第十回平良好児賞(主催・宮古毎日新聞社)の選考結果が二十七日発表され、平良雅景(本名賀計)さん(84)=那覇市、平良出身=の句集「はぐれ鷹」と、砂川光子さん(68)=那覇市、城辺出身=の歌集「時間の川」の受賞が決まった。松原清吉選考委員長は「選ばれた二作品は候補の中でも傑出していた。平良さんの句集は鋭い感性で書かれ、砂川さんの大胆な歌に驚いた。宮古の人の誇り」と評した。表彰式・祝賀会は五月二十日午後七時から市内のホテル共和で行われる。
平良好児賞は、長年宮古の文学界をリードした故平良好児さんの遺志を引き継ごうと平良さんが亡くなった翌年の一九九七年から始まり、毎年、宮古関係の優れた文学活動をした個人や団体を表彰してきた。昨年、平良好児顕彰会から引き継ぎ宮古毎日新聞社が主催となった。選考委員は松原委員長のほか伊志嶺亮、仲宗根將二、友利昭子、菊地優子の計五氏。
今回は十二点の作品が候補になり今月二十二日夜、市内のホテルで行われた選考会では、絞り込まれた七点の中から、平良さんと砂川さんに決まった。
平良さんについて伊志嶺委員は「一九四六年三月に平良好児氏が『文化創造』を創刊、十二月には宮古文芸協会が発足し、その中で平本魯秋氏を中心に宮古俳句会が結成され、それが本格的な俳句の出発点になった思う」とし、句集については「宮古吟と思われる句も数多く見られ、実に伸びやかで優雅な句格を持つ」と講評した。
砂川さんの歌集について友利委員は「初めはその繊細で深く品性のある心象詠の数々に心地よく引かれ、その後、ある種の軽い衝撃を受け、しんと静かな感動にとらわれる。作者が自己の生をじっと見据え詠んでいるため、読者も自然と自己の内面を振り返させられる。今後も読者を感動と思索へ導く歌を生み出し続けることを期待する」と講評した。
平良 雅景(たいら・がけい、本名賀計)1922(大正11)年12月1日生まれ。平良出身。44年台北帝大医学専門部卒。慶応大学医学部神経科教室を経て59年那覇市で天久台病院設立。現在同病院会長。現代俳句協会沖縄支部長。
砂川 光子(すなかわ・みつこ)1937(昭和12)年6月8日生まれ。城辺出身。58年平安女学院短期大学英文科卒。日本歌人クラブ会員。「時間の川」で日本歌人クラブ九州ブロック優秀歌集受賞。 (恩川順治)
写真説明 上・左 平良雅景さん、右 砂川光子さん
写真説明 中・左 句集「はぐれ鷹」、右 歌集「時間の川」
写真説明 下・第10回平良好児賞の受賞者を発表する選考委員ら(左から3人目が松原委員長)=27日、宮古島市役所
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