春夏季に平良港と台湾を結び台湾人観光客を運ぶスタークルーズ社(本社・マレーシア)の定期クルーズ船が燃料費の高騰などを理由に四月からの就航を取りやめることが十五日、分かった。宮古では宮古―関西(大阪)の航空路線廃止が明らかになったばかりで、観光関連をはじめ関係者らは「宮古観光に向かい風が吹き始めたようだ」と危機感を強めている。宮古島市の伊志嶺亮市長は「宮古観光に大きな役割を果たしてきただけに残念」と話した。
スタークルーズ社の県内受け入れ社・沖縄シップスエージェンシー(那覇市)によると、運休を通知してきたのは今月上旬で、運休の理由として原油高や台風による欠航の多さを挙げたという。今後の運行再開については、「スタークルーズ社の判断であり、受け入れ側としては何とも言えない。分からない」と話している。
スタークルーズ社は一九九七年に県内各港(那覇、中城、平良、石垣)と台湾を結ぶ定期航路を開設。平良港への寄港はいったん途切れたが、二〇〇四年以降は三月から十月までスーパースタージェミナイ号(一九、〇九三d)を毎週月曜日に入港させていた。昨年は二十回寄港し、一万二千九百六十二人の台湾人観光客を運んだ。
伊志嶺市長は「去年は入域観光客が四十万人に届くまでになり、スタークルーズ社も大きな役割を果たしていると感謝していた矢先の運休は残念だ。平良港の第三埠頭をクルーズ専用バースにする計画もあり、いつでもクルーズ船が寄港できるように改修を急ぎたい」と話したが、今回の運休に対しては当面打つ手が無い状況だ。航路観光客の代替として郵船クルーズの大型船・飛鳥Uの誘致に力を入れていく考えも示した。宮古観光協会の藤村明憲会長も「やむを得ない」と落胆の様子だ。
県の窓口である商工労働部観光振興課では「運休とは認識していない。大型クルーズ船に対応した那覇港の港湾整備などもあり、今夏以降の継続運航について早い時期にスタークルーズ社に要請していきたい」とし、牧野浩隆副知事が今月中にもマレーシアの同社を訪ね、航路復活を要請することで調整している。
写真説明・運休が決まったスタークルーズ社のスーパースタージェミナイ号(写真は昨年4月に平良港に入港した同船)
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