200平成17  1111曜日

宮古島市長・市議選/各候補一斉に追い込み

ポイント演説で支持訴え 投開票まであと2日

 十一月十三日投開票の宮古島市長選挙と同市議会議員選挙まで残り三日となった十日、両選挙の各候補者は三日攻防のスタートを切った。市長選に立候補している伊志嶺亮氏(72)=社民、社大、共産、民主、自由連合推薦=と下地敏彦氏(59)=自民、公明推薦=は市街地を中心とするポイント演説で自らの政策を強調しながら支持を訴えた。今回の市長選は、今後の県内政局に影響を与えるとあって街頭には国会、県議会議員らが応援演説に立つなど日増しに盛り上がりを見せている。二十八議席をめぐる市議選も有権者の関心を集めており、投開票日に向けてさらに熾烈な攻防戦が展開されそうだ。 市長選に立候補している伊志嶺氏は十日、當間盛夫県議や狩俣信子県議らとともにポイント演説を行った。市内スーパー前の演説で伊志嶺氏は「相手候補は県や国との太いパイプを強調しているが、今は状況が違う。地方が立案して計画を立て、市民との対話でしっかりとしたものを築き上げ、国や県に上げていく自立型の行政が新しい自治体の姿」と自立型の経済を強調。その上で「行政と市民が共に汗を流していくことが大切だと思う。島や人、文化、モノのブランドづくりを進めたい」と述べ政策実現に意欲を示した。
 下地氏も精力的にポイント演説を行った。那覇市の翁長雄志市長をはじめ公明党県本部の糸洲朝則代表、安慶田光男那覇市議らも同行し、下地氏の支持を訴えた。同日午後には農家が多い成川地区で演説し、農業振興を約束。「農業に対する手当てをどれくらいするかが大切なこと。今回の選挙では、具体的な農業の施策を講じない人を選ぶのか、それともきめ細かくもうかる農業のために各種補助金を充実させる人を選ぶのかが大事。私は経済の活性化、そして農業振興のために、具体的にきめ細かな農業の政策を実施することを皆さんに約束する」などと強調し支持を訴えた。
 これまでの選挙戦について両陣営は「有権者の手応えは十分」と自信を見せる。それぞれ国会議員や県議会議員を伴って精力的な選挙運動を展開しており、残り二日間の攻防はさらに激しさを増しそうだ。
 一方の二十八議席に対し四十八人が立候補している市議選も盛り上がりを見せている。各候補の遊説カーが各地域を巡り、ウグイス嬢が声をからしながら支持を訴えている。投開票日の十三日に向けて、市長選と同様激しい選挙戦が展開される見込みだ。
 

 平和と自立型経済を訴え支持者と固い握手
 を交わす伊志嶺亮候補=10日、市内スーパ
 ー前
 経済の活性化、農業振興を訴え支持者と握
 手する下地敏彦候補=10日、宮古島市平
 良字荷川取

 

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宮古島市長選・候補者インタビュー

    伊志嶺 亮さん
  自立安定型の行政推進

 ―有権者にこれまで訴えてきたことは
 市町村合併は、国からの押し付けによる仕方のないもの。しかし、宮古島市が誕生し、新しい展望をつくっていけるチャンスでもある。新市のデザインは、私の手でやりたいという強い意志を訴えてきた。
 ―選挙戦の手応えと有権者の反応は
 告示前から良い反応があり、告示後はさらに盛り上がりが出てきた。
 遊説先での有権者の握り返す握手は力強く、また表情の明るさに私は励まされている。そういったことからも、各地域で大変良い手応えを感じている。
 ―今回の選挙の争点は何か
 基本政策については、相手候補と共通する点が多い。
 しかし相手候補は、経済の活性化という手法を国と県との太いパイプで強調している。市町村合併で、国からの補助金が削減されている状態の中、国や県を当てにするというスタイルは古い考え方だと思う。
 今は、地方分権の時代。私は、住民と共に本当に必要な事業を考え、住民サービスを向上させながら自立安定型の行政を進めていきたい。
 財政を行政だけが握るのではなく、例えば市税の一%約四千万円ほどのお金を、市民と論議して使い道を選択できる予算を創設していきたい。
 ―期日前投票の状況はどうか。また期日前投票が与える影響は
 期日前投票については、機動力を発揮してかなり力を入れている。特に伊良部地区では我が陣営が有利に進めている。
 投票当日は、仕事や旅行など都合のある人が多い中、期日前投票が与える影響は大きいと思う。残りわずかな期間だが、きっちりと取り組んでいきたい。
 ―最後に有権者に訴えたいことは
 私は、旧平良市の市長を三期十一年間務めてきた実績がある。島を平和で豊かにして、子供たちに残していくのが夢だ。
 平和な新市づくりを強く訴えながら、有権者の共感を得ていきたい。
    下地 敏彦さん
   経済の活性化に全力

