200平成18  514 日曜日

宮古島の特区指定も視野/振興策目玉にバイオエタノール
米軍再編受け首相提案
来月にも閣議決定

 政府は在日米軍再編の最終合意を受けた閣議決定に沖縄振興策を明記する方針を決め、その中に宮古島で実証実験が進められているサトウキビを利用したバイオエタノールの開発支援を盛り込む案を検討していることが十三日までに分かった。加えて宮古島に特区制度の導入も検討している。十二日夜に小泉純一郎首相が都内のホテルで額賀福志郎防衛庁長官、自民党の山崎拓沖縄振興委員長、二階俊博経済産業相らと会談し、新エネルギーとして期待されるバイオエタノールの開発支援を沖縄振興策の目玉として検討していくことを確認した。

 会談では、額賀長官が在日米軍再編の最終報告を受けた今後の政府方針について「稲嶺恵一知事らと十分協議してまとめたい」と述べたのに対して、小泉首相は「沖縄振興策や(再編関連)経費の内容を精査して決定すべき」との意向を示した。
 今回のバイオエタノール開発支援と宮古島に対する特区制度の導入については、在日米軍再編の最終合意を受けた閣議決定に、沖縄振興策を明記することとなり、その中で新しいエネルギー源として期待されるバイオエタノールの支援を目玉として打ち出すこととなった。小泉首相も「ぜひ、皆でやろうじゃないか」と呼び掛け、経済産業省と防衛庁とで連携した支援に意欲を示した。
 政府がバイオエタノール開発支援と宮古島の特区指定を検討していることについて、宮古島市の伊志嶺亮市長は十三日、本紙の取材に対し「宮古島のバイオエタノールの支援についてはこれまでも政府が積極的に取り組んできた。特区指定が宮古の振興に役立つならば歓迎したいと思う。しかし、米軍再編と関連した振興策であり微妙な部分もあるが、バイオエタノールの開発支援で振興につながることについては歓迎したい」と述べた。
 バイオエタノール開発支援については、小泉首相から話を切り出し、特産物を利用した新しいエネルギーの開発であり、さらに環境にも良いことから、沖縄では特別地域の様な形で取り組み、それを応援していきたいとの考えを示したという。

 バイオエタノール サトウキビなど植物に含まれる糖を発酵・蒸留させて作るアルコールの一種。温室効果ガスの排出量はゼロと見なされ、石油代替燃料として注目されている。現在、宮古島で環境省が各種実験を実施している。

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母娘で食堂切り盛り/国仲和子さん、美和さん親子
きょう母の日
「お母さんありがとう」/娘から母へ感謝の気持ち

 宮古島市平良の北市場近くで「くになか食堂」を営む国仲和子さん(60)を手伝うのは、国仲さんの四女、美和さん(27)。てんぷらを揚げたり調理したりと、毎日汗だくになりながらも肩を並べて仕事に励んでいる。娘として、理解者としてまた良きパートナーとして、いつも隣で母親の和子さんを支える美和さんだ。きょうは「母の日」。母の愛に感謝を表す日に、日ごろ、照れくさくて伝えることのできない「お母さんへの気持ち」とは─。母親のそばで働く美和さんに話を聞いた。

