200平成18  112 木曜日

製糖操業がスタート/宮古本島2工場
平均糖度14.31-15度で基準超

  沖縄製糖宮古工場と宮古製糖城辺工場の二〇〇五―〇六年産サトウキビの製糖操業が十一日、スタートした。初日の原料搬入量は沖糖が千三百二十d、宮糖が九百十d。平均糖度は沖糖が一五度、宮糖が一四・三一度となり、両工場とも基準糖度帯(一三・一―一四・三度)を上回る最高の滑り出しとなった。今期の生産見込み量は沖糖が十一万三千d、宮糖が九万七百五十dを予想。伊良部、多良間を合わせた宮古全体の生産見込み量は二十八万三千三百八十三dとなっており、前期の成績を大幅に上回る豊作が期待される。両工場の今期製糖操業期間は六十―六十五日を予定。

 今期サトウキビは生育初期から旺盛期にかけて発生した台風の被害を受けたが、風向きが同一方向であったため大きな打撃はなかった。夏場は降雨に恵まれ順調に生育したが、生育後期に当たる九月から十一月にかけては少雨傾向が続いたため生育が鈍化。その後は降雨などで持ち直した。品質面は好調に推移。最も好影響を与えたのが年末年始の冷え込みで、宮古全域で品質が向上、両工場ともに平均糖度は一四度台を予想しており、豊作が期待されている。

■沖糖
 沖糖に搬入された原料の糖度内訳は十一日午後七時三十分現在で基準帯内が二〇・五一%、基準以上が七二・九二%、基準以下が六・五%で過去に例を見ない最高の高品質取引が行われた。最高の糖度は一八・二度、最低糖度は一一・七度だった。
 沖糖の操業開始式は午前九時から行われ、初めに砂川玄悠常務が「農家の皆さんの適切な栽培管理により例年以上の高品質が期待できる。その原料でより多くの砂糖を作りたい」と話した。
 続いて県宮古支庁の兼城克夫支庁長、宮古島市の伊志嶺亮市長が来賓祝辞で豊作と操業の無事故無災害を求めた。
 砂川佳一、奥平一夫県議は乾杯の音頭を取り宮古の基幹作物サトウキビのさらなる振興と発展に期待を込めた。



■宮糖
 宮糖に搬入された原料の糖度内訳は基準帯内が四一・九八%、基準以上が四五・二一%、基準以下が一二・八一%。最高糖度は一六・九度で最低は一一・一度。沖糖と同様に、前年の実績を大きく上回る好成績の初日となった。
 宮糖では午前十一時三十分から操業開始式が開かれた。初めに新里光男社長や県、市、農業関係機関の代表がキビの束を工場の機械に投げ込み操業開始を告げた。続いて新里社長が「農家の皆さんが精魂を込めて栽培した原料で安全な製糖操業を行い、地域社会に貢献したい」などと決意を話した。
 この後、県宮古支庁の兼城克夫支庁長が来賓祝辞で歩留まりの好成績と操業の無事故無災害を促した。砂川佳一県議が乾杯の音頭を取り「国民の甘味資源をしっかりと育てていこう」と強調、参加者全員で操業開始に祝杯を挙げた。


写真説明(上)・操業開始と同時にトラックに積み込まれた原料が次々と搬入された=11日、沖糖宮古工場

写真説明(下)・新里社長(中央)をはじめ県、市町村、農業関係機関の代表がキビの束を投げ入れ操業開始を告げた=11日、宮糖城辺工場


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現段階で約36億円不足/市新年度予算編成

 宮古島市(伊志嶺亮市長)が進めている二〇〇六年度の新年度当初予算の編成作業において、現段階で約三十六億円が不足していることが本紙の取材で分かった。同市では不足分に充当する基金も約八千万円の残高しかなく、今月中の一時内示に向けて、さらなる歳出抑制を図っていくことになっている。財政課では「二年前に平良市が歳入不足のまま内示した当初予算編成時よりも厳しい状況だ」との見解を示している。

 同市における来年度当初予算の歳入は三百十億―三百二十億円程度になる見込みだ。そのうち財源の使途が特定されず自治体が自由に使用できる一般財源は百七十二億円程度を見込んでいるが、各部局の要求ベースは二百二十六億円となった。当初、五十四億円の開きがあったが査定を行い現在は三十六億円余の不足となっているようだ。
 市当局によると、歳入面でも国や県からの補助金の動向や地方剰余金について流動的な状況となっていることが説明されたが今後は、歳出面で各部局が求めている事業などの査定を行い、さらに歳入との差額を縮めていく予定となっている。
 そのほかにも、生活保護費など旧町村部は県の管轄だったが、合併でその分が宮古島市の負担となり、児童扶養手当も負担増となるなど、一般財源からの持ち出しが増えていることなども影響しているようだ。
 予算編成について、市財政課では「国の合併補助金も未確定な状況で、県も来年度の予算編成が厳しい状況。歳入見込みも甘い判断はできない。今後、県とも話し合いを詰めていきたい」と述べた。
 基金も底を突いた状況で、合併した宮古島市の財政は厳しい状況。今後の歳入見込みと歳出見込みの差額を埋める作業は厳しい内容となりそうだ。


※一般財源と特定財源
 財源の使途が特定されず、自治体が自由に使用することができるものが一般財源で、代表的なものとしては、市税および地方譲与税など。
 これに対し、財源の使途が特定されるものが特定財源。特定の事業目的のために得られる財源で、代表的なものが国庫支出金や市債などとなっている。

 

