200平成17  1223曜日

助役2人案 賛成少数で否決/市議会12月定例会
与党も過半数が反対

 開会中の宮古島市議会(友利恵一議長)の十二月定例会は二十二日、最終本会議が行われ、今議会最大の焦点となっていた「助役二人制」の条例案の採決が行われた。挙手の結果、賛成十、反対十七の賛成少数で同案は否決された。伊志嶺亮市長は「年明けにも再提案したい」との見解を示したが、与党の九人のうち五人が反対姿勢を示していることから、同条例案の今後の可決も難しい状況となっている。また、収入役廃止案は一部文言修正で可決した。

 同案については、今議会の一般質問でも質疑が集中した。ほとんどの野党議員と一部の与党議員から、助役二人制を主張する伊志嶺市長の見解を求めていた。
 助役二人制については、賛成と反対の質疑の後、野党の新城啓世氏と池間雅昭氏が反対討論。与党の仲間明典氏、会派「そうぞう」の池間健栄氏が賛成討論を行った。
 反対討論では「合併の最大の目的は財政の健全化であり、助役を二人にして人件費がかさむことはその趣旨に反する」や「敬老会や老人クラブの集まりに三役を充実させて参加させたいとの理由では市民は理解できない」との意見が示された。
 一方の賛成討論では「市長は政策決定に責任を持ち、特命を受けた助役が権限を受けて政策の執行に取り組むことは必要」や「合併してたくさんの諸課題を抱えている宮古島市にとって行政サービスを向上させるためにも三役の充実は必要」などが出された。
 同案ついては、池間雅昭、下地秀一、下地明、平良隆、新城啓世、嘉手納学、上地博通、砂川明寛、棚原芳樹、富永元順、富浜浩、真栄城徳彦の野党十二人と与党の亀浜玲子、与那嶺誓雄、佐久本洋介、上里樹、友利光徳の五氏が反対の姿勢で反対総数は十七人。
 一方の賛成は会派「そうぞう」の豊見山恵栄、下地智、新里聡、池間豊、宮城英文、池間健栄の六氏と与党の仲間明典、前川尚誼、与那覇タズ子、山里雅彦の四氏で合計は十人となった。
 監査委員については、真栄城徳彦氏と川満勇氏の選任案が同意された。
 また、議会推薦の農業委員会委員については▽砂川博克(城辺)▽山里克洋(平良)▽来間得良(下地)▽上地一正(平良)の四人が議会推薦で決定した。
 選挙管理委員会委員については選挙が行われ、亀浜文、石垣喬、嵩原幸男、川満正昭の四氏が当選。また、補充員としては順番に根間貞倶、高吉良次、仲村淳、棚原文男の四氏となっている。
 そのほか、今議会に提案された二〇〇五年度一般会計予算など提案議案については、陳情案件二件が継続審議となったほかは可決された。

写真説明=助役2人制の条例案が賛成少数で否決となった最終本会議=22日、宮古島市議会議場

 

■助役二人制/思惑入り乱れ否決/本筋協議なく採決/ちらつく人選案に不満噴出

 水面下でちらつく人選案と思惑が入り乱れた「助役二人制」が宮古島市議会の十二月定例会で否決された。同案については、合併して生まれた宮古島市にとって何が大切で、何を淘汰(とうた)すべきかという本筋論の協議がないままの否決となった。その背景を検証する。

■ 市長
 同案の提案者は伊志嶺亮市長だ。この問題が浮上した段階で、野党議員がその見解を求めたのに対し市長は「旧自治体の首長、三役は地域の敬老会、老人クラブなどの催しに出席していた。地域とのつながりを大切にするためにも助役を二人にして対応したい」との説明だった。
 しかし、その後の議会では「新市のリーディングプロジェクトなど政策を円滑に推進するため」「合併に伴う諸課題に対応するためにも特命を帯びた助役を二人にする必要がある」などを中心に必要性を強調し始めた。
 実際に旧五市町村時代は五人の市長がいて、その下には三役が存在していた。収入役廃止で、宮古島市では、その職務を市長と助役の二人で背負うことになる。
 また、合併前に旧町村の議員が不安視していた地方とのつながりを考えた場合、三役の充実は必要かもしれない。
 しかし、伊志嶺市長の主張も当初「地域とのつながり」から「政策面」へと転化し、一貫性が感じられず「政策面」は後から付けた感が否めなかった。

