200平成18   日曜日

コスト、支援体制など課題/宮古島バイオマス・環境フォーラム

  燃料用バイオエタノールの活用を中心に地球温暖化対策を考える「宮古島バイオマス・環境フォーラム」(主催・環境省、りゅうせき)が四日、宮古島市中央公民館で行われた。製糖業、有機肥料開発、循環型社会推進におけるバイオエタノールの将来性などについて関係者がそれぞれの立場から取り組みを報告。E3燃料のコスト調整・支援体制など、一般普及に課題が挙げられた。会場からも活発に質問が飛び、二酸化炭素抑制による循環型社会構築に一般層の関心の高さをうかがわせた。

 同フォーラムでは、県宮古支庁農林水産振興課の長間孝課長が「宮古島の製糖業の現状と課題」、宮古農林高校環境班が「宮古島の水を守れ―土壌蓄積リンの再利用による環境にやさしい有機肥料の開発―」の題で発表。また、環境省から「沖縄産糖蜜からの燃料用エタノール生産プロセス開発およびE3等実証試験」を受託実施するりゅうせきバイオエタノールプロジェクト推進室の奥島憲二室長が、実車走行実験にも成果が上がっていることを説明。サトウキビの製糖過程で発生する糖蜜を原料に製造するバイオエタノールについて、ボイラーやディーゼルガソリンの燃料としての可能性も持ち合わせていることや、廃水処理の中でのメタン発酵によるエネルギーの活用、糖蜜中の有価成分の回収・利用技術の開発など今後の課題を報告。宮古で消費される燃料系統に宮古産のバイオアルコールを使い、結果として農地に還元する方策を探っていることなども説明した。
 ガソリンにバイオエタノールを三%混合したE3燃料について、会場からは「一般車両で活用できるか、一g当たりの金額は」との質問があった。これに対し、奥島室長は「基本的に一般車両での利用も問題ない」との見解を示した。環境省の関谷毅士課長補佐は「燃料の値段については、実証期間中に実績を積みながら考え、一般のガソリンより高くなるようであれば国として支援の仕方を検討していきたい」と話した。
 「糖蜜以外の原料はあるか」との問いには「米や果糖などを利用する国もあるが、原料が多量にあり、商業ベースで大量生産できる原料は宮古にはサトウキビの糖蜜以外にはない」と回答された。
 また、糖蜜中の残留農薬の影響については「農薬の毒性についての分析は行っていないため、車への影響も分からない」現状が示された。

 バイオエタノール サトウキビなど植物に含まれる糖を発酵・蒸留させて作るアルコールの一種。温室効果ガスの排出量はゼロとみなされ、石油代替燃料として注目されている。

写真説明・(左から)りゅうせきの奥島室長、環境省の関谷課長補佐、宮古支庁の長間課長、宮古農林高校の前里和洋教諭が会場からの質問に答えた=4日、宮古島市中央公民館


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マンゴーの花が満開/ハウス内を埋め尽くす

 あす六日は、二十四節気の一つ、「啓蟄(けいちつ)」。長い間、土の中で冬ごもりをしていたヘビやトカゲ、アリなどいろいろな生き物が、地上の草木の芽生えとともにはいだしてくるころ。
 平良字東仲宗根添でマンゴーを栽培する下地さんの畑四十eでは、マンゴーの花が満開。ビニールハウス内を埋め尽くすマンゴーの花は、太陽の光をいっぱいに浴びて咲いていた。
 昨年は「裏作」で、あまり実を付けなかったというマンゴー。昨年と同じ気象条件だが「他の畑を見ても、今年はよく花も咲いている」と下地さん。「最近は寒い日が続いていたがここ数日間はとても暖かく、花粉を運んでくれる交配のハエやミツバチの動きがとても活発。順調に受粉されれば豊作も予想できる」と期待する。
 宮古島気象台によると四日の最高気温は二〇・〇度(午後零時五十八分)、最低気温は一四・一度(午前七時二分)。平年に比べて一、二度低いものの、日光がある分、暖かさを感じる一日となった。きょう五日まで天気は晴れ、あす六日から九日までは曇り、もしくは曇り時々一時雨と予報している。


写真説明・マンゴーの花が満開し、一面を埋め尽くしている=4日、平良字東仲宗根添にある下地さんのビニールハウス
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次世代で活躍するには/宮古で新学力サミット
IT・教育関係者が提言