 ―有権者にこれまで訴えてきたことは
 市民の声を聞くと経済的に苦しいということを肌で感じる。この状況を解消するため私は「世界一の観光の島づくり」を提案している。観光の島をつくり上げるためにはキーワードを「観光」にして必要な事業を緊急なものから実行していく。天然ガス事業を含む多くの事業を導入するためには県や国とのパイプがなければならない。県政与党に反対していては、予算が取りにくい。
 ―選挙戦の手応えと有権者の反応は
 手応えは十分。街頭や会合に出ると、経済を活性化しないといけないという声が多い。市民の反応も非常に良く「変えよう」という強い気持ちを感じる。そういう意味でも経済の活性化を中心とする私の政策は確実に浸透している。
 ―今回の選挙の争点は何か
 経済を争点に考えた場合、相手候補と違うのはその方法にある。相手候補は自立型経済を訴えているが、今、自主財源でできる事業は全体の二割で残りの約八割は国や県に頼っているのが現状。それを考えると、経済の活性化をどうやっていくのかが問題で、県政や国政と十分に話し合うことができるか、できないかに大きな違いがある。
 下地島空港の活用方法については平和的な利用は当然。これを前提に活性化を図っていく。
 ―期日前投票の状況はどうか。また期日前投票が与える影響は
 初日から非常に良い手応えを感じており、各地区において有利に進めており、有権者の「変えよう」という思いが感じられる。期日前投票が与える影響は大きい。今後も各地区でくまなく取り組んでいきたい。
 ―最後に有権者に訴えたいことは
 市民は宮古の経済に危機感を持っており、具体的な活性化対策を実行しなければならない。若い人は島に仕事がないから島を離れる。あれば島に戻ってきて島全体に活気が出てくる。私は経済活性化の事業を着実に実行していく。
 

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水納島との連絡船整備要望/県宮古支庁との行政連絡会議

 【多良間】二〇〇五年度県宮古支庁・多良間村行政連絡会議が九日開かれ、多良間村発展に向けた県の主要事業説明と互いの意見交換を行い、県は村の要望内容について県の方針を説明した。多良間島と水納島を結ぶ連絡船の整備について県は理解を示した上で、「連携を密に調整を図っていきたい」と回答した。
 現在、多良間島と水納島は個人所有の漁船タイプの五dの船が不定期で運航している。村側は水納島の肉用牛の生産基盤が進んでいる上、島全体が観光地であることを挙げ連絡船の就航を要望した。
 また、一九八一、八二、八三年に建設した三棟(十二戸)の村営住宅が老朽化のため、県営団地の建設を訴えた。
 県側は、水納島との連絡船就航について船の大型化も含め検討する姿勢を示した。県営団地建設については「現在、用地取得済みや建て替えを除き、新規の団地建設を行わない方針」と答え、理解を求めた。
 同会議は、多良間村の自立発展に向け、県宮古支庁と多良間村の二〇〇六年度以降の事業内容を説明し合うとともに、多良間村からの要望事項について意見交換を行い、地域の発展を目指すため開かれた。
 多良間村の要望は次の通り。
 ▽海岸漂着ごみ対策▽多良間島と水納島との交通体系の整備▽前泊港のバース整備▽前泊港の貨物一時保管庫の整備▽普天間港と前泊港の港口の拡張▽公営住宅の建設▽土地改良ほ場整備事業▽農業用貯水池の整備▽国営土地改良事業▽農業集落排水事業▽道路整備▽畜産環境保全施設整備事業の実施▽畜産担い手事業宮古第三地区(仮称)の実施▽サトウキビ生産機械化一貫体制の確立▽中層魚礁の設置▽多良間漁港の航路拡張▽多良間漁港沖防波堤の設置▽自動車リサイクル法施工前の廃自動車再資源化のための支援

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郵政公社が弁済へ/自治会も総会で受け取り承認

 宮古島市平良の松原自治会(高里義市会長)が旧久松簡易郵便局に預けた三千三百万円の所在が不明になっている問題で、同自治会は十日、臨時総会を開き、日本郵政公社沖縄支社が弁済補償金として提示していた不明金の全額に当たる三千三百万円を受け取る方針を決定した。
 同郵便局の元局長の女性は十月十二日、業務上横領の容疑で日本郵政公社沖縄監査室に逮捕、送検されていた。元局長は調べに対し「一部を借金返済に充てた」などと供述し、容疑を認めていたが、十一月二日に不起訴処分となった。
 久松地区公民館で開かれた臨時総会では役員らから「郵政公社沖縄支社から不明金の弁済補償金として三千三百万円が提示されている」と説明があった。
 これを受け、「不起訴となっても、元局長には住民をだまし続けてきた道義的責任がある」など怒りをあらわにする声が相次いだが、弁済補償金の受け取りについては「早期に他の金融機関に預けた方が得策」などの意見が上がり、全会一致で可決した。
 高里会長は「二度とこのような事態が起きないよう役員一同、頑張っていきたい」と述べた。今後の対応については「弁護士など専門家の意見を聞きながら対処していく」と話した。
 同自治会の不明金問題は、同局に預けた二千四百万円と八百万円の定期貯金が実際には口座開設されておらず、普通貯金に預けていた百万円とともに所在も分からなくなり、総額三千三百万円の不明金が生じていた。年度ごとの決算に使用する同郵便局が発行した残高証明書も偽造と判明。十月二日に開かれた同自治会の臨時総会では、出席した自治会の監査役を務めていた元局長の夫が元局長の一部流用を認め、謝罪していた。

