伊良部島の飲料水供給過程において、一日当たり約千三百四十dもの漏水をしていることが宮古島市水道局の調べで分かった。原因は配水管の老朽化で、配管の至る所から漏れているという。この漏水量は十dトラック百三十台分に相当し、金額にして一日当たり約三十万円、合併後の四カ月では約三千五百万円の損失となる。供給している水が実際に使用され収益金となった比率を示す有収率が、伊良部島は六八・二%(昨年十月―今年一月の累計)と県内では最低の水準。市水道局は有収率の向上に向け対策委員会を設置、財政面を考慮しながら改善計画を立て、五年後をめどに宮古本島(九一%)並みの有収率に向上させる方針だ。
市水道局の調べで、伊良部島における有収率は合併した昨年十月から今年一月末までの累計で南区が八〇・九%、北区が五八・八%と低迷。伊良部島で供給される一日当たりの飲料水は約四千二百dだが、この水量に島全体の有収率六八・二%を照らし合わせると、各世帯に送水されている一日当たりの水量は二千八百六十dとなり、残りの千三百四十dは毎日漏れていることになる。
島の中でも、特に佐良浜を中心とする北区の漏水が目立つ。飲料水は通常、高い所から低い所に流す自然流下の送水方法を取るが、北区の場合は高低差があるため水を流す際の水圧が七`以上に及ぶという。通常の水圧は一・五―三`とされているため、北区の水圧は倍以上となる。老朽化している配水管は、この水圧に耐え切れずに破損するケースが多い。
さらに北区の配管は複雑で、宮古本島のように地区別に配管を集約するという「ブロック化」も進んでいない。加えて水圧を下げるための中間配水所も十分には活用されていないのが現状だ。上方から流す水を中間配水所に通せば水圧を適正値に抑えることも可能になるが、今の配管は上方から一気に下方の民家に流れるような配管もあるという。
市水道局は市町村合併後、破損した配管の修繕や配管のブロック化、減圧措置を講じるための調査・工事を実施しているが、旧伊良部町が作成した水道配管図の不備などもあり修復作業は難航している。日々漏水個所を探し当て修復作業を行っているものの、一カ所を直せば別の配管の水圧が上がり、その部分が破損するという「いたちごっこ」が続いているという。
市水道局では今後、五年をめどに宮古本島並みの有収率を目指す方針だが、古い配管の改良費や修繕費など、予算的なことも含めて課題は山積しており、宮古本島並みの有収率にするためには長い歳月を要するものとみられる。
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