200平成18  6 木曜日

相次ぐ死亡牛の不法投棄/処理システムの構築急務
宮古島市 焼却施設ある本島への輸送も検討

 宮古島市では、年間六千―七千頭の和牛が出荷される一方、下痢の悪化などで約五百頭が死んでいる。畜産農家が生産する牛が死んだ場合、その死がいは産業廃棄物となる。宮古では、多くの農家が自らの畑地に埋却しているが、本来この行為は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に抵触、一千万円の罰金または五年以下の懲役が科せられる。しかし、島内には処理施設がないため、行政も手をこまぬいてきたのが現状だ。
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 死亡牛の取り扱いは、月齢二十四カ月を境に分けられる。生後二十四カ月を超えて死んだすべての畜産牛は牛海綿状脳症対策特別措置法に基づいて宮古家畜保健衛生所が解剖、牛海綿状脳症(BSE)の検査を実施した上で焼却処理することが義務付けられている。畜産農家は二十四カ月以上の牛が死んだ場合、同所に運ばなければならない。
 二十四カ月未満の場合は、産業廃棄物として焼却処理する必要があるが、宮古には死亡牛を焼却する専用の施設が設置されていないため、島内で完結するすべはない。
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 昨年十二月の不法投棄を受けて市は、死亡牛の適正処理に向けた対策に乗り出した。死がいを保存する冷凍コンテナを設置し、一定量ためた後に、焼却施設を有する沖縄本島南部の南城市にある食肉センターに海上輸送するシステムを検討している。今年度で条件整備と農家への周知を図り、来年度にも供用開始にこぎつけたい考えだ。
 宮古島市経済部農政課の宮国範夫畜産係長は「他人の目が届かない場所に死亡牛を捨てている農家は多く、発見されるケースは氷山の一角だと思う。明らかな迷惑行為であり、農家の意識向上が求められる」と指摘しつつも、「これまで死亡牛の処理を農家任せにしてきた現実もある。今後は農家の理解を得ながら市全体で適正化を図りたい」と環境整備に取り組む姿勢を示した。
                                       (砂川智江)
 写真説明・牛とみられる死がいが不法投棄されていた=5月15日、大野山林
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宮古島市、市議会に要請/
多良間村・水道事業の広域化協議で

 財政難を受け、簡易水道事業の切り離しを検討している多良間村の伊良皆光夫助役は三十一日午前、宮古島市役所で伊志嶺亮市長と友利恵一市議会議長と面談し、市水道局と村水道事業の広域化に向けての協議実施を求めた。伊志嶺市長は「要請にどのように応えられるか私たちも勉強していきたい」と述べ、友利議長も「実現できるよう前向きに検討する」とそれぞれ理解を示した。市は現在、水道局を通して統合案を検討。広域化して企業団のような組織に戻すのか、市水道局が村の水道事業を委託するのかなど今月初旬にも具体案を取りまとめる方針だ。
 出張中の下地昌明村長の代理で要請に訪れた伊良皆助役は午前十一時三十分、村議会の西平幹議長とともに伊志嶺市長を訪問。村水道事業の運営基盤の強化に加え、安全で安心な水の確保を求めて広域化に向けての検討を要望した。これに対し伊志嶺市長は「このような要請があるとは思っていなかった。ただ、国や県も広域化を進めているので、要請にどのように応えられるか私たちも勉強していきたい」などと話した。その上で、市水道局を残したまま統合していくのか、市水道局の前身となる企業団のようにするのかを検討していく姿勢を示した。
 伊良皆助役らは引き続き市議会の友利議長に同様の要請を行った。友利議長は「皆さんの気持ちをしっかりと受け止めながら国や県に対する要請も考えなければならないと思う。前向きに検討していきたい」と話した。
 多良間村によると特別会計で運営している同村の簡易水道事業の年間予算は約七千万円。一九九六年度に硬度処理を行う浄水施設を整備しているが、多額なランニングコスト(年間約千四百万―千五百万円)などの影響を受けて厳しい運営を強いられている。現在は特別会計だけで運営できない状況が続いており、ここ数年は一般会計から二千五百万―三千万円を繰り入れて対応している。こうした財政負担を軽減させることも広域化を求める要因とみられる。

 写真説明・多良間村の伊良皆助役(右から2人目)らが市水道局との広域化協議を伊志嶺市長らに要請した=31日、宮古島市役所平良庁舎


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禁煙・分煙制度を創設
福祉保健所 受動喫煙の防止推進

 県は「世界禁煙デー」となる三十一日、受動喫煙の防止を推進するため、県禁煙・分煙認定制度をスタートさせた。申請した施設には禁煙・分煙の状況によって三区分に分けられ、認定証(ステッカー)が交付される。宮古福祉保健所の上原真理子所長は「認定を受けて健康な店をPRしてほしい」と呼び掛けた。
 同制度は、県民の健康づくり計画「健康おきなわ2010」の一環。受動喫煙の防止をいっそう推進し、禁煙または分煙の施設拡大を図ることが目的。
 対象となるのは、レストランやホテル、病院、官公庁など人が多く集まる施設。管理者が同所に申請書を提出後、職員が調査を実施した上で、認定証が交付される。認定された施設は県のホームページ上で公開されるという。
 区分は「敷地内完全禁煙認定施設」「施設内完全禁煙認定施設」「分煙認定施設」の三つに分かれる。
 最も禁煙が進んだ施設は「敷地内完全禁煙認定施設」で▽敷地内が禁煙であることを日常的に使用するすべての出入り口に表示する▽敷地内に灰皿が設置されていない▽敷地内にたばこの吸い殻が落ちていない―が条件。さらに、区分ごとにたばこの自動販売機が設置されていないなどA―Cのランク付けもされる。
 同制度は八重山や沖縄本島中部などでモデル地区としてスタート。好評だったため全県的な取り組みとなった。両地区とも三十件ほどの施設が認定されているという。
 上原所長は「禁煙環境は進んでいる。この制度の啓もう周知を図りたい」と話した。
 問い合わせは宮古福祉保健所健康推進班(電話73・5074)担当、仲間まで。
ことば
受動喫煙 室内またはこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること。

