200平成18  28 火曜日

宮古島市、4枠の推薦消滅/県立看護大
合併で「特定町村」の条件満たさず

   県立看護大学(上田礼子学長)の特別推薦で、旧城辺町、伊良部町、下地町、上野村に認められていた「地域推薦入学」枠が、宮古島市発発足に伴い消滅していることが分かった。同枠は、保健師等の人材確保が自助努力では困難な「特定町村」に認められているが、宮古地区は市町村合併で旧四町村の計四枠がなくなり、多良間村の一枠のみとなっている。教育関係者は「合併しても離島は離島。子供たちのチャンスがなくなってしまう」と懸念している。一方、県と大学は「やむを得ない」と、制度の定義で元に戻すことは難しいとの姿勢だ。

 特定町村は▽人口一万人未満▽地理的諸条件で町村の努力では保健師などの人材確保が難しい▽県への申し出がある―町村。「地域推薦」では、各町村から一人を町村長が推薦できる仕組みとなっている。宮古島市発足前は離島、北部町村など二十町村だったが、宮古島市は市町村合併でこの条件を満たさず、二〇〇六年度の同大学の募集要項では旧四町村の枠が除かれた。
 先島高等学校教育振興会(会長・仲間博之宮古高校校長)では市町村合併前の昨年九月、「離島地区推薦枠の拡大について」との要請書を同大学に提出。「地域医療の充実・発展のためにも、地元出身者の育成、人材確保は離島地区の課題。〇六年度入試において、離島地区推薦枠の拡大を検討してほしい」と要望したが、実らなかった。
 仲間会長は「生徒のチャンスが失われてしまう。宮古島市になったからといって、人材をどう確保するのか。離島地域であることに変わりはなく、可能性はたくさんあった方が良い」と強調した。
 これに対し担当の県医務・国保課は、「あくまで自助努力では保健師等の確保が難しい町村に対する措置で、卒業した学生が当該町村で働くというもの。合併で宮古島市となり、保健師の確保はできると考える」との見方を示した。
 また、同大学の担当者は「地域医療要員を確保するとの県の要望で、地域推薦枠を設けているが、医務・国保課に確認したところ、合併で特定町村の要件を満たさないということだった。支援計画を定める部署に従うことになる」と述べた。昨年五月の離島過疎地域の町村長会議の中でこの件について説明があったが、当該町村から要望事項はなかったという。

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地下ダム資料館/管理、運営に黄信号/
市議会一般質問

  開会中の宮古島市議会(友利恵一議長)は二十七日、六人が登壇し一般質問を行った。城辺地区にある地下ダム資料館について宮國泰男経済部長は「運営そのものが厳しく、指定管理者を指定しても市の助成がない限り運営は成り立たない」などと述べ、合併後も一向に好転しない運営状況を報告した。友利光徳氏の質問に答えた。経済部によると同館の年間維持管理費は二百万円以上を試算しており、今の入館料ではこの費用すら賄えない状況にあるという。
 昨年十月にオープンした地下ダム資料館(城辺字福里)への入館者数は団体・個人合わせて二千百四十七人。昨年十月からの月別入館者数について宮國部長は▽十月=四百九十人▽十一月=六百五十四人▽十二月=二百七十八人▽一月=三百十三人▽二月=四百十二人―であることを報告。入館料は四十五万七千九百円だが、同館で働く賃金職員の人件費や維持管理費で多くの出費があり、現在の運営は非常に厳しいものがあることを強調した。
 世界に誇る地下ダムを観光面で活用しようと建設された資料館だが、管理・運営するためには大きな財政負担を強いられることが明白で、今後のPR活動による運営状況の好転が望まれている。
 同館入館料は一般通常が三百円で団体が二百五十円、学生(高校生、大学生)は通常が二百円で団体が百五十円。児童生徒(小学生、中学生)が通常百円で、団体は五十円に設定している。館内の展示内容は▽地下ダムの模型▽宮古の水と自然▽宮古の農業▽大型地下ダム建設技術▽水の成分▽宮古島のエコエネルギー開発▽石灰岩の謎▽石灰岩と化石▽地層に触れる▽地下ダム見学―などとなっている。
 一般質問には友利氏のほかに、豊見山恵栄、亀浜玲子、下地秀一、池間豊、棚原芳樹の計六氏が登壇した。随意契約の状況について伊志嶺亮市長は「なるべく減らすようにしたい」と話した。地下水条例や環境保全条例の早期制定にも意欲を示した。亀浜氏への答弁。
 水道事業の多良間村との合併については「正式要請があれば検討していきたい」と下地氏の質問に答えた。助役二人制導入案での答弁では「旧五市町村をカバーするために二人必要」と強調。棚原氏の質問に答えた。
 市議会はきょう二十八日も一般質問を行う。