 写真説明・臨時総会で3300万円の受け取りを確認した=10日、久松地区公民館

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福里保育所園児が防火パレード/秋季火災予防運動

 二〇〇五年秋季火災予防運動の一環で、城辺字福里にある宮古島市立福里保育所(砂川ヒロ子園長)の三、四歳児の二十三人が十日、防火パレードを行った。同保育所から城辺支所までの道のりを、園児らはパーランクーを打ち鳴らしながら「戸締まり用心、火の用心」と、道行く人に呼び掛けた。
 出発を前に宮古島市消防本部の砂川享一次長が「消防のおじさんたちと一緒にパレードして、戸締まりと火の用心をみんなで呼び掛けよう」とあいさつ。パレードは午前十時に保育所をスタートした。
 パレードには同消防本部職員ら六人も同行して消防車両を使いながら、市民に防火意識の高揚を呼び掛け。目的地の城辺支所では同支所職員や父母らが拍手で園児らを出迎えた。
 参加した金城景ちゃん(5つ)は「暑かったから大変だったけど、火の用心しようねってお母さんに話したい」と笑った。
 今年の秋季火災予防運動期間は九―十五日まで。期間中はパレードや高齢者住宅防火診断、防災フェアなどが行われる。全国で掲げられている統一防火標語は「あなたです 火のあるくらしの 見はり役」。
 産業雇用安定センター沖縄事務所(桃原喜正所長)は十日、市内のホテルで宮古地域の職業安定機関や経済団体関係者を招いて情報交換会を開いた。同センターの事業内容や宮古の雇用状態について意見を交わし、宮古の雇用環境の向上と同センターが目指す「失業なき労働移動」の実現について考えた。
 宮古公共職業安定所(ハローワーク宮古)の上原忠所長や宮古観光協会の藤村明憲会長、宮古島商工会議所の赤嶺一成専務理事、伊良部町商工会の奥浜幸雄会長らが出席した。冒頭、桃原所長は「失業なき労働の実現のために活動している。皆さんにご協力いただきたい」とあいさつ。出向・移籍支援事業、セミナー事業など各種事業や離職者の再就職を支援する奨励金なども紹介した。
 管内の雇用状況についてハローワーク宮古の上原所長は「就職環境は依然厳しい状況で県内でも悪い。年々有効求人倍率も低下している」と説明。また、藤村会長は「観光は好調で今年は四十万人突破も見込まれる。しかし、平均で五十万人来なければ安定的な雇用にならない」と厳しい現状を語った。

 写真説明・パーランクーを片手に元気よく行進し、防火を呼び掛けた=10日、宮古島市城辺

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   伝統工芸など学ぶ/63人が29事業所で「社会人」体験

 県立伊良部高校(下地義雄校長)の二年生を対象とした二〇〇五年度職場体験実習が、九日から三日間の日程で始まった。六十三人が病院や保育園、書籍販売店など二十九事業所で社会人としてのマナーや仕事内容などを学び、卒業後の進路に役立てる。
 このうち宮古織物事業共同組合では、奥平茜さん、奥平ひかるさん、久高唯さんが職場体験に参加。初日は宮古上布が織りあがるまでの各工程を見学したほか、実際に木綿糸を使った絣くくりに挑戦。慣れない手つきながらも一つ一つ丁寧に木綿糸をくくり、伝統技術を体験した。三人とも宮古上布に興味を持ち、以前調べ学習で取り組んだとあって真剣そのもの。奥平茜さんは「思ったよりすべての作業が細かくて大変だと感じた。宮古上布の藍色が好き」、久高さんは「藍染めの作業が印象深かった。宮古上布はすべて手作りで手作業なところがすごいと思う」、奥平ひかるさんは「絣くくりが大変。早く実際に機織り機で布を織ってみたい」とそれぞれ感想を話した。期間中は染めや織り体験も行う予定。
 同組合の島袋朝子専務理事は「若いうちから宮古上布に関心を持ってもらうことで後継者が増えてくれればうれしい。見るだけでなく実際に触れて感じてもらいたい」と話し期待を寄せた。

 写真説明・木綿糸を使った絣くくりに挑戦する生徒たち=9日、宮古織物事業協同組合

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