200平成17  12曜日

「クルーズ船で観光振興を」/港と観光シンポジウム

 宮古島へのクルーズ船誘致による地域振興を図るため、沖縄総合事務局と平良港湾事務所は三十日午後、市内のホテルで「港と観光シンポジウム」を開催した。同日、平良港に寄港した「飛鳥」の小田武船長やクルーズライターの上田寿美子さんをはじめ宮古観光協会、沖縄総合事務局の代表がパネリストを務め、クルーズ船誘致による宮古島の観光振興を提言した。そのほか客船対応の港整備や地域の受け入れ体制を充実させることの重要性を確認した。宮古島の平良港にはここ数年、豪華客船が次々と寄港しており、観光客数の増加に伴う観光振興が期待されている。
 シンポジウムは小田船長と上田さんによる基調講演で幕開け。小田船長は「クルーズ船への乗船は皆さんにとって身近にあるのではないか」と話し、近年は船内の雰囲気が変わり「乗りやすくなっている」とクルーズ船の魅力を強調した。港については「港は安全であることが重要。仮に安全上の理由で入港できないと判断した場合、乗客に迷惑と失望感を与えてしまう。安全、そして魅力的で美しい港であることが大切」と述べた。
 上田さんは過去に平良港に寄港したことがあるパシフィックヴィーナスや日本丸の船員らの評価を報告。「海の美しさに驚いている。『あの海の美しさは世界のトップクラスである』と評価している。また、『島の方々の温かい歓迎に心を打たれた』と話している」などと話した。港については「平良港から街の中心部までの距離が短いのが良い」と話した。
 この後、小田船長と上田さんをはじめ宮古観光協会の藤村明憲会長、県宮古支庁の兼城克夫支庁長、沖縄総合事務局の佐藤浩孝開発建設部長が登壇し、それぞれの立場からクルーズ船誘致による観光振興を訴えた。コーディネーターは名桜大学大学院客員教授の岩佐吉郎さんが務めた。
 藤村会長は「(客船に対応した)港湾の整備がまだ完全ではない」などと指摘。「港湾の整備に向けては地域の盛り上がりも大切。私たちも関係機関と連携を取りながら陳情や要請をしていきたい」と述べた。兼城支庁長は「港から市街地までを分かりやすくするために、外国語を含めた案内標識の設置が必要だと考える。美しい景観の形成も必要だ」と話し行政の立場から主張した。沖縄総合事務局の佐藤部長は「平良港は素晴らしい港。港は安全と安心が大切。これからも地域活性化ができ、環境と調和が取れた港の整備を考えていきたい」と、それぞれクルーズ船を受け入れる港の整備の重要性を提言していた。
 港の水について感想を述べた小田船長は「この美しさは世界のトップクラス。カリブ海と類似している」などと絶賛していた。
 会場に詰め掛けた一般市民らは各パネリストの提言に耳を傾け、クルーズ船誘致による宮古島観光の振興に理解を示していた。

 写真説明・クルーズ船誘致による宮古観光の振興を訴えたパネリストら=30日、ホテル共和

top.gif (811 バイト)

乗客400人を盛大に歓迎/豪華客船「飛鳥」が初寄港

 豪華客船「飛鳥」(小田武船長、二八、八五六d)が三十日、平良港に初めて寄港した。港には宮古島市の伊志嶺亮市長や県宮古支庁の兼城克夫支庁長ら関係者多数が駆け付け「飛鳥」の寄港を喜ぶとともに、約四百人の乗客らを盛大に歓迎した。(8面に写真特集)
 飛鳥は全長百一九二・八b、幅二四・七b。客室の数は二百九十六室にもなる客船だ。来春には飛鳥の約一・七倍に当たる「飛鳥U」が就航することから飛鳥の宮古島寄港は最初で最後となった。
 飛鳥は同日午前七時三十分には平良港第一ふ頭に接岸。その場で歓迎セレモニーが行われ、この中で伊志嶺市長は「宮古島市が誕生したスタートの年に、飛鳥が寄港してくれたことをうれしく思う」などと感謝。その上で「宮古島は美しい砂浜やサンゴ礁に恵まれている島。滞在時間は短いが宮古島の自然を楽しんでほしい」と話した。
 この後、飛鳥の小田船長や脇屋伯英機関長らにミス宮古が花束を贈呈して歓迎した。これを受け小田船長は「天候に恵まれて寄港できたことがよかった。乗客の皆さんも、この宮古島で素晴らしい思い出をつくってくれると思う」と話し、歓迎に感謝を込めた。
 港には牛汁コーナーも設置され、大勢の乗客が宮古牛の味に舌鼓を打ち盛大な歓迎に感謝していた。飛鳥は同日夕に台湾へ出港した。
 
 写真説明・平良港に初めて寄港した豪華客船「飛鳥」=30日、平良港第一ふ頭

top.gif (811 バイト)

7dの漂着ごみ撤去/宮古の海岸を一斉清掃

 宮古地域海岸の一斉清掃(主催・県宮古支庁農業水産整備課、宮古島市経済部、同市各支所、多良間村建設課)が三十日午後、宮古各地の海岸・漁港など二十カ所余で大掛かりに行われた。職員やボランティアら五百九人が参加。大量の漂着ごみを撤去し、環境美化に心地よい汗を流した。
 木片や紙類などは二dトラックの三十八台分、重さにして七dを拾い集め処分場へ運搬した。産業廃棄物の発泡スチロールやドラム缶などは、日を改めて処分場へ運ぶ。これは、「美ぎ島・宮古」実現の一環として実施。全島一斉に海岸清掃を実施し、海浜の浄化とともに環境保全意識の高揚を図ることが目的。清掃場所のうち、平良の真謝海岸では八十四人が参加。大勢の男性らがボランティアで作業した。
 大量の流木やペットボトル、発泡スチロール、ビニール袋などが海浜に打ち上げられていた。
 参加者らは手に軍手をはめ、散乱するごみは分別してビニール袋に拾い集めた。巨木なごみは重機を使って撤去した。
 同海岸で参加した男性は「真謝漁港や海浜が美しくなったので、気持ちがさわやかになった。これからも環境美化活動に参加したい」と話し、額の汗をふいていた。

