200平成18  527 土曜日

累積赤字を全額解消/宮古織物事業協同組合総会
05年度決算、2900万円の黒字/事業収益で2・3倍の伸び

 宮古織物事業協同組合(赤嶺一成代表理事)は二十六日、宮古伝統工芸品研究センターで開いた通常総会で二〇〇五年度決算報告を行った。事業収益は前期比二・三倍となる六千十七万三千六百十一円、純利益として二千九百七十七万四千九百十一円を計上した。前期繰越分の損失金五百二万円を補てんし、一九八三年から続いてきた累積赤字もすべて解消。加えて二千四百七十五万四千百五十四円の利益を翌年に繰り越すなど好調な組合運営に転じた。

 同組合によると、組合は八三年に金融機関から五千万円を借り入れ、宮古上布に関する事業と販路の拡大を図ったものの業績不振に陥り、九〇年代に入ると組合運営そのものが行き詰まった。多額の負債を抱えるなど経営面でも不安が生じたため、九七年には旧平良市が経営改善委員会を設置し再建計画を打ち出している。
 再建に乗り出してからは業績が上向き始め、累積赤字も年々縮小させてきた。〇五年度には県信用保証協会に遅延損害金の債務免除を打診。組合側が元本を返済していたため二千万円以上免除された。このことも累積赤字幅の圧縮に拍車を掛けている。
 〇五年度の損益計算書の事業別損益の部を見ると▽生産事業四千五百九十三万四千六百八十一円▽購買事業六百十三万八千二百十九円▽販売事業七百六十六万三千七百九十一円▽加工事業三十三万七千九百二十円▽検査事業九万九千円―の成果があり、特に販売は前期比六・二倍の収益。事業全体の収益も六千十七万三千六百十一円となり、前期に比べて二・三倍の伸び率を示している。
 収益アップの要因は昨年三月に東京で開催した宮古上布の展示会。赤嶺代表理事は「あれが起爆剤になった。組合員の皆さんが、この展示会のために頑張った成果が表れている」などと話し、全国的に宮古上布の認知度が拡大していることを強調した。
 総会では貸借対照表や利益処分案も示され、貸借対照表の資産合計は四千八百四十八万五千八円となっている。利益は当期利益が二千九百七十七万四千九百十一円、時期繰越利益は二千四百七十五万四千百五十四円としている。
 総会ではこのほか、〇六年度の事業計画や収支予算、役員報酬、理事選出案件などを審議。事業計画では例年同様に後継者育成事業や技術または技法の改善事業、原材料の確保研究事業、需要開拓事業などに取り組む案を了承した。収支予算では検査事業収益を百六十万円から前年度同額の十五万円に修正、全体の予算額を六千七百四十六万円に決めた。(山下誠)

 写真説明・単年度黒字に転じたj年度決算が報告された宮古織物事業協同組合の通常総会=26日、宮古伝統工芸品研究センター

 

代表理事に赤嶺再任/宮古織物事業協同組合

 宮古織物事業協同組合は二十六日開いた理事会で、任期満了に伴う代表理事の選出を行い、現代表理事の赤嶺一成氏を再任した。赤嶺氏は「『人財』を大事にしながらチームプレー、チームワークを大切にしていきたい。組合員の意識は確実に向上している」と述べた。
 二〇〇五年度の同組合決算で、単年度黒字を出し累積赤字も解消したことについて赤嶺氏は「去年より今年、今年より来年という思いで取り組んできた。(累積赤字を解消できて)本当にほっとしているが、これで終わりではない」と話し、累積赤字の解消に安堵(あんど)しながらも、織物事業協同組合のさらなる充実に向け決意を示した。
 理事会前に開かれた総会では、理事の欠員に伴う新たな理事の選出も行われ、上原則子さんが選任されている。

 写真・赤嶺一成代表理事top.gif (811 バイト)

 

