200平成17  11曜日

市民に大きな混乱なく/新市誕生から1カ月

 十月一日に宮古島市が誕生してから一カ月が経過した。分庁方式による組織改編で各旧役場とも庁舎内部の構図が変わり、新たな環境での業務が始まっている。支所機能も次第に浸透し市民に大きな混乱は見られないが、職員間では初めての業務や引き継ぎ、本庁と各庁舎との連携などにまだ戸惑いがある様子。紆余曲折したどり着いた合併のその後を追った。
 ◇分庁方式
 宮古島市全体の総務的機能を持つ総務部の宮川耕次部長は「今のところ大きな混乱もなくおおむねスムーズ」と合併から一カ月経過後の状況を話す。毎月各部長や支所長が一堂に会し、状況報告や情報交換するなどして本庁との連携強化に力を入れているという。
 しかし分庁方式により機能が分散したため、各部で温度差が出てきているもよう。城辺庁舎にある保健福祉部の池村直記部長は「支所を中心にそのポジション、業務量に応じた人員配置は今後の課題になる」と支所との連携が難しい現状にあることを指摘。上野庁舎にある経済部の宮国泰男部長は「特に問題はないが、決裁や会議などで市役所本庁に行く時間のロスは大きい。郡部から本庁に行くとほぼ半日をつぶしてしまう」と決裁や会議で本庁に出向かなければならないことなどを不便な点の一つに挙げた。伊良部総合支所でも本庁との連携に慌ただしさを見せているが、業務内容に変わりはないものの職員数が減ったため職員が互いに連携を強化し業務に当たっているという。
 ◇合併した他市町の現状
 宮古島市と同様に分庁方式をとっている長野県千曲市は、二〇〇三年九月に誕生した。同市でも本庁機能が分散しているため議会や庁内会議には移動が必要とされるなど不効率な面はあるものの、決裁や書類のやりとりに関しては各庁舎を行き来する担当職員を配置し、午前と午後の一日二回、書類を回収し必要な庁舎へ運ぶなどして効率化を図っている。また、合併直後は継続事業など新市にまたがる業務を持つ職員は支所に残し、事業完了後に本庁へ戻すなどして職員間の混乱を避けたという。〇二年四月に合併した久米島町でも分庁方式に対応するため、各庁舎を行き来するシャトルバスを運行させ担当職員が一日一往復し書類を回収、運搬。合併前から事態を予想し、対応策を講じた。
 ◇市民の反応と課題
 平良地区に住む女性(50)は「合併して一カ月がたつが、支所で今まで通り変わらずにできるので安心している」と合併後も不便を感じていない様子。別の主婦(28)は「延滞した税金や団地の賃貸料支払い、保育園の入園手続きはどこでできるかまだ分かりにくい点がある」とまだ戸惑いを感じている様子だった。川田正一市長職務執行者は「新市はまだ始まったばかり。課題はあるがそれを嘆くだけでなく、どう解決していくか職員が意識を変えて知恵を出し合っていくことが大事。合併して良かったと言われるよう連携を強化していきたい」と職員一人ひとりの意識改革を願った。
 歩み始めたばかりの宮古島市。市民には少しずつ浸透が図られているが、行政内部にはまだ課題が多い。本庁と各庁舎、支所がそれぞれ連携を密にして、解決策を見いだしていくことが今後のカギを握っている。

 (山里勝美記者)

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伊志嶺、下地両氏が舌戦/新市将来像で持論PR

市長選公開討論会

 十一月六日告示、十三日投開票の宮古島市長選挙に伴う立候補予定者の公開討論会(主催・宮古テレビ)が三十一日、マティダ市民劇場で行われた。
 討論会では、今回選挙に立候補を表明している伊志嶺亮氏(72)=社民、社大、共産、民主推薦=と下地敏彦氏(59)=自民、公明推薦=の二人が合併新市「宮古島市」の将来像について持論を展開するとともにクロス討論では互いの政策などについて問題点を指摘するなど舌戦を展開した。
 午後七時から行われた公開討論会には多数の市民が訪れ、立候補予定者二人の政策、将来ビジョンについて真剣な表情で聞き入っていた。また、今回の討論会は宮古テレビの10チャンネルでも生放送された。
 伊志嶺氏は、平良市長としての三期十一年の実績とこれまでの取り組みを説明しながら、経済振興や下地島空港の米軍使用、自衛隊基地化に対してこれからも反対していく姿勢を強調した。
 下地氏は、長引く不況で厳しい経済状況となっている宮古圏域の現状を指摘し、圏域活性化には経済振興が急務として、宮古支庁長としての経験を新市に生かしたいとの見解を示した。
 両氏とも経済活性化の必要性や下地島空港に関しては平和利用を強調するなど、主要政策面では、ほぼ同様の見解となった。
 討論会の最後は、会場に詰め掛けた市民から両氏に対する質問が投げ掛けられ、両氏とも自らの政策と考えを織り交ぜながら答えていた。