 「物心ついたころから母は忙しく、毎日毎日、母の一生懸命な姿だけを見ていました」と美和さん。母親の和子さんが食堂を経営してから二十五年。月─金曜日の午前十一時半から午後六時まで店を開け、多いときには約五千個のてんぷらを揚げるという。その傍らで、そばや定食を提供。のれんが上がると同時に店は客でにぎわい、閉店前にてんぷらが売り切れることも珍しくない。「母の休みが日曜日だけで、甘えたり遊んだりできるその日が楽しみだった。母親のてんぷらを楽しみにしている人がいて、お客さんのためにと作っている母親に、わがままは言えなかった」と振り返る。
 美和さんは高校卒業後、沖縄本島の専門学校に進学し卒業後は東京で就職。その後宮古に戻ったが食堂を手伝っていた三女が結婚したのを機に、食堂を手伝うことを決意。「いつも励ましてもらった母の背中や姿を知っているから恩返しがしたかった。昔甘えられなかった反動もあるのかも」と笑顔を見せる。
 それからは母娘二人と、母親の和子さんの姉妹とで店を切り盛りするように。すっかり手つきも接客も慣れた様子だが「母親にはまだまだかなわない」と笑みをこぼす。「毎日元気だし、笑顔を絶やさない母親に感心する。一緒にいるからこそ分かる苦労だけに、素直に尊敬しています」。
 母親の和子さんは「子供たちが小さいころは、なかなか接してあげられず、寂しい思いをさせていた。あのとき持てなかった親子の時間を今、築いている。本当に幸せ」とうれしそうに話す。
 普段、身近すぎて感謝の言葉を口にすることがないという美和さん。母の日に寄せて「いつまでも元気で現役で。大変なときもあっただろうけど、一生懸命、私たち四人を産んで育ててくれた母には感謝の気持ちでいっぱい。お母さん、いつも本当にありがとう」と心温まるメッセージ。なかなか恥ずかしくて言えない感謝の気持ちも、この日なら─。母娘二人の目には光るものがあった。

 写真説明・25年続く「くになか食堂」を営む和子さんと娘の美和さん=11日、平良字東仲宗根にある「くになか食堂」
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八重干瀬ツアー/サンゴ礁保全で部会設置
「周遊観光」提案、議論へ/市環境を考える市民委

 宮古島市環境を考える市民委員会(中西康博委員長)は十三日、宮古島市役所平良庁舎で第十回委員会を開き、旧暦三月三日の「サニツ」前後に池間島北のサンゴ礁、八重干瀬(やびじ)で行われる「上陸観光」から、サンゴ礁保全に向けた「周遊観光」への転換を議論する、「八重干瀬保全観光部会」を設置することでまとまった。来年以降の八重干瀬観光に関してガイドラインを作成し、「上陸観光」から「周遊観光」への早期転換を推進する方針だ。
 提案した猪澤也寸志委員は「市担当者との意見交換の結果、八重干瀬上陸に際してのサンゴ礁保全が実質的に困難なことが分かった」と理由を説明した。
 同部会の骨子案によると、猪澤委員をはじめ同委員会委員と、フェリー会社、宮古観光協会、宮古島市など、関係企業や団体、行政機関からの部会員で構成する予定。
 来月の委員会までにメンバー構成を決定する一方、市民から八重干瀬の周遊観光のアイデアを募り、六月の「環境月間」にちなんで初開催される「美(か)ぎ島(すま)あたらか祭り」で、八重干瀬保全観光のアイデアを公表する。
 七月には部会としての議論をスタートさせ、八月をめどに「周遊観光企画」を宮古島市に報告するとともに、旅行業界へ提案する計画となっている。
 猪澤委員は「上陸観光をやめることで客が半減してはならないので、客が減らない形での周遊観光について議論を重ねたい」と述べた。
 この日の委員会ではこのほか、「美ぎ島あたらか祭り」の実行委員会設置を確認。委員長には伊志嶺亮市長が就く運びで、事務局長を中西委員長が務める。事務局は福祉保健部環境保全課に置く。

 写真説明・「八重干瀬保全観光部会」の設置などを確認した第10回委員会=13日、宮古島市役所平良庁舎
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池間島に大量の不法投棄/宮古島市が「撤去勧告」

