200平成18  18 土曜日

伊良部大橋 きょう起工
初要請から32年・地元は祝賀ムード一色

 一九七四年十月に伊良部村の川満昭吉村長が沖縄開発庁長官に伊良部島と宮古島を結ぶ伊良部大橋建設を要請してから今年で三十二年目。その間、旧宮古市町村が一つになって要請活動を展開してきた夢の大橋はきょう十八日午後、本格的な橋梁本体工事に向け起工式が行われる。内閣府、国土交通省、県選出国会議員をはじめ、県、宮古島市、地元伊良部の関係者ら多数が出席する。現場では式典用のアーチが設置され、伊良部は祝賀ムードに包まれている。
 総事業費は三百二十億円を見込む。完成は二○一二年度予定。本橋の主航路部となる中路式鋼アーチ橋は、県内では初めての構造形式で、全国的にもまれ。
 大橋建設は、現在の不安定な海上交通から安定性と随意性が確保された陸上交通に変わることにより、伊良部島の▽医療・教育環境の改善▽生活環境・福祉・文化の向上▽地域の活性化―が図られると期待されている。
 また昨年十月に誕生した宮古島市の一体化と効率的な行政を支援するとともに、大橋による▽物流コスト低減▽市場拡大による経済活性化▽下地島空港の利用促進―など宮古圏域の地域振興に大きく寄与するものと期待されている。
 安全祈願祭(工事連絡協議会主催)は十八日午後二時十五分から、起工式典(県主催)は同三時十分からそれぞれ実施される。いずれも伊良部島の長浜港近く大橋建設現場。式典終了後、同四時三十分から、伊良部公民館で祝賀会(宮古島市主催)が盛大に行われる。
 伊良部島と宮古島間は約四・三`。大橋は橋梁と海中道路を併用した構造で、本橋部が三千五百四十b、取付橋梁が百七十b、海中道路部が六百b。橋梁部の幅員八・五b。大橋のコンセプトは「青海原と夕陽に映えるいらぶの道」。耐用年数が百年のライフサイクルの最小化に取り組む。

 写真説明・伊良部大橋は起工式典用アーチが立つ現場から宮古本島と結ばれる=16日、伊良部島
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「助役2人制」再提案へ/伊志嶺市長・与党との会合で方針示す

 宮古島市の伊志嶺亮市長は十七日午後、与党議員会(仲間明典会長)と会合を持ち、今の定例会に過去二度否決されている助役を二人にする条例改正案を再び提案する考えを示した。与党議員会は共通認識を持つことで協議したが、二月の臨時会で反対に回った与党議員五人の意思は固く、足並みの乱れは解消されていないのが現状だ。市は二〇〇六年度一般会計予算案に助役二人分の給与を計上しており、今後は同予算案を審議している市議会総務財政委員会の判断と今月二十九日の最終本会議が注目される。
 伊志嶺市長と与党議員会の会合は同日夕に市役所内で開かれた。二月の臨時会で反対した友利光徳氏は欠席した。
 伊志嶺市長は会合で助役二人制を提案する強い姿勢を示したものとみられる。会合後、議員会の仲間会長は「予算を出している以上は同じ定例会で条例改正案を提案した方が望ましい。予算の裏付けが必要になる。市長の意思を支えるために共通認識を持とうということで話し合った」などと話した。ただ、会合の中では「説明が足りないのではないか」、「時間的に早いのではないか」などの声が挙がったことも説明し、与党議員の意思統一が必ずしも図れていない現状を認めた。
 伊志嶺市長の再提案が濃厚になったことで、助役給与を審議する二十日の総務財政委の判断が注目される。同委の構成は与党が仲間明典、前川尚誼、山里雅彦の三氏。「そうぞう」の池間健栄氏を合わせ、賛成するとみられるのは四人。野党は池間雅昭、真栄城徳彦、新城啓世、嘉手納学、公明の富浜浩の五氏で多数決になれば否決の公算が大きくなる。
 与党は「市長の政策を支える」という考えから全員が賛成するものとみられるが、野党の池間氏は「これを認めると、助役二人制を認めることになる」などと述べ、減額修正を求める方針だ。
 最終的には二十九日の本会議で助役二人制案を審議するが、可否については流動的。本会議に少なからず影響を与える総務財政委の判断が注目されるところだ。

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球国王尚家資料を国宝に/沖縄で初、文化審答申

 文化審議会(阿刀田高会長)は十七日、沖縄県の琉球国王尚家関係資料と、福岡県前原市の平原方形周溝墓出土品について、国宝に指定するよう小坂憲次文部科学相に答申した。沖縄県からの指定は現行の文化財保護法下で初めてとなる。
 琉球国王尚家関係資料のうち、王冠などを含む「琉球国王尚家伝来品」は既に重要文化財に指定。これに政治、外交、司法などの分野の資料を加えており、琉球王国史全般が明らかとなる価値がある。
 平原方形周溝墓出土品は、葬送儀礼の実態と弥生時代から古墳時代への変化を考える上で重要な資料とされる。修理によって資料的価値が確かになったという。
 また、同審議会は、徳川二代将軍秀忠の娘和子が後水尾天皇の女御として入内した際の行列を描写した作品「紙本著色東福門院入内図 四曲屏風」などの美術工芸品四十七件について重要文化財に指定するよう答申した。
 美術工芸品四件と建造物百六十五件を登録有形文化財とすることも求めた。

 写真説明・沖縄県から初めて国宝に指定される琉球国王尚家関係資料の中の「王冠」(沖縄県提供)