中層型浮魚礁を設置へ/関係者集い工事の安全祈願

 県発注中層型浮魚礁(パヤオ)三基が宮古島近海に設置されることになり、二十六日工事・漁業関係者らが船積み場の池間漁港に集い、工事の安全を祈願した。設置場所は東平安名崎の南西約四十四`の地点。「琉宮」と名付けた同魚礁を積んだ船は二十八日出港し、翌二十九日の設置を予定。中層型浮魚礁は水面下三十―五十bの水深に位置し、マグロやカツオなど回遊魚の格好の漁場になる。
 今回の中層型浮魚礁は耐用年数が過ぎた表層型浮魚礁(ニライ2号)=二十二日に撤去済み=の替わりに設置する。工事費はニライ2号の撤去費と合わせ六千七百二十万円。同型魚礁の宮古島近海での設置は、二〇〇二年の三基と合わせ、六基となる。
 同魚礁は球状の浮き群を三段に組み、上下の浮きの間に人工海草を垂らした構造。陰のできるパヤオには小魚がすみ着き、やがて小魚を狙う大型の回遊魚が群がるようになるという。
 平良市漁協の上原正行組合長は「パヤオでは魚が確実に取れる。燃料の高い今の時期にあちこち行かなくて済むので経費節減になる。効果が出て、第一次産業のプラスになればと大いに期待している」と話した。
 中層型浮魚礁は海面下に位置するため、航行する船の安全性や維持管理・設置費の面で表層型と比べ、有利となる。
 浮魚礁の利用は、県漁連が県内の漁業者を優先的に認めている。

 写真説明・宮古島の近海に設置される中層型浮魚礁=26日、池間漁港
 
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「下水道利用に理解を」/市、工事指定店など
各家庭訪ね加入促進キャンペーン
県内最低水準の加入率解消へ

 「下水道利用に理解を」―。宮古島市(伊志嶺亮市長)は低迷する市街地の下水道加入率を促進するため二十六日、加入促進キャンペーンを展開した。下水道課職員と市排水設備工事指定店協会の会員らが各家庭を訪問し、市内で下水道事業の内容を伝えるチラシを配布するなどして加入を促した。下水道事業は、市街地の生活環境の改善や生活排水による周辺海域・地下水の汚染防止が目的だが、二〇〇五年度までの加入率は四二・七%で、県内十一市では石垣市と並び最も低い水準にある。下水道課の池村香成課長は「まだ市民の皆さんの認識が薄いので意識の高揚を図り、理解を得られるよう取り組みたい」と話した。

 宮古島市では、整備事業を推進して下水道処理区域を拡大しつつ、各世帯の加入率アップを目指しているが、一万―一万五千円の工事費や上水道料金の約三五%に当たる下水道料金がかかるなど、市民の理解を得なければならない面が多い。このため、今回の一斉キャンペーン実施となった。
 公共下水道事業は、旧平良市時代の一九八九年にスタート、九七年に供用開始された。各家庭などからの排水は下水管を通って、市浄水管理センターで浄化処理される。〇八年度までの認可計画における計画処理区域面積は二八二f。これに対し、事業完了は三六・四%。〇五年度末までに、この区域内で千百五件が加入しているが、加入率は四二・七%と、半数に満たない厳しい状況だ。
 この日は、下水道課と維持管理の担当事業所、排水設備工事指定店協会の合わせて三十人余りが、荷川取、西仲宗根、西里、下里、東仲宗根の各地域に分かれ、未加入世帯を回り、市民の理解・協力を求めた。
 市浄水管理センターでの出発式で、平良富男建設部長は「皆さんの協力で加入を進めたい。行政の力だけでは周知は難しい。市民の皆さんに負担はかかるが、地下水を守り、においがなくなるなど、地域の環境は良くなる」と述べた。
 指定店協会の知念博会長もあいさつし、「汚れた水を流し続ければ、地下水や海はどんどん汚れ、死んでいく。自然の力だけではきれいな水に戻すことは難しい。下水道の役割を市民の皆さんに知ってもらい、加入を促進しよう」と呼び掛けた。
 下水道に関する問い合わせは同課(電話73・4862)まで。

 写真説明・下水道課職員や指定工事店の会員らが下水道事業に関するチラシを手渡し、加入を呼び掛けた=26日、平良字西仲宗根
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下里さんに高齢者叙勲/地方自治発展に貢献
県が伝達

