200平成17  11曜日

下地島空港の軍事利用・回答者全員が反対

市議選立候補予定者アンケート調査(本紙)

 十一月十三日に投開票される宮古島市議会議員選挙(定数二十八)に立候補を予定している四十六人に対して宮古毎日新聞は、下地島空港の軍事利用についてなど四項目についてアンケート調査を実施した。その結果、下地島空港の活用に関しては回答した全員が反対の姿勢を示したことから、今後四年間、宮古島市議会の方針は「軍事利用は認めない」とのスタンスを取ることになる。また、稲嶺恵一知事の県政運営については二十一人が評価し、憲法九条の改正については約二割が賛成の意思を示した。
 今回のアンケート調査では市議立候補予定者四十六人中、無回答の一人を除いて四十五人が質問に対する見解を示した。
 下地島空港の今後の活用については四十二人が「軍事利用に反対、平和利用を求める」との見解となった。どちらでもないとの回答についても「米軍と自衛隊をひとまとめに論じるべきではないが市民が平和利用を望むなら平和利用」「基本的には反対」「コメントする立場にない」でほぼ全員が下地島空港については軍事利用を認めないとの見解になっている。
 同時に行われる市長選に立候補を予定している伊志嶺亮氏(72)=社民、社大、共産、民主推薦=と下地敏彦氏(59)=自民、公明推薦=とも下地島空港については軍事利用に反対の姿勢を取っており、新市民に選ばれた二十八人の議員でスタートする宮古島市議会の今後四年間の方針は「軍事利用反対」との姿勢となる。
 稲嶺県政については二十一人が評価し、「評価しない」との見解が十一人、「どちらでもない」が十三人となっている。
 評価する理由としては「基地問題についても県民の民意を国に示している」や「経済活性化でも評価できる」「しっかりと沖縄の問題に対応しているし、その行動も評価できる」などが多い。
 一方で評価できないとする意見では「基地問題が進ちょくしていない」「県民に負担を押し付けている」「大浦産廃問題に対する対応で評価できない」などの意見が示された。
 憲法九条改正については、「改正すべき」が全体の約二割となる九人が賛成。「どちらでもない」も同数の九人で「平和を守る九条は堅持すべき」との意見は二十七人となっている。
 改正賛成の意見の中では「内容次第では容認できないこともあるが改正には賛成」「不戦の誓いは守らないといけないが柔軟な形にしても良い」「九条の二項『戦力不保持』については現状にそぐわない」などとなっている。
 また、立候補予定四十六人が同時選となる宮古島市長選立候補予定者に対する支持状況は、伊志嶺氏支持が二十人、下地氏支持が十九人と拮抗し、中立は六人、無回答一人となっている。
 伊志嶺氏を支持する意見としては「平和問題、環境問題に対する姿勢が評価できる」や「合併を実現させるなど三期十一年の実績を評価する」などが多く聞かれた。
 下地氏を支持する理由としては「経済の活性化を図るには下地氏しかいない」や「宮古支庁長としての経験もあり、第一次産業にも精通している」などとなっている。
 告示まであと三日と迫るも、複雑な政局も影響してか宮古島市初の同時選挙もなかなか盛り上がってこない。投票率の低下を懸念している立候補予定者たちも、告示後の盛り上がりに期待している。


