2006年(平成18年) 3月27日 月曜日
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豪雨で濁水溢れる/沈砂池も赤土止められず
下地字川満のウプカー
宮古島が激しい雨に見舞われた二十六日午前、下地の川満地区にあるウプカー(大きい井泉)周辺の入江と川満漁港は赤土汚染で茶褐色に染まった。一帯にはマングローブが生え、そこをすみかにする魚類やカニなどは普段は見えるが、この日は全く見えなかった。 ウプカー近くの上部に赤土の濁水流出を防ぐ沈砂池(調整池)が一カ所ある。地下からの茶褐色の水は沈砂池に流入。沈砂池は処理機能が無く、濁水はオーバーフロー。あふれ出た濁水は、マングローブ林を通り、下流の同漁港へ流れて広がる。林内には濁水でえぐられた一本の水路があり、大雨のたびに濁水が流出していたことが予想される。 赤土の微粒子は入江や漁港内を漂い、魚類などが生活できない環境に悪化。水中や海底のかく乱は急速に進む。 川満地区の四十代の男性は「川満部落一帯は地下水が豊富。開発によって、地下水脈に赤土が混じり、海へ流れているのでは」と推測した。 写真説明=茶褐色に染まったウプカー前の入江)=26日、下地の川満 |
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決着つかず持ち越し/平良6段と野原6段が対戦へ
/決定戦は30日
平良博彦6段に野原常彰6段、下地孝治5段、池村浩明5段が挑戦する囲碁の第二十八期宮古本因坊戦(主催・宮古毎日新聞社、主管・日本棋院平良支部、協賛・こすみ囲碁教室)の決勝リーグが二十六日、こすみ囲碁教室で開かれた。平良6段、野原6段、下地5段がそれぞれ二勝一敗で並んだためトーナメント方式で対局、野原が下地を下した。現本因坊の平良と野原による決定戦は持ち越しとなった。対局は三十日午後三時から行われる。平良が勝てば二連覇となり通算五度目の宮古本因坊に、野原が勝てば初タイトルとなる。 決勝リーグに先立ち午前十時から開会式が行われ、宮古毎日新聞社の松原清吉編集局顧問、こすみ囲碁教室主宰の池間博美・名誉宮古本因坊があいさつし、四人を激励した。 一局目は抽選で平良6段と下地5段、野原6段と池村5段の対戦が決まった。平良―下地戦は険しい局面で下地に決定的な読み違えがあり、八十手という最短手数で平良が中押し勝ち。野原―池村戦では池村がチャンスを見逃し、野原が十九目半勝ちで勝利した。 二局目は平良―池村、野原―下地の組み合わせで対局。平良―池村戦は序盤から足早に地をかせぐ白番の平良に対し、黒番の池村が勢力を生かし攻める戦いに。しかし、中央で黒の思うような戦いにならず白が中押し勝ちし、平良が優勝に王手をかけた。野原―下地戦は序盤の攻防で白の野原が遅れをとり黒の打ちやすい進行になり、結果、白が取られて勝負が決まった。 平良は連覇が懸かった三局目で、野原と対戦。優位に進めた白番の野原に対し黒番平良の追い上げが功を奏し、勝負の行方が分からないまま終盤戦へ。ヨセの途中で黒に疑問手が出て、最後は白が四目半勝ちした。下地と池村の対戦は、白番下地の苦しい展開に見えたが、追い上げが功を奏し終盤で逆転勝ちした。結果、平良、野原、下地が二勝一敗で並びプレーオフが決まった。 三人による決勝トーナメントでは抽選の結果、野原6段と下地5段が対局。白番の野原は中盤に入るころには形勢を大きくリードしそのまま逃げ切るかに見えたが、終盤で波乱が起き黒番下地が追い上げた。最後は二目半というきわどい勝負で、野原が勝った。 今期本因坊戦は今月十二日の一次予選で幕を開けた。一次予選には四段以下の十二人が出場。本永祐一4段、下地春義4段が勝ち残り、二次予選に進出。十九日の二次予選には二人を含む五段以上の三十人が出場。野原、下地、池村の三氏が勝ち残り、平良本因坊への挑戦権を得た。池村5段は決勝リーグ初挑戦だった。 写真説明=宮古本因坊を懸け激しい対局を繰り広げた=26日、こすみ囲碁教室 |
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60人のハーモニー響く/みやこ少年少女合唱団定期演奏会
7人が卒団/佐渡山団長勇退
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マングローブの役割学ぶ/ウプカーで観察会
下地字川満
☆ 自宅でネット事業を/新しい働き方セミナー
パソコンと通信回線を使って自宅や小さな事務所で仕事をするSOHOなど、情報通信技術を活用した事業の可能性を探る「新しい働き方セミナー」(共催・県、宮古島市)が二十五日午後、同市中央公民館で開かれた。大勢の市民らが出席し、宮古からITを使った起業に向けて知識を深めた。 |
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伝統祭祀に理解深める/「ユークイ」のビデオ上映
新里光宏さんが解説
宮古島北部や周辺離島で行われる豊穣(ほうじょう)祈願の女性だけの神事「ユークイ」に関連したビデオ上映会が二十六日、県立図書館宮古分館(島崎早恵子分館長)で行われた。参加者は映像を通して「ユークイ」の知識を深め、祭祀(さいし)や伝統の大切さを学んだ。 これは、今月八―二十五日まで同館で開催されていた沖縄女性史家、奥濱幸子さんが撮影した「宮古島神女の世界」パネル展に関連した企画展。宮古テレビの新里光宏さんの協力を得て、二〇〇一年に同テレビで放映された「ユークイの島二〇〇一」と、約三十年前に池間島で撮影された「ユークイ」のドキュメント番組の二本を上映した。解説した新里さんは「継承者がいないということで衰退しかけている。自分自身のルーツを考えるきかっけになると思う」と話した。 このうち「ユークイの島二〇〇一」では、旧伊良部町佐良浜で受け継がれている「ユークイ」を撮影。祭祀をつかさどる「ユークインマ」が入院し、一時途絶えた同行事が四年ぶりに再開した当時の状況を追った。 上映会終了後、参加者から「初めて見たが感激している。この映像をもっと多くの人に見てもらうことで、島の皆さんの考えも変わり、伝統継承していく気持ちになっていくと思う。郷友の皆さんにも見せたい」と、満足した声が上がっていた。 写真説明=会場には約30人が参加し、「ユークイ」の知識を深めた=26日、県立図書館宮古分館 |