写真説明・6氏が登壇し当局の考えをただした市議会一般質問=27日、宮古島市議会

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宮古島市介護保険、第3期計画を答申/
全庁体制での予防推進提案

 宮古島市介護保険事業計画等策定委員会(下地徹委員長)は二十七日、このほどまとまった同市高齢者保健福祉計画・第三期介護保険事業計画案「結いの島いきいきプラン・宮古」を伊志嶺亮市長に答申した。改正介護保険法に伴う「介護予防の推進」がポイントで、全庁体制での実施を提案。伊志嶺市長は「改正法と事業計画を踏まえ、適切に市の介護福祉に取り組みたい」と述べた。実施期間は二〇〇六年度から〇八年度までの三年間。
 同委員会は、保健医療、福祉の関係者、各地区被保険者代表ら十九人で構成。昨年十二月から四回にわたり、保険料設定や改正法の目玉となる「地域包括支援センター」の体制など各項目について審議した。答申にあたり下地委員長は「新年度からの介護保険事業に役立ててください」と計画書を伊志嶺市長に手渡した。
 同計画では「ともに支えあい いきいきとした健康長寿のまち 宮古島」を基本理念に掲げ、介護予防を目的に自助、共助、公助の必要性を挙げている。介護予防事業の拠点となる地域包括支援センターは、福祉保健部内に四月一日の設置を予定。介護予防ケアマネジメント、相談・支援、虐待防止など高齢者の権利擁護に関する事業などを総合的に実施する。当面の職員数は主任ケアマネージャーや社会福祉士ら四人を配置予定。対象者個々の事前アセスメント(評価)ケアプランの作成などを経て、実際の予防サービス展開は六月一日以降を目指している。
 また、予防給付費の膨張を防ぐため、行政各課の連携による全庁体制で予防事業を推進し、各分野からのアプローチを行う。ただ、マンパワーの不足が大きな課題となっており、同市介護長寿課では「教育委員会の『リーダーズバンク』などを活用して人的資源の確保に努めていきたい」としている。
 同計画では、四月からの介護保険料基準額を四千五百円に設定している。

写真説明・介護保険事業計画案を伊志嶺市長(左)に報告する下地委員長=27日、宮古島市役所

 

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ゴルフキャンプで来島/小学生30人、地元ジュニアと練習へ

 ゴルフの持つ教育的効果を生かし、子供の健全育成、生きる力を養う「ジュニアゴルファー・スプリングキャンプin宮古島2006」(主催・NPO法人ジュニアゴルファー育成協議会)の一行が二十七日、来島した。同キャンプには関東近県の小学生三十人と、宮古の小学生十六人の計四十六人が参加。日本女子プロゴルフ協会(LPGA)副会長で、不動裕理プロらを育てた清元登子さんらが指導に当たる。またシーカヤック体験、星空観察などを通して自然と向き合う「ネイチャーゲーム」も楽しむ。
 参加者らは同日午後、二班に分かれて来島。宮古空港で、宮古ゴルフ協会の上地安増会長は「短い期間だが、良い思い出になるよう宮古の良さを十分堪能してほしい」と歓迎。同協議会執行委員の松尾俊介広報担当は「子供たちには社会のルールを守ることをゴルフから学び、自然との触れ合いで大きく成長してほしい」と話した。清元さんはきょう二十八日に来島する予定。
 参加者らはこの日、バスで島内見学。夕方には宿泊する県立宮古少年自然の家で、地元の子供たちとの歓迎交流会で親睦(しんぼく)を深めた。
 きょう二十八日のプログラムはゴルフのレッスンをはじめ、ビーチサッカーや焼き物体験など。また、一般ゴルファー向けの指導者講習会が午後四時から、エメラルドコーストゴルフリンクスのクラブハウスで行われる。

