200平成18  225 土曜日

伊良部の水事情整備へ/事業費21億円 宮古本島から送水

 本格着工を目前に控えている伊良部架橋建設に伴い、県や宮古島市、市水道局が同架橋に水道管を通し、宮古本島の飲料水を伊良部島に送水する計画を進めていることが二十四日、分かった。同架橋建設で下地島を含む伊良部島内の水需要が増加することを想定し、伊良部浄水場の処理能力や耐用年数、水質の問題も含めて宮古本島から送水することが「得策」(市水道局)と判断。送水計画はすでに県レベルで協議されており、実施設計に盛り込まれる可能性は十分あるという。市水道局では送水事業の費用を二十一億八千七百万円と試算。市は合併特例債の活用も検討している。
 現在、伊良部島の水源は十カ所あるが、いずれも海水の上に真水が浮いている状態である「淡水レンズ」からの取水であるため水量に乏しく、渇水期には不安定。さらに水質基準を順守するために特別な膜処理を必要としているが、その膜処理を行う伊良部浄水場の浄水プラントの処理能力は日量三千六百立方bでフル稼働の状況だ。市水道局や宮古島市は架橋建設に伴う下地島の残地利用などで、現在の浄水場では将来の水需要の増加に対応できないと判断。プラントが二〇一四年には耐用年数を迎える上に、年間で一億円ものランニングコストを必要としていることなども踏まえ、宮古本島から送水することが財政上でも得策として調整を進めている。
 これらの現状を踏まえて市水道局が「伊良部地区送水計画」(案)を作成し市当局に要請。伊志嶺亮市長も賛同し、現在は県レベルでの協議が進められている。送水計画では橋梁添架と海底送水管の二方式を提示しているが、コストや維持管理の面でメリットがある橋梁添架方式で調整が進められている。送水元は袖山浄水場になる見込みだ。伊志嶺市長は二十四日、本紙取材に対して「伊良部架橋に乗せる方向で検討を進めている段階。伊良部島の住民に良好な水を提供していきたい」と述べ、事業費については合併特例債の活用を検討していることも明らかにした。
 伊良部架橋の総事業費は約三百二十億円を見込んでおり、一二年度の完成を目指している。同架橋には今回計画が浮上した水道管のほかに、かんがい排水事業における農業用水の送水管整備も計画されている。

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世界35万人の中から優秀賞/国際平和ポスターコンテスト

 宮古島市立北中学校の川満真琴さん(一年)はこのほど、世界七十五カ国、三十五万人が応募した「第十八回国際平和ポスターコンテスト」(主催・ライオンズクラブ国際本部)で優秀賞に輝いた。同賞受賞者は二十三人で、県内初の快挙。川満さんは、国旗をくわえて地球の周りを飛ぶハトをパズルの完成画に見立て、平和への願いを表現した。「予想外だったので一層うれしい。戦争がなくて緑がたくさんある世界平和を願っている」と喜びを語った。
 同コンテストは、子供たちが平和の意味を考え、作品を通じて平和の未来像を世界中の人と分かち合うことが目的。十三歳以下の児童生徒を対象に、「平和は国境を越えて」のテーマで開催された。
 世界各国から三十五万人が応募。日本代表の八点を含む各国の代表作品百十一点のうち、川満さんは優秀賞(二十三点)に選出された。最優秀賞は、ブラジルのクレバーソン・ダシルバ・ロサ君(13)だった。
 作製にあたり川満さんは、図鑑や写真などの資料で世界情勢を調べ、平和に対する考えを文章化。「世界を平和にしてくれるハト」と「全ピースが揃ってこそ実現する『平和』のパズル」をモチーフに、多種類の画材を使って仕上げたという。
 川満さんは「平和への願いは表現できた。自分でも満足できる作品です」とさわやかな笑顔を見せた。
 指導に当たった友利尚子教諭は「じっくり時間をかけて丁寧に描いていた。素晴らしい結果につながり本当にうれしい」と手放しで喜んだ。

 写真説明・国際平和ポスターコンテストで優秀賞に輝いた川満真琴さん(左)と指導した友利教諭=24日、北中学校

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市木・市花など選定へ/宮古島市委員16人に委嘱状交付

 合併して誕生した宮古島市の新しい市木や市花を選定する「宮古島市市木・市花等選定委員会」が発足し、二十四日、伊志嶺亮市長が委員に委嘱状を交付した。委員は学識経験者や市民代表ら十六人。委員長には久貝勝盛教育長を選任した。委員たちは今後協議を重ね、市民の意見も反映させ宮古島市の木、花、花木、鳥などを選定し四月ごろに答申する。
 委嘱状を交付した伊志嶺市長は「新市にふさわしく市民が親しみを持てるような市木、花木、魚などを選定してほしい」と協力を求めた。
 委員は▽在来種など宮古島に分布する種であること▽市民に広く知られ、愛されていること▽宮古島市の産業、観光、生活等に関係が深いこと―を基本姿勢に「市木」「市花」「市花木」「市鳥」「市魚」「市蝶」「市貝」の七つを選定していく。
 この日の協議では目的の明確化を求める意見が上がったほか、在来種や新市にふさわしく自然観を高める種類の選定が好ましいなどの声が上がった。次回はそれぞれが選定案を挙げ、協議する予定。
 委員は次の皆さん。(敬称略)
 【委員長】久貝勝盛【副委員長】砂川泰忠【委員】岡徹▽伊良波進▽西里長治▽幸地和夫▽友利吉博▽砂川栄喜▽垣花信弘▽上地登▽仲間久▽宮川耕次▽久貝智子▽宮国泰男▽平良富男▽長浜幸男


