200平成18  523 火曜日

選択肢の幅広める/合同進学相談会
高校生150人が参加/大学など80校と個別相談

 志望校決定のチャンス─。将来、大学や専門学校などの進学を希望する高校生を対象にした合同進学相談会(主催・県専修学校各種学校協会、大学等進路推進会)が二十二日、宮古島市内のホテルで開催された。希望者全員が進学できるといわれる「全入時代」が迫る中、同相談会に島内の高校一年生から三年生まで約百五十人が参加。参加した高校生たちは、真剣な面持ちで担当者と面談し、自ら進む道の選択肢の幅を広めていた。

 同相談会には、県内外の大学や短期大学、専門学校など八十校の担当者が出席し、個別に相談に応じた。資料提供だけの参加校を合わせると計二百十校が参加した。
 開始時刻から会場には詰め掛けた高校生でごった返し。設置された各校担当者の席には、興味を持った高校生が座り、資料を見ながら熱心に担当者の話を聞いていた。
 主催した同協会の新井由夫事務局長は「関心の高さがうかがえるが、進学に関しての意識はまだ低い。離島に限らず県全体でも職業の意識や知識の低さは感じられる」と強調。特に、大学や専門学校などの高等学校がない宮古は、進学に関しての情報が不足していると指摘。「(離島を考慮して)積極的に専門学校から講師を派遣して進路講演を行ったり、インターンシップの事前マナー講習も各高校でも行っているので、ぜひ活用してほしい。進学や進路の特色や魅力を説明できたら」と述べた。
 育英義塾教員養成学院広報担当の上原理香さんは「実際に会って話を聞いてみると、それぞれ進路に対して受け身の印象を受けた。個人だと進路相談の機会もなかなか与えられないだろうが、合同相談会を活用してたくさんの生徒と話ができるのは、学校側にも大きなメリットがあると思う。私たちも積極的にPRして、高校生の進路選択に役立ちたい」と話した。
 参加した奥平明日香さん(宮工三年)は「資料だけでは分からなかったことも、実際に担当者から話を聞けるのでとても良い機会だと思う。自分の興味にあった学校を探していきたい」と笑顔を見せた。
 同相談会は県内三カ所と宮古や石垣で開催され、今年で十四年目。春と秋に二回開催されるほか、進路講演や職業別講話など年間で十回ほどボランティアで実施しているという。
 全入時代とは
 文部科学省の諮問機関、中央教育審議会は、少子化と大学志願率の頭打ちで大学・短大の進学希望者数と、大学の合格者総数が二〇〇七年度には同じになる、と試算している。私立大や短大ではすでに定員割れなどに苦しむケースも出ており、法人化した国立大や公立大も含め、日本の大学はいっそう厳しい経営を迫られることになる。
 (具志堅千恵子)

 写真説明・進路相談会には150人の高校生が参加し、進路選択の幅を広めた=22日、ホテルアトールエメラルド宮古島
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従業員が労働組合結成/宮古の報道機関では初
宮古毎日新聞

 宮古毎日新聞社と関連会社の契約社員やパートを含む従業員らが、「宮古毎日新聞労働組合」を結成した。二十一日夜、宮古島市内のホテルで結成総会が開かれ、日本新聞労働組合連合(新聞労連、八十五単組・二万八千人)の美浦克教中央執行委員長をはじめ県マスコミ労働組合協議会(マスコミ労協、八単組・約六百四十人)の米倉外昭議長らが立ち会いの下、活動方針や規約、予算案、執行役員案などを審議し全会一致で組合結成を決めた。山下誠執行委員長(編集局記者)は「良い新聞を作りたいという気持ちを強調しながら、会社側と交渉していきたい」と述べた。
 同組合は同日付で新聞労連、同沖縄地連、マスコミ労協に加盟を申請した。宮古の報道機関では初となる労働組合結成について、山下執行委員長は「宮古島ではなかなか労組を立ち上げることはできないというのが一般的な考え方だったと思うが、それを私たちの会社でできたことを、私たちの誇りにしたい。他の企業にとっても良い影響となって広がればと期待している」と意義を強調した。
 結成総会では経過説明が行われた後、各議案を審議。全会一致で可決。同時にストライキ権も確立した。来賓としてあいさつした新聞労連の美浦委員長は「弱い私たち一人ひとりが団結し、労働組合という権利を手に入れることによって、会社や社長と対等な立場に立つことができる。その権利を使って、地位の向上や労働条件の向上など、次の権利を勝ち取っていくのが労働組合だ」と、強調。また組合員資格に、正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトなどすべての社員を盛り込んだことに触れ、「組合結成当初からみんなでやっていくことを明文化され、実際の活動でもそれを実現しようとされていることは先進的だ」と力を込めた。
 続いてマスコミ労協の米倉議長は、労組結成を歓迎しながら、「準備の取り組みを含め、何のために労組をつくるのか、なぜ労組が必要なのか、という原点を改めて感じさせられた。私たちの九番目の仲間が、これまで仲間がいなかった宮古で結成されたことは意義深い。地域社会にも大きな影響を与えるだろうと期待している」と述べた。最後は出席者全員によるガンバロー三唱で気勢を上げ、要求事項の達成や団結を誓った。
 総会後は労働問題に詳しい加藤裕弁護士が労働基準法について講話し、組合員らが知識を深めた。
 結成総会には新聞労連、マスコミ労協加盟の琉球新報労組、沖縄タイムス労組、沖縄テレビ労組、ラジオ沖縄労組、FM沖縄労組、八重山毎日新聞労組の代表が出席した。総会後は懇親パーティーが開かれ、沖教組宮古支部、県職労、自治労宮古島市職労の代表らも加わって結成を祝うとともに連帯を深めた。また市民代表として宮古島市議会の友利恵一議長も顔を見せ、激励のあいさつをした。
 山下執行委員長ら執行部は二十二日、真栄城宏社長、山内啓邦会長に結成通知書を手渡し、団体交渉を申し入れた。

