2006年(平成18年)
4月21日 金曜日
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琉球海運 旅客事業から撤退へ/利用者減など影響
貨物運送事業に専念
【那覇支局】宮古−那覇、宮古−石垣間などの旅客定期航路事業を展開している琉球海運(比嘉榮仁社長)が旅客事業から撤退し、貨物運送事業に専念することが二十日までに分かった。同社で唯一の旅客フェリー「わかなつおきなわ」は九月の中旬に最終就航の予定となっている。観光振興を図る宮古圏域にとっては、圏域外への交通アクセスの一つがなくなることになり、入域客への影響も懸念されている。琉球海運の旅客事業撤退で、宮古圏域外への船舶による旅客業務は有村産業のみとなった。
今回の旅客事業撤退について、同社は「旅客はピーク時で三十五万人だった。しかし、昨年は年間約一万人と大幅に落ち込んでいる。航空会社の格安チケットなどもあり、船の利用者が激減していることやかさむ人件費などもあり、旅客事業からは撤退することとなった」と説明した。
現在、同社が持っている旅客定期航路は那覇−宮古、博多、鹿児島、石垣と宮古−石垣の五航路で、「わかなつおきなわ」の就航終了とともに五航路での旅客事業も終了する。
同社の旅客輸送は、海洋博覧会が開催された一九七五年から七六年にかけては、最高の年間三十五万人を記録した。
しかし、航空業界に客足を奪われ、近年は年間一万人台にまで落ち込み、二〇〇四年は一万人を割った。
こうした利用客の減少に加えて、復帰特別措置法で沖縄航路の新規参入を規制していた「沖縄航路配船調整規定」が九五年に撤廃となり、本土企業などが参入してきたことも影響したようだ。
同社によると、〇五年の約一万人の利用客のうち、宮古からの利用者は全体の二二・五%で、年間二千二百人の利用となっていた。
今後について同社は「今回の措置は、会社として生き残るための手段でもある。時代の流れで旅客は減り、一方で貨物は伸びてきた。増加する貨物のニーズに合わせて船も近代化を図ってきた。これからは物流を的確にそして迅速に沖縄本島、本土に輸送することで先島の人たちにも貢献したい」と述べた。
同社の旅客事業撤退について宮古島市の宮國泰男経済部長は「これまでの実績を見ると今回の会社の方針は理解できる。今後どのような影響が出るのか推移を見守っていきたい」と述べた。
(垣花尚)
写真説明・琉球海運が旅客事業撤退となり、同社唯一の旅客フェリー「わかなつおきなわ」(写真)も9月中旬で最後の就航となる
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前回優勝の松丸選手来島/国内招待選手も続々
トライアスロン
二十三日開催の第二十二回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古島市など)の国内招待選手で前回大会優勝者の松丸真幸選手(31)=茨城県=をはじめ、前回四位の河原勇人選手(28)=東京都=、同六位の藤原裕司選手(42)=栃木県=、同女子二位の塩野絵美選手(26)=東京都=らが二十日、続々と来島した。松丸選手は「またここへ来られたことがうれしい。昨年より速いタイムで、連覇を目指したい」と力強く語った。
二月に沖縄本島で、三月にアメリカ・サンディエゴで合宿した松丸選手は「三種目ともコンスタントに練習できた。練習量には自信がある」と成果を強調。「海外勢の強い選手や河原選手、アテネ五輪代表の田山寛豪選手あたりが強敵だが、普通にやるだけ」と、気負わずに話した。
今年に入り宮古島で三度の合宿を敢行した河原選手は「昨年に比べ、バイクで良い感触を得ている」と、手応えを感じている様子。昨年まで徐々に順位を上げており、「目標は三位以内と言いたいところだが、走るからには頂点を目指したい」と述べた。
藤原選手は十四回目出場のベテラン。「強い選手が多く厳しいレースになると思うが、チャンスがあれば優勝を狙いたい」と語った。
塩野選手も宮古島合宿を行っており、「苦手のスイムを冬からみっちり練習し、バイク、ランとも力を入れた。三種目とも昨年より力は上がっている」。大会当日が誕生日で、「目指すは優勝。一生の思い出に残るレースにしたい」と笑顔を見せた。
写真説明 上・レースへ向け意気込む(左から)塩野選手、松丸選手、藤原選手=20日、宮古空港
