200平成17  1129曜日

教育委員1人を与党否決/4人可決 波乱の初議会が閉会

宮古島市議会

 宮古島市議会(友利恵一議長)の臨時会は二十八日、上程されていた一般会計暫定予算の専決処分承認や教育委員、固定資産評価審査委員会委員の同意案に対する採決が行われた。教育委員の選任では、提案された五人のうち一人に対し、与党と中間会派「そうぞう」が反対し、賛成少数で否決された。市議会は合併後、初めての議会で、当局提案の議案を与党が否決するという波乱含みのうちに閉会した。
 教育委員に提案されたのは久貝勝盛氏(63)=平良字久貝、砂川恵良氏(62)=城辺字西里添、新里玲子氏(57)=上野字新里、前泊直喜氏(56)=伊良部字池間添、羽地芳子氏(51)=下地字洲鎌=の五人。久貝、新里、前泊、羽地の四氏に対しては与野党などの賛成多数で可決。砂川氏に対しては与党八人と「そうぞう」の六人が反対し、賛成は野党の十二人だけとなり、賛成少数で否決された。与党の一人は採決時、退席した。
 閉会後、伊志嶺亮市長は否決されたことについて「地域で協議が済んでいると思い提案したが否決され残念。検討した上で、再提案するかどうか考えたい」と話した。
 教育委員は合併後、五人が暫定委員となっていた。その任期も二十八日までで、この日、教育委員五人が同意されれば、直ちに互選で教育長を選出する予定だったが、一人が否決されたため、教育長の選出もできなかった。このため二十九日からは教育長不在の状況となる。
 固定資産評価審査委員会委員には勝連秀一氏(64)=上野字新里、濱元武博氏(62)=下地字川満、平良玄一郎氏(60)=伊良部字仲地、奈良俊一郎氏(57)=平良字東仲宗根、上里道明氏(50)=平良字狩俣=が同意された。松長博義氏(65)=城辺字西里添=については賛成少数で否決された。

 写真説明・教育委員同意案などの採決が行われた=28日、宮古島市議会
 

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「風化させない」/西原産廃火災・4年迎え原告団が集会

 旧平良市西原の産業廃棄物最終処分場火災から四年を迎えた二十八日、同火災訴訟原告団(下地博和団長)は大浦公民館で集会を開催した。地域が混乱した火災当時の状況と住民が心身に受けた痛みを風化させまいと写真やビデオで振り返り、勝訴への誓いを新たにした。集会には約二十人の原告団メンバーが参加。「支援者も増えており、一歩ずつ解決に向かっている」などと意見を交わし、結審まで結束して戦い抜くことや、郷友会など賛同者へ引き続き費用面での協力を求めていくことなどを確認した。
 同訴訟は、同火災で健康被害などを受けたとして、旧平良市大浦の住民九十二人(提訴当時九十四人)が処分業者と監督責任を持つ県を相手取り、六千三百四十七万円の損害賠償を求めている。
 一方で、七十七世帯百四十五人の地域住民のうち、「およそ三分の一」(下地原告団長)の住民は「行政に勝てるわけがない」との理由で裁判自体に反対する意見もあるという。
 この日の原告団の集いでは、火災当時の消火活動や住民避難の様子や、住民健康調査などの写真、新聞記事、住民の証言などを収録したビデオを見ながら、火災後の様子を声に出し合って振り返った。
 同原告団の大里正行さんは「法定の場で住民としての怒りや悲しみを表すことが、子々孫々に良い環境をつなぐことになる。(裁判に)反対している人たちにも正しい情報に耳を傾けてほしい」と訴訟の意義を強調。
 自治会長の大浦敏光さんは「四年の間に、部落住民の間でも金銭面などでの細かい衝突はあったが、証人尋問が終われば裁判も集結を見るだろう。皆の気持ちを奮い立たせて最後まで頑張ろう」と話した。
 下地原告団長は「災いを転じて福となすことができるよう、皆で力を合わせ部落の環境は自分たちの手で守ろう」と強く呼び掛けた。
 一方で下地ハツ子さんは「火災からつらい思いを共有したのに、なぜきょうのこの日に皆が集まらないのか」と不満を表し、さらなる団結を求めた。

