200平成18  26 水曜日

宮古病院 移転新築など要望/脳外科医確保も求める
宮古地区 13項目の実現向け説明
06年度県・市町村行政連絡会議

 【那覇支局】二〇〇六年度県・市町村行政連絡会議が二十五日、那覇市内の自治会館で開かれ、各地域から出された要望事項について、県が見解を示した。宮古地区からは県立宮古病院の早期移転新築、多良間漁港沖防波堤の設置および航路拡張など十三項目について要望が出され、宮古病院の移転新築について県は「地域で必要とされる診療内容などを検討し、地域の医療環境などを踏まえながら基本構想の策定作業を進めていきたい」と述べるにとどまり、具体的な移転新築時期については示さなかった。

 会議冒頭のあいさつで稲嶺恵一知事は「地域の将来を展望していくためには先導する首長、議長および議会の役割が重要。県と市町村が適切な役割分担の下で連携を深め、課題解決に知恵を絞り合ってほしい」と述べた。
 宮古地区の要望事項については、下地昌明多良間村長が内容を説明し、県に見解を求めた。宮古病院の早期新築移転の要望に県は「病院が担うべき役割、求められている機能など基本的な考え方について十分な議論が必要で、県ではワーキングチームを発足させて検討を進めている。引き続き診療科目の在り方などの検討を行い、改築にかかわる基本構想の策定作業を進めていきたい」と述べた。
 また、同病院で不在となっている脳神経外科医の確保については「昨年八月より常勤医師が不在となっている。医師の確保についてはホームページにアクセスのあった医師と接触したほか、現在大学とも接触を図っているが具体的な確保には至っていない。引き続き脳神経外科医の確保に努めていきたい」との見解を示した。
 また、多良間漁港沖防波堤設置と航路拡張については「今後、台風時の防波堤の効果、波の状況などを調査検討して村、漁業者と調整を図りながら対応したい」と説明した。
 会議には宮古をはじめ県内の各市町村長、議会議長らが出席し、それぞれの地域の状況を示した上で要望項目を説明した。
 そのほか、宮古地区からは▽先島地区の地上デジタル放送の早期放映▽宮古島における水溶性天然ガスの活用▽下地島空港および周辺公有地の有効利用推進▽県地下水保全条例(仮称)の制定▽伊良部地区の水道施設整備支援▽水道水源を独自で確保する市町村に対する財政支援▽(多良間村)畜産担い手事業宮古第三地区(仮称)の実施▽沖縄本島−先島間の通信コスト低減化▽宮古圏域における県営公園の整備促進▽宮古島市総合体育館の改修に係る財政支援−が要望された。
 (垣花尚)

 写真説明・宮古地区から県に対して13項目が要望された行政連絡会議=25日、那覇市の自治会館

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王毅中国大使が来島宮古島の観光地視察で

 講演会出席のため来県している中国の王毅駐日本国特命全権大使が二十五日午前、観光地視察の目的で宮古入りした。県によると「沖縄の観光地が見たい」という王大使の要望を受けて来島が実現したという。王大使は同日、関係者とともに観光地を巡り、島の現状把握に努めた。きょう二十六日午前中まで滞在する予定。
 王大使は午前十一時すぎの便で那覇から来島。県宮古支庁の兼城克夫支庁長や宮古島市の伊志嶺亮市長、宮古島商工会議所の中尾英筰会頭、宮古観光協会の藤村明憲会長らが宮古空港に駆け付けて王大使を歓迎した。
 王大使の来島について県宮古支庁の兼城支庁長は「大使を心から歓迎したい。健康、保養を標ぼうする宮古島を楽しんでほしい」などと述べ、併せて今後の交流にも期待を込めた。
 王大使は二十四日に県庁に稲嶺恵一知事を訪ねて懇談。来年開館する県立博物館新館(那覇市おもろまち)の記念イベントで、北京で収蔵している琉球王国時代に献上された工芸品の貸し出しに積極的に対応していく姿勢を示した。

 写真説明・観光地視察のため宮古入りした中国の王毅駐日本国特命全権大使(中央)。右は兼城克夫宮古支庁長=25日、宮古空港

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市魚グルクン、今が旬伊良部で1dの水揚げ

 来月上旬までが旬のグルクン(和名タカサゴ)が二十五日午後、宮古島市の伊良部町漁業協同組合の魚卸市場に約一d水揚げされた。同市場は、グルクンを買い求める客らで活気づいた。グルクンは、同市の市魚で大衆魚として人気が高い。
 グルクンは、地元でアギヤー(追い込み漁)と呼ばれる漁法で国吉組(国吉正雄代表)が水揚げした。
 同市池間島の北方に広がる八重干瀬などのサンゴ礁海域が漁場。酸素ボンベを背負った漁師らが、海中でグルクンの群れを袋網へと追い込み、その袋網を船内に取り組んだ。
 この日水揚げされたグルクンの腹の中には、卵がびっしり。一匹の体長は十−十五a。キロ単価は五百−七百円で販売された。
 国吉代表は「今月に入ってから十d以上の水揚げがあり、今年は昨年以上の大漁になりそうだ」と声を弾ませた。
 同漁協は、今年度に開かれる通常総会で定款を変更し、伊良部漁業協同組合に改称する予定。

 写真説明・グルクンを買い求める人でにぎわう魚卸市場=25日、伊良部町漁業協同組合

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緊急時の医療に手応え/「遠隔」実証実験が成功
トライ大会で実施
/推進協 「災害時にも役立つ」

