200平成18  524 水曜日

固定資産税収 1億4000万円減へ/宮古島市
家屋評価替えが要因
自主財源の確保に影響
徴収業務強化で対応

 宮古島市(伊志嶺亮市長)の二〇〇六年度分市税徴収で、固定資産税の税収が当初予算で見込んだ予算額より一億四千万円減収になることが二十三日までに分かった。三年に一度見直される土地と家屋の評価替えで、家屋の評価額が大幅に引き下げられたことが要因。税務課は市税全般の徴収業務を強化して対応する方針だが、自主財源の柱となる固定資産税の減収は、逼迫する市の財政に大きな影響を与えそうだ。

 〇六年度の市税の当初予算額は四十一億七千三百十二万七千円。この中で固定資産税が占める割合は全体の五五%で、市民税(三二%)や市たばこ税(九%)などの比率を大きく上回る市の貴重な財源となっている。〇六年度固定資産税課税件数は二十一万二千百八十件で、家屋は二万三千五百四十件となっている。
 固定資産税の家屋評価額は当初、十三億六千万円を見込んだが、実際の評価では十一億九千万円に下がった。土地の評価額は上がったが、家屋分の減収分を補えず、固定資産税全体では一億四千万円の減収が見込まれている。
 税務課によると、評価替えによる家屋の評価額は、資産償却や資材単価などの建設費に伴って変動する。このため、古い家屋の評価額は年々下がる一方にあるという。
 税務課は「市税の徴収業務に全力を尽くし対応していく」とし、固定資産税を含む市民税、軽自動車税、市たばこ税など市税全般の徴収業務を強化する方針だ。ただ、財政課では「これだけの歳入減が見込まれると、これまで以上に歳出を抑制しなければならなくなるのではないか」などとしており、固定資産税の減収が市の大きな課題として浮上している現状に危機感を示した。
 市は〇六年度、管理職手当の五〇%減や臨時職員の削減などで歳出抑制を図っているが、「依然として厳しい財政は変わらない」(市の幹部)としている。  (山下誠)

 固定資産税 土地、家屋、償却資産を所有している人が、その固定資産の価格をもとに算定された税額をその固定資産の所在する市町村に納める税金。土地と家屋の評価額は三年に一度評価替えが行われ、市町村長がその価格を決定している。
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塩素イオン濃度異常値測定/更竹のボーリングした井戸
市、組織立ち上げ原因解明へ

 宮古島市水道局が水質調査のため二〇〇五年九月に白川田水源内の更竹地区でボーリングした井戸五カ所のうち、一カ所の井戸の塩素イオン濃度が、サンプル採取時期によって異常に高い値を示していることが二十三日までに分かった。最高濃度は〇五年九月に水道水質基準値二〇〇_c/gの約九倍の一八二〇_c/gを記録した。原因は分かっていない。市は同地区を始め、白川田流域の濃度上昇原因解明のため、六月中に調査組織を立ち上げる。
 白川田流域の塩素イオン濃度は、〇三年九月に襲来した台風s号後に上昇。当初は台風に伴う潮風の影響とみられていたが、その後も上がり続け、〇五年八月ごろからは高い水準で横ばい。五月十六日の測定でも、飲料水の白川田湧水の濃度が九一_c/g(台風s号以前の約二倍)を記録するなど依然高かった。
 白川田湧水の上流となる更竹地区は〇五年十月の調査で、サンプルを採取した十カ所の井戸のうち、一カ所が一一一八_c/gという高い数値を記録。しかし、これらの井戸は浅く表流水の影響が考えられたため、ボーリングで井戸を掘り、深い所でサンプルを採取。ボーリング井戸の調査はこれまで二十回行われ、〇五年九月には最高の一八二〇_c/g、同年十一月、〇六年二月にも一〇〇〇_c/g超の高い数値を記録。一方、〇五年十月や〇六年三月には一〇〇_c/g台と低くなるなど測定時期によってばらつきがあった。
 白川田水源流域の塩素イオン濃度の上昇を受け、前の宮古島上水道企業団は、県環境科学センターに、原因究明調査を二回依頼したが、明確な原因を突き止めるまでには至らなかった。
 市の企画政策部の地下水保全対策班に事務局を置き六月に発足する組織の調査は企業団の調査結果を踏まえ取り組む。調査には地下水に詳しい大学教授ら数人が当たる。
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生ごみの堆肥化検討資源リサイクルセンター活用へ
宮古島市

 上野で建設が進められている宮古島市資源リサイクルセンターで、宮古島市(伊志嶺亮市長)が生ごみを堆肥化する方向で検討を始めている。計画では牛ふんやバガスを集めて堆肥化するが、ここに生ごみも加えて堆肥の生産力を高める。開始時期は未定だが、まずはモデル地域を選定し、生ごみの収集状況や市民の意識を調べながら、対象区域を宮古全域に拡大する方針だ。
 同センターは旧上野村が二〇〇三年度に導入し、昨年十月の合併で宮古島市に引き継いだ事業。総事業費は八億二千万円に上る。事業の目的は家畜ふん尿、生ごみ、バガスなどを堆肥化して農地に還元し、地力の回復を図ること。その相乗効果として農産物の品質向上や農家所得の向上、地下水などの汚染防止を挙げている。〇六年度中にも供用を開始する予定だ。
 全体の敷地面積は二万一千五百平方b、鉄骨スレート構造の堆肥舎は二千八百平方bで、製品加工場は千八百平方b。堆肥化の方法は堆積方式で、生産規模は一日二十四dになる予定だ。原料供給計画では牛ふんを五千dに設定、製糖工場から出るバガスは二千dを予定している。
 生ごみの堆肥化が実現すれば県内初。市はモデル地域を選定した上で対象家庭に生ごみ専用の容器を配布し、それを回収してセンターに運ぶ方式を取る予定だ。この取り組みによって市民の意識高揚を図り、宮古全域での実施を推進する。「資源循環型社会の構築に向け大きく前進する」(むらづくり課)ということもあり、今後の市の取り組みが注目される。