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直売所を通年開催へ/ファーマーズマーケット

 十二月下旬にオープンするJAおきなわ直営の農産物直売所「ファーマーズマーケット」が当初の土、日、祝祭日開店から通年開催(週一休)になる見通しだ。二日、JAおきなわ宮古地区事業本部農民研修センターで開かれた生産者対象の説明会で、宮古地区営農センターの川上政彦センター長が報告。「土、日曜日だけの販売では生産者が販売しづらい」などと説明した。説明会には約百二十人が参加し、地元生産、地元販売の魅力に高い関心を示した。同店は農民研修センターを中心に開店、年間の販売額は三億円を目指す。
 島の生産者が島で収穫した農産物を納品し、価格も自分で決めるファーマーズマーケットは地元生産による「新鮮さ」と生産者の顔が見える「安心感」、「安さ」が売りだ。JA拠点の主な直売所は全国で約二十店舗あるが、県内では糸満市の「ファーマーズいとまん」だけ。同店の売り上げは年間五億円にも上る。
 説明会ではJA直営のファーマーズマーケット開店にかかわっている地域社会計画センターの鹿島直昭さんが同マーケットについて説明。鹿島さんは「地元の消費者で成り立つマーケットでなければならない。観光客を当て込むようなやり方では成り立たない」と指摘。その上で▽消費者が求めているものを作る▽他力本願の意識を変え、自己責任で作目、作付面積、売値を決める▽売れる時間帯を考えて出荷する▽消費者が商品を選ぶ基準を考え工夫する―などと出荷の心構えを促した。
 質疑応答では「離島で直売所運営をやっていけるのか。宮古島は消費者も少ない」との疑問の声も。これに対し、鹿島さんは「十分にやっていける。赤字は出ない」と答えていた。
 説明会後、出荷希望生産者の受け付けがあり、この日は約三十人の生産者が申し込みを済ませた。
 直売所に出荷を希望する生産者(原則としてJA組合員)はJAと契約しなければならない。契約した生産者は農産物を納品し価格も自分で決める(下限は調整)。直売所への手数料は売り上げの一五%で、売れ残った品物は生産者自らが引き取る。納品された農産物は直売所が販売を行い、注文があれば島内だけでなく沖縄本島や県外にも発送する。詳しくはJAおきなわ宮古地区営農センター(電話72・4588)まで。

 写真説明・約120人の農産物出荷希望者が参加し関心の高さをうかがわせた説明会=2日、JAおきなわ宮古地区事業本部農民研修センター

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ミヤコオカチグサガイ/宮古島固有種が絶滅

 【那覇支局】沖縄県(稲嶺恵一知事)はこのほど、「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物―レッドデータおきなわ―(動物編)」を発行した。「絶滅」は九種で、初版が発行された一九九六年と比べ、三種増えた。その中には宮古島固有種の貝「ミヤコオカチグサガイ」も含まれている。
 ミヤコオカチグサガイの貝殻は、殻高約六_、殻貝径約四・八_程度の円すい形。体層周縁に角を持たない。
 宮古島の野原岳のみで死殻が確認されるが、これまでに生貝採集の記録がなく、生態は不明。死殻は堆積物の中から得られ、明治以前に絶滅した可能性も高い。死殻が確認される場所は石灰岩の森林であるため、同様な場所の石灰岩礫間に生息していた可能性が高いと推測している。「宮古島の固有種で、絶滅要因を探れる好材料」とし、「要因は、基本的には森林環境の改変が考えられる」と考察している。
 改訂版の掲載種は初版の四百八十四種から八百三十七種に増加した。特に貝類は二十種から三百六十二種に増えたが、これは、調査範囲を淡水域のみから沿岸域にも広げたことによる。
 県は「広く県民の皆さんに、野生生物の保護やその成育・生息環境の保全、環境学習などの基礎資料として活用していただきたい」と話している。
 同データは自然保護課のホームページ(http://www.pref.okinawa.jp/)で閲覧できる。

 資料写真・ミヤコオカチグサガイ
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黄色い花咲く/ヒメノアズキ

 宮古の秋の自然を彩るヒメノアズキが黄色い花を咲かせ始めた。在来種。
 奄美大島以南に分布するつる性の多年生草本。茎は細く地面をはい、葉っぱは三つ(三出複葉)向かい合う。花は黄色で直径一a。豆果は長さが一・二a、幅が三_。名前のヒメは小さいという意味。
 宮古ではヒメアズキの群落は飼料として使われたため、自生地は減少した。
 地域によっては開発や農薬散布で減少が続いている。またキビ畑でも成育するため、耕運機で畑を耕すに時に消失したりする。今後の自生地の拡大は厳しい環境のようだ。

 写真説明・原野で成育していたヒメノアズキ=10月29日、宮古島市伊良部

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宮古関係2人晴れ晴れ/05年 秋の叙勲

 【那覇支局】政府は三日付、二〇〇五年秋の叙勲受章者を発表した。県内からは四十三人、このうち宮古関係では二人が受章した。功労概要は地方自治功労、教育研究功労となっている。受章した二人はそれぞれ受章を喜び、地域や関係者に感謝の意を表した。