伊良部漁協、損害補償求め「待った」/
不発弾海中処理計画が白紙に
 

 伊良部架橋建設に向けた海中ボーリング調査に伴う磁気探査で見つかった不発弾について、宮古島市は週明けに海上自衛隊による海中爆破処理を予定していたが、十一日に開かれた事前会議で、伊良部漁協の奥原隆治組合長から、爆破で魚が死ぬなど損害を受ける漁民に対する補償を求める声が上がり、結局、奥原組合長の同意を得られずに処理計画を白紙に戻した。架橋建設を進める県側は奥原組合長の姿勢を強く批判。会議に出席した海上自衛隊側は「こんなこと初めて」と当惑し、「地元で調整してから処理を要請してほしい」と話した。
 今回処理が予定されている不発弾は、昨年十二月二日と三日に伊良部架橋建設に向けて県が実施しているボーリング調査中に発見された八十一_追撃法一発、六十一_追撃法一発、三a砲弾三発の計五発。架橋建設予定の伊良部島側から四十b付近で三発、百b付近で二発が見つかった。現在は百b付近の海底にまとめて留置している。
 計画では今月十六日午前、さらに百bほど沖側へ移動し、海中で爆破処理。その際、半径二千b以内を入水禁止とし、対策本部を伊良部島に置くことなどを事前対策会議で確認していた。会議途中で、奥原組合長が爆破処理する海上自衛隊沖縄基地隊の小松徹・一等海尉に対して、「どういう法令に基づいて海中で不発弾処理するのか。損害を受ける漁民への補償はどうなるのか」などと、事前に補償の話し合いをすべきだと主張し、今回の処理計画に同意できないとした。
 これに対し小松一等海尉は「不発弾処理は自衛隊法九九条に基づいて行っている。補償については答える立場にない」と述べた。また県宮古支庁総務・観光振興課の上里隆盛副参事は「個々の損害について協議していくのは無理があるのではないか。お互いの地域の危険を取り除くという大きな見地から考えていくべきだ。漁民にとっても危険を取り除くというメリットがある」と再考を求めた。
 しかし互いの意見はかみ合わず、小松一等海尉は「(海自としては)ぜひ処理をさせてくださいとお願いしている立場ではない。自治体の要請を受けて、真摯(しんし)に対応し、速やかに危険を取り除くという立場だ。地元で十分に協議してから、今回の処理要請は白紙に戻し、改めて要請してほしい」と当惑した表情を隠さなかった。
 結局、結論を出すことができず会議を招集した宮古島市の宮川耕次総務部長が、週明けの爆破処理を取りやめると判断した。処理要請が白紙に戻されることで、海底に留置されたままの不発弾管理は、宮古島市になるという。


写真説明・海中爆破処理に伴う損害の補償を求める奥原組合長(右)=11日、宮古島市役所



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農水省・金子政務官が来島/バイオ・エコ研究を視察

 農林水産省の金子恭之(やすし)大臣政務官(44)=自民党=が十一日来島し、サトウキビからの製糖過程で発生するバガスや糖蜜、畜産のふん尿などを、炭化や堆肥(たいひ)化するなどして農業で利用し、循環型社会の構築に向けた研究を行っている上野の宮古島バイオ・エコシステム研究センターを視察した。金子政務官は「バガスやふん尿を有効に利用するため、非常に良い研究がなされている」と評価した。
 金子政務官はきょう十二日まで滞在し、キビの製糖過程で出る廃糖蜜を利用したバイオマスエタノール製造施設や、それを石油に混合するエタノール混合ガソリン(E3)製造施設、地下ダム資料館などを視察する予定。
 同センターは同省の「農林水産バイオリサイクル研究事業」で二〇〇四年度から三年間の予定で、サトウキビ由来のバガスを炭化・ガス化して農業に利用したり、ふん尿や生ごみを堆肥化したり、メタン発酵させてエネルギーに変えるなどの施設で循環型社会構築に向けた研究を進めている。金子政務官は「農水省としてもキビの増産プロジェクトで振興に力を入れており、バイオマス技術がますます進むよう、力を入れていきたい」と述べた。
 金子政務官は熊本県出身で当選三回。衆院農林水産委員会所属。

写真説明・多くの質問も交えながら、熱心に視察した金子政務官=11日、上野の宮古島バイオ・エコシステム研究センター

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素敵な生の演奏に感激/ともだちコンサート

 二〇〇五年度県こども青少年芸術劇場「国際音楽の日」記念ともだちコンサート(主催・県教育委員会など)が十一日、平良地区にある西原公民館で行われた。宮古島市立西辺小、中学校の児童生徒を観客に迎え、県出身の三人の演奏家たちがピアノやフルート、クラリネットを使って曲を披露。参加した児童らは、フロアに響き渡る生の演奏を楽しんでいた。
 コンサートには、県出身者の▽石垣円(まどか)さん(フルート)▽根間安代さん(クラリネット)▽阿波連佳恵子さん(ピアノ)―の演奏家三人が参加し、クラシックを中心に数曲を演奏。曲の合間に、楽器や曲の説明、音楽に関する知識をクイズ形式で紹介するなど、分かりやすいコンサートの内容に、児童らは質問に答えながらフロア全体に響き渡るメロディーに興味深く聞き入っていた。
 これは、芸術鑑賞の機会の少ないへき地や離島などの児童生徒に、優れた舞台芸術を提供して生の芸術に触れる喜びを与えるとともに、表現活動の機会を確保することにより、児童生徒の芸術活動の機運の醸成と健全育成を図ることが目的。文化庁の主催する「国際音楽の日記念フェスティバル」と、県教育委員会が主催する「ともだちコンサート」がジョイントして行われた。

 
写真説明・3人の演奏家たちがピアノ、フルート、クラリネットの楽器でクラシックを中心に演奏、披露した=11日、西原公民館

  

 

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