200平成18  13 木曜日

市側「実施形態の統一を」 事業所「サービス低下招く」
     予算圧縮で運営にも影響/生きがい型デイサービス

 高齢者の閉じこもり防止を狙いとする宮古島市の委託事業「生きがい対応型デイサービス」の今年度予算は約千八百万円で、前年度比九百六十万円の減。予算規模が前年度の三分の二に縮小したことで運営を圧迫される事業所が出ている。加えて市は、今年度から利用者負担額を平準額の一律四百円に設定。実施回数は一人につき月に二回、対象者は七十歳以上の介護保険非該当者となる。市は「すべての利用者に平等を期す」ため、合併前旧市町村によってばらつきがあった実施形態を統一化する意向。しかし、統一によりサービスが低下する事業所では「地域の実情に応える」として、委託金不足分を自助努力で補てんしてでも従来の形態を堅持する所が多く、行政と現場の方針
に食い違いが生じている。

 「生きがい対応型デイサービス事業」は、介護保険非該当者を対象とする介護予防対策の一環。合併前五市町村時代から各自治体が計九カ所の事業所に委託して実施、高齢者の「居場所」として定着している。ただ、事業所間に内容の違いがあったため、市は実施回数や利用者負担額などを平準化した。池村直記福祉保健部長は「事業所のアンバランスを生まないよう同一サービスで統一する必要がある。従来よりサービスが欠ける事業所の利用者には理解を求めていく」と述べる。
 しかし、事業所からは市の体制について「介護予防の後退では」「福祉サービスは画一するよりも地域の実情に応えるべきなのでは」などと疑問の声が漏れる。実際、複数の事業所では独自に経費を捻出して委託金減額分を埋め、サービスの現状維持を決定している。
 これまで、利用者負担額六百円で週に一回のサービスを提供してきた市社会福祉協議会城辺支所(吉永洋子支所長)は、これまでの内容を維持する方針。委託事業部分の同負担額四百円を市に報告し、残り二百円は独自事業として徴収する。また、月に一度は公民館などの地域を訪ねて実施する形を取り入れた。その際は昼食、入浴などのサービスを実施しないため利用者負担は無料。独自事業部分の経費は、赤い羽根共同募金など他事業の財源を流用して対応するという。吉永支所長は「デイサービスを日常の楽しみとしている利用者が多い中で回数を減らすことはできない」と話す。同社協上野支所(砂川信雄支所長)では、これまで対象者の規制を緩くし、本来なら対象外の介
護認定者も受け入れてきた。今年度からは対象者の厳正化で除外されることになるため、その層を独自事業で受け入れることにした。砂川支所長は「制度にそぐわない方法だということは承知している」としながらも「住み慣れた地域で友人と一緒にデイサービスを受けたいというニーズがある。集いの場で非該当者と認定者を分ける現行制度の壁を感じる」と苦渋の表情を浮かべる。
 一方で、デイサービスを地域再生の基盤づくりとして位置付けている事業所もある。NPO法人「いけま福祉支援センター」(前泊博美代表)は、将来、高齢者パワーを生かして池間島ならではの食堂を開店し、島おこしにつなげる構想がある。前泊代表は「デイサービスは最初のステップ。普段から利用者主体で運営しており、今年度からの利用者負担額の増額も理解されている。大きな問題はない」と話した。
 池村部長は「これまで、利用者の審査があいまいだったところもあり、本当にサービスを必要とする人に提供されていたかどうかという疑問もある。今後はきちんと選別し、適正に提供していきたい」と説明した。
 同事業は、昨年度から県の補助金が廃止され市単独事業となっていることに加え、逼迫する財政事情により、昨年度比九百六十万円減となる千八百万円の厳しい予算措置となった。しかし、今後三年間の第三期事業期間内には、同事業が国庫補助事業の「地域支援事業」に移行するなど、高齢者福祉施策の過渡期を迎えている。

(砂川智江)

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変種ヒメキランソウ発見/平良で「桃色の花」、伊良部で「毛無し」

 在来種で変種ヒメキランソウ(シソ科)が十日までに、宮古島市平良と伊良部島・下地島で二種発見された。一種は桃色の花を咲かせるヒメキランソウ、もう一種は葉っぱに毛の無いヒメキランソウ。二種の標本を見た植物専門家の高良拓夫さん(64)=那覇市在=は「もし文献などに記録が無ければ、モモイロヒメキランソウとケナシヒメキランソウと名付けたい」と語った。
 県内には紫紅花を咲かせるヒメキランソウとシロバナヒメキランソウの二種が自生。いずれも葉っぱに毛がある。多年生草本。茎は地上をはい、節部から根を下ろす。花の大きさは直径二aほど。
 桃色の花を咲かせるヒメキランソウは、平良の海岸で見つかった。桃色の花以外の特徴は、他の毛のあるヒメキランソウと同じ。
 一方、毛の無いヒメキランソウは、毛のあるヒメキランソウと同じ紫紅色の花を咲かせるが、葉っぱが毛のある種より大きい。
 伊良部島では一カ所で、下地島では二カ所で分布が確認された。今後の調査次第では、分布の数は増える可能性が高い。
 宮古毎日新聞社の伊良波彌記者が発見し、高良さんに標本を送った。