■ 議員
 反対議員の主張も見え隠れする「人選」が基本にあり、本筋論からはずれていた。厳しい財政面を前面に押し出して、助役二人制に反対したが、宮古島市における諸課題への対応、その業務量という部分の議論が少なかった。
 反対議員は「宮古島市の諸課題は市長に知力、体力があれば十分に助役一人でも対応できる」「市長の仕事を二人の助役に背負わせることに納得できない」「市民の理解を得られていない」と強調した。
 「助役は一人は必要で二人は必要ない」という論点でみると、一人で可能な仕事量と二人で対応すべき量の見極めはどこで生まれるのだろうか?
 助役二人制と助役・収入役不要論で議論が展開されれば一番分かりやすく、財政面を中心に考えれば助役・収入役廃止という発想にもなる。
 五市町村が一つになったという状況と収入役廃止という要素は、宮古島市長の業務負担が大幅に増える。新市建設計画の財政計画の中でも、三役報酬は盛り込まれており、助役二人は必要との見解も成り立つ。
 しかし、同計画を基本にさらに歳出抑制を図り、諸課題すべてに対応することが宮古島市長の役目との指摘も十分に理解できる。
 この二つの見解を基本に協議されれば、市民はもっと分かりやすかったのかもしれないが、実際はその後に控えた「人選」をめぐる思惑が議論の中心となってしまった。

■ 市民
 「市民は納得していない」との意見が議会でも数多く出された。これも「市民」という言葉をうまく利用しているだけにも聞こえる。旧平良市議会で提案された「環境保全条例」は実際に「市民」を根底に置いた議論がなされずに否決された。
 当時の反対議員は理念には理解できるが中身が問題とし否決。しかし、市民のためになる理念が理解できるのであれば中身を修正し、可決すべきだった。
 今回も市長、議員の政治的思惑と都合が優先される議論ではなく、「市民のため」を根底に置いた議論が求められたが、市長も議員も終始、政治的思惑を根底に据えた議論を展開してしまった。          【垣花尚記者】 


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製糖シーズン幕開け/宮糖伊良部工場が操業開始
/初日平均糖度13度の高品質

 宮古製糖伊良部工場(渡久山和男工場長)が二十二日、宮古地区のトップを切って二○○五―○六年産サトウキビの製糖操業を始め、製糖シーズンが幕を開けた。初日の平均甘蔗(かんしゃ)糖度は、前期初日より二・○九度高い一三・一六度の高品質でスタート。寒気による冷え込みで、同糖度の上昇が期待されている。今期産は前期産より二倍の五万七千百dを見込む。年内操業は二年ぶり。
 同製糖多良間工場は今月二十六日、同製糖城辺工場と沖縄製糖宮古工場は年明けの一月十一日からそれぞれ操業開始する。
 この日の甘蔗糖度は、最高一四・八○度(前期初日一三度)、最低一○・四○度(同九・一○度)、平均一三・一六度(同一一・○七度)
 関係者らを招いた操業開始セレモニーは、この日の午後三時から行われた。
 宮古製糖の新里光男社長、同製糖の新城淳作専務、砂川佳一県議、県宮古支庁の兼城克夫支庁長、宮古島市議会の友利恵一議長、渡久山工場長、JAおきなわ伊良部支店の川満恵栄支店長、宮古地区トラック組合の奥浜貞夫組合長、宮古港運の塩川博司社長、伊良部港運の友利恵道社長の十人が、稼働中のコンベアーに向かってキビ束を投げ込んだ。二十四時間稼働が本格化した。操業日数は百十―百二十日間を予定。
 新里社長は「今期は、四十四期目の操業。操業日数は長丁場だが、工場は安全操業が使命」と述べ、関係者らに無事故・無災害に向けて気持ちを引き締めるよう促した。 兼城支庁長は「製糖操業の安全、円滑、高成績を期待したい」と語った。
 砂川県議は乾杯音頭の中で「今期は、昨年の二倍の増産が見込まれている。目標が達成できるよう期待する」と述べた。