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「誰かのために夢中に」/アグネス・チャンさん講演

 テレビなどでタレントとして活躍する傍ら、世界各国でボランティア活動を行い、教育学博士の顔も持つアグネス・チャンさん(50)の講演会(主催・沖教組宮古支部女性部、共催・宮古島市教育委員会)が二十三日夜、マティダ市民劇場で行われ、戦争や飢餓に苦しむ国々の子供たちの様子も交えながら、教育について語った。アグネスさんは「自分のことばかり考え苦しかったが、ボランティア活動で人のことを考えるようになり楽になった。子供たちには『Forget yourself』(自分を忘れる)という言葉を伝えたい。誰かのために夢中になると子供は成長する」と語った。
 時折ユーモアを交えながら話すアグネスさんの話に、集まった多数の聴衆が聞き入った。
 ボランティアの世界に入ったのが一九八〇年。カンボジアの難民救済を皮切りに、エチオピアでは飢餓に苦しむ子供たちを目の当たりに。東ティモールでは紛争で苦しむ子供たちの姿を見た。タイでは児童買春の問題に触れた。
 「私は恵まれていることに気付いた。夢を見ながら死んでいく仲間の分まで生きないといけない、と子供たちに伝えたい」と語った。
 また、「私はどこの国でも差別はしないし、差別されても慌てない。友情・友好・平和は互いの違いを尊重し合い、理解し合うこと。そう考えれば戦争はなくなるのに、宗教、歴史、一部に資産・資源が集まることによる貧困から戦争が繰り返される」と実感を込めた。
 また、二人の姉にコンプレックスを持っていた子供時代を回想。ある先生との出会いで自信を取り戻したと言い、「子供は自信をなくせば、良いものがあっても外に出さなくなり、できないと思い込み、最後は本当にできなくなってしまう」と、子供に自信を持たせることの大切さを強調した。

 写真説明・子供に自身を持たせることや平和の大切さについて語ったアグネスさん=23日、マティダ市民劇場

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宮古で大道芸を披露/ピーター・フランクルさん

 数学者で大道芸人のピーター・フランクルさんが二十四日、みつば幼稚園を訪れ、ボールやこん棒などを使った芸を披露し園児たちを楽しませた。間近で見る大道芸に園児たちはくぎ付け。パフォーマンスのたびに歓声を上げ、興味津々な様子でピーターさんの芸に見入っていた。
 ピーターさんはプライベートで来島。家族四人と宮古島を訪れた際にみつば幼稚園の大野幹夫園長と出会い、息子や娘と同年代の子供たちにも芸を楽しんでもらおうと、今回同園で公演を行うこととなった。
 ピーターさんはカラフルなボールやスティック、箱などを使い次々と芸を披露。トークも交えながら得意の大道芸を繰り広げ、園児たちを引きこんだ。大技が出るたびに園児たちは歓声を上げ大喜び。大道芸を見る機会が少ないとあり一つ一つの芸に見入り、楽しんでいた。
 大野園長は「子供たちの目の輝きが違う。世界的に有名な方に来ていただいてうれしい」と感謝した。
 ピーターさんは「暖かい所で家族とのんびりと過ごそうと宮古島へきた。海など、自然が豊かな中で子供たちと楽しんでいる」と島での余暇を楽しんでいる様子だった。

 写真説明・こん棒などを使い芸を披露するピーター・フランクルさん=24日、みつば幼稚園

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   メリケン粉の販売自粛を/高校卒業式控え未然防止会議

 三月一日に挙行される県立高校の卒業式を前に、高校生の卒業式後の問題行動未然防止対策会議が二十四日、県立宮古農林高校で開かれた。宮古島警察署や、各高校の生活指導担当者、少年補導員らが出席。車両と徒歩で学校周辺や繁華街をパトロールし、問題行動に目を光らせることを確認した。市民らに対し「高校生にメリケン粉の販売を自粛する」などとしたアピール文を発表した。(8面にアピール文全文)
 卒業式後は、各高校周辺や西里通り、下里通りなど繁華街をパトロールし、メリケン粉を使った騒ぎが起きないよう監視する。また、分散会後に重大な事件事故につながりかねない飲酒や、車両の無謀な運転などが懸念されるため、夜間も署員や補導員らによる巡回パトロールも行われる。
 会議の冒頭、宮古地区高校生徒指導連絡協議会の下地恵吉会長(宮古農林高校長)は「ここ数年は取り組みの成果が見られ、問題行動は一件も無かった。問題が起こらないよう意見を出し合い、良い卒業式にしましょう」とあいさつした。
 宮古島署生活安全課の知念克幸課長は「昨年から今年にかけて、集団暴行事件が発生するなど不穏な動きも見られる。各校とも注意してもらいたい。ささいなことでも警察に教えてほしい」と注意を呼び掛けた。
 会議では、パトロールの役割分担や青少年らの問題活動の現状について説明された。

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