 写真説明 上・桃色の花を咲かせたヒメキランソウ=10日、平良の海岸
 
 写真説明 右・毛の無いヒメキランソウ=10日、伊良部島

 (撮影・伊良波彌記者)

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「国内企業での開発を」/伊志嶺市長が県に要請
砂山リゾート計画

 【那覇支局】宮古島市の伊志嶺亮市長は十二日、県庁に稲嶺恵一知事を訪ね、宮古島市平良下崎の砂山ビーチ一帯のリゾート計画について「事業スポンサーについては国内企業を選定するよう県も協力してほしい」と求めた。稲嶺知事に代わり対応した観光商工部の松本真一観光交流統括監は「同地区は県のトロピカルリゾート構想の中に位置付けて、開発が進められるよう側面からの支援をしている。できるだけ早く県としても対応したい。今回の要請の趣旨は分かったので上司(部長)に伝えたい」と述べた。
 また、今回の要請には、下崎自治会(狩俣一雄会長)と成川自治会(伊志嶺孝一会長)の役員らも同席し、県に要請した。
 同計画については当初、ダイエーの系列会社が「砂山ビーチ」一帯を観光リゾート化する予定だったが、ダイエーの経営悪化によって計画が頓挫し、宮古島砂山リゾートが二〇〇四年に事業を継承したものの昨年九月に東京地裁から会社更生法に基づく財産保全命令を受けている。現在、国内一社、国外一社の二社が事業スポンサーとしての候補に挙がっているが宮古島市は四月に、そのうちの国内の企業を推薦する上申書を東京地裁に提出している。
 要請では「市では、過去にも外資系企業が話を大きく膨らませ問題となった例もあり、同地区の開発については継続性、信用性のある日本企業に一刻も早く取り組んでもらいたい。県知事からも裁判所に日本企業の推薦、要望書を提出してほしい」と求めている。
 要請書を手渡した伊志嶺市長は「宮古島市の観光の目玉なので県にも協力してほしい」と県に強く要望した。
 この動きについて保全管理人の滝久男弁護士は本紙の取材に対して「あくまでもこの事業は『宮古島リゾート』のものであって、それに対する事業スポンサーの選定については今回の動きに左右されるものではないし、公平公正の観点からも左右されてはいけない。今後、保全管理人と裁判所で検討し、事業スポンサーが決定されるだけ」との見解を示した。
 宮古島市の狩俣照雄土地対策局長は「四月五日に県が宮古島砂山リゾートに対して、開発行為の許可を出している。その中で『工事着工までに当開発計画については宮古島市の再度協議を行うこと』との条件があり、事業スポンサーは国内企業を求めていきたい」との方針を示した。
 同計画は、四十六万平方bの敷地にホテルやショートコースのゴルフ場、テニスコートなどを建設するという大規模開発プロジェクトで、一九九二年には開発行為が県知事、農林水産大臣に許可されながら、ダイエーの経営悪化とともに、同計画は頓挫。
 事業を受け継いだ宮古島砂山リゾートも低層型コテージの建設など計画内容を変更して再開発を進めていたが昨年、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。同社によると、負債総額は約四億七千万円となっている。
 今後、事業スポンサーが決定すれば、宮古島砂山リゾートが事業を進めていくこととなっている。

(垣花尚)

 写真説明・事業スポンサーに国内企業を求める要請書が伊志嶺市長(手前左)から松本統括監に手渡された=12日、県庁

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結成10周年記念公演スナップ展/ 14日まで 沖銀宮古支店で
琉球國祭り太鼓宮古支部

 琉球國祭り太鼓宮古支部(新垣太作支部長)「結成十周年記念公演」の模様を写真に収めたスナップ展が十日から、沖縄銀行宮古支店で開催している。力強い演舞の写真など約四十点が展示され、銀行に訪れた人の目を楽しませている。
 先月十八日に結成十周年を記念してマティダ市民劇場で行われた同公演の写真は、宮古テレビグループ写真クラブメンバーによる撮影。撮影からデジタルプリントまですべてメンバーらで行ったという。
 同支店の上原稔次長は「銀行に訪れる人が写真を見て喜んでいる様子が私たちにも伝わって、行員一同うれしく思う。地域の銀行として、地域の皆さんに場所を提供するのは我々の使命。愛される銀行として、地域に積極的に貢献していきたい」と話していた。
 スナップ展は午前九時から午後三時、十四日まで。

