200平成18  27 月曜日

豪雨で濁水溢れる/沈砂池も赤土止められず
下地字川満のウプカー

 宮古島が激しい雨に見舞われた二十六日午前、下地の川満地区にあるウプカー(大きい井泉)周辺の入江と川満漁港は赤土汚染で茶褐色に染まった。一帯にはマングローブが生え、そこをすみかにする魚類やカニなどは普段は見えるが、この日は全く見えなかった。
 ウプカー近くの上部に赤土の濁水流出を防ぐ沈砂池(調整池)が一カ所ある。地下からの茶褐色の水は沈砂池に流入。沈砂池は処理機能が無く、濁水はオーバーフロー。あふれ出た濁水は、マングローブ林を通り、下流の同漁港へ流れて広がる。林内には濁水でえぐられた一本の水路があり、大雨のたびに濁水が流出していたことが予想される。
 赤土の微粒子は入江や漁港内を漂い、魚類などが生活できない環境に悪化。水中や海底のかく乱は急速に進む。
 川満地区の四十代の男性は「川満部落一帯は地下水が豊富。開発によって、地下水脈に赤土が混じり、海へ流れているのでは」と推測した。

写真説明=茶褐色に染まったウプカー前の入江)=26日、下地の川満
 

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決着つかず持ち越し/平良6段と野原6段が対戦へ
決定戦は30日

 平良博彦6段に野原常彰6段、下地孝治5段、池村浩明5段が挑戦する囲碁の第二十八期宮古本因坊戦(主催・宮古毎日新聞社、主管・日本棋院平良支部、協賛・こすみ囲碁教室)の決勝リーグが二十六日、こすみ囲碁教室で開かれた。平良6段、野原6段、下地5段がそれぞれ二勝一敗で並んだためトーナメント方式で対局、野原が下地を下した。現本因坊の平良と野原による決定戦は持ち越しとなった。対局は三十日午後三時から行われる。平良が勝てば二連覇となり通算五度目の宮古本因坊に、野原が勝てば初タイトルとなる。
 決勝リーグに先立ち午前十時から開会式が行われ、宮古毎日新聞社の松原清吉編集局顧問、こすみ囲碁教室主宰の池間博美・名誉宮古本因坊があいさつし、四人を激励した。
 一局目は抽選で平良6段と下地5段、野原6段と池村5段の対戦が決まった。平良―下地戦は険しい局面で下地に決定的な読み違えがあり、八十手という最短手数で平良が中押し勝ち。野原―池村戦では池村がチャンスを見逃し、野原が十九目半勝ちで勝利した。
 二局目は平良―池村、野原―下地の組み合わせで対局。平良―池村戦は序盤から足早に地をかせぐ白番の平良に対し、黒番の池村が勢力を生かし攻める戦いに。しかし、中央で黒の思うような戦いにならず白が中押し勝ちし、平良が優勝に王手をかけた。野原―下地戦は序盤の攻防で白の野原が遅れをとり黒の打ちやすい進行になり、結果、白が取られて勝負が決まった。
 平良は連覇が懸かった三局目で、野原と対戦。優位に進めた白番の野原に対し黒番平良の追い上げが功を奏し、勝負の行方が分からないまま終盤戦へ。ヨセの途中で黒に疑問手が出て、最後は白が四目半勝ちした。下地と池村の対戦は、白番下地の苦しい展開に見えたが、追い上げが功を奏し終盤で逆転勝ちした。結果、平良、野原、下地が二勝一敗で並びプレーオフが決まった。
 三人による決勝トーナメントでは抽選の結果、野原6段と下地5段が対局。白番の野原は中盤に入るころには形勢を大きくリードしそのまま逃げ切るかに見えたが、終盤で波乱が起き黒番下地が追い上げた。最後は二目半というきわどい勝負で、野原が勝った。
 今期本因坊戦は今月十二日の一次予選で幕を開けた。一次予選には四段以下の十二人が出場。本永祐一4段、下地春義4段が勝ち残り、二次予選に進出。十九日の二次予選には二人を含む五段以上の三十人が出場。野原、下地、池村の三氏が勝ち残り、平良本因坊への挑戦権を得た。池村5段は決勝リーグ初挑戦だった。