 写真説明・新聞労連の美浦委員長(右)から組合旗の贈呈を受ける山下委員長=21日、ホテル共和
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宮古は一つをアピール/沖縄宮古郷友連合会芸能まつり
機能回復訓練設備を充実/下地保健センター

 【那覇支局】沖縄宮古郷友連合会(兼島恵孝会長)主催の「第十九回演芸まつり―ミャークフツ大会―」が二十一日午後、那覇市民会館大ホールで行われた。クイチャーなどの宮古伝統芸能やコーラス、日舞などバラエティーに富んだ演舞が次々と繰り広げられ、立ち見がでるほど超満員となった会場は大きな拍手と笑いに包まれた。(6、7面に写真特集)
 舞台は、在沖宮古民謡協会の「とうがにあやぐ」「大世栄」で華やかに幕開け。宮古から友情出演した新緑流竹乃会は北島三郎のヒット曲「年輪」に合わせて日本舞踊を優雅に踊り、在沖西辺学区郷友会は幻想的な創作舞踊で観客を魅了した。白いセーラ服を身にまとった在沖池間学区郷友会が舞台を目いっぱい使って「マドロス篇、波止場シャンソン、さよなら港」の踊りを披露すると、会場には大きな拍手と指笛が鳴り響いた。
 このほか宮古の女性コーラス「女童」の美しいハーモニーや宮古舞踊の「久松五勇士」「宮国クイチャー」「保良ヨンシー」などバラエティーに富んだ演舞が次々と繰り広げられた。特別ゲストとして招かれた宮古出身歌手の宮園ゆう子さんと下地勇さんの歌も披露された。
 兼島会長は「昨年はふるさと宮古の五市町村が合併し新しい市が誕生した。今年はいよいよ一周年を迎える。『宮古はひとつ』を合言葉に今年もふるさとを盛り上げていきたいと思っている。(演芸まつりは)舞台と観客の皆さんが一体となって楽しめる演目になっているので、最後まで楽しんでください」とあいさつし、出演者や会場いっぱいとなった観客に感謝した。
 演芸まつりは、会員相互の親睦(しんぼく)・交流・宮古文化芸能の普及継承および会活動の運営資金の造成を目的に毎年盛大に開催されている。
 (川満勇人)

 写真説明・郷友らが一堂に会し、歌や踊りで交流を深めた演芸まつり=21日、那覇市民会館大ホール
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理解と交流さわやかに/各競技に力発揮
宮古地区身障者スポーツ大会

 第四十一回宮古地区身体障害者スポーツ大会(県、宮古島市、県身体障害者福祉協会、宮古身体障害者連合会共催)が二十一日、市下地屋外運動場で行われ、約百人の身体障害者が各種競技でそれぞれの力を発揮し、さわやかな汗を流した。子供から大人まで多数のボランティアも参加、多方面から運営を支えるとともに「主役」たちに盛大な声援を送り、理解と触れ合いの輪を広げた。

 同大会は、身体障害者がスポーツを通して機能回復と維持増強を図るとともに、身体障害者に対する正しい認識を一般社会に深めることが目的。九月に開催される県身体障害者スポーツ大会の宮古地区予選としても行われた。
 開会式では、池間太郎大会長(宮古身体障害者連合会長)があいさつに立ち「和気あいあいと競技を楽しむとともに、強い精神でそれぞれの目標を達成してください」と選手らを激励した。
 伊志嶺亮市長は「大会を通して、身体障害者に対する理解の輪が広がることは大変喜ばしいこと。障害のある人もない人も地域で共に手を取り合って暮らす社会を目指そう」と話し、市民全体への波及を期待した。
 競技は、「競走」「跳躍」「投てき」の三部門で行われ、競走の部には下肢障害、車いす、電動車いす、上肢障害、視覚障害、聴覚障害の人々が六十b走、百b走などに挑戦。跳躍の部では走り幅跳びと立ち幅跳びが行われた。投てきの部では、選手らがソフトボール、ハンドボール、やり投げ、砲丸投げの各種目でそれぞれの記録に挑んだ。
 大会には行政や社会福祉協議会を中心とした多数の福祉関係者らが参加して運営を支えたほか、城辺手話の会(竹井太会長)のメンバーが聴覚障害者をサポート。また、小・中学生のボランティアも参加し、整備や記録など各自の持ち場で役割を果たした。
 ボランティアとして参加した福嶺中二年の田場祥太朗君は「選手の皆さんが楽しく競技できるようお手伝いしたい」と話していた。