 写真説明・スナップ展では訪れる人の目を楽しませている=11日、沖縄銀行宮古支店

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宮古駐在が開所県病害虫防除技術センタ
業務内容バージョンアップ

 県の行財政改革の一環で病害虫防除所とミバエ対策事業所を統合して設置した県病害虫防除技術センターの宮古駐在開所式が十二日、平良字西里の同事務所で行われ、関係者らが新たなスタートを祝った。職員は上里卓己駐在と事務員の二人。旧防除所の宮古駐在はアオドウガネなど一般病害虫対策を中心に業務を行っていたが、新駐在はイモゾウムシなど特殊病害虫も扱うことになり、業務の幅が広がった。
 式では病害虫防除技術センターの石原博一所長と宮古農政・農業改良普及センターの本村隆信所長が、旧看板を降ろした後、新しい看板を掲げた。
 最初に、宮古支庁の砂川光弘農林水産調整監が「宮古にはアオドウガネやハリガネムシなどの害虫が多発しており、センターの果たす役割は大きい。今回の統合には、病害虫対策を一元的、効率的に実施していこうという狙いがある。バージョンアップしたセンターと、関係機関が一体となり、宮古の農業振興に貢献してほしい」とあいさつした。
 石原所長は旧防除所が主要病害虫の発生予察調査を行い迅速な防除に役立ててきたことや、旧ミバエ対策事業所が宮古地区をはじめ、県内全域で特殊病害虫のミバエ類を根絶する偉業を成し遂げたなど、両事業所の沿革を紹介。その上で、病害虫の早期発見、早期防除のために住民をはじめ関係機関の情報提供と協力を要望した。
 上里駐在は「宮古には特殊な虫が多い。皆さんの協力を得ながら、この虫たちと向き合っていきたい」と決意表明した。
 那覇植物防疫事務所の内海一雄所長、JAおきなわ宮古地区事業本部の下地隆弘本部長、県農林水産部営農支援課の山城毅副参事もあいさつし、病害虫防除対策の強化による宮古農業の発展を祈念した。
 同センターは▽農作物病害虫発生予察▽農薬の安全使用対策▽農薬の残留分析の調査研究▽ウリミバエ、ミカンコミバエなどの再侵入防止対策―などに関する業務を行う。

 写真説明・石原所長(左)と本村所長によって新しい看板が設置された=12日、病害虫防除技術センター宮古駐在

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   旧3町村は値上げ学校給食費/ 合併で平均額に統一
平良、伊良部は若干下げ

 五市町村合併に伴い、宮古島市立の小中学校の給食費が四月より変更された。合併前の五市町村の平均額を取り、小学校が三千百円、中学校が三千四百円となった。城辺、下地、上野の三地区は小・中学校ともに約三百円値上がりした。宮古島市立学校給食共同調理場は「苦情もなく大きな混乱はない」としている。
 給食費は合併協定書の学校教育および幼稚園について「五市町村の現行の平均額とする」を基に算定。宮古島市教育委員会は各保護者に文書で給食費の変更を通知しているという。
 最も値上がりしたのは城辺地区で小学校で三百五十円、中学校で三百四十円とそれぞれ上がった。一方、最も値下がりしたのは伊良部地区。小学校で五百円、中学校で六百円それぞれ下がった。
 合併前の各市町村の給食費は▽平良(小学三千二百七十円、中学三千三百六十円)▽城辺(小学二千七百五十円、中学三千六十円)▽伊良部(小学三千六百円、中学四千円)▽下地(小学二千八百円、中学三千百円)▽上野(小学二千八百円、中学三千百円)―だった。
 ある小学児童の保護者は「今までいくら払っていたか分からなかった。大きく変わるわけではないので良かった」と話した。
 宮古福祉保健所(上原真理子所長)が二〇〇五年度に捕獲した野犬や放し飼いの違法犬は百九十三頭で、前年度と比べ二十五件増加した。捕獲頭数は〇三年度まで上昇傾向で推移。行政の取り組み強化で〇四年度には減少したが、再び増加に転じた。同保健所では依然として放し飼いが多い現状を指摘。野犬化の恐れや、希望しない繁殖による捨て犬の増加などを懸念している。ペットブームにより宮古地区でも犬の飼養頭数が増えていることから、避妊・去勢の徹底や放し飼いをしないよう呼び掛けている。

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