写真説明=宮古本因坊を懸け激しい対局を繰り広げた=26日、こすみ囲碁教室
 

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60人のハーモニー響く/みやこ少年少女合唱団定期演奏会
7人が卒団佐渡山団長勇退

 「平良市少年少女合唱団」から、昨年十月の宮古島市誕生を機に改称した「みやこ少年少女合唱団」(佐渡山力団長)の初めての定期演奏会が二十六日、マティダ市民劇場で行われた。小学校二年生から中学校三年生まで約六十人の団員のハーモニーが、訪れた聴衆を魅了した。同演奏会で、中学三年生の七人が「卒団」を迎えた。また佐渡山団長が二〇〇五年度をもって勇退。会の終わりに、「ここまで続けられたのは、保護者や指導者の意欲、行政の支援があってこそ。この先、圏域を網羅する合唱団として盛り上がっていくことを願う」と述べた。後任は未定。
 「平良市」時代から通算で二十八回目となった定期演奏会は、「今日から明日へ」で幕開け。第一部は、紺のワンピース姿の団員たちが、昨年の県少年少女合唱祭で歌った「Cosmos」「With You Smile」で盛り上げた。
 「音楽の贈り物」と題された第二部は、団員らがサックスやフルート、マリンバを演奏した後、卒団生七人が映画「アラジン」の「ホール・ニュー・ワールド」を重唱。第三部はジーンズにTシャツ姿で、合唱ファンタジー「友だち」より「ことば」「フレンズ」などを合唱。せりふも交え、友達のあり方、大切さを歌を通して伝えた。
 卒団生でリーダーの赤嶺美花さん(北中三年)は「楽しい演奏会だった。これで最後とは思っていない。高校生になっても練習に顔を出したい」と笑顔を見せた。

写真説明=聴衆がじっくりと聞き入った合唱ファンタジー「友だち」=26日、マティダ市民劇場

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マングローブの役割学ぶウプカーで観察会
下地字川満

 宮古島市下地の川満地区で「川満のマングローブ観察会ウプカー遊歩道&漁港」(共催・下地小学校、NPO法人おきなわ環境クラブ)が二十六日午前、ウプカー遊歩道を中心に行われた。親子連れら約三十人が参加。マングローブの役割や水辺・水質などの環境について知識を深めた。
 講師は宮古エコガイドの会の砂川明男さんと海宝千代さんの二人が務めた。
 開会式で、那覇市にある同クラブの下地邦輝事務局長(平良久松出身)は「観察するマングローブは、オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ヒルギダマシの四種類がある。帰るまでには四種類とも覚えてください。どうして赤土が流れているかも考えてください」とあいさつ。川満部落を代表して久貝正明さんァアは「身近な環境を勉強することは大切なこと。地域にある植物や水辺の現場を見ながら勉強してください」と激励した。
 この後、砂川さんらの案内で、ウプカーとその周辺に設置された木道へ移動。砂川さんは「葉っぱの先がとがっているのがオヒルギで、葉っぱの先が円いのがメヒルギ。タコの足のような形をしたのがヤエヤマヒルギ」と述べた。
 その上で「マングローブという植物は無く、オヒルギなどの植物を総称してマングローブと呼ぶ。マングローブは真水と海水が混ざり合う水域に生える植物。マングローブは、陸から海に土砂が流れ込むのを防いだり、津波などが陸地に入り込むのを防ぐ」と、マングローブの名称や役割を丁寧に説明した。
 子供たちはメモを取りながら熱心に聞き入っていた。
 今春から下地小学校の六年生になる川満千陽(ちはる)さん」ャは「マングローブが貴重な植物と知って良かった」と笑顔で感想を話した。川満さんは父と妹の三人で参加した。
 この日は風雨が強かったため、予定していたアーサ(ヒトエグサ)摘みは中止された。