 写真説明・会場に詰め掛けたたくさんの市民は立候補予定者の政策や将来展望について真剣な表情で聞き入っていた=31日、マティダ市民劇場

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市民会館今週末にも建物解体

アスベスト使用なし・館内から作業開始

 旧平良市の平良市民会館の解体作業が三十一日から始まった。宮古島市財政課が依頼していたアスベスト使用の存否に関する専門機関の検査結果が十月二十八日に同課に届き、アスベストは使われていないことが分かったため、三十一日は、宮古島市職員が館内に取り残されていた旧平良市の雑書類などを運び出し、処分した。館内の内装の処理作業が行われた後、今週末ごろにも建物全体の解体が行われる見込み。旧平良市有地だった同会館敷地は宮古神社の社有地と等価交換され、戦前にもともと建設された同会館敷地に同神社が遷座移転されることになっている。解体工事の施主は宮古神社で、第一建設工業が請け負っている。
 平良市民会館は一九七二年に建設され、市民の活動の場として長年にわたり利用されてきた。しかし老朽化が進み、九六年にはマティダ市民劇場のオープンに伴って、大ホールが利用されなくなっていた。十月十八日には解体作業の無事を願う安全祈願祭が、宮古神社の宮司代務者や工事関係者、行政関係者によって行われた。
 三十一日に書類の処分の作業に当たった財政課の石原智男課長は「個人情報にかかわるものあると考えられるため、それが漏れないよう処分を行っている」と説明した。また解体作業を行う第一建設工業の出口剛常務は「アスベストがなかったことを周辺住民に知らせて、作業に取り掛かった。工事中は粉じんに十分注意して作業を行う」と話した。

 写真説明・館内に残った書類などを宮古島市職員が処分した=31日、平良市民会館

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島に響くヨーンティル/池間島ユークイ

 伝統の祭祀「ユークイ(富みをこう)」が三十一日、宮古島市平良の池間島で古式に乗っ取って行われた。みこ役のツカサンマ(司母)五人がユークインマになり旧年中の豊漁・豊作に感謝。向こう一年間の大漁と五穀豊穣を祈った。島中に「ヨーンティル(富みよ満ちてください)」の歌が響いた。同島では昨年十二月、五人制の司母が二十年ぶりに復活。五人がユークイを執り行ったのは今回が初めて。
 司母五人は三十日午後三時ごろ、上原山にあるナナムイと呼ばれる聖地にこもった。一夜明けた三十一日早朝、ナカマニー(仲間根)御嶽の祈願に続き、島内の九カ所の御嶽で祈った。
 司母らは草冠をかぶり、白装束のいでたち。最高職のフゥヅカサ・フゥンマ(大司・大母)が、地元で神のつえと呼ばれるつえで島中を清めた。
 ユークイのクライマックスは、ナッヴァと呼ばれる御嶽前の輪舞。住民らは物陰に隠れてじっと見入っていた。
 昔から漁師らは、ユークインマが漁港近くを通過してから、出漁する習わし。この日も同じ習わしが見られた。
 最高職を務める山口政子さん(56)は「みんなが力を合わせたおかげで、伝統のユークイを無事成し遂げた」と感無量の表情で話した。
 池間自治会の玉寄憲作会長は「五人ともよく頑張った」とたたえた。
 ユークイが始まった年代は不明。

 写真説明・「ヨーンティル」と歌うツカサンマら=31日、平良池間島のナッヴァ御嶽前

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家族ぐるみで交流/在沖上野村郷友会運動会

 【那覇支局】在沖上野村郷友会(洲鎌昭雄会長)の二〇〇五年度大運動会が十月三十日、那覇市の奥武山公園で行われ、大人から子供まで家族ぐるみで参加し、和気あいあいと一日を過ごした。古里の上野からも大勢参加し交流した。
 開会式で洲鎌会長は「宮古島市が誕生して、初めての記念大会となる。存分に楽しみ大会を盛り上げてください」とあいさつした。
 旧上野村長の川田正一宮古島市長職務執行者も駆け付け「十月一日に宮古島市が誕生し、現在、市民が将来に向け一致団結して頑張っている」と近況を報告した。
 競技はラジオ体操で筋肉をほぐした後、始まった。参加チームは新里、高田、宮国、大嶺、名加山、上野、豊原、野原、千代田の九集落。プログラムは百b、二百b走や、四百b、八百b、千六百bリレーなど、多彩に繰り広げられ、各選手は力いっぱいグラウンドを駆けた。最後は全員でクイチャーを踊り締めくくった。
 この日上野から参加したのは在沖郷友会の役員を務めている昭和二十年生の二十三人。同会の役員は還暦を迎える同期生全員が務める決まりになっており、行事の時などには大勢が宮古から訪れ交流している。旧上野村収入役の平良栄得さんもその一人で「郷友の皆さんや、アグたちと会えるのは楽しい」と表情をほころばせていた。

 写真説明・出身集落の名誉に懸け力走する選手たち=10月30日、奥武山公園

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   糸満地区と合同で研修会/少年補導員協議会

 宮古島地区少年補導員協議会(根間貞倶会長)と糸満地区少年補導員協議会(屋良朝計会長)の研修会が十月二十八日、平良地区内のホテルで行われ、それぞれの活動内容を報告し、今後いっそうの青少年健全育成へ向け気持ちを新たにした。両地区合同の研修会は今回が初めて。糸満地区からは補導員ら十二人が二十八日に宮古入りした。二十九日まで滞在し、島内視察研修を行った。
 研修会では両協議会が年間の取り組みを紹介。宮古島地区協議会は▽街頭パトロール▽イベント開催時の会場周辺での補導活動▽クリーンアップ作業への参加―などを紹介。また結成三十周年を迎えるにあたり行った記念植樹や、今後予定している記念式典、記念誌発行の取り組みなども説明した。糸満地区協議会は▽夜間街頭補導活動▽大綱引きやハーリーなど地域のイベント開催時の補導活動▽中・高校の卒業時の周辺パトロール―などに取り組んでいることを説明した。
 宮古島地区協議会の根間会長、糸満地区の屋良会長ともに今後の取り組み強化や青少年健全育成へ向け意気込みを新たにした。

 写真説明・互いの活動状況などを紹介した研修会=10月28日、ホテル共和

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