200平成18  16 木曜日

台湾クルーズ運休/原油高や台風欠航を理由に

 春夏季に平良港と台湾を結び台湾人観光客を運ぶスタークルーズ社(本社・マレーシア)の定期クルーズ船が燃料費の高騰などを理由に四月からの就航を取りやめることが十五日、分かった。宮古では宮古―関西(大阪)の航空路線廃止が明らかになったばかりで、観光関連をはじめ関係者らは「宮古観光に向かい風が吹き始めたようだ」と危機感を強めている。宮古島市の伊志嶺亮市長は「宮古観光に大きな役割を果たしてきただけに残念」と話した。
 スタークルーズ社の県内受け入れ社・沖縄シップスエージェンシー(那覇市)によると、運休を通知してきたのは今月上旬で、運休の理由として原油高や台風による欠航の多さを挙げたという。今後の運行再開については、「スタークルーズ社の判断であり、受け入れ側としては何とも言えない。分からない」と話している。
 スタークルーズ社は一九九七年に県内各港(那覇、中城、平良、石垣)と台湾を結ぶ定期航路を開設。平良港への寄港はいったん途切れたが、二〇〇四年以降は三月から十月までスーパースタージェミナイ号(一九、〇九三d)を毎週月曜日に入港させていた。昨年は二十回寄港し、一万二千九百六十二人の台湾人観光客を運んだ。
 伊志嶺市長は「去年は入域観光客が四十万人に届くまでになり、スタークルーズ社も大きな役割を果たしていると感謝していた矢先の運休は残念だ。平良港の第三埠頭をクルーズ専用バースにする計画もあり、いつでもクルーズ船が寄港できるように改修を急ぎたい」と話したが、今回の運休に対しては当面打つ手が無い状況だ。航路観光客の代替として郵船クルーズの大型船・飛鳥Uの誘致に力を入れていく考えも示した。宮古観光協会の藤村明憲会長も「やむを得ない」と落胆の様子だ。
 県の窓口である商工労働部観光振興課では「運休とは認識していない。大型クルーズ船に対応した那覇港の港湾整備などもあり、今夏以降の継続運航について早い時期にスタークルーズ社に要請していきたい」とし、牧野浩隆副知事が今月中にもマレーシアの同社を訪ね、航路復活を要請することで調整している。

 写真説明・運休が決まったスタークルーズ社のスーパースタージェミナイ号(写真は昨年4月に平良港に入港した同船)


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県内初の優秀賞/若山牧水青春短歌大賞
善平将貴君(伊良部高2年)

「おおぜいの友達の中に僕はいた
  けれど気付いてもらえなかった」

 第六回若山牧水青春短歌大賞(主催・宮崎県延岡市教育委員会)の表彰式が十三日、延岡市内のホテルで開かれた。高校生の部で県立伊良部高校(下地義雄校長)二年生の善平将貴君(17)が三十一文字に思いを込めた短歌作品「おおぜいの友達の中に僕はいたけれど気付いてもらえなかった」が優秀賞に輝いた。県内で優秀賞を受賞したのは今回が初めて。同部門には全国から六千四百十四首の応募があり、優秀賞には三首が選ばれた。
 同大賞には、小学生の部、中学生の部、高校生の部、大学・一般の部の四部門あり、全国から計一万五千三百八十四首の応募があった。
 優秀賞を手にした善平君は「優秀賞に選ばれたことを知った時『うそと思った』」と振り返り、「父と一緒に表彰式に参加したので、うれしかった」と笑顔で話した。応募した短歌は、初めて詠んだ二首を応募し、一首が選ばれた。
 善平君は「昨夏の国語の授業で詠んだ短歌。優秀賞の短歌はイメージで詠んだもの」と語った。
 下地校長は「優秀賞の短歌を読んだ時、善平君のことを心配していた。イメージ作品と聞いて安心した」と安堵の表情を見せた。「善平君の感性は素晴らしい。善平君の作品が評価されたことは、国語を指導する先生も評価されたことになる」とたたえた。
 国語を担当する屋嘉比心教諭は「善平君の短歌二首のうち、一首は善平君が『これも応募したい』と申し出たのが優秀賞に輝いた」と話し、善平君の文学に対しての洞察力などを評価した。
 日本を代表する歌人の一人、若山牧水は一八九九年に宮崎県立延岡中学(現・宮崎県立延岡高校)に入学し、卒業するまでの多感な青春時代を延岡で過ごし、この間に歌を詠むようになった。このことを記念し、同大賞は創設された。
 牧水は早稲田大学に入学した時、同級生の北原射水(後の白秋)中林蘇水と親交を厚くし、三人は「早稲田の三水」と呼ばれた。牧水は卒業後、処女歌集「海の声」を出版。その後、詩歌雑誌「創作」を主宰した。

