200平成18  30 木曜日

「助役2人制」三たび否決/与党、分裂回避できず
/市議会本会議

 宮古島市議会(友利恵一議長)は二十九日の本会議で、伊志嶺亮市長が提出した助役を二人とする条例改正案を審議し昨年十二月、今年二月と同様、十対十七の賛成少数で否決した。同案の可否をめぐっては与野党ともに水面下で攻防を続けてきたが、与党は半数以上が反対に回り、この案件に限れば三たび与党内の分裂を露呈した。野党全員の反対も変わらず、結果として過去二度の結果と同じ大差がついた。否決されても再提案する意向を示してきた伊志嶺市長は「まだ考えていないので白紙」と述べ、再提案に向け微妙な心境の変化をうかがわせた。
 条例改正案は午後二時十五分から審議。伊志嶺市長は「合併に伴う諸課題を迅速、かつ適正に対処できるよう機動性と効率性を兼ね備えた執行体制を確立するため」と提案理由を述べ、条例改正に強い決意を示した上で慎重な審議を求めた。
 賛成、反対それぞれの討論が行われた後に採決を取った。賛成したのは与党の仲間明典、山里雅彦、前川尚誼、与那覇タズ子の四氏と、与党寄りのスタンスを取る「そうぞう」の池間健栄、新里聡、池間豊、宮城英文、下地智、豊見山恵栄の六氏を合わせた十人。反対したのは与党の佐久本洋介、与那嶺誓雄、友利光徳、亀浜玲子、上里樹の五氏と、野党の砂川明寛、棚原芳樹、嘉手納学、新城啓世、上地博通、平良隆、下地秀一、下地明、池間雅昭、真栄城徳彦、公明の富永元順、富浜浩の計十七氏だった。
 昨年十二月定例会、今年二月の臨時会に続く否決に伊志嶺市長は「二月の臨時会で否決されてから議会の理解を得ようと努力してきたが、それが実らず遺憾に思っている」と述べた。今定例会一般質問で公言してきた再提案については「市民の声を聞きながら、六月議会まで考えたい。人選も条例改正案が可決されてから考える」と話した。
 結果として与党が分裂した状態については「助役二人制だけが私の政策ではないので(今後も反対した与党議員を)与党ととらえるが、割れたことは残念に思う」と複雑な心境を明かした。
 昨年十二月から三たび否決された助役二人制導入案。伊志嶺市長自身が「信念」と言ってはばからないだけに、六月の定例会、あるいは臨時会における再提案の可能性もある。
 
<解説>
与党再編は必至/「そうぞう」絡め動き加速
 助役を二人とする条例改正案が二十九日、市議会で否決された。市長を支える立場にありながら同じ案件を三度も否決に追い込んだ与党の存在意義が問われる中、与党寄りのスタンスを取る「そうぞう」を中心とした与党内再編の動きが加速することは必至だ。
 助役二人制導入案を支持する「そうぞう」(豊見山恵栄会長)は今定例会の審議に当たり、与党の反対議員に退場を求めてきた。これにより議会内の賛否が拮抗し、可決の公算が極めて大きくなるためだ。
 与党議員会の仲間明典会長も「そうぞう」の考えに同調し、反対する与党議員に対し懸命な説得作業を続けてきた。審議前日の二十八日には本紙取材に「今回否決されれば与党再編になる」などと言及していた。だが、二十九日の審議で反対する与党の五人は動かなかった。これまでと同じ立場を示し、与党内分裂の色合いを強める結果を招いた。
 「市長を支える」と強調してきた仲間会長は今回の責任を取り、同日のうちに与党議員会会長職の辞意を表明。反対する与党議員を暗に批判する強気の姿勢を示した。
 一方、表面上は与党の動きを静観してきた「そうぞう」も今回の結果には憤りを見せる。豊見山会長は「早い時期に賛成した与党議員と同じテーブルに着き、会派再編を踏まえて検討したい」としており、会派の名称を含めて再編を検討していく考えを明らかにした。
 今後、「助役二人」に賛同する与党議員と「そうぞう」を中心に再編の動きが強まることは必至だが、再編の時期や再編の方法、野党議員の取り込みを含めた具体的な再編作業については不透明な部分が多く、与野党各氏の動きが注目を集めそうだ。
    (山下誠記者)


