200平成18  6 金曜日

「当局の考えとずれ大きい」/棚原委員長が辞意表明
市行革推進委員会

 市民の代表で組織する宮古島市行政改革推進委員会(棚原恵照委員長)の第五回委員会が一日、同市役所平良庁舎で開かれたが、委員長の棚原氏が「斬新な改革をしたかったが、私の考えと当局の考えにずれが大き過ぎる。辞任する」と辞意を表明し、退席した。予定されていた「行政改革プラン」の中の、定員管理の適正化についての議論はできずに委員会は終了。行政改革推進本部長を務める伊志嶺亮市長の諮問機関である同委員会の議論がストップすれば、今後の行財政改革推進に支障を来しかねず、市当局は困惑している。
 冒頭、委員会の確認事項として事務局が、「合併協定書等と行政改革の論議を進める基本方針」として、「合併協定書の内容や合併時の五市町村長の申し合わせ事項はできるだけ尊重するものとする」と説明した。これに棚原氏は「『できるだけ』とはどこまでか」と議論を投げ掛けた。
 同委員会は今年三月、組織・機構について、「福祉保健部を平良庁舎に配置する」ことを提言したが、直後の行革推進本部で議論が先延ばしとなったほか、三月定例市議会で、伊志嶺市長が「時期尚早」と答弁するなど、受け入れられなかった。
 棚原氏は、庁議で多数決により提言が受け入れられなかったことを示しながら、「本当に合併協議会で決めたことを尊重するなら、それを徹底的に実施してみて、そこで壁が来たときに、どうするか、というならば良い。何が壁なのかを示さずに、審議をしたら多数決でだめだ、というのであれば、ふそんだ。それなら委員会はいらない」と声を荒げた。
 宮川耕次総務部長は、伊志嶺市長の時期尚早との発言に関しては「引き続き議論をしていく」と釈明。「行革推進本部において、我々はこの委員会の結論を尊重するが、調整しなければできないこともある。議論し、最大限に尊重する。誤解があったのであれば反省する」と陳謝したが、棚原氏には聞き入れられなかった。
 結局、棚原氏はそのまま退席し、委員会は終了。この状況に伊志嶺市長は「あす(二日)、本人と話をしたい」とコメントした。
 この日の委員会では行政改革大綱を基に、具体的な内容を示す「集中改革プラン」の中の、定員管理の適正化について議論される予定だったが、先送りとなった。また、次回委員会については、下地一雄副委員長が代行することとなった。(砂川拓也)

 写真説明・市当局との考えのずれを主張し、辞意を表明した棚原氏(右)。左は宮川総務部長=1日、宮古島市役所平良庁舎

 
 (解説)
考え方に食い違い/福祉保健部移転が発端に
 棚原恵照氏の辞意表明は、同委員会が提言した福祉保健部の平良庁舎移転を「時期尚早」とする市長答弁に端を発している。「委員会を軽視している」との棚原氏に、伊志嶺亮市長は「軽く受け取っているということはまったくない」と、戸惑いを隠せない。
 同委員会は今年三月、行政改革大綱案の答申と併せて、「(城辺庁舎にある)福祉保健部の平良庁舎への移転」を提言した。しかし行政改革推進本部は、慎重な審議が必要として九月ごろまで議論を行うと決定。また三月定例議会では伊志嶺市長が「合併協議会の決定は尊重されなければならない。他の部との絡みもあり、時期尚早と考えている。引き続き協議したい」と、「合併協定書が尊重されなければならない」と解釈されかねない答弁をしている。
 退席後、報道陣の質問に対し、棚原氏は「合併するための協定書であって、実際に合併を進めれば当然、改革をしなければならないことは出てくる」と強調。「合併協定書に決めた事項に関してもメスを入れることは可能だという認識だった。その点でずれがある」と疑問を呈した。
 棚原氏の辞任劇に、伊志嶺市長は「前に本人と話し合って、私の真意を伝え、了解を得ていた」と、驚きの表情。「時期尚早」発言については、「協定項目の中で、分庁方式は決定され進められており、論議をした上でなければ(移転は)できないという意味だった」と理解を求めた。
 当局も市民側も、行革が遂行されねばならないとの危機感は同じ。一つの提言の是非に関して、行革議論やその実行が停滞することがあってはならない。それぞれで議論を行う市民の「行政改革推進委員会」と、当局の「行政改革推進本部」の間で、歩み寄りの機会を早急に持つことが、行革のスピードアップに不可欠となっている。(砂川拓也)