 写真説明・大量のごみを撤去したボランティアら=30日、平良の真謝海岸

top.gif (811 バイト)

きょうから師走/ジャンボツリーもお目見え

 きょうから十二月。先生や坊さんなど師も走り回るほど忙しい時期とされ、師走とも言われる。今年も残り一カ月を切り、年末が近づくにつれてクリスマスや忘年会、正月の準備など何かと慌ただしい時期を迎える。
 宮古島地方気象台によると、三十日の最高気温は二三・〇度(午後零時三十九分)、最低気温は一八・八度(午前二時四十三分)を記録。週間天気予報では向こう一週間は雲が多い天気が続き、五日ごろから冷え込む見込み。
 二十五日のクリスマスに向け、花屋の店頭には赤いポインセチアが並び、クリスマスツリー、イルミネーションなどが見られるなどムードを漂わせている。
 宮古空港には高さ三・六bのジャンボクリスマスツリーがお目見え。観光客や送迎に訪れた地域住民らの目を楽しませている。

 写真説明・高さ3・6bのジャンボクリスマスツリーがお目見えし来訪者の目を楽しませている=30日、宮古空港

top.gif (811 バイト)

宮古上布の継承発展誓う/稲石祭・関係者集い決意新た

 宮古上布の創製者である稲石刀自の霊を慰める「稲石祭」(主催・宮古織物事業協同組合)が三十日、宮古神社で行われ、同組合の組合員や関係者、宮古上布の従事者ら多数が出席し、宮古上布の文化、技術の継承発展に決意を新たにした。
 稲石祭では、稲石の十三代目の子孫にあたる洲鎌ツルさん(74)ら関係者が出席し、宮古神社の境内にある稲石記念碑前に宮古上布や酒、果物などが供えられ、祝詞が読み上げられたほか、関係者が玉串を奉納した。
 宮古織物事業協同組合の赤嶺一成代表理事は「今年は宮古上布の関係者が内閣総理大臣賞などを受賞するという素晴らしいニュースがたくさんあった。後継者育成も行政の支援で優秀な人材がたくさん育っている。これからも関係機関のチームワークで宮古上布を継承発展させていきたい」と決意を述べた。また、伊志嶺亮宮古島市長は「一時は厳しい状況に追い込まれた宮古上布も、各方面の努力で良くなってきた。これからも行政として支えていきたい」とあいさつした。
 宮古上布は今から約四百年もの昔、台風で遭難しかけた琉球の船を救った洲鎌与人・真栄が琉球王にたたえられ、下地間切り頭首に任命されたことに感謝した妻の稲石が「綾錆布」を献上したのが、世に出た始まりとされている。稲石が織った綾錆布は苧麻(方言名・ブー)を原料とした美しい模様の入った錆色(青色)の上布だったと言われている。宮古神社境内には稲石記念碑があり、今年で建立二十六年目を迎えた。下地町洲鎌の真屋御嶽には、稲石が祭られている。
 宮古上布は一九七八年には国の重要無形文化財に指定され、原料の糸を紡ぐ苧麻績みや模様をつけるかすりくくり、染め、織り、砧打ちによる仕上げなど完成に至るまでの数々の技術が重要無形文化財に指定されている。

 写真説明・関係者が稲石記念碑に手を合わせ、宮古上布の継承発展を誓った=30日、宮古神社

top.gif (811 バイト)

   シーカヤックを満喫/みなと観光交流促進協

 国土交通省が推進する「みなと観光交流促進プロジェクト」の実施港湾に平良港が選ばれたことを受けて発足した「平良港みなと観光交流促進協議会」(渡久山明会長)が主催するシーカヤック体験が三十日、トゥリバー地区ビーチを発着するコースで始まった。今月二十五日まで行われる。同事業は「平良港みなと観光交流促進に関する社会実験」の一環で同省の補助金で実施。参加者にはアンケートに答えてもらい、その意見は来年二月までに策定される予定の「みなと観光交流促進計画」に反映される。
 オープニングセレモニーで主催者を代表して渡久山会長は「宮古の魅力は海と暖かい気候、美しいサンゴ礁。観光客のニーズは多様化する中、港の中で特にこのトゥリバー地区は観光拠点として大いに期待される」と述べ、同事業の成功を期待した。
 シーカヤック体験はトゥリバー地区のビーチを出発し、島とトゥリバー埋め立て地の間の水路をゆったりと進んで、パイナガマ南のポケットビーチへ抜け、トゥリバー地区ビーチに戻るコース。
 専門のガイドが付き、水路の途中で上陸して洞くつや防空ごう跡を探検するなど盛りだくさんの内容で所要時間は約二時間三十分。費用は保険、ガイド、防水タイプの使い捨てカメラを含めて大人五千円、小学生以下二千円。
 ガイドの伊志嶺功さんは「観光客だけでなく、地元の住民にもぜひ楽しんでもらい、その良さを体験してほしい」と話していた。

 写真説明・シーカヤックで悠々と進む参加者ら=30日、トゥリバー地区の水路

top.gif (811 バイト)