 二〇〇四年十月から池間島で不法に投棄、放置されていた廃家電などが先月に入って粉砕され、池間島字有地に不法投棄されているのが十二日までに分かった。宮古島市は同日午前、廃家電などの廃棄物撤去勧告を池間島自治会(玉寄憲作会長)に出し、ごみの早期撤去を求めた。撤去期限は七月三十一日まで。放置を続けた場合、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」および「市廃棄物の処理及び清掃に関する条例」に抵触する恐れも出ており、期限日までにごみを撤去しなければ、市は告発を検討する。しかし、自治会の予算面やごみの粉砕状況などから市と自治会側では完全撤去は難しいとみている。
 市ではこれまで、再三の改善命令を自治会に文書などで出したが、自治会側は「予算がない」としてこれを放置。先月十五日、自治会長の判断により重機を使ってこれらが粉砕され、粉々になった状態で字有地に放置されたままとなっているのを、池間島駐在署員が確認。宮古島署に通報したことにより発覚した。
 不法に投棄されたごみは二dトラックに換算して約二十─三十台分。そのほとんどが▽テレビや洗濯機などの家電▽木材▽タイヤ▽自転車─などの一般廃棄物。分別されず、池間島の字有地に放置されたままだ。
 勧告文書は同日、廃棄物が放置されている現場で、市福祉保健部環境保全課の饒平名功課長から直接、玉寄会長に手渡された。
 饒平名課長は「先月一日からごみ収集が改正され、粗大ごみなども回収するようになった。指定日にごみを出せば業者が回収するので、不法投棄はやめてほしい。また、自治会には誠意を持って対応してほしい。猶予期間内は協力するが、それ以降はそれなりの処置を取る」と述べた。
 玉寄会長は「撤去の方向で最善を尽くしたいが、予算が無い。期限までにごみの分別に取り組みたいが、完全撤去は難しい」と話していた。

 
写真説明 上・
自治会が主体となってごみの分別作業に当たる=13日、池間島の字有地
 写真説明 下・饒平名課長から、撤去を求める勧告文書が玉寄会長(右)に手渡された=13日、池間島の字有地
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心も体もたくましく24人が元気に入所
野外活動少年団

 第二十五回野外活動少年団(主催・県立宮古少年自然の家)の入所式が十三日、同所で開かれた。宮古地区の九校から二十四人の児童が参加。シーカヤック体験など野外活動を通して、心も体もたくましく成長させる。
 この取り組みは、野外活動や異年齢集団の中での生活を通して、「生きる力」の育成を図ることが目的。七月十六日まで五回に分けて開催され、シーカヤックを乗りこなす練習を中心に行われる予定。最終目標は島尻漁港から大神島まで往復十一`の渡航。
 入所式では互いの自己紹介や集団活動での注意点などが指導された。その後、野外炊飯とレクリエーションを行い交流を深めた。
 主催者を代表して友利孝徳所長は「規律を守ること、役割を最後までやり遂げること、思いやりの心を持つことの三つを約束してほしい」と歓迎した。
 上原里佳さん(西辺小四年)は「シーカヤックには乗ったことがないので楽しみ。いっぱい練習して上手になりたい」と意気込んだ。

 写真説明・第25回野外活動少年団に入所した児童ら=13日、宮古少年自然の家
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観光施設など散策「1日ジョイフルデー」開く
社協平良支所

 宮古島市社会福祉協議会平良支所(松川英世支所長)は十三日、「一日ジョイフルデー(一日兄さん・姉さん)」を実施した。漲水・あけぼの学園の園生や職員、高校生ボランティアら約九十人が参加。映画を鑑賞したり観光施設を散策したりして一日を満喫した。
 この行事は児童福祉週間にちなみ毎年行われ、子供の健やかな成長や地域のボランティアとの交流を持ち、心豊かな環境づくりが目的。
 子供たちは、シネマパニック宮古島でアニメ映画を、みやこパラダイスでは昼食と蝶々園でチョウの観察を楽しんだ。
 出発式で松川支所長は「社協の職員や高校生のお兄さん、お姉さんと一日楽しく遊んでください」とあいさつ。園生を代表して宮良あゆみさんは「私たちのためにこのような企画をしてくれてありがとう。一日を楽しみたい。よろしくお願いします」と話した。
 
 写真説明・園内を散策する参加者ら=13日、みやこパラダイス

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