写真説明=オヒルギなどをじっくり観察していた参加者ら=26日、下地のウプカー遊歩道

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自宅でネット事業を新しい働き方セミナー

 パソコンと通信回線を使って自宅や小さな事務所で仕事をするSOHOなど、情報通信技術を活用した事業の可能性を探る「新しい働き方セミナー」(共催・県、宮古島市)が二十五日午後、同市中央公民館で開かれた。大勢の市民らが出席し、宮古からITを使った起業に向けて知識を深めた。
 講師に招かれたオフィスかりさら(沖縄市)代表の安里香織さんが「離島でも子育て中でも独学でもできる働き方=みんなでテレワークをしてみよう!」、SOHOしずおか(静岡県)のインキュベーション(創業支援)マネジャーの小出宗昭さんが「アイデアを仕事に変えよう! 地域発SOHOの紹介」の演題でそれぞれ講演した。
 安里さんは、過去に夫の転勤で宮古に引っ越した。小さな子供が二人いたことを振り返りながら「独学でパソコンを覚え、ホームページを立ち上げた。私にも自宅で仕事をするSOHOができるかもと思い、やり始めた。保育費を稼ぐ目的だった」と述べた。
 その上で「県外から文書作成の仕事依頼が初めてあった。一日十五時間働き、時給は七十円。三カ月で三万円入ってきた時は、とてもうれしかった」と語った。「その後、ホームページ立ち上げの仕事から入り、一回の立ち上げで十数万円の収入が入るようになった」と話した。
 オフィスかりさらの業務内容は、Web製作・企画・管理・入力業務、データベース構築、PCサポートなど。現在の社員は四人、在宅スタッフは全国に約九十人。二○○五年の売上高実績は二千万円。
 一方、小出さんは、静岡県を中心に起業家の育成や中小企業のサポート活動を展開。これまでサポートしてきた起業家が成功した事例などを紹介した上で「誰でも起業家としての可能性がある。
人的ネットワークづくりも大事。これからはIT産業が主役。宮古からできることもあるはずだ。昨年沖縄から宮古までの高速回線ができた。それをもっと活用すべき」などとと述べた。
 ことば
SOHO(ソーホー) Small Office Home Officeの略でパソコンやネットワーク回線をフルに活用して、事務所や自宅で仕事をすること

写真上・安里香織さん

写真下・小出宗昭さん

写真説明=情報通信技術を活用した産業に関心を寄せていた出席者ら=25日、宮古島市中央公民館

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   伝統祭祀に理解深める/「ユークイ」のビデオ上映
新里光宏さんが解説

 宮古島北部や周辺離島で行われる豊穣(ほうじょう)祈願の女性だけの神事「ユークイ」に関連したビデオ上映会が二十六日、県立図書館宮古分館(島崎早恵子分館長)で行われた。参加者は映像を通して「ユークイ」の知識を深め、祭祀(さいし)や伝統の大切さを学んだ。
 これは、今月八―二十五日まで同館で開催されていた沖縄女性史家、奥濱幸子さんが撮影した「宮古島神女の世界」パネル展に関連した企画展。宮古テレビの新里光宏さんの協力を得て、二〇〇一年に同テレビで放映された「ユークイの島二〇〇一」と、約三十年前に池間島で撮影された「ユークイ」のドキュメント番組の二本を上映した。解説した新里さんは「継承者がいないということで衰退しかけている。自分自身のルーツを考えるきかっけになると思う」と話した。
 このうち「ユークイの島二〇〇一」では、旧伊良部町佐良浜で受け継がれている「ユークイ」を撮影。祭祀をつかさどる「ユークインマ」が入院し、一時途絶えた同行事が四年ぶりに再開した当時の状況を追った。
 上映会終了後、参加者から「初めて見たが感激している。この映像をもっと多くの人に見てもらうことで、島の皆さんの考えも変わり、伝統継承していく気持ちになっていくと思う。郷友の皆さんにも見せたい」と、満足した声が上がっていた。

写真説明=会場には約30人が参加し、「ユークイ」の知識を深めた=26日、県立図書館宮古分館


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