 【那覇支局】年齢が八十八歳に達したのを機に、春と秋の叙勲の対象になっていなかった各界の功労者に対して贈られる「高齢者叙勲」の伝達式が二十六日、那覇市の県知事公舎で行われた。宮古関係では、元下地町議会議員の下里景和(しもさとけいわ)さんが旭日単光章を受章、新垣幸子県出納長から勲記と勲章を受け取った。
 新垣出納長は、伝達後のあいさつで「叙勲の栄に浴されたことを心からお喜び申し上げます。下里様は、下地町議会議員として昭和三十六年から三期十二年間、農業基盤や漁港整備、畜産業振興、教育の発展などに精力的に取り組み、地方自治の発展に多大な貢献をされました。また、議会副議長として円滑な議会運営、地方議会制度の発展に尽力されました。さらに、簡易水道の普及や地域住民の福祉向上に寄与するなど、その抜群の行動力は特筆に値するものであります」と、下里さんをたたえた。
 下里さんは、「夢のようです。私みたいな者が頂けるとは、びっくりしています。(受章は)地域の皆様や家族のおかげと感謝しています」と喜びを語った。
 下里さんは、一九一八(大正七)年四月二十一日生まれ(八十八歳)。下地字洲鎌(棚根)在住。六一年から七三年まで三期十二年、旧下地町議会議員を務める。三期目の六九年からの四年間は、副議長として議会のまとめ役を担うとともに議会会議規則や委員会条例などの整備を図り、七二年の本土復帰時には、種々の困難な制度改正作業に手腕を発揮した。

 写真説明・勲記と勲章を胸に下里さん(左)。隣は新垣県出納長=26日、那覇市内の知事公舎中庭
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狩俣清美さん/最優秀賞・特別賞に輝く
JAおきなわフレッシュミズ主張発表/加工品づくりへの挑戦など訴え

 二○○六年度JAおきなわ女性部フレッシュミズの主張発表(主催・同部、後援・県農業協同組合ほか)が二十四日、JAおきなわ南風原支店ホールで開かれ、JAおきなわ宮古地区事業本部女性部理事の狩俣清美さん・ー=平良=が「フレッシュミズの活動、そして目標」と題して堂々と熱弁を振るった。厳正な審査の結果、狩俣さんは、最優秀賞と特別賞をW受賞した。JAおきなわ宮古地区事業本部の関係者らは素晴らしい快挙と喜んでいる。
 狩俣さんが発表した原稿は、来年一月に開催されるJA全国女性大会に向け今後、審査される。
 この発表は、フレッシュミズ部員(四十歳以下)の声を、組織全体に反映させることにより、JA女性部組織活動の強化を図る目的で実施。今回は女性二人が発表した。
 狩俣さんは、部員に入って今年で三年目。発表では、みそ造りや梅干し造り、新しい加工品造りへの挑戦、パートで働いているファーマーズマーケット「あたらす市」などを通しての活動を紹介。「こうした活動が、女性部の課題である若い人の加入にもつながるように頑張っていきたい」と力強く訴えた。
 同本部の下地隆弘本部長は「今回の受賞は、今後の女性部の組織拡大の励みとなり、地域の活性化にもつながる」と述べ、狩俣さんの活躍をたたえた。同席した女性部の与那覇愛子部長は終始、狩俣さんを激励した。
 狩俣さんは「生まれて初めての発表だったので緊張した。賞を頂いたのは、夢のよう」と明るい表情で語った。

 写真説明・下地本部長(右)に報告した狩俣さん(中央)と女性部の与那覇部長=26日、JAおきなわ宮古地区事業本部
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栽培漁業に認識高める/稚ガニ2万匹を放流
伊良部小児童

 宮古島市立伊良部小学校(国仲富美男校長)は二十六日午後、タイワンガザミの稚ガニ放流体験を佐和田の浜で実施した。子供たちは稚ガニ二万匹を放流し、つくり育てる漁業の大切さを実感した。
 「総合的な学習」の一環。自然環境や自然保護意識の高揚、栽培漁業について認識を高めることなどが狙い。宮古島市海業センターが全面的に協力した。五年生二十七人が対象だった。
 同センターの職員が「タイワンガザミの産卵期は四月から九月まで。一匹の母ガニが抱える卵は三十万から二百五十万個」と説明。
 その上で「今年四月八日に産卵され、ふ化した稚ガニはきょうで四十八日目。稚ガニの大きさは一aから三a」などと語った。
 この後、子供たちはバケツに入っている稚ガニを、手ですくって海へ放った。稚ガニは、元気良く青い海へと泳いでいた。
 子供たちは「佐和田の浜が、タイワンガザミでいっぱいになったらいいな」と話していた。

 写真説明・子供たちはバケツの中の稚ガニを手ですくって放流した=26日、伊良部の佐和田の浜
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