200平成17  1215曜日

市税滞納1億1280万円/宮古島市厳しい財政に拍車

 宮古島市議会の総務財政委員会(新里聡委員長)が十四日行われ、市税の滞納状況が市当局から示された。十月一日現在の市民税滞納額(個人)が一億四百二十七万五千四百五十円、市税に含まれる法人市民税滞納額が八百五十六万百円の合計一億一千二百八十三万五千五百五十円となっており、十月末現在の徴収率は五六・七%となっていることが説明された。市当局では十月に部長級以上で「市税徴収対策会議」を発足させ、徴収率八二%を目標に取り組みを展開している。
 宮古島市における市税滞納額(個人)の旧市町村別では、平良市が八千七百五十六万九百十二円。城辺町が六百五十一万八百十三円。伊良部町が五百三十五万五千五百二十四円。下地町が百三十六万八千八百七十四円。上野村が三百四十七万九千三百二十七円となっている。
 市税の滞納額について税務課では「宮古島市になっても厳しい財政状況は変わらない。徴収率の向上が必要で、すでに徴収対策会議を発足させて取り組んでいる」と説明した。
 また、市税に含まれる法人市民税の滞納額は、八百五十六万百円で旧市町村別では平良市が八百二十四万六千四百円。城辺町が三十一万三千七百円となり、伊良部町、下地町、上野村については滞納額は無しとなっている。
 宮古島市の二〇〇五年度市税徴収対策実施方針における徴収執行体制の基本的な考え方としては▽本庁管内の城辺、下地、上野地域については新たに市税指導員を配置▽本庁税務課は、本庁管内の滞納整理と徴収業務および伊良部総合支所管内の五十万円以上の滞納整理▽伊良部総合支所は、管内の五十万円未満の滞納整理と徴収業務に取り組む―となっている。
 また、滞納整理措置としては、差し押さえなど法的な措置を四〇%に設定。また、大口滞納(百万円以上)については措置率八〇%を目指すとしている。
 ところで、総務財政委員会に付託されている「助役二人制」の条例案については、この日の協議とはならず、きょう十五日に協議される。

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新会長に伊志嶺市長/コーラル社社長は依然として不在

 旧下地町で設立され、市町村合併により宮古島市に引き継がれた第三セクター、コーラル・ベジタブル社の臨時株主総会が十四日開かれ、新しい取締役に宮古島市の伊志嶺亮市長が選任された。その後の取締役会で伊志嶺市長を 代表取締役会長にすることを全会一致で決めた。市町村合併に伴う役員改選で、これまで会長を務めていた旧下地町長の川満省三氏は同日付で辞任した。不在が続く社長選任については年内に決定する方針を確認した。
 臨時株主総会では川満氏の会長辞任を確認した上で、伊志嶺市長の取締役就任を決めた。
 六年四カ月間代表取締役会長を務めた川満氏は「昨年の決算から黒字を出し、今年の決算も約七百万円の黒字で累積赤字も縮小されていることが大きい。農家の生産を向上させるという目的は達成できたのではないかと思う」と振り返った。その上で「今の体制で取締役、職員が頑張れば、コーラル・ベジタブル社はさらに良い方向に向かう」と期待を込めた。
 新しく会長に決まった伊志嶺市長は「問題を解決しながら今年の決算は黒字を出した。これからも地域経済の活性化に向けて取り組んでいきたい」と決意を語った。社長選任については「農業を良く理解している人を選ぶことがコーラルの良い運営につながる」と述べた。
 コーラル・ベジタブル社はアロエベラなど農産物の加工や製品製造、販売を行う第三セクター。生産農家の収益向上や地域経済の活性化を目的とし、一九九九年九月に設立された。

 写真説明・固い握手を交わす伊志嶺代表取締役会長(右)と会長職を辞任した川満省三氏=14日、コーラル・ベジタブル社

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清楚な花咲かせる/在来種アリモリソウ

 在来種のアリモリソウが、宮古島市下地の樹林内で白い清楚な花を咲かせ、自然を彩っている。花弁の内側の紅紫色が、ひときわ鮮やかで美しい。今月が見ごろ。
 薄暗い樹林内で生える多年草で、キツネノマゴ科。草丈の高さは三十―五十a。花の大きさは五―七_。九州南部、琉球列島、台湾、東南アジアに分布する。
 アリモリソウの花は、葉っぱなどに触っても、ポロリと落ちたりすることから「繊細な花」として有名。
 日陰で育つ植物のため、宮古島での自生地は限られている。

 写真説明・アリモリソウの花=13日、下地地区(撮影・伊良波彌記者)

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活動の成果を発表/公民館まつりにぎわう

 【多良間】多良間村の第十七回公民館まつりが十、十一の両日、同村中央公民館で開催され、子供からお年寄りまで多数の地域住民が参加し、舞台発表などを楽しんだ。児童生徒の作品展をはじめ、各種団体による踊りや三線演奏などの舞台発表、人気を集めたバザーコーナーなど内容は盛りだくさん。終日多くの住民でにぎわいを見せた。
 同まつりは、生涯学習の拠点でもある公民館の役割について理解を深めることを目的に開催しているもので、公民館で実施されている各教室や活動の場として活用するサークルなどが一堂に会し、それぞれが日ごろの成果を発揮した。
 初日は児童生徒を中心とした催しが行われ、作品展示、各区子ども会による舞台発表会、ペープサート、意見発表会などで詰め掛けた父母らを楽しませた。二日目は「クリーン・グリーン・グレイシャス運動」として清掃作業で同まつりがスタート。参加者たちは草むらや道端に落ちているごみを拾い集め、環境美化に努めた。このほか、グラウンドゴルフ大会、素潜り愛好会によるバザー、島フツ・エーグ大会なども行われ、発表者と観客が一体となり楽しいひとときを過ごした。