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会長に川満俊夫氏を選出
宮古島市 平良地域審議会を設置

 宮古島市(伊志嶺亮市長)は一日午後、平良地域審議会を設置、委員となる十五人に委嘱状を交付した。会長には川満俊夫氏を選出した。地域審議会は合併前の旧市町村区に設置しなければならない合併協約事項。平良の設置により、すべての旧市町村区に審議会が設置された。今後、各審議会は伊志嶺市長が諮問する新市建設計画に関する事項を審議するほか、地域の課題点などを掘り起こし提言していく。
 午後一時から委嘱状の交付式が宮古島市役所平良庁舎で行われ、伊志嶺市長が委員一人ひとりに委嘱状を交付。「平良地区の問題をしっかりと討議してほしい。いろいろと細かい面での審議をお願いすることになると思うが、宮古島市の発展のために頑張っていただきたい」と述べた。
 引き続き、第一回の審議会を開き、会長と副会長を選出したほか、審議会規定などを確認した。会長には旧平良市議で合併協議会委員を務めた川満氏、副会長は市社会福祉協議会平良支所の松川英世氏を選出した。
 会長に選出された川満さんは「多忙な審議になるとは思うが、旧平良市や新市の声を行政に反映させていきたい」と決意を込めた。
 審議会は▽新市建設計画の変更▽新市建設計画の執行状況▽地域振興のための基金の活用▽新市の基本構想の作成および変更―に関する事項など審議する。そのほか、必要と認める事項について市長に意見を述べることもできる。
 平良地域審議会委員は次の通り。(敬称略)
 【会長】▽川満俊夫【副会長】▽松川英世【委員】▽小禄恵良▽新里洋子▽平良愛子▽花城幸吉▽砂川久伸▽渡真利將博▽小林直樹▽高里精俊▽國仲義隆▽下地勝子▽大浦ヒデ▽宮里敬一▽平良和枝

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県の説明会に不満続出/「統合反対」を訴え・宮農・翔南
「地域の声反映されず」

 県立高校編成整備計画で、県立宮古農林高校と同翔南高校を再編統合して「県立宮古総合実業高校(仮称)」を新設し、二○○七年四月の開校を目指している県教育委員会は一日、宮古農林高校体育館で地域説明会を開いた。両高校の同窓会などの関係者ら多数が出席し、県側に「統合反対」を強く訴えた。県側は会場からの意見などを踏まえた上で「再編統合については、県教育長などにどうするか、と伝え、総合的に考えたい」などと述べ、柔軟な姿勢で対応していく姿勢を示した。今月開かれる県議会で県立高校の統合に関しての条例の一部改正が上程されることになっており、県議会での可否が注目されそうだ。
 同計画では「宮古地域では、少子化に伴う学級減のために、学校の活力低下を懸念。このため両校を再編統合し、教育過程の弾力的編成および生徒同士の切磋琢磨を図る必要がある」などとしている。
 教育内容は、他学科の科目も選択できる総合選択制の導入で、農業系と水産系の科目の融合を図る。また福祉分野および情報通信分野などの教科科目を新たに設置する計画。
 設置学科は▽生物生産科▽環境工学科▽生活福祉課▽海洋科学科▽食品科学科▽商業科の六学科を予定。 
 冒頭、主催者を代表して、県教育委員会の仲村守和教育次長は「きょう地域説明会を開いたのは、強引に進めるとか、見切り発車で進めるとかではない。地域の声を聞いて判断したい」と理解を求めた。
 県側が県立宮古総合実業高校(仮称)設置基本計画を説明した後、宮古農林高校と翔南高校の両校長が、再編統合などについて取り組んできた経緯を説明した。
 説明会には奥平一夫県議、砂川佳一県議も同席。質疑応答で砂川県議は「宮古農林高校と翔南高校の再編統合は決まったものではない。今月開かれる県議会に再編統合などについての条例の一部改正が上程され議論される」などと述べ、マスコミ優先に報道されてきた再編統合問題に不満を表した。会場からは「第一次産業の振興面からも再編統合は反対」「地域の声が反映されていない」「もっと時間をかけて議論し、再編統合は先送りすべき」などといった反対意見が相次いだ。