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13世帯に3万円の過料/伊良部の水道不正工事

 伊良部島の一部の世帯で水道管の不正工事が行われていた問題で、宮古島市(伊志嶺亮市長)はこのほど、市給水条例に基づき、十三世帯に対しそれぞれ三万円の過料を命じた。総務課、市水道局で調査した結果「不正工事ではあるが特に悪質なものではない」などと判断している。
 伊良部島で行われていた「盗水」は合併後の昨年十一月に発覚。一部世帯で使用する水が水道メーターにカウントされないよう不正な工事が施されていた。
 これを受けて、総務課や市水道局の職員が昨年十一月三十日に聞き取り調査を実施。事実を確認した上で「不正工事に係る処置」について今年四月まで協議を行った。
 最終的に宮古島市給水条例四十九条第一項の規定に基づく「五万円以下の過料を科する」を十三世帯に適用することに決定。ただ、「不正工事ではあるが特に悪質なものではない」とし、過料金を三万円に引き下げ対象世帯に六月中に納付するよう命じている。
 昨年の市水道局の調査によると、昨年十月時点では千七百三十九世帯のうち三十一世帯で水道メーターが正常に作動しなかった。
 再調査で水道メーターを迂回するように不正工事されていた水道管を数カ所確認。本管から配水された水道水が水道メーターにカウントされないよう不正工事が施されていた。

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「ゴガツゴニチ」盛況/ 多彩な余興楽しむ
城辺新城

 城辺新城部落の恒例行事・通称「ゴガツゴニチ」(豊年祭と総合共進会)が旧暦五月五日に当たる三十一日、同部落公民館で開かれた。大勢の優良農家を表彰した後、舞台いっぱい踊りが披露された。
 ゴガツゴニチは、大正時代に沖縄本島を視察した故高里景親氏ら、同部落の村議会議員三人の発案が始まりとされ、今年は八十回目の節目を迎えた。
 席上、下地肇部落会長は「先人の農事奨励への思いが長年引き継がれてきたことを誇りに思う。新城部落は高齢・過疎化が進んでいるが、健康に留意し努力することが先人の思いに報い、部落活性化につながると信じている」とあいさつした。
 総合共進会では、優良農家に賞状と副賞を授与。部落発展に尽くした伊志嶺幹夫さん(元公民館長)、宮里敏男さん(大和電工社長)、友利景一さん(元城辺町長)、牛競り高額販売上位一位の上原康一さん、同二位の新城武男さん、同三位の城間敏光さんの六氏に感謝状を贈呈した。
 舞台は下地敏博、幸子夫妻による「かぎやで風」で幕開け。幼稚園児や婦人、お年寄りたちが晴れやかに踊ると、拍手や指笛で盛り上げた。
 会場には部落住民や、郷友たちが集い、踊りを楽しみながら酒などを飲み、だんらんのひとときを過ごしていた。(表彰された皆さんの名簿は後日掲載します)

 写真説明・多彩な余興が披露された「ゴガツゴニチ」=31日、新城公民館

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新名称で気分新たに/在沖宮古島市平良郷友会
 

 【那覇支局】在沖平良市郷友会(豊岡恒夫会長)の二〇〇六年度定期総会が五月二十八日、那覇市の自治会館で開催された。〇六年度の事業計画案や予算案のほか、郷里・宮古の五市町村が合併したことに伴い、同郷友会の名称を在沖宮古島市平良郷友会に改称する議案などを承認した。
 豊岡会長は「私たち郷友会は過去の伝統と時代の変遷に対応し、本来の郷友会の目的を見直す意味で宮古島市誕生を機に名称を改めることにした。郷友会会員ならびに郷里の『人的資源』の発掘と継承を維持し、ますますの資源づくりに務めたい」とあいさつした。
 同会は、今後の活動方針として▽七学区本来の目的の親睦行事を中心とする▽次年度向け行事の精選を図り任意団体として運用する▽新行事を設定し郷里との交流を深める▽メディアを活用した諸行事の実践を図る―などを挙げている。 
 この後行われた祝賀会は、全員で郷友会賛歌を合唱し幕を開けた。伊志嶺亮宮古島市長や関係者が祝辞を寄せ、同郷友会活動への功労者として川満猛狩俣学区前会長、下地ヒデ子同前女性部長、オリオンビール、菊之露酒造、多良川の二個人三団体に感謝状が贈られた。
 このほか田崎邦男在沖南秀同窓会理事長の乾杯、各学区による琉舞や日舞などの余興が次々と披露され、郷友会名称の改称とパソコン通信を使った囲碁大会の新設などを盛大に祝った。(川満勇人)

 写真説明・女声合唱団カリーナおよび会員全員による郷友会賛歌の合唱で幕を開けた=5月28日、那覇市の自治会館


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