 写真説明・各団体による舞台発表。日ごろの練習の成果を発揮し観客を楽しませた=11日、多良間村中央公民館

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子供に生きる希望を/「世界の医療団」与座聡さん(平良出身)

 第一線の医師を開発途上国に約二週間派遣し、戦争で顔に傷などを負った人に形成外科手術を施す「スマイル作戦」。国際医療支援団体「メドゥサン・デュ・モンド」(世界の医療団、本部パリ)が展開するこのプロジェクトが今年、十五周年を迎え、発祥の地カンボジアで記念式典が行われた。一九九六年から参加している宮古島市平良出身で開業医の与座聡さん(50)=東京都在=は「子供たちに本当の笑顔とともに、人間としての尊厳と誇り、生きる希望を取り戻してあげたい」と話している。
 与座医師が初めてこの活動に参加したのは九六年、住民大虐殺で荒廃していたルワンダだった。教会に無数の遺体がミイラ状態で放置され、手術室には「銃の持ち込み禁止」と書かれた張り紙。危険な地だったが、「いかに多くの子供たちが生死のはざまで手術を必要としているか」を知り、以来、世界七カ国で支援のメスを握ってきた。
 今年十一月下旬、同医師は再びカンボジアの地を踏んだ。首都プノンペンのコサマック病院とローズチャリティー病院では、顔や手足に奇形や火傷、腫瘍、母斑を抱える子供たちの列。日仏の形成外科チームが二班に分かれて約八十人の子供の治療に当たり、「本来の姿」を取り戻した。
 カンボジアで特に目立つのが、口唇口蓋裂と呼ばれる唇と鼻に異常を伴う先天性疾患。発語に障害を来すほか、差別を受けるケースが多い。「母親の前世の行いが悪いと、この症状の子供が生まれる」という迷信が今も信じられ、孤児院に預ける親も少なくない。
 ポル・ポト政権下、医師ら多くの知識人が虐殺されたカンボジアでは現在、医師の不足が深刻。五十歳以上の医療スタッフはほぼ皆無で、形成外科医は国全体で五人程度しかいないという。
 与座医師は「カンボジアは医療分野で黎明期。虐殺ですべてを失った分、一から吸収できる土壌がある」と話し、「日本からボランティアに参加するには職場の理解や言葉の壁など難しい面もあるが、医学は一つの共通言語。果敢に挑戦してほしい」と若い力に期待を寄せている。

 世界の医療団 フランス語では「メドゥサン・デュ・モンド」。一九八〇年、「国境なき医師団」創設者ベルナール・クシュネル氏らが設立した国際的な人道医療支援団体。九五年の阪神淡路大震災後、日本事務局が設立された。アジア・アフリカの十二カ国で修復外科プログラム「スマイル作戦」を展開しているほか、エイズ患者や被災地住民への支援活動も実施している。
   ◇   ◇
 与座 聡(よざ・さとし)1955年、宮古島生まれ。83年に岡山大医学部卒業後、大阪・岸和田徳洲会病院、東京警察病院を経て、現在、東京・新宿の百人町アルファクリニック院長。96年からルワンダやマダガスカルなど世界7カ国で「スマイル作戦」に参加、来年1月にはニジェールに向かう予定。

 写真説明・マダガスカルで行われた「スマイル作戦」で、子供の診療に当たる与座聡医師(左)=今年8月撮影(メドゥサン・デュ・モンド提供)

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   離島フェア手作り特産品で特別賞

下地農漁村研が支庁長に報告

 今月二日に沖縄コンベンションセンターで開催された離島フェア2005年(主催・同実行委員会)で、「優良特産品」特別賞を受賞した下地農漁村生活研究会(比嘉初枝会長、会員十六人)の比嘉会長と上地洋美副会長らが十三日午前、県宮古支庁を訪ね、兼城克夫支庁長に受賞を報告した。
 兼城支庁長は「島の原材料を使った、手作りの特産品が特別賞を受賞したことは素晴らしい。今後は量産態勢で観光土産品として売り込んでほしい」と喜びを分かち合い、今後の活動に期待を込めた。
 特別賞を受賞した特産品は同日、全国農山漁村生活研究グループ連絡協議会が主催する本年度の「手づくり加工推奨品」に認定された。兼城支庁長は「大変うれしい」と喜んだ。
 特別賞と手づくり加工推奨品の認定を受けた特産品は「ドラゴンフルーツかりんとう」「ゴーヤーかりんとう」「パパイヤかりんとう」の三品。
 比嘉会長は、「皆さんの協力で特別賞を受賞し、手づくり加工推奨品に認定された。感謝でいっぱいです」と礼を述べた。 
 兼城支庁長は「これから宮古の観光が発展するためには、地元の食材を使った郷土料理や加工品、伝統芸能、文化財のアピールが必要」と語った。宮古農業改良普及センターの本村隆信所長や職員らが同席した。

 写真説明・兼城支庁長(左)に受賞を報告した比嘉会長(左から3人目)ら=13日、県宮古支庁

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