200平成18   水曜日

「最小経費で最大効果を」/宮古島市議会3月定例会が開会

 宮古島市議会(友利恵一議長)の三月定例会が七日、開会した。市当局から総額三百十八億五千四百万円とする二〇〇六年度一般会計予算案など計四十七議案が上程された。伊志嶺亮市長は施政方針で「選択と集中」をキーワードに掲げて行政運営に取り組む決意を表明。地方公共団体には自己決定と自己責任が求められているとし、「最小の経費で最大の効果を得る効率的な行政運営を目指す」と述べた。下地島空港の軍事利用については「断固反対する」と強調した。定例会の会期は二十九日までの二十三日間。一般質問は二十三、二十四、二十七、二十八日に行う。
 開会初日は会期を決定した後、県宮古支庁の組織見直しの撤回について審議した。組織の再編によって「沖縄振興計画や離島振興計画が着実に推進されるか危惧する」とし、宮古島市議会として総合調整機能を有する宮古支庁の存続に加え、現在と同様に部長級の支庁長配置を求める要請案を全会一致で可決した。要請はきょう八日、友利恵一、豊見山恵栄、下地智の三氏が県議会と県知事に対して行う。
 引き続いて伊志嶺市長が施政方針を表明。初めに「新年度は自立への船出となる重要な年と位置付け、新生・宮古島市自立へ向けて『選択と集中』を合言葉に掲げ取り組む」と強調した。市長選で掲げた八つの公約については「公約事業推進計画および新市建設計画に基づき、一つ一つ着実に実行する」と決意を示した。
 行政改革では「最小の経費で最大の効果を得る効率的な行政運営」を訴えた。財政運営については三位一体改革により依存財源が落ち込む傾向にあることを説明し、市税徴収率向上による自主財源の確保や歳出の抑制に向け、徹底した財政改革に取り組むとした。
 主要施策では第一次産業とリンクした観光メニューづくりや地産地消、雇用拡大の促進、循環型農業への取り組み、宮古ビデンス・ピローサへの積極的な支援などを掲げた。トゥリバー地区の売却誘致活動にも力を入れる考えを示した。
 教育面では教育研究所を設置し、教職員の研究意欲や資質向上を図ると強調。文化面では学習・情報センター、コミュニティー活動の拠点となる中央図書館建設に向けた基本計画の策定を掲げた。環境面では新ごみ処理施設と葬斎場建設に取り組む姿勢を示した。
 最後に平和事業の積極的推進を掲げ「下地島空港については平和利用を促進し、あらゆる軍事利用に断固反対する」と決意を込めた。
 伊志嶺市長の施政方針の後、当局から議案説明があった。上程されている議案は〇五年度一般会計補正予算案や〇六年度一般会計予算案など予算関係が十五議案、市職員の給与に関する条例の一部改正案など条例関係が二十六議案など。議案に対する質疑は九、十の両日に行われる。三月定例会に助役二人制案は提案されていない。

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魚垣(ながき)が文化財産百選に/伊良部字佐和田

 宮古島市伊良部字佐和田に残る昔ながらの漁法「魚垣」が「未来に残したい漁業漁村の文化財産百選」にこのほど選ばれ七日、認定証伝達式が県宮古支庁で行われた。伝達を受けた宮古島市の伊志嶺亮市長は「魚垣は未来に残していく文化遺産。これからも大事に守りたい」と喜んだ。魚垣は地元で「カツ」と呼ばれている。
 魚垣は下地島飛行場北川沿岸の浅瀬にあり、海から岸に向かって放射状に石を積み魚の逃げ口を一カ所造ったもの。
 潮の干満の差を利用し、満潮時に魚垣内に入った魚が干潮時になると逃げ口を求めて移動するため、逃げ口に網を仕掛けて魚を仕留める。魚の習性を利用したこの漁法は、生活の知恵から生まれた貴重な文化遺産として旧伊良部町時代のに有形文化財に指定。現在は宮古島市に引き継がれている。
 伝達式は県宮古支庁の支庁長室で行われ、兼城克夫支庁長が伊志嶺市長に農林水産省の中川昭一大臣から交付された認定証を伝達した。
 伊志嶺市長は「魚垣は昔からの伝統漁法。表彰していただき感謝している。大事に守ってきた地元の住民に感謝したい」と述べた。また、「昔よく遊びに行った場所。魚垣で魚を釣ったり、モリで突いたりしていた」と思い出話を披露した。
 歴史文化財産百選は、全国の漁村に残る歴史的・文化的に価値の高い施設、貴重な工法や様式の施設などを認定し水産業や漁村に対する理解、関心を醸成することが目的。県内からは魚垣を含む二カ所が選ばれた。
 魚垣は現在も使用可能な状態で保たれており、観光客の体験漁業などで使用している。