 写真説明・優秀賞を手に喜ぶ善平将貴君=15日、伊良部高校


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市議会議員に政務調査費支給/条例を可決 1人年額6万円

 開会中の宮古島市議会(友利恵一議長)は十五日の本会議で、議会議員が調査研究のために必要な経費を一部交付する議員発議による「政務調査費の交付に関する条例」を全会一致で可決した。これにより、市議一人に対し年額六万円が支給されることになる。市の二〇〇六年度一般会計にも同費として百六十八万円(二十八人分)が計上されている。友利議長は「一つの芽出しになる」と強調し、今後は議員報酬の増額についても検討を重ねていく考えを示した。
 政務調査費は一人六万円(月額五千円)交付されるが、毎年四月に一括交付するため、申請しなかった市議には交付されない。使途基準は▽研究研修費▽調査旅費▽資料作成費▽資料購入費▽広報費▽広聴費▽人件費(議員が行う活動を補助する職員の雇用経費など)▽事務所費▽その他の経費―となっている。政務調査費の交付を受けた市議は収入および支出の報告書を作成し、領収書の写しを添付した上で年に一度議長に提出することが義務付けられている。条例第九条によれば、何人も、議長に対し収支報告書の閲覧を請求することができる。政務調査費は県内の多くの各市議会に交付されており、那覇市は月額で五万円、宮古島市と類似自治体の名護市でも月額二万五千円が交付されている。
 友利議長は「市町村合併により議員の活動範囲も広がっている。そういう面から考えても(条例の可決は)議員発議ではあるが、市民も理解してくれると思う」と話した。その上で議員報酬の増額についても検討を重ねる考えを強調した。
 この日の本会議では同条例のほか、〇五年度の▽一般会計補正予算▽老人保健特別会計補正予算▽港湾事業特別会計補正予算―なども審議し、原案通り可決した。

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今月中にルール取りまとめ/漁業者・ダイビング業者で覚書
海面利用協議会

 第五回宮古地区海面利用協議会(狩俣武則会長)が十五日、県宮古支庁で行われた。「指針(ガイドライン)に基づく細則案」と「基本協定に基づく細則(覚書)案」の二議題について積極的に意見を交わした。この日挙がった修正箇所の手直しを行い、今月中に「宮古地域における海面の調和的利用ルール」をまとめる。漁協やダイビング業者などに対し周知徹底を図り、安全利用に役立てる。
 同協議会は、宮古周辺海域における漁業と海洋性レクリエーションとの紛争の予防および調整・解決を促進し、海面の円滑な総合的利用を図ることを目的に二〇〇四年十二月に発足。これまで七回の協議会と二回の部会で協議を重ねた。
 指針に基づく細則案では、食物連鎖のバランスを壊すことや、本来ある食性と異なる飼料を与えることの悪影響を考え盛り込まれた「魚類などに餌付けを行わないこと」とした項目に質疑が集中。ダイビング業者のみが規制されるため「遊漁船のまき餌はいいのか」と意見が挙がった。協議されたが結局、文言はそのままとし今後問題があれば検討することとなった。
 船舶の運航時の留意事項では、漁業者に接近しないように注意する文言があったが、「漁業者、ダイビング業者の双方の安全面に考慮すべき」として、両者に配慮した内容の文言に修正した。
 また、同細則には死がいであってもほかの生物に利用され、生態系に影響があるとして「生死を問わず折れたサンゴや貝殻などを持ち帰らないこと」が盛り込まれている。
 この日の協議で挙がった修正個所は、文書などで委員に確認を取った上で「指針に基づく細則案」と「基本協定に基づく細則案」が完成。すでに作成されている「宮古地域における海面の調和的利用に関する指針」「同基本協定と合わせて、漁協やダイビング業者などに発送される。