 沖縄遠隔医療推進協議会(代表幹事・宮城隼夫琉球大学工学部長)は、二十三日に開催された第二十二回全日本トライアスロン宮古島大会の中で、人工衛星や地上の通信網を使い、スイム会場と琉球大学付属病院、宮古病院を結んだ遠隔医療システムの実証実験を実施し、行われた三例の通信がすべて成功した。同協議会では、「トライアスロンの大会でこのようなシステムを使ったのは、おそらく世界初」と成果を強調。同大会実行委員会医療救護部の砂川伊弘部長も「選手への医療活動がスムーズに行えた。災害時にも非常に役に立つだろう」と述べた。

 今回の実証実験は、スイム競技の会場となる前浜ビーチに隣接する東急リゾートに仮設のパラボラアンテナを設置。応急救護所に運ばれた選手の状態に応じ、フィルム不要の可動式のデジタルレントゲン撮影機で肺などを撮影し、デジタルデータを、衛星回線を通して琉大病院へ送信。同大学で待機する医師が画像から診断・所見を作成、宮古の応急救護所、現地救護本部、宮古病院で、そのデータが受け取れる仕組みとなっている。
 実験に参加した、同協議会副代表幹事の久木田一朗医学博士(琉大医学部教授)は「目的としていたことができた。病院の医師にとっては強力な支援となる。一回目の実証実験としてはかなりの成果が得られた」と説明。
 砂川医療救護部長は「画像処理がとてもきれいで、選手の状態は一目瞭然。これまではスイム会場から宮古病院への搬送で三十分以上かかり、それからの診察ということだったが、このシステムだと宮古病院に選手が到着するまでに、宮古病院側も処置の準備ができ、無駄が省ける」と、実験の成果を喜んだ。
 また、選手搬送を受ける宮古病院側の本永英治医師は「専門医の所見が選手の到着前には届いていた。胸部レントゲンの写真が選手到着前に届くのは画期的なこと」と話した。
 一方で久木田博士は「東急テント、宮古病院、琉大の三個所を同時にテレビ会議システムで結び、やりとりすることができなかった」と話し、三地点同時のテレビ会議システムを課題に挙げた。その上で、「今回できなかった部分を改善していきたい。災害時や緊急時への対応だけでなく、ほかのトライアスロン大会でも使おうという動きが出てくるのではないか」と展望した。
 同協議会では来年度までに実証実験のデータを重ね、宮古などの離島やへき地における災害時や緊急時の遠隔医療で、実用化したい考えだ。

 写真説明・宮古のスイム会場と連絡を取り合う琉球大学のスタッフ=23日、琉球大学附属病院(久木田博士提供)
 
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「エネルギーもらった」トライ選手、思い出刻み帰途
宮古空港

 過酷なレースを繰り広げた第二十二回全日本トライアスロン宮古島大会から二日明けた二十五日、帰途に就く選手たちのラッシュが始まった。空港内はバイクケースなど大荷物を抱えた選手や、日焼け顔の選手たちでにぎわいを見せた。選手たちは島の特産品を土産に買い求めるなどリラックスムード。それぞれのドラマを胸に帰途に就いた。
 ナデル・レッジさん(32)=オーストラリア=は「人々がとてもフレンドリーで元気な島。レース中にたくさんエネルギーをもらった」と沿道の声援に感謝。付き添いで来島した夫のパトリック・レイクさんは「来年は出場したい。レースを見て出たいという気持ちがますます膨らんだ。楽しみにしている」と、早くも来年への意欲を見せた。
 新潟県から参加した本間英樹さん(41)は「島の人々が陽気で応援が温かい。この大会は地元の人々と身近に接することができるのが良いところ。合併で予算が厳しいとは思うが、存続だけはしてほしい」と願った。坂本志郎さん・ー=大阪府=は最初から最後まで送られた島の声援に感謝。「この素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらえるよう底辺拡大を図り、さらに盛り上げてほしい」と話した。
 初出場した小見山謙二さん(50)=愛知県=はスイムの時間制限について要望。「潮の流れなど、天候の変化も視野に入れた余裕のあるタイム設定をしてほしい。来年も出たいので強く要望する」と訴えた。

  写真説明・バイクケースなど大荷物を預ける選手たち。空港内は日焼け顔の選手たちでにぎわった=25日、宮古空港
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   ラン制限時間を誤り宣告/ 2選手が抗議、競技委員長謝罪へ
原因は競技役員の勘違い/トライ大会

 二十三日に開催された第二十二回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古島市など)において、ラン35`地点の制限時刻が午後九時(スタートから十三時間三十分)であるにもかかわらず、午後八時四十五分に四人の選手にタイムアップを宣告するというミスがあったことが二十五日までに分かった。大会翌日の二十四日に、二人の選手から抗議があったという。安谷屋豪一競技委員長は「原因は同地点の競技役員の勘違い。文書によりおわびをしたい」と話している。
 二十四日には安谷屋競技委員長と狩俣寛次競技総務部長、実行委員会の長濱博文事務局長らが対応を協議。同日の「表彰式・ふれあいパーティー」の会場で抗議した選手に対し、事務局へ来るようスピーカーで呼び掛けたが現れなかったという。安谷屋競技委員長は「きちんとした対応をしたい」と語り、文書で謝罪する方針を示した。
 また、安谷屋競技委員長は、同大会競技規則で定められた「大会上訴委員会」が開かれる可能性も示した。同規則によると、同委員会は大会実行委員長、競技委員長、競技副委員長で構成され、「判定に不服のある場合は、上訴申立書により大会実行委員会に再考を求めることができる」としている。


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