちが「どうぞ食べてください」と声を掛けながら手渡すと、お年寄りたちは生徒の手を両手で握りしめ「ありがとうね」と感謝。また「イモはてんぷらやご飯と炊くとおいしい。イモ一つで家族のおなかがいっぱいになる」と、食べるのを心待ちにしている様子だった。
 伊礼貞雄さん(89)は「イモは私たちが若いときからの元気の源。生徒さんが育てたイモを食べていつまでも元気でいるよ」と目を細めていた。
 今回の収穫では同所以外に「介護老人保健施設シルバーケア悠々」にもプレゼントされた。

 写真説明・手作りのサツマイモをお年寄りに手渡す宮古農林高校の生徒たち=5日、宮古島市社会福祉協議会城辺支所

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