 写真説明・西原産廃火災訴訟原告団が集い、火災を振り返るとともに勝訴を誓い合った=28日、宮古島市平良の大浦公民館

「故郷は自分たちで守る」/県と住民側の主張対立
 
 旧平良市西原の産業廃棄物最終処分場火災は二十八日、発生から四年が経過した。この間、周辺環境への影響や人的被害を訴える住民側と、処分場の許認可権を持つ県が幾度も議論を重ねてきたが折り合いは付かず、決着は司法判断に委ねられている。県の調査内容に疑問を持つ住民と「環境評価、健康面とも調査してきた」(県文化環境部環境整備課)と主張する県。火災発生から四年を迎えた今も、双方に「和解」の二文字は見えてこない。住民の間では「風化」を懸念する声が聞こえる。
◇ ◇ ◇
 二〇〇一年十一月二十八日夜。けたたましく鳴る消防車両のサイレンが西原周辺に響いた。「処分場が燃えているぞ」と大声を張り上げる周辺住民ら。火は瞬く間に処分場全体に広がり、大火災に発展した。火災で発生した大量の黒煙は大浦集落に流れ、集落内の住民は数b先の視界すら奪われた。旧平良市の対応で住民らは西原公民館に避難したが、言いようのない不安で眠れない夜を過ごした。
 その後、次々と明るみに出た処分場経営のずさんさ。埋め立ての仕方など処分工法がまるで守られていない実態が浮き彫りとなり、住民らの怒りは噴出した。県は過去七十四回の指導を行ったとするが、住民らの不満は収まらない。「七十四回も指導して改善されないのに、なぜ営業を停止しなかったのか」「(目の痛みやかゆみなど)体の不調を訴える住民が多くいる」などと県の責任を追及し、適切な対応を求めた。
◇ ◇ ◇
 「この火災は、県の産廃行政がしっかりしていれば防げた。とんでもない行政だ」と主張してきたのが旧平良市が立ち上げた調査委員会(関口鉄夫委員長)だ。このような声を受け、県は数々の調査を実施、処分場内のボーリングをはじめ住民の健康診断、処分場内外の環境評価を行った。
 最終的には行政の関係者を除外し、第三者的立場から同問題を評価する専門委員会(委員長・渡邊昌東京農業大学教授)を立ち上げて調査を実施。この結果、「健康への影響は起きない」との結論に至った。だが、同委員会が評価の基礎にした県のデータなどの信ぴょう性について住民側が反発。結果として、同委員会にも住民側を納得させるだけの説得力はなかった。
 「非は非として認めてほしい」と訴える住民側は〇三年四月、県と業者を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こし、現在に至っている。
◇ ◇ ◇
 火災発生から四年間を振り返り、住民側の中心となり窮状を訴えてきた下地博和さんは「この四年間を通して『自分たちの故郷は自分たちで守らなければならない』という思いを強く持った」と話し、県の産廃行政に頼れないことを繰り返し強調した。その上で「火災当時の気持ちになって部落内の結束を高めていきたい」と述べた。
 一方で、県文化環境部環境整備課は「この問題についてはできる限りコメントを控えたい」と言葉少なだ。ただ「対応はしてきた。これからも地域の生活環境の保全を図る観点から、モニタリング調査を継続する。宮古島市とも連携し監視を続ける」とした。
◇ ◇ ◇
 発生から四年を迎えた西原産廃火災。この環境問題を深く考えるきっかけになった事故を「風化させてはならない」というのは行政、住民共通の思いだ。住民が県行政に抱いた不信感は解消されないままだが、たとえ解決しようとも、生活用水を地下水に頼る宮古島にとって、環境問題は避けて通れない重要なテーマだ。
 「風化」を恐れる下地さんは「あのような事故を二度と起こさないためにも、私たち一人ひとりが環境に対する認識を深める必要がある」と話し、行政、住民双方の意識改革を訴える。
 (山下誠記者)