写真説明 下・宮古入りし笑顔を見せる河原選手=20日、宮古空港
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トライ外国人選手と交流/市内の3校/伝統文化など披露
生徒たち本番向けエール
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サルビアの花で「ファイト」/トライ応援フラワーボード設置
ふれあいの里
知的障害者更生施設ふれあいの里(清水聡施設長)は二十日、トライアスロン大会の出場選手を激励するフラワーボードを、ランコースとなる平良地区の下里東通りに設置した。真っ赤なサルビアでかたどった「ファイト」の文字がマリーゴールドの黄色に映え、沿道を彩っている。
ふれあいの里では、園芸班のメンバー八人がトライアスロン大会に向けて花々を栽培。土作りから始めて一月に種子をまき、大会当日に満開になるよう大切に育ててきたという。フラワーボードは、横六b、縦二・五bのボードに並べられた計千鉢の花で作製。沿道に設置すると、早速信号待ちのドライバーや下校中の子供たちの目を引いていた。
園芸班で中心的に作業を行った奥平光枝さんは「出来映えに満足している。花の力で選手の皆さんに元気を与えられたらうれしい」と話した。
写真説明・トライアスロン大会に向けて作ったフラワーボードが沿道を彩っている=20日、下里東通り
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外国人招待選手が市長表敬/レースへ意気込み
トライアスロン
第二十二回全日本トライアスロン宮古島大会に出場する外国人招待選手らは二十日、宮古島市役所を訪れ大会長の伊志嶺亮市長を表敬訪問した。選手たちは一人ひとりレースへの意気込みを話し、健闘を誓った。伊志嶺市長は一行を歓迎し「力のある選手が参加することで宮古島大会も有名になった。大会まであと三日。当日は宮古の住民みんなで応援するので実力を発揮し良い成績を残してほしい」と激励した。
訪れたのは前大会二位のパク・ビョンフン選手(韓国)やアイアンマンハワイで二十四位の実績を持つハンス・ムエルバウアー選手(ドイツ)ら九人。選手たちは「全力を尽くして頑張る」「良いレースになるよう楽しみにしている」など、それぞれレースへの意気込みを話した。今回優勝を狙うパク選手は「昨年はランで失敗したが今年はそうならないよう頑張る」と決意を述べた。同席した選手兼コーディネーターのカン・ジョン・ギュさん、コーディネーターのゲイリー・サトウさんは、帰国後の選手たちによる宮古島のPR効果に期待した。
今大会の外国人招待選手は七人、国内では十二人を招待選手として招いている。
写真説明・大会長の伊志嶺亮市長を表敬訪問した外国人招待選手たち=20日、宮古島市役所
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新城海岸などに大量の廃油ボール/宮古支庁の職員らが清掃
ウミガメの産卵海浜も汚染
県宮古支庁(兼城克夫支庁長)は二十日午後、宮古島の北海岸などで清掃を実施した。ウミガメが上陸し産卵する城辺の新城海岸では、重油などが固まってできる固形物「廃油ボール」が、大量に打ち上げられ海浜環境を汚染していた。漂着原因は不明。各地の海岸で参加した職員らは廃油ボールを回収したほか、散乱したプラスチック類などの大量ごみを撤去した。
この日の清掃は、農林水産整備課(下地功祐課長)が農林海岸、土木建築課(前泊勇栄課長)が一般海岸で実施した。職員約五十人が各グループごとに分かれ、平良の砂山ビーチ、下地の前浜ビーチ、城辺の吉野海岸などで清掃した。
このうち、新城海岸に漂着した廃油ボールは小さいもので直径約一a、重さ○・二c。大きいものは長さ八a、幅五a、重さ三○c。廃油ボールは数百bにわたって打ち上げられていた。
この活動は、宮古管内の主要な海岸・ビーチの清掃を行い、県内外から訪れるビジネスマンや観光客などに美しい宮古島の海をアピールするとともに、海岸環境の良好な保全、美化に関する地域住民の意識高揚を図ることが目的。
写真説明・集められた廃油ボールの一部=20日、城辺の新城海岸
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