 次世代の新学力サミット2006(主催・エコガイド教育コンソーシアム)が四日、平良港マリンターミナルで開催された。IT(情報技術)業界で活躍する関係者や宮古の教育関係者らパネリスト十人が招かれ、「次世代で活躍するには何を学ぶか」についてそれぞれの立場から提言した。パネリストからは「宮古はインフラ整備が充実しているが活用されていない」「インターンシップの活用」などの意見が挙がった。
 この学力サミットは、将来の宮古島を担う子供たちが、次世代で活躍するために意見を出し合い、今後に生かすことを目的に開催された。どこからでもネットワークにつながる「ユビキタス社会」に対応できるようIT関係者も出席した。
 パナソニックコミュニケーションズの酒井淳一さんは「会社が求めている人材は技術力よりやる気。人がどれだけ伸びるのか成功よりも成長を大切にする」と述べた。
 東京農業大学の中西康博助教授は「身近な自然などでアプローチすることで科学に興味を持つ。学力の地産地消を図りたい」と語った。
 主催者の猪澤也寸志さんは「宮古の子供たちはすごいポテンシャル(可能性)を持っている。教える側が、次世代で子供たちが活躍する社会をイメージすることが大事になる」と話した。
 IT関係者は、下地地区で実証実験されている総務省の最先端インターネット実験見学のために来島。実験では、植林されたマングローブをインターネット経由で遠隔監視できるという。
 会場には教育関係者らが足を運び、パネリストの意見に、時折メモを取るなどして熱心に聞き入っていた。
 パネリストは次の皆さん。
 ▽木村裕明(総務省インターネット戦略企画室)▽中島洋(県広報戦略委員会情報特区座長)▽荒野高志(総務省IPv6実証実験スーパーバイザー)▽中井哲也(NTTコミュニケーションズ)▽横尾良明(首都圏コンピュータ技術者協同組合最高顧問)▽酒井淳一(パナソニックコミュニケーションズ)▽中西康博(東京農業大学助教授)▽川上哲也(下地中学校長)▽濱川隆(宮古島市教育委員会委員長)▽猪澤也寸志(エコガイド教育コンソーシアム)


写真説明・ 十人のパネリストがそれぞれの立場で意見を出し合った=4日、平良港マリンターミナル


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愛好家が一堂に/「さんしんの日」で演奏会

  「トゥン、テン、テン、テン…」―。「さんしんの日」の四日、三線愛好者らが宮古島市平良と同市城辺で集い、宮古民謡の代表曲の一つ「とうがにあやぐ」」や琉球古典音楽の代表曲「かぎやで風節(風)」などを、格調高い三線演奏に合わせて高らかに歌い上げた。
 平良地区のレストランでは、午後一時から野村流伝統音楽協会宮古支部(与那覇寛仁支部長)主催の「さんしんの日を野村流で唄おう」が開かれた。総勢六十人が参加。「かぎやで風節」「豆が花」など計二十三曲を披露。琉球箏曲(そうきょく)興陽会宮古支部(上地ヨシ支部長)も参加し盛り上げた。
 宮古民謡保存協会(喜屋武稔会長)主催の「さんしんの日大演奏会」は午後六時から、同地区のジローホールで催された。子供から大人まで約七十人が集まり、「かぎやで風」「なりやまあやぐ」など二十二曲を披露。息の合った三線を弾き、民謡を熱唱した。参加者らは、三線の継承・発展を誓った。
 一方、宮古民謡協会(新垣初男会長)は午後六時三十分から、城辺農村環境改善センターで「さんしんの日大演奏会」を開催した。会員や親子連れなど約七十人が参加。三線で「とうがにあやぐ」や「豊年の歌」など十七曲を弾き鳴らした。一人ひとりが、伝統の三線や宮古民謡の大切さを実感した。

写真説明(上)・格調高い三線を披露した野村流伝統音楽協会宮古支部=4日、平良のレストランのむら

写真説明(中)・宮古民謡保存協会の会員らは{曲を三線で弾き鳴らし熱唱した=4日、平良のジローホール

写真説明(下)・親子連れらが多数参加し、三線演奏に合わせて宮古民謡を歌い上げた=4日、城辺農村環境改善センター

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宮古の子供たち/ドイツ文化に触れる

 全国各地で活動するドイツ人国際交流員らと宮古の子供たちとの交流イベント(主催・沖縄日独協会)が四日、うえのドイツ文化村博愛記念館で行われ、子供たちがゲームなどの遊びを通してドイツの暮らしや文化に触れた。
 このイベントは、宮古島市観光商工課のゲルバー・ダニエルさん(国際交流員)の呼び掛けで、ドイツ人国際交流員の集いに参加するため来島している十人の国際交流員らが、宮古の子供たちにドイツの生活を知ってもらおうと開催した。
 参加した子供たちは交流員らのサポートを受け、ジャガイモを使ったスタンプや卵で人形などのおもちゃを作るイースターエッグ、折り紙などドイツの遊びを体験。それぞれの作品作りを楽しんだ。
 また、ドイツの暮らしを再現したコーナーでは、交流員らが日常生活の実態を説明。食生活の紹介を担当したドレーン・アルントさん(愛媛県)は「ドイツ人は朝からビールやワインを飲んでいるというイメージがあるようだが、実はそうではない。子供たちには正しい知識を増やしてほしい」と話した。
 参加した砂川瑞希さん(上野小五年)は「おもちゃ作りが楽しかった。上出来です」と満足げに話していた。

写真説明・ドイツ人国際交流員らが子供たちに遊びを通してドイツの文化を伝えた=4日、うえのドイツ文化村


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