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選挙無効申し立て/市長選で下地敏彦氏後援会

 今月十三日に行われた宮古島市長選挙で落選した下地敏彦氏の後援会幹部ら四人が二十八日までに市選管に対し、選挙無効の異議申し立てをした。四人は「宮古島市に住所を有しながら沖縄本島や島外に住む一部の学生に投票が認められなかったなど、数々の違法や不公正な取り扱いがなされた」と主張し、選挙の無効を求めた。二十八日午後、下地氏の後援会事務所で幹部らと市議会保守系議員団が会見し、申し立てを明らかにした。
 申し立てたのは嵩原弘、真栄城稔、下地常政、比嘉米三の四氏で、いずれも下地氏後援会の幹部。
 四人は▽宮古島市に住所を有しながら島外に住む学生に投票所入場券が送付されなかった▽投票所入場券を送付されたが学生を理由に投票できなかった▽学生でない者も投票所入場券を交付されなかった▽旧町村に住民登録しながら旧平良市に住んでいることを理由に投票所入場券が交付されなかった―などを指摘。一方で島外に住んでいる学生でも投票できた場合もあると矛盾点も挙げた。幹部らが確認した十五人分について申し立てた。
 市選管によると、島外居住の学生に関しては、「生活の拠点が宮古島市に無い」との理由で選挙人(有権者)名簿から除外している。今回は事前に電話で、学生か否かの確認作業を行い、確認できた場合のみ名簿から除外したという。
 市選管では申し立ての内容について審議し、三十日以内に結論を出す。

 写真説明・選挙無効の異議申し立てについて説明する幹部ら=28日、下地氏後援会事務所

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60点余の力作並ぶ/青潮園・利用者作品展、琉銀ロビーで

 身体障害者更生援護施設「青潮園」(下地徹施設長)の通所授産施設とデイサービスの利用者が製作したバッグやかご、かりゆしウエア、小物などの作品展が二十八日から、琉球銀行宮古支店で開かれている。六十点余りの利用者の力作が、同支店を訪れる人の目を楽しませている。あす三十日まで。
 作品展は、障害者の日常活動への理解や地域における障害者の自立支援の拡大を図ることが目的。同支店の並里和彦副支店長は「待合の時間などを利用して、銀行を訪れる多くの人に見てほしい」と話した。
 青潮園では十二月九日の「障害者の日」に合わせて「第二回青潮園まつり」を予定。野菜などの即売や利用者の作品展示、ミュージシャンの下地暁さんのライブ、利用者らによる舞台発表など多彩な催しを用意しており、近隣住民をはじめ、多くの市民の来園を呼び掛けている。
 問い合わせは同園(電話72・7795)まで。

 写真説明・青潮園の利用者の作品が紹介されている=28日、琉球銀行宮古支店

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   宮古と八重山が親睦/先島交流大会を初開催

 中央ツーリスト宮古支店(宮良久志支店長)が主催する中央ツーリスト杯先島交流グラウンド・ゴルフ大会が二十八日、宮古島市前福多目的運動場で開催された。今大会には、二十七日まで開催されたサントピア沖縄第十八回「南部忠平杯」グラウンド・ゴルフ宮古島大会の出場者を中心に宮古島市から百十三人、八重山地区から百十七人の計二百三十人が出場し、プレーを通して互いの交流を深めた。今大会は今年が初の開催。競技の結果、男性は砂川ジュンイチさん=八重山=、女性は西表妙子さん=同=がそれぞれ一位となった。
 大会はグラウンドゴルフを通して先島の交流を深め、技を競い合いながら、地域活性化、生涯スポーツの振興に貢献するのが目的。1ラウンド8ホールを4ラウンド回った合計打数で競われた。
 先島勢同士の交流大会への要望が高まっていたことを受け同社が開催することになったという今大会。大会長を務めた宮良支店長は「宮古と八重山は同じ先島という離島圏。その交流のお手伝いができればということで大会を行うことになった」と述べた。
 石垣市の「おはようジョギング会」から参加の金城トミさんは「なるべく宮古の人たちとも交流したいのでとても良い大会」と話していた。
 上位の結果は次の通り。(敬称略)
 【男子】@砂川ジュンイチ(個人、八重山)64打A下地盛長(宮古羽衣会、宮古)66打B兼久静夫(個人、八重山)68打C平良スミオ(個人、八重山)69打D下地玄祥(サシバ友の会、宮古)70打E与那 原ソンギ(みなずきA、八重山)70打
 【女子】@西表妙子(みなずきB、八重山)69打A花原リツコ(アトムチーム、八重山)69打B与那覇トシ子(宮古島市GG協会、宮古)70打C上原マサ子(宮古羽衣会、宮古)73打D平良サチコ(個人、八重山)73打E宮良キヨ(おはようジョギング、八重山73打
 【ALL2打賞】(1ラウンドのすべてのホールを2打で回った人)▽兼久静夫(個人、八重山)▽喜舎場エイキチ(同)

 写真説明・和やかにプレーを楽しみながら先島勢同士で交流を楽しんだ出場者ら=28日、宮古島市前福多目的運動場

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