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地域の受け入れ態勢課題に/宮古病院精神科開放病棟を閉鎖

 県立宮古病院(恩河尚清院長)は、今月一日から精神科の開放病棟を閉鎖している。利用患者の減少や四月から施行される「障害者自立支援法」を受けたもので、これまで開放・閉鎖病棟合わせて百床あったのを五十床に縮小した。入院中心から地域で生活し通院する方向へ移行するのが目的で、同病院では訪問看護やデイケアを充実させるほかナイトケアも新設し、地域で生活する通院患者の対応に当たっていく。一方で地域での受け皿不足を懸念する声も多く、法施行に伴い今後、精神障害者の受け入れ態勢を整えることが課題となっている。
 宮古病院精神科は一九六七年に設置。当初、五十床だったのを利用者の増加に伴い八四年には百床に増設。比較的症状の軽い患者が利用する開放病棟に五十床、重篤な患者が利用する閉鎖病棟に五十床を設けた。三年ほど前までは収容率が九割ほどあったが、長期入院患者の退院などで昨年は六割ほどに減少。国の方針とも合わせ、開放病棟を閉鎖することとなった。
 同病院では閉鎖を見込み、社会での生活が可能な開放病棟の患者二十数人を退院させた。退院後は他施設への入院や家族との同居、一人暮らしなどで生活を送っており、看護師らが定期的に訪問看護を行っているが、今後、新たに入院が必要な患者が発生した場合は受け入れは難しいとしている。
 身体障害者更生援護施設青潮園の下地徹施設長は、地域での受け入れ不足を懸念。「国は精神障害者を地域で生活させようという考えだが、家族がいない患者や受け入れてくれる施設がない患者は行き場がない。宮古には入院施設がなく、受け入れ態勢が整っていない」と頭を抱える。
 四月から施行される障害者自立支援法だが、地域で行き場がない精神障害者たちの受け皿づくりが大きな壁となっている。

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ふるさと百選に友利・砂川地区/宮古で4地区目の認定

 【那覇支局】農山漁村の魅力を広く紹介し、地域活性化に役立てる二〇〇五年度「沖縄、ふるさと百選」に地下水で育てたブランド野菜で地域活性化を目指しているまてぃだ野菜生産組合(友利博佳代表)が活動する宮古島市の「友利・砂川地区」が認定された。同地区の認定は十五日に行われた県農政審議会の農村地域振興対策部会(部会長・大城惟宏県JA沖縄中央会会長)で県内の六地区とともに新たに認定された。
 「友利・砂川地区」は、畑地かんがい施設整備の完了で、安定した農業用水が確保されたことにより地域で野菜農家が増加。まてぃだ野菜生産組合は、「がんずう」ブランド野菜の契約栽培農家三十八戸による組合で、「地下水で育てたブランド野菜でふるさとづくり」に励んでいる。
 その結果、島内のスーパーのほか県内外への販路を確立し、消費者に高い評価を得ていることで今回、認定となった。
 また、活動事例として▽ブランド野菜の生産技術研鑽▽安定した収入確保のため、サトウキビとの間作を実施▽地域小学生の農業体験学習の実施▽カボチャの二〇〇四年生産百十四d―の実績も評価された。
 これまで、宮古地区では集落部門で、パーントゥが見守るふるさとづくりの宮古島市「島尻集落」と、多良間村の「塩川・仲筋集落」が深緑に包まれたふるさとづくりで認定されている。また、生産部門では創作するふるさとづくりで「来間地区」も認定されており、今回の「友利・砂川地区」で四地区目となる。
 「沖縄、ふるさと百選」は、農林水産業とかかわりを持ち、地域が誇れる魅力ある農山漁村を形づくる地域団体を認定し、県民に広く紹介することによって、農山漁村に対する理解を促進し、地域の活性化に寄与することを目的に実施している。認定は▽集落部門▽生産部門▽交流部門―の三部門となっている。

 写真説明・「沖縄、ふるさと百選」に認定された「友利・砂川地区」。写真はまてぃだ野菜生産組合の友利代表

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   前浜ビーチに「集まれ遊ぼう」/来月2日に海びらき

 宮古観光協会(藤村明憲会長)は十七日、市内のホテルで記者会見を開き、四月二日午前十時から下地の与那覇前浜ビーチで開催する「サンゴの楽園未来まで 集まれ遊ぼう 宮古島の海びらき」(主催・同協会、共催・宮古島市、多良間村、主管・同協会青年部)の概要を説明した。海びらき宣言、テープカットで開会。初泳ぎに始まり、携帯ゲーム機が当たる宝探し、クルマエビとウナギのつかみ取り、小学生十人十一脚、宮古島に関する○×クイズ、ビーチクリーンアップなど、多彩な催しが行われる。
 藤村会長は「最近は関空直行便廃止や台湾クルーズ船の運休など逆風が吹いているが、観光入域客数四十万人を達成したいという思いがあり、宮古島市としての初めての海開きでもある。皆さんの協力をいただきたい」と述べた。主管する青年部の下地一世イベント企画運営委員長が概要を説明し、▽自然保護の大切さを訴求▽観光客が気軽に参加できる海びらき―の二点を強調した。
 開会のアトラクションでは、琉球國祭り太鼓の演舞と、宮古在住のデュオ「ハーベスター」のミニライブで盛り上げ。海びらきと同時開催として、宮古馬のふれあい体験乗馬や、宮古島動物保安会による「犬猫ペット相談室」、宮古島マリンリゾート協同組合による海の環境パネル展やシュノーケリング指導なども用意されている。

 写真説明・海びらきについて説明する藤村会長(中央)ら=17日、ホテル共和

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