 写真説明・指針に基づく細則案などについて意見を交換した海面利用協議会=15日、県宮古支庁

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いつまでも元気で/子供たちが施設慰問

福嶺中
 宮古島市立福嶺中学校(仲宗根恵司校長)の二年生十四人が十四日、特別養護老人ホーム「宮古の里」(平良勝見施設長)を慰問した。生徒たちは三線や踊りでお年寄りらを喜ばせていた。
 生徒たちは総合学習の一環としてこれまで学んできた三線で「なりやまあやぐ」「島人ぬ宝」や踊り、保良の「ヨンシー」などを披露。生徒たちの指導に当たった長浜靖教諭はトランペットを演奏するなどして、お年寄りらの拍手を集めていた。
 同校を代表して砂川成美さんは「総合学習の時間で学んできた郷土芸能の中から、三線とヨンシーを披露します。一生懸命演奏しますので最後まで楽しんでください」とあいさつした。
 写真説明・三線の演奏を披露する福嶺中学校の生徒たち=14日、宮古の里

来間幼小中
 宮古島市立来間幼・小・中学校(宮城正侑校長)の全校児童、生徒らが十五日、宮古島リハビリ温泉病院(奥原典一院長)を慰問した。生徒たちは歌や踊りで会場を盛り上げ、お年寄りらは一緒に手拍子を取るなどして楽しんだ。
 卒業生らを含めた二十人が参加し、小学部と中学部に分かれてそれぞれ三線を演奏した。生徒らは▽豊年のうた▽なりやまあやぐ▽新カヌシャガマ▽ヒヤミカチ節―など数曲を披露。お年寄りらは演奏に合わせて口ずさんだり「サーサー」とはやしを入れるなど、喜んでいた様子だった。
 児童、生徒らは「元気で楽しい毎日を過ごしてください」とあいさつした。
 写真説明・卒業生を含めて20人が三線や踊りを披露しお年寄りらを楽しませた=15日、宮古島リハビリ温泉病院


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   カボチャ島外出荷が急増/国産志向強まる

 宮古産カボチャの島外出荷が、急増している。JAおきなわ宮古地区営農センター管内の二〇〇五年度の出荷量は前年度比二百九d、七割増の五百d、販売額は約一億一千万円を見込む。増加の要因に▽安全・安心な国産指向の強まり▽値決め取引による価格安定―などを挙げる。
 甘くておいしいと評判の宮古産完熟カボチャはピーク時の一九八〇年には四千十dを出荷し、九億九千六百万円を売り上げた。その後、安い外国産に押され衰退。しかし最近、外国産野菜の残留農薬問題などに伴い、再び安全な国産カボチャが勢いづいている。
 JAおきなわ宮古地区営農センターはそうした消費者ニーズの変化を受け、生産拡大と安定出荷を図るため、〇三年度から農家手取り額が市場相場に左右されない値決め取引方式を採用。その結果、栽培面積が増え増産に結び付いている。同センターによると、〇三年度に二百十六dだった出荷量は〇四年度には二百九十一d、〇五年度は五百dと伸びている。
 支所別の〇五年度出荷見込み量は伊良部が最も多く全体の約半分の二百三十九d。伊良部支所管内の栽培面積は前年度比十f増の三十fに拡大した。伊良部に次いで上野の百三d、下地の四十六d、平良、城辺、多良間の三十七dが続く。

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