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県が現場事務所開設/4月から職員11人常駐
/伊良部大橋建設の拠点に

 宮古圏域の悲願だった伊良部大橋の建設現場事務所が宮古島市平良字久貝にこのほど完成し二十九日、同事務所で開所式が行われた。県や宮古支庁、宮古島市の関係者らが集まり建設拠点の完成を祝った。事務所には県宮古支庁土木建築課の職員が配置され、四月から十一人体制で伊良部大橋橋梁整備事業の円滑な推進を図る。
 看板掲示式では県宮古支庁の兼城克夫支庁長、同土木建築課の前泊勇栄課長、同課の嘉手納良文主幹、県土木建築部道路街路課の仲宗根朝雄課長が看板を設置した。
 祝賀会で兼城支庁長は「この事務所を拠点に工事が始まる。安全管理などに配慮し、八年間の長きにわたる事業を進めてもらいたい」と開所を喜んだ。
 また、県土木建築部の末吉哲部長(代読・仲宗根課長)は「伊良部大橋は関係者の熱意と協力のたまもの。豊かな自然に配慮し、百年対応の優れた橋にしてもらいたい。宮古と伊良部が陸続きになることで利便性や教育、医療が向上し、地域振興の発展に寄与することを願う」と述べた。
 同事務所は鉄骨造平屋建て。敷地面積千三百十九平方b、延べ面積は二百七十七平方b。工事費は三千七百九十二万六千円。緊急時の現場への迅速な対応や日常的な工事の監督を行うため、これから工事が始まる取付道路に面した場所に建設されている。
 看板掲示式後の祝賀会では、嘉手納主幹が職員一人ひとりを紹介し「無事故、無災害。環境を保全し一日も早く完成するために全力で取り組みたい」と語った。
 伊良部大橋は宮古島と伊良部島を結ぶ事業延長六千五百b(本橋部三千五百四十b、海中道路部六百b、取付橋梁百七十b、取付道路二千百九十b)の離島大橋。二〇一二年度完成予定。総事業費は三百二十億円。今月十八日に着工している。

 写真説明・看板を掲示する(左から)前泊課長、嘉手納主幹、仲宗根課長、兼城支庁長=29日、伊良部大橋建設現場事務所

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宮古でも熱戦に熱い声援/センバツ八重山商工

 八重山商工高校のセンバツ甲子園大会二回戦(横浜高校)を迎えた二十九日、在宮古八重山郷友会(佐原忍会長)のメンバーらは市内の事業所に集まり、テレビ観戦で八商工ナインに声援を送った。勝利には一歩届かなかったが、郷友会メンバーらは試合終了まで攻守一つ一つのプレーに一喜一憂。佐原会長は「残念だがよくやった。先島の球児たちに勇気を与えてくれた」と健闘をたたえた。
 八重山郷友会は同試合を応援しようと、十五人ほどのメンバーが集結。勝利への願いを込めて同校野球帽とメガホンを載せたテレビを囲み、かたずをのんで試合の行方を見守った。四回表の大量失点にはぼうぜんとなって静まり返ったが、六回裏、金城長靖の本塁打が飛び出し同試合初得点が生まれると、パーランクーを打ち鳴らし歓声を上げて喜び合った。
 佐原会長は「素晴らしい夢を見させてもらい感謝している。今大会の経験をぜひ夏につなげてほしい」と、興奮冷めやらぬ様子で話した。
 一回戦の高岡商戦は甲子園で応援したという新崎正人さんは「最初は完敗かと思ったが、互角以上の戦いを見せてくれた。次のチャンスに期待している」とたたえた。

 写真説明・テレビ観戦で八重山商工ナインを応援する八重山郷友会メンバーら=29日、宮古島市荷川取のみやぎ米屋


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新年度予算案を可決/市議会閉会

 宮古島市議会(友利恵一議長)三月定例会は二十九日、最終本会議を開き、二〇〇六年度一般会計予算案など当局提案の計四十一議案を可決し閉会した。一般会計の総額は三百十八億五千四百万円。総務費に計上された平和の日事業費三十万円と、助役二人分の給与を含んだ予算の一部を予備費に回して可決した。
 〇六年度一般会計の審議では、助役二人分の給与を含む特別職給与関係費や「憲法九条の碑」建立費を同予算から切り離して先に採決を取った。助役二人分の給与については総務財政委員会で可決されているが、真栄城徳彦氏を除く野党十一人が連名で減額修正案を本会議に提出したために多数決を取り、賛成多数で認められた。この費用は予備費に回した。