写真説明・スプリングキャンプに参加するため来島した子供たち=27日、宮古空港



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宮古養護学校 増改築工事が起工/来年3月に完成

 県立宮古養護学校(玉元江美子校長)の校内で二十七日午後、校舎増改築工事の起工式が行われた。工事発注者の県や第一期工事の施工業者の関係者ら多数が出席し、工事の安全を祈願した。校舎棟・寄宿舎などから段階的に完成し、二○○七年三月に総合養護学校として全建物が揃う。初めて幼児部が新設される。地域に開放されるふれあいホールや地域コミュニティー広場は、地域へ開放され開かれた学校づくりが本格化する。○七年四月からは、これまでの特殊教育から特別支援教育がスタートし、新しい障害児教育の時代を迎える。
 現校舎は築三十年経っていることから老朽化が進み、早期の増改築工事が待たれていた。
 新しい増改築建物は、鉄筋コンクリート造りの平屋建てで、完全バリアフリー化。延べ面積が約七千三百平方bで、このうち校舎が四千八百十七平方b、屋内運動場千七十五平方b、寄宿舎七百十六平方b、屋外プール四百平方b、幼稚部百二十平方b、給食調理場約百四十八b。総事業二十一億円。
 工事は二期工事で行われ、一期工事が○五年十二月―○六年七月末まで、第二期工事が○六年八月―○七年三月まで。
 神主の清祓(きよはらい)の儀式の後、県教育庁施設課の山根義治課長、玉元校長、松田・睦設計事務所の松田喜知所長、琉輝建設の松尾良夫社長の四人がくわ入れ。
 直会(なおらい)で、山根課長は「子供たちの夢と希望をはぐくむ工事なので、工事中は子供たちへの配慮をお願いしたい。安全が第一」と、施行業者らへ協力を求めた。
 玉元校長は「この日を夢見て待ちわびていた。感動と感謝の気持ちでいっぱい」と感謝の意を表した上で「悲願の幼稚部も新設される。平成十九四月からは特殊教育が特別支援教育に変わり、日本の障害児教育の元年となる」と述べ、時機を得た新増改築工事を喜んだ。
 式に出席した砂川佳一県議は「今後は他の学校との交流の門戸が開かれる。宮古養護学校の前途洋々たる発展を祈念する」と祝辞。
 設計監理・施行業者は次の通り。
 【設計監理】▽松田・睦設計事務所(松田喜知所長)▽シモマサ設計(下地正彦社長)▽総合設備企画(比屋根正社長)【建築】▽琉輝建設(松尾良夫社長)▽下崎建設(下地哲也社長)▽新幸組(新里謙社長)▽大成土建(砂川昌則社長)▽先嶋建設(黒島正夫社長)【電気】▽パイオニア(高里俊夫社長)▽下崎工事社(狩俣栄吉社長)▽宮古電水土木(砂川一範社長)【機械】▽伊良部工業(渡久山和彦社長)▽大倉産業(仲程好信社長)▽パイオニア(高里俊夫社長)

写真説明・くわ入れした(左から)松尾良夫さん(琉輝建設社長)、山根義治さん(県教育庁施設課長)、玉元江美子さん(宮古養護学校長)、松田喜知さん(松田・睦設計事務所長)=27日、宮古養護学校



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   不法投棄ではなく「一時保管」/新城原野の産廃で見解
 

 城辺新城の原野に大量の建築廃材が山積みされていた問題で県宮古福祉保健所(高江洲均所長)は、地主の了解が得られていることから「基本的には不法投棄のうちにはならない」として一時保管であるとの見解を示した。しかし、保管基準で定められている囲いや保管場所を示す掲示板の設置がされていないことが保管基準違反に当たるとし、廃材の所有者に対し改善指導を行った。また運搬業者が無許可であったことも分かり、無許可での運搬中止を指導した。今後は、建築廃材を撤去するか保管基準を満たし一時保管を続けるかについて、所有者と協議する。
 県宮古福祉保健所によると、廃棄物の一時保管については県への届け出や許可は必要なく、保管基準を満たすことを条件に認めているという。保管基準では廃棄物の飛散や流出、汚水による地下水汚染の恐れを防ぐため▽周囲に囲いを設ける▽廃棄物の種類や管理場所などを示した掲示板を設置する▽飛散・流出・地下浸透・悪臭発散防止措置を行う▽ネズミや蚊、ハエその他害虫の発生防止措置を行う―などが定められている。
 同保健所は今月十七日に宮古島警察署と新城の現場を確認。二十日に廃棄物の所有者と運搬者に対し指導を行った。同保健所の金城康政生活環境課長は「一時保管は最終処分場や中間処理場へ持って行くまでの一時的な借り置きをする場所。県の許可や届け出は必要ないが、管理基準を満たさなければならない」と説明。今回の件については「いつまで保管し処分するのか、基準をいつまでに満たすのかはこれから詰めていく」と話した。
 現場は城辺総合運動公園近くの原野で、産業廃棄物を中心にコンクリートのがれきや建築廃材などのほか、冷蔵庫やたんす、いすなどの粗大ごみをはじめ、家庭から出たと思われるごみも捨てられている。中には外部からのごみが捨てられている痕跡もあるという。

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