写真説明=関係者らのキビ束投入で}時間稼働が本格化した=22日、宮古製糖伊良部工場

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きょうから冬休み/各校で終業式

 宮古島市、多良間村の各小、中、高校で二十二日、二学期の終業式が行われた。子供たちは成績表や各作品など二学期の学習成果を受け取るとともに、三学期に元気に再会することを約束し合った。きょうからは十四日間の冬休みが始まり、一月六日に三学期の始業式が行われる。
 各学校のうち、同市立西辺小学校(前泊宣夫校長)では、終業式で前泊校長が「二学期には皆さんの活躍の機会がたくさんあった。支えてくれた人たちへ感謝しましょう。冬休みは事故のない楽しい生活を送ってください」とあいさつを述べた。
 清掃後には各クラスで学級活動が行われ、初めての冬休みを迎える一年生のクラスでは▽交通安全を心掛けよう▽お年玉は貯金しよう▽知らない人についていかない▽お手伝いを頑張ろう―などの注意事項が担任教諭から示された。子供たちは学習や活動の成果を褒められ、冬休みへの期待に胸を膨らませてうきうきした表情を見せていた。
 伊良部島の小、中、高校は二学期制のため、終業式は行われていない。

写真説明=冬休みを前に喜びいっぱいの子供たち=22日、西辺小学校

 
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自転車で警戒強化/地域パトロールに活用/宮古島署

 自転車を活用して通学路などのパトロールを強化しようと、宮古島警察署(伊波盛春署長)は二十二日、同署で出発式を開いた。東、西の両交番の署員が自転車(マウンテンバイク)で、パトカーが入れないような狭い路地や通学路を中心にパトロールし、子供や地域住民らを犯罪から守るのが狙い。
 自転車は、全国各地において通学路で子供が被害者となる事件が発生していることを受け、県警本部が県内各署に計二十九台を配置。このうち三台が宮古島署に配置された。
 出発式で伊波署長は「自転車はパトカーと徒歩の中間的な役割を果たすことができる。効果的に活用し、事件が一件でも減ることを期待している」と述べた。
 隊員を代表して西交番の下地一広交番長は「地域の安全・安心のためパトロールを強化し、地域住民を犯罪から守りたい」と決意を述べた。
 隊員らは早速、署員らに見送られて市街地のパトロールへ出発した。
 同署によると、刑法犯五百九十四件(今年十一月末まで)のうち約七割が東、西の両交番に集中しているという。

写真説明=自転車にまたがり市街地のパトロールに出掛ける署員ら=22日、宮古島警察署


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この冬一番の寒さ/最低気温10・3度
/宮古島地方

  冬至の二十二日、強い寒気の影響により日本各地で大雪が降る中、宮古島地方もこの冬一番の寒い一日となった。最低気温は一〇・三度(午前六時三十一分)で平年と比べ約七度低く、最高気温も一二・三度(午後零時八分)と平年を下回った。きょう二十三日は昼前から晴れて風も弱まり、最高気温は一九度まで上昇する見込み。
 宮古島地方気象台によると寒さのピークは二十二日までで、二十三日からは晴れ間も広まり気温は上昇。二十七日には大陸高気圧の張り出しで再び冬型の気圧配置となり寒気が入り込むが、二十二日同様の厳しい寒さはない見込み。
 二十二日は、この冬一番の寒さを迎えたとあって市内ではマフラーや厚手の衣類を着込み、身をかがめて歩く高校生などの姿が多く見られた。

写真説明=マフラーやカーディガンを着込んで足早に家路に就く生徒たち=22日、宮古島市内


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