瑞宝重光章
46年間、教育研究に一筋
砂川恵伸さん(76歳)旧平良市出身・元琉球大学長

 「このような名誉ある勲章を受章することができたのは、私一人ではなく大学でお世話になった人たちのおかげ。関係者には感謝の気持ちでいっぱい」
 琉球大学長、志學館大学長などを務めた砂川恵伸さんは、大学で四十六年間、教育研究や大学行政に尽力した。その功績が認められ今回、瑞宝重光章を受章した。「琉大在任中は、大学の管理運営など大学行政にかかわる仕事が多かった。一九九三年に国際的な会議『太平洋学術会議』が沖縄で開かれ、その時委員長として会議を無事成功させることができた。そのことが一つの思い出として残っている」と当時を振り返る。
 琉大学長を退いた翌年には、鹿児島女子大学長に就任。文学部だけの単科女子大だったが法学部を増設し、男女共学にして志學館大学に校名を改めた。少子化が進む時代の中で、学生確保、魅力ある大学づくりに大きく貢献した。
 最近は、空手道場にも通っているという砂川さんは、「これからは健康に留意しながら、孫たちと楽しく過ごしたい」と話した。

 砂川 恵伸(すながわ・けいしん)1929(昭和4)年2月19日生まれ。76歳。旧平良市出身。45年県立宮古中学校卒。50年琉球大学入学。翌年京都大学へ。55年に米国ミシガン大学法科大学院留学、57年同大学法科大学院修士課程修了。同年琉球大学講師となり、法文学部長などを経て、90年学長に就任。96年同大学長を退いた翌年、私立鹿児島女子大学長(99年志學館大学に校名変更)になり6年間務めた。琉大名誉教授、志學館大学名誉教授、啓明大学(韓国)名誉法学博士。妻澄子さんとの間に3女。
旭日双光章
「感謝の気持ちでいっぱい」
下地利男さん(73歳)/多良間村・元村議会議長
 「感謝の気持ちでいっぱい」。多良間村議会議員として十期四十年の功労が認められての受章。「議員は一人ではできない。村民の皆さん、家族の協力があってこそ」と受章の喜びを分かち合う。
 任期中は歴代四人の村長とともに多良間村の発展に汗を流した。「石油基地建設問題」や、当時では画期的だったという「議員定数削減案」などに取り組み、問題解決のために走り回った。
 二〇〇三年に開港した新多良間空港も「十年の月日が流れ、ようやく実現した。感無量だったよ」と目を細める。
 現在の多良間村議会議員へは「地方議会では与党、野党、保守、革新ではなく是々非々で取り組まなければならない。ただすべきはただし、協力すべきは協力し村の発展に尽力してほしい」とエールを送る。
 第一線を退いた今でも地域からの期待は厚い。今年八月に発足した多良間村行財政改革委員会では委員長にも選任された。「村への恩返しとして、最後のご奉公と思い真剣に取り組んでいきたい」

 下地 利男(しもじ・としお)1932(昭和7)年6月2日生まれ。73歳。多良間村塩川出身。48年多良間中学校卒業。宮古郡農協職員を経て62年9月に多良間村議会議員に初当選。2001年5月まで10期40年務める。趣味は庭造り、読書。座右の銘は真実一路、有言実行。


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   宮里久男さん(城辺)が受賞報告/社会教育委連

 元校長で旧城辺町社会教育委員などを務めた宮里久男さん(79)=城辺字砂川=はこのほど、社会教育、文化行政の発展に尽力した功績が評価され、全国社会教育委員連合(大橋謙策会長)から表彰状を受けた。二日、宮古島市教育委員会に久貝勝盛教育長を訪ね、受賞報告を行った。
 宮里さんは、一九七二年から七六年まで旧城辺町社会教育委員、八〇年から八四年まで旧平良市社会教育委員を務め、地域団体の育成やうるかクイチャーの保存継承などに取り組み、社会教育の推進に功労を残した。
 報告会で宮里さんは、十月に北海道帯広市で行われた表彰式の様子を紹介しながら「地域の皆さんと共に学び合い励まし合い、支えられていただいた賞。今後は高齢者の方々と共に地域に根差した活動をしていきたい」と受賞の喜びを語った。
 久貝教育長は「心から拍手を送りたい。社会は宮里さんを必要としているので、これからもますます頑張ってほしい」と激励の言葉を述べた。
 
 写真説明・全国社会教育委員連合の会長表彰を受け、喜びの報告を行う宮里さん(中央)=2日、宮古島市教育委員会

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