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暴露試験場を規模拡大/日本ペイント

 平良狩俣にある国内塗料業界トップの日本ペイント(本社・大阪市、松浦誠社長)の暴露試験場「宮古島ウェザリング試験場」が、基礎研究機能を強化、試験板の増設など規模拡大し「宮古島ウェザリングセンター」としてリニューアルオープンした。同センターは国内の中核基地としてデータを大阪と東京にある同社の研究所間などとリアルタイムで結び、商品開発のスピードアップを図っていく。二十九日、現地で施設説明会や竣工式が行われ、関係者らが同センターの完成を祝った。
 同社は二〇〇一年八月に宮古島に暴露試験場を開設。世界の暴露試験基準地域とされている米国フロリダと同程度の緯度に位置するため、宮古島は試験場として好条件を満たしている。太陽光や雨などの条件にさらして耐候性を試験する施設で、規模も国内最大級だった。
 今回はさらに面積を五千四百平方b拡大し一万八千四百平方bに、試験板架設を一万枚分増設し四万枚とした。天然暴露に加え、自社開発のリモートプラズマ(人工ランプ)を用いた各種の促進耐候性試験を実施していく。
 同社の木本浩一経営企画室長は「国内最大手のメーカーとして、業界全体を引っ張る役割も担っている」と、同センターの機能強化の意義を説明した。
 宮古島市の伊志嶺亮市長は「日本ペイントにはこれまでも宮古まつりやトライアスロン大会に協賛してもらい、感謝している。センターには国内外から多くの視察があり、圏域経済にも貢献している」と期待した。また、同社が関連企業に宮古の高校から新卒者を採用していることに触れ、感謝した。

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   旧下地・上野の限度額廃止/市営住宅家賃
/1年間は暫定で5万3000円に

 宮古島市が今月中旬、旧下地町と旧上野村にある市営住宅の一部入居者に対して、〇六年度四月からの家賃を現在の二―三倍に急増する額を提示していたことが二十九日までに分かった。旧両町村が過疎化防止などを目的に独自で設定していた三万五千円の家賃限度額が、宮古島市合併に伴い廃止されたため。しかし、突然の家賃急増通知に入居者から困惑の声が相次ぎ、両地区に住む増額対象者に限って向こう一年間、五万三千円の暫定限度額を設定。対象となる十六世帯に対し二十七日に再度、修正した額を通知した。通知対象者は、総所得金額から扶養控除やそのほかの控除を差し引いたものを十二で割り、現金収入が月額二十万円以上の収入超過者や、月額三十九万七千円以上の高額所得者とされる入居者。
 当初、三万五千円の限度額は、旧平良市街地などへの住民流出を避けようと旧両町村が設けたものだが、合併前の〇五年七月、旧五市町村の担当職員で構成される建設専門部会が限度額廃止を決定した。
 市によると、低額所得者に対して安い家賃で提供することを目的にした公営住宅の家賃算定には所得が反映される。暫定限度額の対象となる十六世帯は、上野九世帯と下地七世帯。このうち上野では最大二・七倍の九万五千八百円への増加提示もあった。しかし、入居者は三月中旬の通知まで、限度額の廃止や家賃が増加することを正式に知らされておらず、市建設部住宅課に困惑した様子で訪れる人もいたという。二十九日現在、窓口や通知での対応で入居者は収入に対する家賃算定に理解を示しており、特に目立った混乱はない。
 市も通知の遅れを認めており、暫定の限度額を設けることで入居者の理解を求めている。市建設部住宅課の砂川明有課長は「所得に応じて家賃を算定しているので、収入超過者や高額所得者にはそれに応じた正規の家賃を通知したまでだが、その提示通知が遅れてしまい入居者には混乱を招いてしまった。周知の遅れで暫定措置を取ったが、一年後の〇七年度からは収入に応じた家賃算定にしたい」と話している。
 市営住宅は市内全域で千三百七十戸。このうち上野地区百九十八戸、下地地区で二百三十四戸。

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