 写真説明・下肢障害の選手たちがトラックを駆けた100b走=21日、下地屋外運動場
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友利太一(一般男子)が優勝/女子は前里美幸が勝つ
総合卓球大会

 第七十三回総合卓球大会(主催・宮古卓球連盟)は二十一日、宮古島市総合体育館で開催された。小学生から一般までの九十一人が参加し、シングルス、ダブルス、団体で熱戦を繰り広げた。一般男子では友利太一(宮古沖食)が、同女子は前里美幸(琉球銀行)がそれぞれ優勝した。
 結果は次の通り。
 【シングルス】
 ▼小学生▽優勝=小笠原望(来間)▽準優勝=宮城一馬(佐和田児童館)
 ▼中学男子A▽優勝=宮城拓哉(平良)▽準優勝=恩河大貴(西辺)
 ▼同男子B▽優勝=立津翔汰(北)▽準優勝=松川倫明(同)
 ▼同女子▽優勝=アミーゴ・ジャネット(来間)▽準優勝=与那覇里奈(平良)
 ▼一般男子▽優勝=友利太一(宮古沖食)▽準優勝=下地博典(ふれあいの里)
 ▼同女子▽優勝=前里美幸(琉球銀行)▽準優勝=川根ひとみ(上野学習塾)
 【ダブルス】
 ▼小学生▽優勝=小笠原望・洲鎌希早組(来間)▽準優勝=砂川愛美・洲鎌佐優梨組(同)
 ▼中学男子▽優勝=伊計寿基・平良将太郎組(平良)▽準優勝=池村優作・宮城拓哉組(同)
 ▼同女子▽優勝=アミーゴ・ジャネット・倉井千春組(来間中)▽準優勝=福原吟子・平良遥組(平良)
 ▼一般男子▽優勝=下地達徳・宮国雅樹組(宮高)▽準優勝=友利太一(宮古沖食)・砂川真一郎組(ひかり自動車)
 ▼同女子▽優勝=川根ひとみ(上野学習塾)・浜川聖子組(下地島空港施設)▽準優勝=久貝夏樹・石垣美妃組(宮高)
 【団体】
 ▼中学▽優勝=平良▽準優勝=西辺
 ▼一般▽優勝=おみずやさん▽準優勝=上野学習塾

 写真説明・安定したプレーで中学女子を制したアミーゴ・ジャネット(奥)=21日、宮古島市総合体育館
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バガスのガス化装置を導入/燃料化可能性を調査へ
宮古島エコシステム研究センター

 琉球大学の研究チームなどで構成する宮古島バイオ・エコシステム研究センター=上野字野原=に新たに、バガスのガス化と汚泥炭化、高速堆肥(たいひ)化の三装置が導入された。同センターでは今年度いっぱい、バイオ資源(生物資源)リサイクルが環境保全などに果たす有効性を検証する。
 ガス化装置は、バガスを不完全燃焼させて一酸化炭素と水素を取り出す装置。このガスはバガスの炭化と併せウージ酢を取り出す装置(二〇〇五年設置)の燃料に使用する。
 一連のシステムは、バガスの炭化に使う燃料を重油などの化石燃料に頼らず、自製のバイオガスで賄っているのが特徴。ガス化研究は、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出抑制を狙いに、製造コストや自動車用燃料としての可能性調査などを行う。
 汚泥炭化装置の原料は、宮古島市浄水管理センターから取り寄せている。汚泥炭については、石炭の代替品としての可能性も調査するという。
 炭には土壌中の微生物の繁殖促進や、肥料効果などがあり、バガス炭化と汚泥炭化の研究は、宮古農業の活性化にも役立てる狙いで行う。
 高速堆肥化装置は、完熟堆肥の製造期間を短縮する施設。堆肥盤の場合、牛ふんを完熟堆肥にするには二―三カ月かかるが、同装置では二週間に短縮できる。同堆肥には炭を混ぜ、炭入り堆肥の有効性を調査する。
 同研究センターには、〇五年までに牛ふん発酵によるメタンガス発電装置も導入されている。

 写真説明・このほど設置されたガス化装置=22日、宮古島バイオ・エコシステム研究センター
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