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今月末までに800人来島/近畿からツアー客第1陣

 近畿地方の個人・企業を会員にする納税啓蒙団体「納税協会」(野村明雄会長)の企業経営税務研修ツアーの第一陣三十六人が一日、来島した。企画した旅行社は東京都に本社のあるトップツアー。六月末まで二十班に分け、八百人余を送り込む。
 納税協会のツアーは九州、沖縄、北海道の順番で毎年実施。沖縄ツアーは従来、沖縄本島止まりだったが、今回初めて宮古をコースに組み入れた。
 一行は午後一時すぎの航空便で、宮古空港に到着。ロビーでは宮古観光協会の会員らが、横断幕を掲げて歓迎。特設ステージでは歌手の真矢よう子さんが、「宮古大音頭」を歌い歓迎した。
 初来島という中村幸雄さんは「郷土料理や景色を楽しみたい」と、宮古の旅に思いをはせていた。六十代の男性は「宮古は海や海岸の景色がきれい。今回も南国を大いに楽しみたい」と、笑顔いっぱいだった。
 ツアーの日程は二泊三日。一日目は日本百景に数えられる代表的な観光地「東平安名崎」や「福里地下ダム」、「イムギャー・マリンガーデン」、「来間大橋」を巡った。二日目は伊良部に渡り、日本の渚百選の「佐和田の浜」、国の名勝・天然記念物に指定された「通り池」、平良の「人頭税石」、「島尻マングローブ」などを巡った後、那覇に向け宮古をたつ。税務研修はバスやフェリーの中で随時行う。
 宮古島ツアーは、島の文化や、宮古の景勝地を楽しんでもらおうと企画した。受け入れ準備は宮古観光協会と連携して取り組んだ。

 写真説明・企業経営税務研修ツアーで訪れた一行=1日、宮古空港

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「雪塩」に新たな勲章=^モンドセレクションで金賞
 

 上野字野原のパラダイスプラン(西里長治社長)が製造・販売する自然塩「雪塩」が、世界各国の食品メーカーが自信作を出品する食品品評会として知られる「二〇〇六モンドセレクション」(本部・ベルギー)で金賞を受賞した。今月二十六日、チェコのプラハで授賞式が行われる。
 「雪塩」は、同社が平良狩俣漁港に隣接する場所に工場を設置し、地下海水をくみ上げ製塩し販売している。二〇〇〇年八月には「ミネラルの含有数(十八種類)が世界一多い塩」として、ギネスブックの認定を受けた。
 商品は顆粒とパウダータイプの二種類を販売。当初は年間七―八dだった製塩量も、〇五年には約百三十dにまで伸びている。特徴として▽塩とにがりに分離される通常の塩と違い、にがり成分もまるごと残っている▽ミネラル分が豊富で普通の塩よりも約三〇%多い▽美容や健康に有効―などが挙げられるという。
 今回の金賞受賞に対し、西里社長は「社員一同大変喜んでいる。世界にも自慢できる商品なので金賞を取る自信はあった。三年連続受賞を目指し、今後とも安全や衛生面の取り組みをいっそう強化したい」と笑顔を見せた。
 モンドセレクションの審査・運営は民間団体が行っており、審査基準は食品や酒類などの衛生・味覚・包装・原料などを総合的に評価するもの。「雪塩」は一般食品の部で金賞を受賞。また、三年連続金賞受賞者には、国際最高品質賞杯が授与される。

 写真説明・モンドセレクション金賞受賞を喜ぶ西里社長(前列中央)とスタッフら=1日、パラダイスプラン

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砂川さん(博物館前館長)に感謝状
地域の文化意識向上に貢献

 

 宮古島市総合博物館の前館長で、現在は同市立平良図書館長の砂川玄正さん(56)にこのほど、県博物館協会(大城和喜会長)から感謝状が贈られた。旧平良市博物館開館時からの尽力が認められての表彰に、砂川さんは「活動が県協会に認められ、とてもうれしく思う。今後もこの知識や経験を踏まえて、取り組んでいきたい」と喜びを語った。
 砂川さんは平良市史編さん事務局、同市教育委員会文化財担当主事を経て、八九年以降から平良市総合博物館で学芸係長、館長補佐、館長を務めた。県博物館協会はこのほど行われた総会で、考古・歴史、民俗、自然科学、美術工芸の資料を収集し、保存や企画展による展示公開などを通して、地域の文化資料に対する意識向上に貢献したと評価した。
 砂川さんは「七五(昭和五十)年ごろから、コンクリート造りの家に変わるころ、各家々から捨てられる民具を集めた。そのころに総合博物館をつくる動きが出た」と、開館時の様子を振り返った。また、「四十回以上、企画展を開催してきて、それぞれに思い入れがある。また、毎年紀要を出版したことも印象深い」と、数々の活動に思いをはせながら、今後の文化活動に向け決意を新たにしていた。

 写真説明・県博物館協会から表彰を受けた砂川さん=5月30日、宮古島市立平良図書館

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