 写真説明・生ごみの堆肥化が検討されている市資源リサイクルセンター=上野字野原
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アカギカメムシ/池間島では初確認

 梅雨の晴れ間の二十二日、アカギカメムシ(キンカメムシ科)が宮古島市池間島では初めて確認された。宮古では、同島以外での生息は不明。
 初確認されたアカギカメムシは、体色が鮮やかな赤色であることから、、卵から羽化したばかりと思われる。赤色は成長しながらオレンジ色、クリーム色に変化してくという。
 赤色の上面には、黒色の中点を白色が囲む斑点がくっきり。二重のコントラストが美しい。頭中央部と足の一部は光沢のある緑色。
 カメムシの仲間は天敵を追い払うために、くさいにおいを放つ。同島のギンネムの葉っぱで休んでいたアカギカメムシは、人の手で触ってもにおいは出さなかった。
 体長一七−二六_。これまでの分布は、奄美大島、沖縄本島、石垣島、西表島、台湾など。

 写真説明・鮮やかな色のアカギカメムシ=22日、池間島(撮影・伊良波彌)

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50年後にサンゴ消える?/科学者らが海の酸性化予測
静岡大学院教授らプロジェクトチーム
正否確かめるため実証実験開始/城辺・浦底

 世界の科学者ら数人が、二○○五年に科学雑誌「ネイチャー」に「今後とも地球温暖化が進むと、海に二酸化炭素が増えることによって炭酸イオンが増え、五十年後には世界の海は酸性化して、炭酸カルシウムの殻を持つサンゴなどがほぼ溶解し消えて無くなる」などとコンピューターによるモデル計算で予測した論文を発表した。これを受け、国立静岡大学創造科学技術大学院教授の鈴木款理学博士らプロジェクトチームが二十三日、宮古島市城辺の浦底漁港側にあるマイクロアルジェコーポレーションで予測の正否を確かめるための実証実験を始めた。

 科学者らは、海が酸性化した場合は、サンゴや星砂の材料となる有孔虫、植物プランクトンのココリスが溶解し、消えていくと予測。
 実証実験では、培養したココリスを「ろ過しない海水」「ろ過した海水」に入れ、海水の酸性化でココリスが溶けるのか、溶けないのか」を確かめる。
 この実験は、経済産業省の外郭団体の地球環境産業技術研究機構(RITE)の委託を受け、三年かけて実施する。プロジェクト名は「海洋酸性化における海洋生態系の応答の解明」。
 鈴木理学博士は「海のpH(ペーハー)は八・一―八・二のアルカリであるから、海の動植物は良い環境状態にある。しかし、予測では数十年後にはpHが七・六まで下がり、海は酸性化するという。酸性化すると、動植物の石灰の殻を持つサンゴなどは全滅状態になるという」と説明した。
 その上で「海の酸性化で本当にサンゴや有孔虫、ココリスは溶けるのか。実証実験ではココリスを使って『溶ける』、『溶けない』を確認したい」と話した。

 写真説明・実証実験を始めた鈴木理学博士(右)らのプロジェクトチーム=23日、城辺のマイクロアルジェコーポレーション
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「ごみは持ち帰って」/パイナガマに立て看設置
宮古島市
海水浴シーズン、マナー向上呼び掛け

 宮古島市観光商工課(根間正三郎課長)は二十三日、パイナガマビーチに、ビーチの環境美化を呼び掛ける立て看板を設置した。同ビーチの植林帯には、行楽者らが残したごみが後を絶たず、管理する市は衛生面や景観上の深刻な問題として頭を抱えている。根間課長は「これから夏に向け、海水浴客や観光客も増える。マナーを守って利用してほしい」と話し、ごみは持ち帰るよう強く呼び掛けた。
 同ビーチは、宮古島市シルバー人材センターが毎日トイレ清掃を行っているほか、月に二、三回の割合で周辺の除草作業やごみ収集などを実施。これまでも環境美化を呼び掛ける看板が二カ所に設置されていたが、一向にごみは減らず、特に、バーベキューで使った木炭が多数残されている。一方で市側には、対策を求める市民の声も寄せられていたという。
 今回設置した看板(二カ所)には▽バーベキューや飲食による環境汚染をしてはならない▽炭の使用禁止▽バーベキュー用具の洗浄禁止▽生ごみの放置厳禁─などの事項が記されている。
 根間課長は「パイナガマビーチに限らず、どこの行楽地でも自分が出したごみは責任を持って持ち帰ってほしい。市民一人ひとりの意識の向上で美ぎ島・宮古がつくられる」と話し、市民のモラル向上を求めた。

 写真説明 上・宮古島市観光商工課の職員らが環境美化の立て看板を設置した=23日、パイナガマビーチ
 写真説明 下・
植林地に点在するバーベキューで使った炭の跡=23日、パイナガマビーチ
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