 写真説明・文化財産百選に選ばれた「魚垣」

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将来構想の具現化へ決意/南静園創立75周年で式典

 国立療養所宮古南静園(比嘉賀雄園長)の創立七十五周年記念式典・祝賀会(共催・同園、同園入所者自治会)が七日、同園公会堂で開催された。入所者や支援者、関係者多数が出席し、祝辞や余興などを披露して歴史の節目を祝うとともに、ハンセン病に対する正しい知識の普及、同園の将来構想の計画化、具現化に向け協力し合うことを決意した。
 宮古南静園は、一九三一年に県立宮古保養院として開設。四一年、厚生省(当時)に移管し国立療養所宮古南静園に改称された。終戦後の四六年からは米軍事政府下で営まれ、五二年の琉球政府創立と同時に同政府に移管、七二年の日本復帰に伴って厚生省の管轄に戻り現在に至る。この間、強制収容、隔離政策により偏見・差別が拡大したほか、戦争被害を受けるなど苦難の歴史を刻んできた。現在の入所者数は百八人、平均年齢は七十九歳で、年々高齢化の一途をたどっている。
 記念式典で比嘉園長は「入所者の皆様に心から敬意を表するとともに、四百八十五柱に哀悼の意を表し、今後とも入居者の生命と尊厳、人権を守り、安心して療養できる環境の提供していく」とあいさつを述べた。
 また、宮里光雄自治会長は「長いいばらの道が続いてきた。現在は園の再生を模索しており、地域と施設の融合という目的達成に向け取り組みたい」と述べた。
 一九五八年に同園園長を務めた伊志嶺亮宮古島市長は「新生宮古島市において、宮古南静園は、地域の医療、保健、福祉の拠点としての展望が期待されている。市としても将来像を明確にし、魅力ある施設づくりに向け尽力する」と述べた。兼城克夫宮古支庁長、友利恵一宮古島市議会議長、長尾榮治全国ハンセン病療養所施設長協議会長、曽我野一美全国ハンセン病療養所入所者協議会長、山内和雄沖縄愛楽園長、金城雅春同園自治会長もそれぞれ祝辞を述べた。
 また、同園老人クラブ「福寿会」の與那覇次郎会長が長年の功績をたたえられ宮里会長から表彰されたほか、同園自治会活動に協力するあけぼの学園(本村博昭施設長)、みつば保育園(當間弘子園長)、なかよし保育園(砂川美恵子園長)、みやこ・あんなの会(吉原愛子会長)に感謝状が贈られた。
 九十歳以上の入所者十三人には、比嘉園長から記念品が贈呈された。

 写真説明・創立75周年を記念して入所者や支援者ら多数が集まり祝賀会を催した=7日、宮古南静園公会堂

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合格目指し543人が挑戦/県立高校入試始まる

 県立高校の二〇〇六年度一般入試が、七日から二日間の日程で県内一斉にスタートした。初日は、国語、理科、英語の三教科が実施され、受験生らが緊張した表情で臨んだ。宮古地区五高校全体の志願者は五百四十三人(前年度比三十四人増)。きょう八日には社会、数学、面接が行われる。合格発表は十四日。
 このうち、県立宮古高校では、午前九時前から受験生たちが会場に集まり始めた。担当教諭から説明を受けた後、緊張した様子で入室。目を閉じて集中しようとする受験生も見られた。問題用紙と解答用紙を受け取り試験が始まると、受験生は一斉に問題に挑んだ。
 県教育庁によると、平均倍率は〇・八九倍と前年度〇・八八倍を〇・〇一ポイント上回った。最も志願率が高いのは宮古工業高校自動車機械システム科(一・六六倍)。一方で、宮古高校普通科など五校八学科で定員割れとなった。
 五校全体では総定員数七百六十人のうち、すでに推薦入試で百十人、伊良部高校の連携型入試で四十三人の計百五十三人が内定している。


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特製手作り弁当で激励/宮古地区・高校入試

 県立高校の二〇〇六年度一般入試が始まった七日、各試験会場の外で父母や祖父母らが特製の手料理弁当で受験生を励ます宮古特有の昼食風景が見られた。校内の中庭や校舎軒下で家族らが輪をつくり、受験生はずらりと並んだ豪華料理に手を伸ばし、受験の緊張をほぐした。
 このうち県立宮古高校では、午前十一時ごろから父母らが風呂敷に包んだ愛情を込めた手料理弁当を次々と持参した。
 受験生の宮国良江さん(鏡原中)と下地貴之君(平良中)は親せき関係。祖父母と両親ら八人が応援に駆け付け、十人で昼食を囲んだ。祖父の宮国恵勇さんは「合格できるよう、一生懸命頑張って」とエールを送った。祖母の千代さんは「孫のために赤飯を炊いた。豆は縁起物。頑張って合格してね」と願った。
 良江さんは「みんなからエネルギーをもらったので試験を頑張りたい」と満面の笑みを見せた。また、貴之君は「話をして気が楽になった。午後からも頑張る」と意気込んだ。
 宮古特有の昼食風景に仲間博之校長は「この光景は、人材育成に力を入れている宮古の一つの文化。ほのぼのとしている。いつまでも続いてほしい」と目を細めた。

 写真説明・豪華な弁当を囲み受験生を励ました=7日、宮古高校

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    春告げる花ツツジ満開

 ツツジ(ツツジ科)の花が満開の季節を迎え、宮古島市平良のある民家の庭先では淡いピンクや紅色の花が咲き誇り、家人や来客らの目を楽しませている。ツツジの花は春を告げる風物詩の一つ。
 宮古では近年園芸種に改良されたツツジが販売されるようになり、鉢植えや庭園樹として楽しむ人が多い。
 琉球列島にはケラマツツジ、クメジマツツジ、サキシマツツジなどが分布。最近は山野に自生するツツジが少なくなっているという。
 ある民家の庭先には、淡いピンクの花のほかに、紅色、赤色の花が競演。春らんまんの雰囲気に包まれている。

 写真説明・満開に咲いたツツジの花=7日、宮古島市平良

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